1. 阪急西宮北口駅南部の開発について
最初の質問は阪急西宮北口駅南部の開発に関する質問です。
阪急電鉄は4月26日に西宮北口駅南部の開発について計画案を発表しました。その主な内容は全体開発コンセプトとして「スポーツ、エンタテインメント等の様々な機能を盛り込んだ複合開発を進め」るとし、今津線より西側(開発面積1万3800平方メートル)は26階建ての高層マンション、50メートルプールをもつフィットネスクラブ、商業施設となっています。東側の阪急西宮スタジアム跡地(同9万平方メートル)には百貨店やスーパー、エンタテインメント機能などを設け「日本最大級のショッピングセンターを目指」すとしています。
西宮北口駅周辺は市の総合計画にも都市核として位置づけられているように大変重要な場所です。この間日本共産党議員団では次のような申し入れを市長に行なってきました。文章を引用します。「この問題について日本共産党西宮市会議員団では昨年8月26日に『阪急西宮スタジアム等跡地問題に関する申し入れ』を文書で行ない、『西宮市としても適正な人口の考え方、都市計画のあり方、インフラ整備問題、市内商店街・市場や中小小売業者への影響、総合計画との整合性などさまざまな問題を含んでいます。さらに、まちづくりへの住民の参加と協働、情報公開などの問題も』あると指摘しています。このたび、公表された計画案を見れば明らかなようにこの指摘がさらに重要な問題として浮かび上がってきました。すなわち阪急西宮スタジアム跡地については広大な面積であり、西宮市総合計画で都市核としても位置づけている地域であり、民有地とはいえ民間の開発に任せておけない問題があります。それだけでなく、日本最大級のショッピングセンターが阪急の計画のまま建設されれば、(1)近隣住民への住環境の悪化、(2)既存の商店、市場は現在でも大型店の影響を直接受けているが、さらに致命傷的な打撃をうける、(3)市が開発した直近のアクタ西宮、フレンテなども大きな影響を受ける等々西宮市民と西宮市にはかり知れないものがあります。このような西宮市の現状を考えた場合、これ以上の大規模店舗の開発は容認できるものではありません。そこで市長におかれては次のことを実施されるよう申し入れます。
- 今回阪急電鉄が発表した阪急西宮スタジアム跡地開発については市として白紙撤回を求め、議会、市民の意見を十分聞き市の案をまとめること。
- 大規模な開発について市として規制できるよう市独自の条例を早急に制定すること。3、引き続き、西宮市、兵庫県、阪急電鉄の3者協議についてはすべての情報を市民や議会に公開すること」というものです。
これに対する回答は、今回の阪急の構想は「市としては、整理すべき課題等が多々あると考えており、合意に至って」いない。「今後市議会や周辺住民の意見を十分聞きまちづくりの立場から阪急電鉄と積極的に協議を行なって」いく「3者協議に関する情報は市議会や市民に可能な限り公開」するという内容です。これらを踏まえて質問します。
西宮スタジアム跡地開発について
1点目、今回の阪急のスタジアム跡地の開発計画は整理すべき課題が多々あり市として合意に至っていないとしているが、どのような課題があると考えているのか、また合意できないならば阪急側に計画の白紙撤回を求めるべきではないか。
2点目の質問に入る前に少し補足説明をします。大型店の出店に対してはこれまで市長は立地法の施行によって商業調整のようなことはできない、したがって規制する条例はできないという一貫した姿勢です。確かに従来の大店法が改悪されどんな大型店でも出店は認めるという立地法に改悪されました。大型店の出店を契機として富山県滑川市では地元商工や市民の要求と運動で滑川市まちづくり条例が制定されました。また立地法への移行に際して東京都の墨田区や大田区など6区、横浜市、新潟市、浜松市などで何らかの行政指導を導入する要綱を設けています。
開発面積が9万平方メートルの商業施設となるとその商圏は5キロや10キロですまないと思います。ましてや直近のアクタやフレンテへの影響は必至です。これら2つの施設は西宮市がいずれも都市核として位置づけた再開発です。フレンテを管理する会社に毎年10億円以上も融資をしています。アクタでは46億円もする駐車場を購入し赤字は必至です。現在でもこんな状態なのに西宮スタジアム跡地の大開発をそのまま認めてもよいのでしょうか。
さすがに今回の開発計画は市として商業施設のあり方が課題と認識を示しています。
そこで質問。直近のアクタやフレンテはいうに及ばず、市内小売商店への影響は必至と思われるがどう考えるか。また、市の都市計画で造った商業施設や市内の既存の商店等が衰退しないよう滑川市でやっているような規制条例を設けるべきではないか。
3点目、この間、議会からはスポーツ公園や芸術の森など市民が気軽に訪れることができ、憩える場の提供をというのが共通した意見だったと思うがこれら議会の意見は3者協議の中でどのように反映してきたのか。
南西部の歩行者用デッキの建設中止を
次に西宮北口駅南西部の問題です。
