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定例議会

2003年9月議会

上田さちこ議員の一般質問

1.すべての障害児に能力発達と地域交流の保障を
2.巡回バス(コミュニティバス)の導入について


1.すべての障害児に能力発達と地域交流の保障を

 春の一斉地方選挙の後、私はわかば園に4歳児を通園させておられるお母さんから相談の電話を受けました。内容は昨年、通園中のわかば園から「子どもさんには地域の幼稚園で、健常児とふれあい交流を」とお話があり、お母さんもかねてから地域での交流をと思っておられ、公立幼稚園の2年保育の願書を提出。教育委員会からは「くじ引きもしてください」と指導。しかしその後、適正就学指導委員会が「この子どもさんは、公立幼稚園よりわかば園通所が望ましい」と最終的結論を出したということでした。特に教育委員会は抽選まで受けさせておいて、結局受け入れしなかったことは納得がいかないといっておられました。

 この話を聞いていて、障害をもって生まれたわが子が、少しでも地域の子どもたちと触れ合える機会求めたお母さんの気持ちが、結果的にはわかば園を所管する健康福祉局と教育委員会の、両者の障害児を捕らえる基準や視点の違いで「振り回されてしまったな」と私は思いました。

 少なくとも、両者(健康福祉局と教育委員会)がここに至るまでに該当する子どもさんについて、共同で状況把握と今後の方針について観察・協議をし、子どもさんの発達保障と地域での交流促進について、最善の方向を共通の立場でお母さんに伝え、理解を得る努力をすべきだったと思います。

 ちょうどその頃、文部科学省が「21世紀の特殊教育のあり方に関する調査研究協力者会議」を設置・検討して、今年の3月に「今後の特別支援教育のあり方について(最終報告)」を取りまとめていたことを知りました。この背景には、年々、重度・重複障害のある児童生徒が増加するとともに、学習障害児・LD、注意欠陥多動性症候群・ADHD、高機能自閉症児など、これまで特殊教育の対象とされてこなかった、特別な教育的配慮を要する子どもたちも増加の一途であることなど現状分析がなされています。最終報告はこれらの現状をふまえ、今後について (1)障害の種別と程度に応じて設置されていた盲学校、聾学校、養護学校などがこの種別の枠を取り払い、特別支援学校として地域における教育的支援のセンター的役割を担っていくこと。(2)地域の通常学校にある、障害児学級(なかよし学級やのびのび学級などという名称になっている)がなくなり、障害のあるなしにかかわらず、すべての子どもたちは、通常学級に在籍する。(3)これまでの障害児学級に代わり、新たに位置付けられる「特別支援教室」には、障害をもった子どもとあわせて、全国平均で6%、1校に20名程度といわれる、LD、ADHD等の子どもたちも通ってくることになる。などあげられていました。

 今回の最終報告は、学習障害のLDなどの子どもたちに焦点をあて、支援をしていこうとすることや、地域の中で障害のある子ども一人一人に、生涯にわたる支援計画を作成して向き合おうとすることなど、大事な観点があります。しかし問題点は、必要な財政保障もマンパワー等の裏付けなしに進めようとしていることです。学級定数は40人のままで、新たな人的加配もないまま、さらに、エレベーターやなど学校のハード部分の改善をしないままでは、いくら地域の中で、一人一人の教育ニーズに応じた発達保障をといってみても、現場では困惑と混乱が避けられないのではないでしょうか。障害児教育にあたってこられた先生からも、「これまで培ってきた障害児教育の成果を発展させるためにも、何よりマンパワーの拡充は不可欠」との声があがっているところです。
 いずれにしても、いま障害児教育が大きく変わろうとしていること。こんな中で、西宮ではなにがどう変わろうとしているのか、具体的に質問いたします。 

