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定例議会

2004年3月議会

たてがき初男議員の代表質問

1.「三位一体の改革」を反映した2004年度予算
2.行政経営改革計画
3.民間開発とまちづくり
4.水需要とダム問題
5.子どもを取り巻く道義的危機
6.30人学級


1. 「三位一体の改革」を反映した2004年度予算

 日本共産党西宮市会議員団を代表して西宮市行政方針と教育委員会行政方針について、代表質問を行ないます。傍聴の皆さんご苦労様です。
 
  昨年の3月議会では冒頭に全会一致で「イラク問題の平和的解決を求める意見書」が採択されました。その3月議会中の3月20日午前11時40分(日本時間)アメリカはついにイラクを攻撃してイラク戦争を開始しました。この戦争は国連決議にも反し、先制攻撃を禁止した国連憲章にも反するものです。イラクが大量破壊兵器を持っているとの戦争の口実はまったくでたらめであったことも明らかになりました。アメリカやイギリスでは大統領や首相の責任を厳しく追及する動きも出ています。このように恥ずべきイラク戦争ですが、最初からこの戦争を支持してきたのが小泉内閣であり、与党の自民、公明党です。そしてこれら与党は憲法を踏みにじって自衛隊をイラクへ派兵しました。小泉首相は復興支援だとしています。しかし世界の中からイラク戦争を見ると、62億の地球人口のうち、その国の政府がアメリカのイラク戦争を支持している国の総人口が12億人、反対・不支持の国の人口が51億人となっています。また、日本を含めイラクに軍隊を派兵している国は38カ国で、国連加盟国191カ国のわずか五分の一です。非同盟、アラブ・イスラムの国々の圧倒的多数は派兵を拒否しています。また国連の安全保障理事会の15カ国のうち軍隊を派兵しているのは5カ国だけ。フランス、ロシア、中国、ドイツをはじめ、派兵拒否が国際社会の多数派となっています。
 このように小泉内閣は平和を破壊し、「三位一体の改革」で地方自治も破壊しようとしています。その「三位一体の改革」の影響を大きく受けた予算が今議会に提案されています。
  西宮市の新年度予算案は総額2934億7052万円、うち一般会計は1682億5072万円で、前年と比べて117億5704万円7.5%の増となっています。このうち借換え債138億6000万円が重複して計上されているので、これを整理すると実質の一般会計は1543億8976万円で1.4%の伸びで、ほぼ前年並みの予算額となっています。
  新年度の予算編成にあたっては、小泉内閣の「三位一体の改革」によって国庫補助負担金や、地方交付税、臨時財政対策債が大幅に減らされて、予算が組めない地方自治体が続出、悲鳴を上げていることが大きな特徴です。新聞の見出しをあげて見ると、1月25日付け神戸新聞は「三位一体改革 交付税12%減 予算編成直撃『痛み』に地方悲鳴」、28日付け日経は「自治体、厳しい予算編成」。2月7日付読売新聞は「交付税削減受けた予算編成 地方悲鳴」、12日付朝日新聞は「仕送りパッタリ地方バッタリ」「自治体『予算組めぬ』」と報道しています。
  もちろん西宮市も例外ではありません。地方交付税は88億5000万円で前年度9億7400万円9.9%の減となっています。交付税削減の代替措置である臨時財政対策債も49億6200万円で17億3400万円25.9%の大幅減となっています。また国庫支出金のうち保育所運営費は4億8500万円で5億937万円51.1%減、連動して県支出金の保育所運営費も同率の2億5468万円減って2億4290万円となっています。一方これら削減に対する税源委譲である所得譲与税7億3300万円しかありません。財源不足を補うものとして財政基金13億7737万円,減債基金21億272万円、土地開発基金47億3550万円合計82億1559万円を取り崩す予算となっています。 
 日本共産党は、住民サービスを守るために必要な国庫補助負担金の廃止や削減には反対です。やめるべきは「ひもつき補助金」の中心になっているムダな公共事業への補助金です。これをやめて、自治体がみずからの基準と裁量で事業がすすめられる「総合補助金制度」を導入することを国会では提案しています。
  また、税源を移譲されても農村部などでは財源が不足する自治体も出てきます。そのため、地方交付税の「財源保障・調整」の仕組みを充実させて、自治体の財源を保障していくことを主張しています。
 さて、この予算案の特徴のもう一つは、自・公連立政権の悪政、失政による長引く不況の影響が相変わらず出ていることです。そのことを端的にあらわす市税収入は773億16万円で6億4045万円0.8%減となっています。そのなかで市民税は343億9327万円で前年度より8億113万円2.3%の減となっています。法人市民税は33億5479万円ほとんど前年度なみなのに対して個人市民税は310億3848万円で8億269万円2.5%の減となっています。固定資産税は316億5728万円、ほぼ横ばいです。
 歳出面では、生活保護などの扶助費が20億3066万円、9.7%増、230億655万円となっています。
  そこで質問です。

