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定例議会

2004年9月議会

野口あけみ議員の一般質問
  1. 介護保険について
  2. JR甲子園口駅エレベーター設置について
  3. 不燃ゴミのコンテナ収集について

1.介護保険について

1.見直しへの見解

 内閣府が9月4日発表した「国民生活に関する世論調査」の結果によると、日頃の生活で「悩みや不安を感じている」と答えた人が65.8%と、1958年調査開始以来2番目の高い率となり、その不安の中身は高い回答率の順に「老後の生活設計」「自分の健康」「家族の健康」があげられています。そして政府への要望として「社会保障改革」が67.7%と前回から5.8ポイント増加し、「景気対策」を抜いてはじめてトップになったとのことです。
  おりしも現在政府において、医療、年金と並んで社会保障の大きな柱である介護保険について、保険制度施行後5年を目途にした制度全般についての検討と見直し作業が、年内にも法案要綱のまとめ、来年の通常国会で審議、2006年度から実施とのスケジュールで進められています。
  この見直しは、先の世論調査結果にあらわされた国民の要望にこたえるものでなくてはなりません。すなわち社会保障にふさわしい介護が実現できる真の改革です。
  実施後4年たった介護保険では高齢者介護に対する国の責任が財政面を含め大幅に後退し、そのなかで保険料利用料の低所得者対策の不備や保険あって介護なしといわれるような基盤整備の遅れ、(特に特養不足は全国共通しています)介護認定のあり方、一部事業者の不正、ヘルパーなど従事者の劣悪な労働条件などなど問題点が山積しています。
  ところが、さる7月にまとめられた厚生労働省社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」(以下「見直し意見」という)は、全体としてこうした改善すべき問題に正面からこたえるものとなっていません。痴呆への対応や、保険者の役割強化、地域密着型サービス創設など一定国民の意見を反映している点も見られますが、その特徴点、問題点を中心に見てみたいと思います。
  なお、この見直し意見の下敷きには、今年5月発表された来年度予算編成の基本的な考えを述べた財政制度等審議会の建議があり、そのまた下敷きに、日本経団連が4月に出した「介護保険制度の改革についての意見」があります。財界と財政サイドからの意見がほぼ盛り込まれているという点も、今回の見直し意見の特徴です。
  まず見直しの基本的課題は、制度の持続可能性を高めることに尽きるとし、「必要な人に適切な給付がおこなわれ、真に役立っているか」「制度運営にムダはないか」と厳しくチェックし「給付の効率化・重点化」を大胆に進めるとしています。
  そのうえで1つ目は、介護度が軽い人(要介護認定の要支援、要介護1)に支給しているサービスのうち訪問介護や通所介護など一定部分を廃止し、新たに「新・予防給付」を開始するというものです。
  高齢者が生活を営む上で、不安を覚えたときに躊躇なく介護認定を申請し、その結果要支援や要介護1など軽度の要介護者が増大したことは「介護の社会化」が進んだことを意味し、当然のことです。もちろん介護予防も必要です。ところが見直し意見では「家事能力がある人が家事代行型のホームヘルプを利用し続けると家事不能に陥る」「歩ける人が車椅子を使って歩けなくなる」などとあたかもムダにサービスを利用しているかのような攻撃を加え、介護給付の対象からはずすとしています。福祉用具の支給対象の制限や、給付率の見直しもあげられています。
  このような見直しは、介護保険の導入で一番広がった軽度の要介護者への援助を敵視し、つぶそうとするもので、とてもまともな見直しとはいえません。

 2つ目に、施設利用者は家賃や光熱費などいわゆるホテルコストと食費が保険給付の対象となっているのに在宅サービスでは給付されない。施設利用者より在宅者の方が負担が重いとして、負担の均衡をはかるために施設のホテルコストや食費を保険給付対象からはずし自己負担させ、保険給付を「介護」のみに重点化するというものです。均衡をはかるというなら負担の高いほうにあわせるのではなく、社会保障の観点に立ち低い方にあわせるのが当然です。在宅の利用料が高すぎることのほうが問題なのではないでしょうか。

 3つ目にサービス利用の際の自己負担を引き上げることも検討課題としています。介護保険では1割負担だが、高齢者医療は一定の所得層は2割負担など負担率は医療の方が高い、介護保険は若年者の医療保険からも拠出され支えられているが、その若年者の医療自己負担は3割。だから介護保険の自己負担も公平に2割、3割するべきという主張です。一律引き上げだけでなくサービスによって自己負担率を変えるなどという意見も出ています。1割負担でもサービス利用を躊躇し、平均で支給限度額の4割しか使っていない現状があるのに、さらに必要なサービスを受けられない問題が出てくるのは目に見えています。

