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定例議会

2003年6月議会

杉山たかのり議員の一般質問

1.甲子園競輪場跡地のまちづくりについて
2.学校園における個人情報保護について


1.甲子園競輪場跡地のまちづくりについて

 まず、甲子園競輪場跡地のまちづくりについてです。
 いま、南甲子園地域では、甲子園競輪場跡地に超高層の巨大マンションが建設されるということが大問題となっています。昨年の12月議会総務常任委員会所管事務報告で仮称南甲子園計画として報告されました。この計画は、開発面積約6万8159平方メートル、北側は共同住宅ゾーンとして21階建てを中心としたマンション614戸、南側は戸建てゾーンとして244戸の総戸数858戸の巨大プロジェクトです。事業主は長谷工コーポレーションです。特に、地域では、21階建て高さ約60メートルという超高層のマンションが周辺の住環境に与える影響が危惧されています。この間、八町会協議会のみなさんからの市への抗議書、長谷工マンション近隣住民協議会のみなさんの署名運動、今市議会には2本の請願が提出されるなど、市としても地域と調和したものを求める地域住民の声を真剣に受け止めるべきです。

 まず、都市計画から見ての問題です。
 甲子園競輪場跡地周辺地域は、第1種中高層住居地域、第2種高度地区に指定されており、戸建て住宅を中心とした中低層住宅地で、良好な住環境であることは誰もが認めるところではないでしょうか。競輪場跡地は、第2種住居地域、第5種高度地区で、事実上無制限の高さを容認しています。

  私は、昨年の市当局が都市計画マスターを策定する時期に都市計画審議会の委員をしており、6月11日、野口あけみ議員との連名で都市計画マスターの修正を求める意見書を提出しました。そこには、「震災後、顕著に現れた住宅地等におけるマンション建設ラッシュによる住環境の悪化をまねいた。」そして「現行のまちづくり条例は、マンション開発の大幅な規制緩和をしたものであり、思い切った規制強化をはかるべきである」とした上で、その他の問題点で5項目目に「甲子園競輪場の廃止に続き、西宮北口の西宮球場、阪神パークなどの施設が廃止されようとしている。これらの土地利用は、今後西宮市にとって大きな影響を及ぼしかねない。開発抑制の措置をとるべきである。」と、この問題も明らかにしてきました。 しかし、市当局は、そのままの状況を放置してきました。

 次に、市民生活からの問題です。
  昨年12月議会本会議で、わが党の上田さち子議員が、大型開発やマンション建設による人口急増と市民生活の問題を取り上げましたが、山田市長も答弁の中で人口増加にともない市民生活に支障が出ることを認めています。南甲子園地域も例外ではありません。この間、南甲子園小学校南側の高層マンションをはじめマンション建設はかなりすすんでいます。小学校はすでに空き教室はなく、これ以上のクラス数の増加には対応出来ません。また、保育所については、公立も私立もこの地域にはもともとありません。あらゆる市民サービスが低下する可能性があります。 このようなことのないように、先を見通して計画的にすすめることが街づくりであり、行政の果たすべき役割ではないでしょうか。

  開発事業等におけるまちづくりに関する条例に基づく開発面積5ヘクタール以上、戸数300戸以上の大規模開発が対象となる、開発事業審査会は6月5日に開かれ、この開発事業も協議されました。すでに事業者は高さを21階から18階へ、また戸数もマンション574戸、戸建て197戸へ戸数を減らしたものを提出しています。審査会では、公共公益施設用地、そのうち30人程度の保育所用地の確保、公園用地の提供、開発地域を甲子園浜小学校への校区変更、などが示され、開発者への意見が4項目あります。 しかし、これによって住環境や市民生活はなんら守られるものではありません。