  1. 小泉内閣が2004年度予算の財務省原案を決め各省庁に内示したの12月20日であったが、なかでも「三位一体の改革」によって公立保育所の国負担金である保育所運営費や地方交付税、臨時財政対策債などが削減されるという中身であったが、このような市の予算案が固まった時期に27億円もの国からの財源が削られることになったが、西宮市の新年度の予算編成にあったってどのような影響があったのか。
  2. 保育所運営費が5億937万円削減されているが、このような削減は国民の権利に対する国の責任の後退・放棄につながるのではないか市長の見解を問う。
  3. 「三位一体の改革」がこのまま行なわれれば西宮市への今後の財政面での影響は大変大きく「西宮市財政の現状〜西宮市の財政を考える(V-1)〜」によれば2008年度に財源不足累計額が272億円が321億円になるとしています。この数字自体に何の根拠もないわけですが、地方交付税の削減は大いに考えられます。そこでこのような財政難に自治体を追い込む「三位一体の改革」は改めるよう国に働きかけるべきではないか。
  4. 全国市議会議長会は2003年11月8日「地方交付税の安定的確保について」と題して政府に要望をしているが、そのなかで「地方交付税は地方行財政の円滑な運営を保障するための財源保障機能及び地方団体間の財政力格差を是正する財源調整機能を有し、地方税と並んで極めて重要な一般財源である」としているがこの規定について市長はどのように考えるか。
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2.行政経営改革計画

 市長は行政方針で新年度の中心施策の1つとして「行政経営改革の推進」をあげ、「社会経済環境の急激な変化や市民ニーズの多様化に的確に対応し、分権時代にふさわしい行政を確立するためには、行政を経営するという新たな視点に立ち、企業における経営理念、手法などを可能な限り行政部門に導入し、その効率化や活性化を図る」としています。また新年の仕事始め式で次ぎのように職員に訓示で「企業における経営理念、手法、成功事例などを可能な限り行政部門に導入」と述べています。市長は企業理念とか経営という言葉を使いさえすれば、時代の潮流に乗っているとでも思っているようです。
 私は西宮市のような地方自治体と企業とは次の点で根本的に違いがあると思います。それは企業の最高目的は企業の利潤であり、どんなよい製品を作っても、最高のサービスを提供しても企業に利潤がなければ企業の存在意味はありません。それどころか存在すらできません。一方、地方自治体は利潤が最高目的ではありません。住民の福祉の向上、命や健康を守ることが目的です。住民の福祉向上のためには利潤が出なくてもやらなければならない事業がたくさんあります。二つ目の大きな違いは、企業は製品にしろ、サービスにしろすべて商品として販売しお金に変えなくてはなりません。商品を売らなければ企業が成り立ちません。そこから競争が発生し、よりよい商品が開発され、値段も下がるという面があり、副産物として福祉の向上につながることはあるでしょうが。その主たる目的は顧客=消費者の福祉の向上ではありません。利潤の保障として商品が翌売れることが目的です。そして企業が提供する商品やサービスは消費者の収入にはまったく関係なしに価格が決められます。いわゆる松竹梅です。お金のある人は高価な商品や満足度の高いサービスが受けられるでしょう。いっぽうお金のない人は価格を優先させるため、質の悪い商品しか購入できない、不充分なサービスで我慢をせざるを得ないという結果を生みます。力のあるもの、お金のあるものが高品質の商品、満足度の高いサービスを受けられる。それは資本主義社会では当然のことです。しかし、資本主義の発展のなかから弱肉強食社会を見直すという動きが出てきて社会福祉が普及してきたのではないでしょうか。そしてその分野を最も担ってきたのが国や地方自治体です。ここには原則として資本主義の大原則である商品を売るという観点はありません。それは税金を取っていることからも、しかもその税は一律ではなく応能負担になっています。お金のあるなしに必要なサービスが受けられる。安心して生活ができる。これが地方自治体ではないでしょうか。
 市長は企業からさまざまなことを学び導入するとしていますが、今の日本の企業の実態はどうでしょうか。まじめにしっかりとやっている企業ももちろんたくさんありますが、今日の企業の特徴として株式上場であろうがなかろうがモラルハザードといわれ、儲けのためには何でもする、生き残るためには何でもするという実態です。鳥インフルエンザが今大問題になっていますが、浅田農産、や半年も前の卵を出荷するとか、外国産牛肉を国産と偽って販売する等々の危険が最近ありました。これら以外にも頭に浮かぶものだけでも雪印牛乳、日本ハム、ダスキン、三菱自動車、武富士、西武鉄道、カメラのドイ等々の違法行為、違法ではないが日産の大量解雇問題、トヨタの下請け泣かせ。違法な首切り・リストラ、地域経済に大きな打撃を与えようとも一方的に工場閉鎖や、スーパー撤退、社会問題になっている長時間労働、サービス残業、さらには自民党の国会議員と家癒着した大規模な違法揉み消し、利権獲得事件等々、大企業がその社会的責任の重大さをかえりみず、利益の前には法律も道理もあったものではない、儲かりさえすれば何をしてもよいという誤った風潮まで生み出しています。
 また市長は職員向けの年頭の訓示のなかで「都市経営の視点と手法で施策を実現すべき」として民間委託、民営化を揚げています。「企業の目指すところは、最大の利益を生むことであります」と市長も認めているところですが、逆にいえば儲からない事業は民間委託や民営化はできない、それでもやるとしたら利潤が出るまで企業が労働条件を切り下げるか、事業の質を落とすしかありません。民営化、民間委託はこのような自己矛盾に満ち満ちています。
   そこで質問