    1. 文科省の最終報告にもとづくと、障害の種別を越えてすべての重度・重複障害をもった子どもたちも地域の学校の通常学級に在籍することになりますが、エレベーターの設置などハード面で支障はないのか。また、LD児など学習障害の子どもたちが特別支援教室に通うことになりますが、養護学校も含めて、教師・マンパワーの配置基準はどうなるのか。
    2. 西宮市では来年度公立幼稚園で、これまでの拠点園から全園で障害児の受け入れを実施すると聞いています。障害の種別や程度で線を引くことなく、地域での交流をひろげる点でいい機会です。受け入れ人数や教諭の態勢等どうなるのか。
    3. 先ほど紹介した子どもさんの事例では、西宮市教育委員会と健康福祉局が協議して対応していれば、いわゆる「保護者が振り回される」ことにはならなかったのではないかと思われます。この点についての見解はどうか。また今後についての考え方をお聞かせください。
    4. 今回の質問にあたり、肢体不自由児通所施設のわかば園を見学し、お話を伺いました。昭和42年に建設され雨漏りもするなど老朽化が進み、エレベーターもない使い勝手の悪い施設ですが、職員のみなさんは、懸命に障害児の保育や訓練を行なっておられます。いま、肢体不自由児だけでなく自閉症など精神発達障害の子どもさんも多数受け入れておられるとのことでした。
      1. 施設の更新は、平成21年度以降と聞いています。本当にそれでいいのでしょうか。一日も早く新増築を行なうため、計画を前倒しにすべきだと思いますがどうか。
      2. 当面の問題として、早急に精神発達障害の幼児を受け入れる施設と専門医師の配置が必要だと思うがどうか。
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2.巡回バス(コミュニティバス)の導入について

 昨年の12月議会の一般質問で、私は「西宮浜にコミュニティバスを」と質問しました。
阪神淡路大震災を機に、西宮大橋の先に建設された災害公営住宅に居住する多くの高齢者が、西宮浜だけでは不十分なため、市街地に買い物や通院で出かけるのに、唯一の交通手段である往復420円ものバス代が負担になっていること。ターミナルだけでなく買い物施設や病院、図書館など公共施設を巡回する100円でも乗れるバス導入を要望をしたものです。(アンケート調査結果)

 さて私は去る7月下旬、昨年1月から大阪市交通局が実施している「地域密着型循環バス{赤バス}」に地域の方々と体験乗車してきました。西九条を起点とする此花ループと、野田阪神を起点とする福島ループです。車両は、ちょうど西宮市消防局の救急車と同じような形・大きさで、小回りのきく小型ノンステップバス。座席は15、定員は27ということでした。乗り合わせた方に話を聞くと、「100円だから気軽に乗れる」「外出の機会が増えた」など歓迎する声。お年よりはもちろん、子どもを抱いた若いお母さん、お父さんと一緒近くのプールに向かう子どもたちなど、和気あいあいの雰囲気が車内に流れているのが特徴で、料金は高齢者は無料パス、他の方は100円玉ひとつでOK。さらに他の市交通の乗り継ぎには、「乗り継ぎ割り引き」制度があるなど至れり尽せりでした。年に1回、バス乗車券を購入する際の5000円分の割引証発行でよしとする西宮市とは考え方の根本が違うと思ったものです。
あらためて私は、私鉄も含め、公共交通機関が充実している大阪市でなぜ100円で乗れる巡回バスを導入したのかと電話で問い合わせをしました。

 現在、すべての行政区に70台の赤バスが、通勤時間帯をはずし午前9時から午後7時まで、行政区内を1時間に2回から4回運行、初期投資は車両購入費で、1台平均額1800万円。今後は、採算性の確保が困難なものの、地域にとっては不可欠な輸送サービスであることから、行政が主体となって運営できるよう関係各局と協議調整していると、社会教育や福祉などの観点から積極面の大きいことがわかりました。
 いま、北部地域や段上地域などからも要求の内容に差異はあれ、バス路線の充実を求める声が広がってきているのではないでしょうか。単に、地理的条件からだけではなく、毎日の生活で移動する手段として、地域を走るバスに注目が集まっているのです。高齢化社会をいかに充実させ、元気に過ごしていただくように支援していくかが求められる時代、社会参加をバックアップする地域巡回バス、市民のみなさんが気軽に利用できるバスは、西宮にもぜひ必要です。

    1. 阪神間のコミュニティバスの実施状況はどうか。
    2. 100円で乗れる大阪市の赤バスについて、市として、実施に至る経過や利用状況等調査したことはあるか。なければ調査すべきと思うがどうか。
    3. 西宮でも、西宮浜などモデル地区を設定し、コミュニティバス導入にむけて検討すべきです。その際、バス購入の一定の初期投資は必要ですが、一番ネックになる人件費については、定年を迎えたドライバー経験者など、まだまだ元気な方の力を活用することも方法です。経費をかけずに、知恵と工夫で多くの市民から喜ばれる施策を実現させていくことが求められる時代。要するにトップの「やる気」次第です。明快な答弁を求めます。
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