    1. 全市的に見ても高層マンション建設が相次いでいるにもかかわらず、甲子園競輪場跡地についてなんら規制をしてこなかったのはなぜか、お答えください。また、地域住民の超高層マンションを近隣住宅地になじむ開発への変更を求めていることをどう受け止めているのか、お答えください。
    2. 南甲子園地域の市民生活への影響は大変なものとなります。開発者の責任を求め、住環境や市民生活に極力影響が出ないように、高さや戸数など大幅な計画変更を強力に指導すべきだと考えるがどうか
    3. マンションの開発規制強化について、昨年12月議会のわが党議員団の上田議員の質問に対して「慎重に検討する」と答弁しているが、すでにそのような段階ではなく、直ちに行うべきだと思いますが。
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2.学校園における個人情報保護について

 今国会、個人情報保護法案が、個人情報保護の根本にかかわる問題の解明を行なわないまま、与党三党の賛成多数により成立しました。この間も防衛庁が地方自治体に自衛官適齢者名簿を提供させていた事件や、警官から大手サラ金業者への犯歴データ流出事件などが起こっています。住民基本台帳ネットワークの問題でも個人情報の漏洩の危険性はなくなっていません。個人情報の保護は、行政にとって最重要課題の1つです。

 さて、先日、西宮浜小学校の職員がパソコンと同校全児童の氏名・住所など個人情報の入ったフロッピーディスクが盗難されるという事件が起こりました。
 教育委員会による議会への報告では、事件発生は5月12日、午後10時半すぎに本人より、警察への連絡のあと校長に電話で報告がされています。パソコンとともに盗まれたフロッピーディスクには、全校生の名前、学年、組、保護者名、電話番号、兄弟関係のデータが入っていたとのことです。

 市教育委員会は、以前重要文書の管理という点で重大な問題が起こりました。1999年、本来保存すべき文書である指導要録が小、中、幼あわせて20校、4万1433人、学籍に関する記録が4校、3255人に廃棄されるというものです。その後教育委員会は、原因の一つに「学校園における適正な文書管理のための標準的なきまりがない」として、「西宮市立学校園文書取り扱い規程」を制定してきました。その中には、個人情報に関する文書の取り扱いについても記述されています。教育委員会は2001年度の行政方針でも取組みを強めていく事をいっていましたが、その点で、今回の事件というのは本当に教訓を汲み取っていたのか疑問をもたざるをえません。

 私は、教育委員会のみなさんとお話しをする中で、大きくは2点ほど問題があると感じました。
 第1は、教育委員会、学校現場での個人情報保護に対する認識が甘いということです。
 昨年12月6日付け兵庫県教育長の通知「綱紀粛正及び服務規律の確保について」の個人情報の適正な管理を記した1文に「また、文書等はみだりに校外へ持ち出すことがないよう十分留意するとともに、やむなく持ち出す場合においても、その管理について最新の注意を払う事」というものがあり、個人情報の持ち出しは禁止しているわけではありません。しかも、持ち帰るのに校長等への報告もされていません。こういったデータは日常、個人が保管しているのです。

  第2は、他の部署に比べて、学校現場では事務の効率化がおくれていることです。
 機械警備のため午後8時までしか学校内では仕事ができず、5月の事務が集中する時期には持ち帰り仕事をせざるをえません。各学校には共用のパソコンは設置されているものの、台数は少なく、それを多くの教職員が利用するため、事務職員が本来の校務処理に十分使えない実態もあります。 これでは、個人情報保護が最大限可能な状況とはいえません。これらをふまえて質問します。

    1. 指導要録、学籍の廃棄問題の教訓から、2001年1月4日「西宮市立学校園文書取り扱い規定」制定したが、それ以後どういう取り組みがなされてきたのか。また、学校園毎の文書管理の実態はどうなっているのか。
    2. 学校園における個人情報保護という点では、学校園外へのフロッピーディスクでの持ち出しという、言わば外部への提供も可能な状況を認めている。あまりにもずさんな実態が明らかになったが、教育委員会としての今回の事件について、どう教訓を導き出したか、また現時点でどのような対策をとっているのか。
    3. 個人情報保護を実施するためにも、学校園の全体的な管理体制、また文書管理を含む事務処理の効率化、標準化など抜本的に見直すべきだと思うがどうか。
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