  1. 「企業における経営理念、手法など可能な限り行政部門に導入し」としているが企業と地方自治体の目的や仕組みは根本的に違うが「企業の理念や手法」とは具体的に何を言うのか明らかにしてください。
  2. 市民満足度の高い行政運営とか高福祉とは何をさすのか、お金を出せばどのような福祉でも行政サービスでも受けられるということか。
  3. 企業は利潤追求が第一議的課題で、不採算部門は切り捨てるのは当たり前だ。市長の言う「行政経営改革」では、不採算のもとに福祉サービスや弱者救済施策が切り捨てられるのではないか。答弁を求めます。さらに、効率化の名のもとに民間委託や外部委託などを導入すれば、公的責任が果たせなくなるが、その点をどのように考えるのか。
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3. 民間開発とまちづくり

 西宮市の人口は「にしのみや統計だより」によれば2004年2月1日現在の推計で45万7042人となっています。この人口の伸びは西宮市が秩序を持って政策的に誘導したものではなく、震災復興と称して従来の開発規制を緩和した結果、地価の下落と低金利政策もあって安いマンション供給の結果です。そして市長は人口が増えた増えたといって無邪気に喜んでいました。行政をつかさどる最高責任者としてあまりにもナイーブなことではありませんか。そのつけはもとからから住んでいる市民や、新しく引っ越してきた市民にまわってきます。すなわち文教住宅都市を標榜している西宮市が、それにふさわしい人口、それに見合った学校、幼稚園、保育所、老人ホームなども整備できていなくてはなりません。しかし現実は保育所は足りない、希望する幼稚園には入れない、子どもの数が増えつづづけ増築を繰り返し校庭はがすっかり狭くなってしまった学校。学童保育所もいっぱいです。ところが一方では二次募集する幼稚園も出てくるなど市の開発や人口問題はすべて成り行き任せ。政策的にコントロールしようという姿勢がまったくみうけられません。これはあまりにも無責任ではないでしょうか。
  西宮市の人口急増の原因はマンション開発規制を大幅に緩和したことです。そして震災で壊れた酒蔵の跡地や、リストラで撤退した工場の跡地等々に大きなマンションが建設されました。また、甲子園競輪場跡地には計画変更を求める地元住民のを声無視して長谷工コーポレーションが戸数533戸14階建て共同住宅と205区画の宅地造成、総戸数738戸の開発さらに商業施設も予定されていますが工事が始まっています。このほかに今後予想される大規模な開発に阪急西宮スタジアム等跡地、JR社宅跡地等があります。
 民間のマンション急増によって学校などの不足が深刻になっている東京都江東区に日本共産党議員団で視察に行ってきました。江東区では巨大マンション開発で小学校が足りなくなり、既存の小学校の受け入れ限度を超えるマンション開発は計画の変更か延期を求めるということを行なっています。これに反する業者は名前を公表し、マンション販売時には重要説明事項として地域の小学校に必ず入れるというものではないという項目を揚げなかればなりません。その上に開発協力金も徴収しています。この先進例は西宮市にも大いに参考になると感じました。
 ところで、開発問題や人口問題を考えるときその基礎となるのは都市計画ですが最近とみにその都市計画やまちづくりに長期的なビジョンがなく行き当たりバッタリの上にご都合主義という面がはっきり現れてきました。その一つ目が甲子園競輪場跡地の巨大マンション開発問題です。競輪事業は政策的に廃止したものですが、その競輪場跡地に民間の巨大開発が強行されています。西宮市でおこなわれていた競輪は民間の施設を借り上げておこなうという全国的にはまれな方法で実施されてきました。この跡地の開発面積は6万8158平方メートル。高さ43.3メートル。マンションの長さは200メートルにもなるということです。このマンション開発については地元近隣住民が建設差し止めを求める仮処分を神戸地裁尼崎支部に申し立ています。近隣住民が問題にしていることの1つに西宮市の都市計画のあり方です。この競輪場跡地の周辺は高さが15メートルに1998年の見直しで変更しています。しかし競輪場は高さ規制をしていません。この点についてはわが党の杉山議員が2003年6月議会で追及しています。
