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定例議会

2003年9月議会

野口あけみ議員の一般質問

1.国民健康保険について
2.乳幼児医療無料制度について


1.国民健康保険について

 国民健康保険は生活保護の医療扶助と並んで日本国民の医療を受ける権利を保障している制度です。国民健康保険法には「社会保障と国民保健の向上に寄与する事が目的」と明記され、国民健康保険が国の責任で国民に医療を保障する社会保障としての性格と位置付けを持つことが明確にされています。1961年、この国民健康保険の確立で、国民皆保険制度がスタートしました。
 ところが今、皆保険制度が崩壊しつつあるといわねばなりません。国民健康保険証のとりあげが横行しているのです。2000年4月から、特別の事情なく1年以上保険料を滞納したら、正規の保険証にかえて「資格証明書」が発行されるしくみに改悪されました。「資格証」になると窓口で一旦医療費を全額支払い、後から7割分の払い戻しを受けることになり、さらに戻ってくるはずの7割分も保険料滞納分にあてるとして没収される事となります。これでは医療は受けられません。また、資格証発行に至らない人には、1、4、6ヶ月有効の短期保険証を発行し、更新ごとに呼び出し、保険料の徴収及び納付相談を行っています。
 資格証発行の世帯は昨年6月現在、全国で22万5000世帯、短期保険証発行も約78万世帯にのぼっています。これは国保制度の存続を揺るがす事態、およそ社会保障の理念とかけ離れた重大な事態ではないでしょうか。
 西宮市でも今年6月1日現在、268世帯に資格証を発行し、また滞納世帯の13.2%に及ぶ1623世帯に短期保険証を発行しています。

 西宮の国保加入世帯は約7万5000世帯。もともと国保は高齢者、零細自営業者など財政基盤の弱い層が加入する保険ですが、滞納が1万2000世帯、実に16%にのぼります。保険料が高すぎるのです。加入世帯の年間平均総所得は177万円に過ぎないのに、保険料は一世帯あたり14万8000円。限られた年金、不況で所得が減る中で保険料は上がりつづける、これでは滞納者が増えるのは当然です。滞納者が増えて財政が悪化すると、保険料がさらに引き上げられ、これまでがんばってきた層も支払不能になるという、まさに悪循環に陥っています。
 これは1984年、国庫負担が総医療費の45%から38.5%に大幅に削減されたことが最大の原因です。この84年から3年間で9割以上の保険者が赤字に転落、保険料の値上げを行いました。国はさらに88年には法定軽減に対する負担を4分の3から2分の1に減らし、乳幼児医療など自治体単独の助成に対してペナルティで補助金削減等という仕打ちもくわえ、自治体の国保財政を苦しめています。今日の事態を招いた国の責任は重大です。

 今年4月サラリーマンの窓口負担が「国保も3割だから」と3割負担になりましたが、国保の方を社会保険にあわせて2割にするというのが84年法律にも明記されていたことです。国にこの公約を守らせることとあわせ、国保事業に対する国庫負担を計画的に元に戻す事を求めるものです。当局も国保運協で「国保財政の健全化に向けて国県からの財源確保に最大限の努力をする」との見解を示されていますが、この立場は重要です。文字どおりの最大限の努力を要請するものです。
 また、保険者である市は「払える保険料」にしていく努力をもっとすべきではないでしょうか。西宮市の国保会計の2002年度決算見込みが発表されました。これによると国保会計は4億2500万円の決算剰余、黒字となっています。しかも01年に創設された基金の期末残高は5億8700万円です。保険料は毎年、その年の保険給付に見合って試算され、徴収されるべきであり、必要以上の余裕金は問題です。保険給付費に対する基金保有率5%以上などという国の国保事業健全化指標による厳しい指導があるとはいえ、基金と黒字分が合わせて10億円以上もあるということは保険料をとりすぎていたということです。

