1. 「三位一体の改革」を反映した2004年度予算
日本共産党西宮市会議員団を代表して西宮市行政方針と教育委員会行政方針について、代表質問を行ないます。傍聴の皆さんご苦労様です。
昨年の3月議会では冒頭に全会一致で「イラク問題の平和的解決を求める意見書」が採択されました。その3月議会中の3月20日午前11時40分(日本時間)アメリカはついにイラクを攻撃してイラク戦争を開始しました。この戦争は国連決議にも反し、先制攻撃を禁止した国連憲章にも反するものです。イラクが大量破壊兵器を持っているとの戦争の口実はまったくでたらめであったことも明らかになりました。アメリカやイギリスでは大統領や首相の責任を厳しく追及する動きも出ています。このように恥ずべきイラク戦争ですが、最初からこの戦争を支持してきたのが小泉内閣であり、与党の自民、公明党です。そしてこれら与党は憲法を踏みにじって自衛隊をイラクへ派兵しました。小泉首相は復興支援だとしています。しかし世界の中からイラク戦争を見ると、62億の地球人口のうち、その国の政府がアメリカのイラク戦争を支持している国の総人口が12億人、反対・不支持の国の人口が51億人となっています。また、日本を含めイラクに軍隊を派兵している国は38カ国で、国連加盟国191カ国のわずか五分の一です。非同盟、アラブ・イスラムの国々の圧倒的多数は派兵を拒否しています。また国連の安全保障理事会の15カ国のうち軍隊を派兵しているのは5カ国だけ。フランス、ロシア、中国、ドイツをはじめ、派兵拒否が国際社会の多数派となっています。
このように小泉内閣は平和を破壊し、「三位一体の改革」で地方自治も破壊しようとしています。その「三位一体の改革」の影響を大きく受けた予算が今議会に提案されています。
西宮市の新年度予算案は総額2934億7052万円、うち一般会計は1682億5072万円で、前年と比べて117億5704万円7.5%の増となっています。このうち借換え債138億6000万円が重複して計上されているので、これを整理すると実質の一般会計は1543億8976万円で1.4%の伸びで、ほぼ前年並みの予算額となっています。
新年度の予算編成にあたっては、小泉内閣の「三位一体の改革」によって国庫補助負担金や、地方交付税、臨時財政対策債が大幅に減らされて、予算が組めない地方自治体が続出、悲鳴を上げていることが大きな特徴です。新聞の見出しをあげて見ると、1月25日付け神戸新聞は「三位一体改革 交付税12%減 予算編成直撃『痛み』に地方悲鳴」、28日付け日経は「自治体、厳しい予算編成」。2月7日付読売新聞は「交付税削減受けた予算編成 地方悲鳴」、12日付朝日新聞は「仕送りパッタリ地方バッタリ」「自治体『予算組めぬ』」と報道しています。
もちろん西宮市も例外ではありません。地方交付税は88億5000万円で前年度9億7400万円9.9%の減となっています。交付税削減の代替措置である臨時財政対策債も49億6200万円で17億3400万円25.9%の大幅減となっています。また国庫支出金のうち保育所運営費は4億8500万円で5億937万円51.1%減、連動して県支出金の保育所運営費も同率の2億5468万円減って2億4290万円となっています。一方これら削減に対する税源委譲である所得譲与税7億3300万円しかありません。財源不足を補うものとして財政基金13億7737万円,減債基金21億272万円、土地開発基金47億3550万円合計82億1559万円を取り崩す予算となっています。
日本共産党は、住民サービスを守るために必要な国庫補助負担金の廃止や削減には反対です。やめるべきは「ひもつき補助金」の中心になっているムダな公共事業への補助金です。これをやめて、自治体がみずからの基準と裁量で事業がすすめられる「総合補助金制度」を導入することを国会では提案しています。
また、税源を移譲されても農村部などでは財源が不足する自治体も出てきます。そのため、地方交付税の「財源保障・調整」の仕組みを充実させて、自治体の財源を保障していくことを主張しています。
さて、この予算案の特徴のもう一つは、自・公連立政権の悪政、失政による長引く不況の影響が相変わらず出ていることです。そのことを端的にあらわす市税収入は773億16万円で6億4045万円0.8%減となっています。そのなかで市民税は343億9327万円で前年度より8億113万円2.3%の減となっています。法人市民税は33億5479万円ほとんど前年度なみなのに対して個人市民税は310億3848万円で8億269万円2.5%の減となっています。固定資産税は316億5728万円、ほぼ横ばいです。
歳出面では、生活保護などの扶助費が20億3066万円、9.7%増、230億655万円となっています。
そこで質問です。
- 小泉内閣が2004年度予算の財務省原案を決め各省庁に内示したの12月20日であったが、なかでも「三位一体の改革」によって公立保育所の国負担金である保育所運営費や地方交付税、臨時財政対策債などが削減されるという中身であったが、このような市の予算案が固まった時期に27億円もの国からの財源が削られることになったが、西宮市の新年度の予算編成にあったってどのような影響があったのか。
- 保育所運営費が5億937万円削減されているが、このような削減は国民の権利に対する国の責任の後退・放棄につながるのではないか市長の見解を問う。
- 「三位一体の改革」がこのまま行なわれれば西宮市への今後の財政面での影響は大変大きく「西宮市財政の現状〜西宮市の財政を考える(V-1)〜」によれば2008年度に財源不足累計額が272億円が321億円になるとしています。この数字自体に何の根拠もないわけですが、地方交付税の削減は大いに考えられます。そこでこのような財政難に自治体を追い込む「三位一体の改革」は改めるよう国に働きかけるべきではないか。
- 全国市議会議長会は2003年11月8日「地方交付税の安定的確保について」と題して政府に要望をしているが、そのなかで「地方交付税は地方行財政の円滑な運営を保障するための財源保障機能及び地方団体間の財政力格差を是正する財源調整機能を有し、地方税と並んで極めて重要な一般財源である」としているがこの規定について市長はどのように考えるか。
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