1. 震災問題について
前回私が震災問題を取り上げたのは昨年(2002年)9月議会でした。
1998年に成立した被災者生活再建支援法が、附帯決議により5年後に内容を見直すこととなっており、その見直しにむけて市長に対して被災地の声を代弁し、金額の増額や対象者の拡大を国に求めるようただしました。
その後1年余りの期間に情勢の大きな変化が生まれています。
今年8月、地震などの自然災害で全半壊した住宅に対する再建支援制度を創設することが、内閣府の来年度予算の概算要求に盛り込まれました。個人の住宅再建に国が直接支援策を打ち出したのは初めてです。被災地を中心に全国に広がった「住宅再建に公的支援を」の世論と運動が政府を動かしたものです。
9月12日付けの神戸新聞は『「個人財産の補償はできない」と、かたくなに公費投入を拒んできた国が、大きく舵(かじ)を切った。』と書き、最後に『住まいの復興が、今なお課題として残る阪神・淡路の被災地。その重い体験から未来に何を手渡すかが、問われている。』としめています。
内閣府が概算要求で示した内容は
全壊した自宅を再建する場合:最大200万円
大規模に被災した自宅を補修する場合:最大100万円
居住する賃貸住宅が全壊し、自ら居住先を確保する場合:最大50万円
というもので、今後、予算編成の過程で具体化し、来年度の通常国会に被災者再建支援方改正案を提出するとのことです。
私は10月6日、わが党の大沢たつみ参議院議員とともに内閣府へおもむき、直接担当官に、被災者生活再建支援法の見直しにあたって生活、住宅再建をそれぞれ上限500万円に引き上げる事などを交渉してきました。そのとき、担当官は財務省の受け止めはたいへん厳しく、ゼロ回答であり、予算を実現するためにも被災地でもっと盛り上げて欲しいということを強調されていました。
さて、この1月17日を迎えると阪神淡路大震災から丸9年になります。来年度はいよいよ節目となる10年の年となります。
日本共産党は、一貫して被災者の生活再建の土台は、個人補償であると、その実現に力を尽くしてきました。震災直後、政府は「個人財産に公費は投入できない」として、住宅再建支援をかたくなに拒否し続けてきました。当時の馬場市長も「個人補償はできない」としてきました。このような中、市民の皆さんと力を合わせて被災者生活再建支援法を実現し、阪神淡路大震災の被災者への公的支援も実現してきました。
しかし、9年をむかえようとしている被災地の状況は、支援策の打ち切りや被災自治体の財政難を理由にした福祉サービスの切り下げなど、逆に困難が増していると言わなければなりません。
災害援護貸付金も少額返済も多く、それさえ返済が大変な状況も生まれています。また、住宅再建による2重、3重ローンは大変な重荷になっています。
震災10周年は、まさに生活再建の正念場を迎えるといえるのではないでしょうか。
- 震災から9年をむかえようとしている被災地と被災市民のおかれている現状をどう認識しているのか、また問題点はなにか。まず、お聞きしておきたいと思います。
- 昨年2002年9月議会で、私の質問に対して、山田市長は「被災者生活再建支援法は、成立後5年をめどに見直すこととされておりますので、国の動向を注視しながら、兵庫県や神戸市、また近隣被災市とも連携をいたしまして、必要に応じた要望を行ってまいりたいと考えております。」と答弁されています。具体的に市長としてどのような要望をしてきたのか。
- 政府ははじめて来年度予算の概算要求で住宅再建支援制度の創設を盛り込み、住宅再建へ国による支援に足を踏み出したわけですが、市長としてこのことをどう評価しているのか。また、一昨日、「国の動向を注視する」との被災地の市長とは思えない答弁をされていますが、私は被災地の市長としてその実現と阪神淡路大震災被災者への適用、支援額の増額などを働きかけるべきだと考えますが、市長の決意をお聞きしたい。
- 一昨日の答弁では震災10周年の節目として記念行事と記念誌の発行等を検討しているとのことですが、重要な事は市民の生活再建をいかにはかるのかではないでしょうか。被災地の責任として10年間を振り返るとともに、残された問題だけではなく新たな問題などをふくめて現状をあきらかにし、その対策を示すことだと思います。いかがでしょうか。
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