    1. 保険料引き下げ
       秋田・湯沢市では昨年4月、基金を活用して一世帯あたり年間2万円保険料を引き下げました。岩手・陸前高田市でも基金の取り崩し等で年間1万300円引き下げを提案するなど、住民の苦難を解消する自治体本来の使命を発揮しています。
      西宮では今年基金のうち5億のみを取り崩す予定で保険料率を抑制したということですが、基金と黒字分の10億1230万円全額を保険料抑制に活用したら一世帯あたりいくら引き下げられていたか、お答えください。
      大変厳しい状況にある市民の負担を軽減する、滞納しないですむ保険料にしていくために、市民の医療を守るという観点から一般会計からの繰り入れもおこなって、保険料を引き下げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
    2. 減免制度の拡大
       保険料引き下げとともに減免制度の拡充が必要です。市ではわが党議員団の年来の要求で低所得を理由とする市独自減免が拡充され、それまで数件であったものが2001年には5560件と劇的に拡大されました。一定の評価をするものです。
      しかし、まだ充分ではありません。減免条例を拡充し、生活実態に即した国保料の免除、軽減措置を広げ、滞納世帯の発生を未然に防止することが必要です。
      具体的な拡充策として、合計所得金額が500万円以下で、前年の5割以下に減少することが見込まれた時の減免(所得激減減免)がありますが、この基準を前年比7割以下とするなどが考えられます。減免制度の拡充に踏み出すよう求めます。
    3. 一部負担金の減免
       減免ではこれもわが党の追及で、窓口で支払う一部負担金(3割分)の減免要綱が昨年4月整備されました。「生活保護基準」をもとにした基準がつくられ、国保課作成のパンフレットにも記載されていますが、活用が十分されていません。保険料の減免者への通知広報や、厚生課での対応などが必要と考えます。いかがでしょうか。
    4. 資格証、短期保険証の発行やめよ
       市では収納率の向上・確保のために、「きめ細かな納付相談や納付指導を徹底し、短期証や資格証明書の交付などを有効に活用しながら、個々の被保険者の生活実態に即した滞納者対策を進める」としています。
       資格証の発行は、「1年特別の理由なく保険料を滞納したら、医者にかかるときには全額自己負担だ、困るだろう」という滞納への制裁、脅し以外の何者でもありません。「命綱」である国保証がきちんと発行されないのはまさに命を奪うこと、言語道断です。兵庫県下88保険者中30市町、34%で資格証発行は0です。資格証を発行しない「特別の事情」は「地方自治体で判断」できます。北海道旭川市では「特別の事情」に12項目の独自基準を設けています。空前の失業と不況にあえぐ住民の状況は「特別の事情」そのものです。まして短期保険証を発行している世帯は保険料支払いに努力している世帯です。即刻資格証、短期保険証の発行中止を求めます。見解をきかせてください。
    5. 納付相談の改善を
      きめ細かな納付相談といいますが、保険料更新時は別室を設けて相談にあたっているものの、普段はまったく配慮がありません。訪れた市民はあまり人には聞かれたくないプライバシーにかかわることを、立ったままで、カウンター越しに、順番待ちをしている他の人の前で話さねばならない状況です。これはただちに改善すべきです。答弁を求めます。
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2.乳幼児医療無料制度について

 不安の多い時代に子育て中の若いお母さんにとって乳幼児医療費の無料化制度は単なる経済的な負担軽減ではありません。特に容態が急変しやすい乳幼児の病気について財布の中身を気にして受診や治療を躊躇、中断することは重大な事態を招きかねません。この制度は赤ちゃんの病気や障害の早期発見、早期治療を可能にして、子育ての安心保障制度として大きな力になっています。
 この制度はご承知のとおり、国の制度ではなく地方自治体独自の制度です。日本共産党は、新日本婦人の会など市民団体の粘り強い運動に支えられながら、国会でも地方議会でも30年来、国制度の創設や、自治体制度の拡充を求めてきました。
 現在では、全国3241市町村すべてでなんらかの形で乳幼児医療費助成が実施されています。最近は、助成の対象年齢を引き上げるなど拡充の傾向にあり、特に就学前までの無料化というのが全国の大きな流れとなっています。中には小学校、中学校卒業時までという自治体も少なくありません。
 地方自治体でさまざま課題があり、財政的にも厳しい中、取り組んでいるのですから、国の責任による乳幼児医療費無料制度の創設がつよく求められています。
 2001年6月、参議院本会議において「少子化対策推進に関する決議」が全会一致で採択されました。この決議は、結婚出産はあくまで個人の自由に属する問題であるとした上で、安心して子どもを生み育てられる社会の形成に国会と政府の責務をのべたものです。保育所待機児解消などとともに「乳幼児医療費の国庫助成等出産・育児にかかる経済的負担の軽減について重点的に取り組むべき」「積極的な予算を講ずるべき」と明記されています。子育て支援のために「乳幼児医療費無料化」の必要性と国の責務を決定したことの重みは格別です。政府はこの決議の実行に責任を負わなければならなくなったのです。
 西宮でも段階を踏みながら全国の流れに沿って、県と市の共同事業として0歳から就学前児童まで、入院については一定の所得制限があるものの無料化へと制度が拡大されてきました。通院については〇歳児のみ市の単独事業で無料、1歳以上児は月5千円の自己負担があります。1歳になってからが免疫がきれ病気が増えるだけに、この5千円の自己負担は、せっかくの医療助成制度のありがたみを半減させています。
具体的な質問をします。
 国の責任による乳幼児医療費無料制度を強く求めるべきだと考えますが、どうでしょうか。また2001年の参議院の決議をどう受けとめますか。
 国の責任による乳幼児医療費無料化制度実現までの間、市単独の就学前児童まで完全無料化を求めます。見解をお聞かせください。

 以上で壇上での質問を終わります。ご答弁によりまして自席より再質問、要望をさせていただきます。ありがとうございました。

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