 二つ目は芸文センターのある阪急西宮北口駅南西部のいわゆる芸文街区の問題です。当初から中央公民館やウエーブが入るプレラビルがありそのとなりに芸文センターが建設されるのがわかっておきながら、パチンコ店などを規制しなかったことです。さらに市長の行政方針に突然出てきたのが「六湛寺町において市民が憩えるシビックゾーンを形成するための広場」。この広場はマスタープランにももちろん載っていません。この広場は市民会館の南側で、私達が聞いているのは理ここにマンション開発の話があり、市役所の横にマンションが建っては困るという理由からこの土地の購入に踏みきったということです。財政難だといって福祉を切り捨てる、公共料金を値上げする、民間委託や民営化を進めておきながらマンションはいややとして約10億円近い土地を買う。ところが、住民が裁判までして計画変更をもともめている甲子園競輪場跡地ではどんな高いマンション出も建てて下さいとして、高度規制の見直しもしない。こんな勝手な、無秩序なまちづくりがあるでしょうか。自分のところは豊富な資金と、権力を使ってよい環境をつくろうとするが、住民の住環境は大手マンション業者の餌食にするようなやり方ではありませんか。

  1. 市長は西宮市をどのようなまち、まちなみにしようと考えているのか、また住民に最低限保障しなければならない学校、幼稚園、保育所などの都市基盤と人口の関係をどのように捉えているのか。
  2. 西宮市の都市計画はあまりにも行き当たりバッタリご都合主義ではないか。第3次総合計画にもない六湛寺南公園(広場)の用地買収を予算計上しているがその根拠はなにか。財源や後年度の財政負担はどうなるのか。
  3. これ以上のマンションはもう要らないが市民の声と考えるが、東京都江東区でやっている学校など公共施設が不足する場合には計画の変更を求めることができる条例を制定してはどうか。
  4. 大規模開発には地震以前まで徴収していた開発協力金を徴収するべきだがどうか。
  5. 甲子園競輪場跡地の長谷工マンション開発に対して地元住民が住環境を守るため裁判にまで訴えて計画変更を迫っているが、このことについて市長はどのように考えるか。
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4. 子どもを取り巻く道義的危機題

 この問題は昨年の代表質問、9月の水道決算に関する議案質疑で取り上げ、今回が3回目となります。かつて水需要を過大に見積もり、それを根拠に必要としてきたダム建設の流れがこの1年間で大きく変わってきたといえると思います。
 国土交通省は「産業の発展や都市人口の増加に伴い広域的な用水対策を実施する必要のある7つの水系(利根川、荒川、豊川、木曽川、淀川、吉野川、筑後川)を水資源開発促進法に基づき水資源開発水系に指定し、水資源開発基本計画(フルプラン)を策定して総合的な水資源の開発と利用の合理化を進め」るとしています。これはフルプランの上位計画である、2010年から2015年を概ねの目標年度とした「新しい全国総合水資源計画(ウォータープラン21)」に基づくものとなっています。西宮市水道局の担当にこの調査があったかと聞くとないという返事でした。新聞報道によれば、国土交通省は今年1月10に「少子高齢化の進展や景気の低迷を背景に水需要が伸び悩んでいることや、国や地方自治体の財政難に配慮して新規のダムを計画・建設を盛り込まないとしています。現在でも水余り現象が起きているのにさらに水が余るとの判断からだといわれています。
  また、朝日新聞のウエッブサイトには2004年02月27日付け記事で「安威川ダム『利水機能見直しを』 大阪府、計画変更着手へ」との見出で「大阪府が利水と治水を目的に同府茨木市で計画している安威川ダムについて、有識者でつくる府建設事業評価委員会は26日、『需要からみて必要性が十分確認できない』として、利水機能の見直しを求める答申を府に提出した」とあります。
  昨年の代表質問でも、また2003年度水道会計決算審査でも水需要の見直しでダム建設は必要ないとの質問を行なってきましたが、時間がたつにつれて過大に見積もった水需要予測が破綻し、ダム建設の必要性のないことも明らかになってきました。