この地域は主に今津線より西側で面積約9.2haの西宮北口駅南土地区画整理事業が西宮市の施行で1992年度より行われています。事業計画による土地利用として球場前線以北は店舗、事務所、文化及び情報等の都市型サービス機能施設、南側の西半分は文化施設、ホテル、店舗等による複合施設、東半分は商業、業務、サービス機能施設の立地をそれぞれ想定しています。
具体的には阪急百貨店の出店、サティ西宮店が山手幹線南側に移転し、跡地に百貨店のビヴレ、ホテル、4面舞台を持つ兵庫県芸術文化センターの合体ビルを建設するという計画でした。ところが1998年に兵庫県が芸術文化センターの計画を見直し2001年にはスーパーサティを経営するマイカルが倒産、阪急もホテル進出を断念など、10年そこそこで想定が実際は大きく崩れてきています。なんと見通しの杜撰なことでしょうか。
このたび、阪急が発表した計画では百貨店が建設されるべきところに26階建ての共同住宅の建設となっています。当初計画とはまったく違ったものになっており、市当局は計画の見直しをするとのことですが、この点でも市は阪急の後追いになっており、市の主体性はまったくありません。さて、具体的な問題として取り上げるのは阪急西宮北口駅の2階からから山手幹線に抜ける公共用歩廊すなわち幅員8メートルの歩行者デッキとその支線ともいう、芸文センターとプレラビルを結ぶ幅員4メートルの歩行者デッキの建設です。そもそもこの計画は阪急百貨店、芸文センター、ビヴレ、山手幹線を結ぶという計画です。ところが、全体計画が大きく変わってきているのに歩行者専用通路の建設は従来のままです。すなわち、阪急百貨店がマンションに、芸文センターは縮小、ビヴレはもとよりサティすら残らないし、跡地計画は白紙のまま、たぶん更地のままとなるでしょう。それでも幅8メートルの歩行者専用通路が必要でしょうか、さらにその支線の市が建設する部分は延長約24.5メートル幅員4メートル工事費が約8000万円で有効面積1平方メートル当たり81万6000円もします。このような予算をかけて当初どおりの計画のまま建設の必要はないし、費用対効果から考えても絶対必要なものではありません。5月19日に開かれた第2回西宮市都市計画審議会でもこの問題が審議されました。その会議録を見てもわが党の上田委員だけでなく、西宮商工会議所副会頭、市長の後援会長でもある都市計画審議会会長からも歩行者専用通路の建設は芸文センターのお客さんは電車で来て、さっと電車で帰る。地元の西宮の商業振興に役に立たないという観点から反対の意見を述べておられます。
そこで質問、このようなデッキ建設の中止を市としても表明し、市施行のデッキの建設はただちに中止するべきではないか。
サティ西宮店閉店に伴う雇用問題や店舗の賃借り業者の営業問題の相談窓口の設置を
次に、プレラと芸文センターとの間の南北の道、通称芸文線が拡幅されることに伴いスーパーサティの建物の一部も解体しなくてはならないとのことです。普通土地区画整理事業を行なう場合、鉄筋コンクリート造りのような強固な建物がある場合、移転対象にはしないのが当然です。しかしサティは先ほども触れたように南部に移転計画があり、それを前提に区画整理がされています。本年度が区画整理事業最終年度で道路の拡幅工事が余儀なくされています。サティは南部移転計画を断念していますから、現地で営業を続ける方法もありますが、来年1月で閉鎖するとのことです。私のところにも、パート、アルバイトの雇用契約の更新がされないなどの相談も寄せられています。今後、従業員の解雇問題も具体化することは明らかです。市として雇用問題の相談窓口を設置するべきではないか。また、テナントとして入っている業者は通常であれば、都市計画が理由であろうとなかろうとにかかわらず、敷金等は全額返還されなければならないが、実態は債権扱いされ、全額返還されない例も出ています。この点でサティへの指導や賃借り人の相談窓口を設けるなど体制を整える必要があるのではないか。答弁を求めます。
球場前線と北口線の交差点問題
北口線のアンダーパス工事が終わって全線開通し、球場前線との交差点が大変複雑になってしまいました。今まで中心的な道路であった、ガードからの南行き一方通行の道が北口線の側道となり球場前線、今津線の踏み切りの前で合流します。ところがこの交差点は車を利用した場合、側道からは南行きしか進めません。プレラ方向やアクタ方向はもとより西宮北口の駅前にも行けません。特にこの被害を受けているのは日常的に交差点を利用している高松町の地元の人たちです。「10億円もかけてわざわざこんな不便な道路を作る必要はない」と大変怒っておられます。当然です。この問題の原因は当初の計画は今津線が高架になり球場前線と立体交差になるということで計画が具体化されました。ところが、高架事業が先送りされたにもかかわらず、計画の見直しをしないで工事を続行した結果のことと考えられます。この間地元住民が県や市当局と何度も話し合いを持ちスタジアム内道路を迂回利用して妥協するとのことですが、これは根本解決ではありません。
そこで質問、このような結果になった原因は何なのか。また高松町11番街区をはじめとして関係住民に事前の説明が遅れ、開通直前になったのはなぜか。 |