1.平和非核行政について
今年12月、西宮市は平和非核都市宣言をして20周年を迎えます。非核宣言自治体協議会の調査では2000年度は88自治体が新たに宣言をし、2001年度は37、2002年度は5自治体となっています。宣言する自治体が続々と増え、2002年12月27日現在で、2654自治体で全自治体の約81パーセントとなっています。また、兵庫県下では22市中20市、町では66町中41町となっています。兵庫県下では人口の約9割の県民が非核宣言自治体に住んでいることになります。このように地方自治体は非核平和の道を確実に進んでいます。また、住民運動の面でも日本原水協の地域組織の西宮原水協が取り組んできた核兵器廃絶を訴えた「ヒロシマ・ナガサキからのアッピール」への賛同署名も今年7月、目標の西宮市人口の過半数を達成しました。
世界の非核平和運動も大きな飛躍点に達していると思います。それは2003年原水爆禁止世界大会に私も兵庫県原水協の代表として参加して強く感じたことです。今大会で5ヶ国の政府代表を含む20の国から集まった7300人が一致して被爆60周年の2005年を核兵器も戦争もない平和な世界への転機とするために国際署名運動に取り組むことを決定しました。この署名は「核保有国の政府が核兵器の使用、威嚇、開発を行なわず、ただちに核兵器廃絶の実行にふみ出すこと」を求めています。
このような世界的な非核平和の道に強引に反する姿勢をとっているのが国政で、第156国会で武力攻撃事態対処法、自衛隊法等改正、安全保障会議設置法改正いわゆる有事3法案が日本共産党と社会民主党の反対で賛成多数で可決されました。この後、さらに政府与党は自衛隊をイラクに派遣する「イラク特別措置法案」、「テロ対策特別措置法」の期限を2年延長する法案等を6月13日に提出。これらの法案を通すために40日間もの会期延長を強行しました。その結果、「イラク特措法案」が自民、公明などの与党の賛成多数で可決されました。
「有事法制は、ブッシュ米政権がイラクでおこなっているような乱暴な戦争を東アジアで起こしたときに、日本がそれに全面的に加担する体制をつくるものです」と一橋大学教授 渡辺 治さんは語っています。また、名古屋大学教授 森 英樹さんは「有事三法案は、『自衛のためなら武力行使は可能』という政府が温存してきた論理を、日本領域外で発生している『事態』に自衛隊が『協力』することで『我が国への攻撃』なるものに連動させることで、『自衛隊の海外での武力行使』を初めて合法化する法律なのです。日本を戦争当事国にするのですから文字通りの戦時法です」。と厳しく批判しています。
このように、有事法制は、米軍が引き起こす海外での先制攻撃の戦争に、自衛隊が公然たる武力行使をもって参加し、罰則つきで国民を強制動員するところに、その危険な本質があります。
具体的には有事法制は個人や団体の自由や権利、財産に制限が加えられるうえに、市長にとっても次のような矛盾を抱えています。(1)市民の平和な生活を著しく損ない市民の平和や生活を守る市長の立場との矛盾、(2)国家安全保障会議の責任者の内閣総理大臣が自治体の長である市長の頭を超えて指図できることになっている問題、すなわち、地方自治を否定する矛盾、(3)市が所有、管理する用地、施設等の協力義務が付されているが、市のこれらの協力は「平和非核都市宣言」に反することの矛盾。このような点からも2002年6月議会、西村議員の質問に対して市長は答弁で「同法案は、市民生活にも重大な影響を及ぼしかねない内容を含んでおりますが」とし、「市民の生活、財産を守ることは自治体の責務であ」ると認めています。
- そこで質問します。有事法制が成立したが、「平和非核都市宣言」市の市長として、市民の平和な暮らしや地方自治を守り、市の用地、施設等を戦争のために使わない、このような立場にしっかりと立つべきと考えるが市長はどうか。
- 2点目の質問です。有事法制によって地方自治体が平和非核都市としての存続が危ぶまれています。全国でも、単に宣言にだけに済ませるのではなく東京都中野区やなど約20の自治体で条例を制定しています。宣言文にある「平和を愛する社会をはぐくみ、築くことを誓」っているわけですから、西宮市が所有、管理するすべての施設、用地を宣言の趣旨に反する目的に使用したり、させたりしてはならはずです。平和非核都市宣言の効力を強める意味でも条例化が必要ではないでしょうか。
そこで、平和非核条例を議会に提案してはどうか。
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