  1. 西宮市水道局が1992年度の水道水利用状況から算出した西宮市南部地域の1日最大配水量を25万4100立方メートルとしているが,昨年11月に出した財政計画では2006年度までの1日最大配水量は18万5948立方メートルとなっている。これらから25万4100立方メートルは破綻していると思うが水道局はこの数字をどうとらえいつ計画変更をするのか。その際は当然下方修正となると思うがどうか。
  2. 水あまり現象は国交省も認めている。また大阪市は余っている工業用水を阪水と西宮市に転用する方針を決めたとの報道もあるが、自治体間での余剰水の融通についてはその後具体的にどのように進んでいるか。
  3. 昨年1月「淀川水系流域委員会」は琵琶湖・淀川流域の現状を「水需要予測が過大で、実績と著しく乖離(かいり)している」「ダムが自然環境に悪影響を及ぼしている」と指摘している。水道局として現時点で川上ダムから撤退することを明言してはどうか。
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5. 子どもを取り巻く道義的危機

 今、子どもを取り巻くさまざまな問題が起こっています。不登校、ひきこもりなど大きな社会問題となっています。ひきこもりは数十万人から百万人以上ともいわれています。文部科学省の調査でも小中学校の児童生徒の不登校は13万人を超えています
  また、性が商品化され、これに伴う被害もさまざま起こっています。昨年7月に東京都稲城市の小学校6年生の女子4人が行方不明となって4日目の17日に保護された事件には多くの人が驚き、事態はここまでになっているのかと思ったことでしょう。「援助交際」という名の少女買春。さらにはさまざまな少年犯罪。子どもたちは大人の犠牲になっています。さらに最近は岸和田市での中学生への虐待、通学途中の小中学生への大人による暴行など子どもといっても安心して過ごすことができなくなっています。このような背景には大人の責任が非常に大きいと思います。政治や経済の行き詰まりなどさまざまな問題が横たわっていると思いますが、人が人としてあるべき道義が薄まり、なくなりつつあるのではないでしょうか。
 たとえば、大企業のリストラ、不安定雇用、長時間労働などで家族団欒や親子のコミュニケーションの破壊がすすんでいます。また学校では受験のために子ども同士が過度の競争に駆り立てられ、国連から是正勧告まで出されています。また政治の分野でも昨日、今日とマスコミを賑わしている秘書給与問題や、経歴詐称問題、選挙違反事件、収賄事件など年中政治家のスキャンダルが報道されています。一部の政治家による日本の侵略の歴史を覆い隠すどころか開き直ったり、靖国神社に参拝を強行するなどがおこなわれています。こうした発言や行為が生まれる根本にはアジア諸民族を侮蔑(ぶべつ)する独善的で排外主義的な思想があり、これらのことは相手を尊重したり思いやるなどの態度ではありません。
 また企業は先ほども述べたようにモラルハザードを来たしています。このような社会で生活している子どもたちにさまざまな悪影響を与えていると思います。いまのような社会に生きていて子どもたちは未来に希望が持てたり、自分自身を肯定できるような状態には程遠いのではないでしょうか。
  日本共産党中央委員会はこのような事態を何とか打開しようということで、昨年10月「子どもたちに深刻な形であらわれている社会の道義的な危機を克服するために国民的討論と共同のとりくみをよびかけます」を発表しました。そのおもな内容は「社会が取り組むべき4つの課題」として、1つは民主的社会にふさわしい市民道徳の規準の確立。2つはどもを守るための社会の自己規律を築く。3つは子どもが自由に意見をのべ、社会参加する権利を保障する。4つは子どもの成長を支えあう草の根からのとりくみをというものです。
 そして、その呼びかけの最後には次のような文章で締めくくっています。「社会的道義の問題は、モラルの問題という性格からいって、上からの管理、規制、統制、押しつけを強めるという立場では、解決できないどころか、有害な作用をおよぼすだけです。少年犯罪の加害者の親に制裁と報復をくわえるのが当然とする閣僚の発言は、その最悪のあらわれの一つです。
  この問題は、国民の自発的な力に依拠してこそ解決の道が開かれます。わが党は、社会の道義的危機を克服し、未来をになう子どもたちに健やかな成長を保障する社会をつくるための、国民的な対話と運動を呼びかけるものです」。
  西宮市の子どもたちが例外かというとそうではありません。教育委員会の調査でも不登校は2001年度小学校で103人(0.44%)、中学校では323人(3.2%)。2002年度では小学校74人(0.31%)、中学校302人(3.02%)となっています。2003年度は1月末現在で小学校47名、中学校は304名となっています。内ひきこもりと思われるものが小学校で16人、中学校で33人となっています。先ほども東京都稲城市の事件を紹介しましたがいまや情報化社会で、テレビ以外にもパソコン、ケイタイと情報機器はいくらでもあり、それを使った事件も多発しています。今日ここまで深刻になった子どもたちを取り巻く環境とその犠牲になっている子ども達の問題について教育委員会行政方針は「青少年の非行化を防止するため、学校その他関係機関・団体と連携して、声かけを中心とした街頭補導や有害環境の浄化活動に取り組みます。また、相談活動を充実するとともに、愛護意識を高めるため市内巡回などの広報・啓発を進めてまいります」と述べるだけであり、この表現はここ何年も基本的には何ら変わっていません。心を打つようなことはまったく感じません。
 そこで質問です。

  1. 教育委員会として子どもを取り巻く今日の課題をどのように認識しているのか。
  2. 組織変更で青少年補導センターを青少年育成センターにするとしているが、家庭、地域、学校が共同して、子どもたちの成長を見守り、悩みにこたえ、支える、草の根からの運動ということが必要だが、この点はどうなるのか。
  3. いま子ども達の命や安全が大人の直接行動によって一方的に脅かされる事件が相次いで起こっています。池田市の事件に続いて伊丹市でもありました。学校に侵入して児童を殺傷するという事件です。幸い西宮市にはこの種の事件はありませんが、最近頻発しているのが児童生徒の登下校に際していきなり首をしめたり、カッターで切りつけるなどの暴行事件です。池田小事件から校門を閉める、緊急通報装置など学校ないにはそれなりの対策がとられました。しかし、いま西宮市で起こっているのは児童、生徒の通学途上のことであり、そのため、子どもたちや保護者の心配はより大きいものがあるのではないでしょうか。安心して学校に行けないような社会では、市長が掲げる安全で安心なまちとはいえません。この問題に対する対処療法はさまざまな方法があると思いますが、となりの尼崎市ではシルバー人材センターを活用して校区を巡回警備する人を配置しています。そこで西宮市もこのような人員を配置してはどうか。答弁を求めます。
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6. 30人学級

 この間日本共産党は国会、兵庫県議会はもとより西宮市議会でも一貫してこの問題を取り上げてきました。教育委員会の答弁は当初「必ずしも教育効果があがるものではない」と教育者とは言えないすかたんな答弁を繰り返していました。しかし、教職員や父母はねばり強い運動を進め、西宮市議会にも請願が出され、採択されてきました。このように世論に押され、文部科学省は法律で40人を標準としている公立小中学校の学級編成について今年度より各都道府県の判断で40人未満の少人数学級を全県一律で実施することを容認しました。この結果県の段階だけではなく市町村でも実施するところもでてきました。先だっての大阪府知事選挙ではほとんどの候補者が少人数学級実施に触れていました。このような情勢の発展に兵庫県教育委員会は各市教育委員会に対して35人学級の実施に対しての意向調査を行なっています。それによると22市中19市が希望するとなっています。もちろん西宮市教育委員会は実施を希望すると答えています。
 そこで質問

  1. このような重要なことが行政方針で一言も触れられていなっかたのはなぜか。
  2. 新1年生から実施するが普通教室は足りるのかどうか、もし不足する学校があっても全市いっせい実施すべきだがどうか。
  3. 毎年1学年づつ35人学級を増やしていけば6ヵ年で小学校全体で35人学級になるので、もし県教委がすぐ実施しないならそれまでの間、市で実施してはどうか。
    質問は以上です。ご答弁によりましては自席からの再質問、意見表明を留保して壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
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