 4つ目に、保険に加入する被保険者と保険給付を受ける受給者の対象年齢をどうするか、については20歳からに引き下げるという案なども浮上する中、障害者の支援費制度との統合も含めひきつづいての検討課題とされました。国としては財政面から考えると加入年齢を20歳からに引き下げたい、しかし高齢者向けの介護サービスだけを支給するとなれば不満もでるから、障害に伴う介護サービスも含めたい、現行支援費制度で利用見込みが過小だったため2年連続で予算不足が問題となり財源の穴埋めに介護保険をあてたいというのが本音のところでしょう。しかし支援費制度と介護保険では自己負担の考え方、サービスを受ける量の決め方、介護の質などに明確な違いがあります。財政のつじつまあわせでの統合論議などもってのほかです。
  さらに、さすがに見直し意見には見られませんが、財政審の建議のなかには、受給者が死んだら「のこされた資産から費用を回収する仕組みを検討すべき」と死後にも負担を求める、こんなことまで言われています。
  今回の見直し意見は、現行制度が本来の目的どおり「家族介護から社会的介護に」「在宅で安心できる介護」「サービスが選択できる制度」になっているかの検証ではなく、もっぱら利用者の増加で膨らんだ給付費を「制度の持続可能性を高める」などという言い方で押さえ込もうというのが最大のねらいになっており、見直しによってさらにこれまでの問題点が改善されるどころか深刻化し、新たな問題が生じるのではないかとの深い危惧をいだくものです。
  以上、私なりに見直し意見についての見解を述べましたが、軽度要介護者のサービス制限や利用料自己負担の引き上げ、障害者の支援費制度との統合などは現行サービスの低下につながります。市として反対との意思表示をすべきだと思うが、現時点での市の見解をお聞きします。

2.保険料5段階を6段階に

資料:1号保険料の矛盾
  ケース1 ケース2 ケース3
年収 計520万円
夫:267万円未満
妻:267万円未満
計360万円
夫:267万円以上
妻:80万円
計160万円
夫:80万円
妻:80万円
息子(市民税課税同居)
市民税 非課税所帯
(両方とも非課税)
課税所帯
(夫:課税
妻:非課税)
課税所帯
(夫:非課税
妻:非課税)
段階 第2段階 夫:4又は5段階
妻:第3段階
第3段階
西宮の保険料(月額) 4400円/月
夫:2200円
妻・2200円

6604円/月夫:3670円
妻:2934円

5868円/月
夫:2934円
妻:2934円
※個人単位の制度と言いながら、同居所帯員の所得を条件にした賦課方法には矛盾がある

 次に保険料についてです。国の低所得者対策は十分なものではなく、その抜本改善と市の独自減免を私たちは一貫して求めてきました。市も同様に国に改善を求め、十分とはいえませんが独自減免も行っています。実に全国の31%の保険者が独自減免を実施しています。
  そもそも現在の介護保険料の設定方法は、最高と最低で3倍の格差で設定されているため、所得に対する保険料の負担割合は、総じて所得段階が低くなるほど保険料負担が重いという逆進性があります。さらに個人の収入を基準とするものと、世帯単位の収入を基準とするものとが混在しているために、収入と保険料負担額が逆転してしまうケースが多く見られます。
資料をご覧ください。これは厚生労働省社会保障審議会介護保険部会に提出された資料に、算出保険額を私が追加しました。
 たとえば夫婦それぞれ年金収入260万、2人で520万円の場合、世帯全員が市民税非課税で介護保険料は第2段階、西宮では2人で月4400円の負担です。ところが、夫が年金280万、妻は年金80万の場合、合計の収入は360万円と先ほどのご夫婦より低いのに、夫は本人住民税課税で第4段階、3670円。妻は住民税課税世帯で本人非課税の第3段階、2934円。収入360万に対し、2人の保険料の合計は6604円と、逆転しているのです。さらに不公平感があるのが、次のケースです。高齢者夫婦がいずれも非課税で年収80万円、合計160万でも、課税家族がいるとその税額の多少にかかわらず、市民税課税世帯となり、第3段階、2人合計保険料は5868円。年収520万円の夫婦より年収160万の夫婦の方が月1468円も保険料は高いという矛盾が生まれています。
 こうした矛盾を解決するには国による抜本改善が必要です。配布資料の表題と説明には、「1号保険料の矛盾!個人単位の制度といいながら、同居世帯員の所得を条件にした賦課方法には、矛盾があります。」と書いてありますが、これは私がつけたものではありません。厚労省の言い分です。今回の見直しでここにメスを入れていないのは問題です。低所得者に対する国の軽減制度創設と合わせてこの矛盾解決策を国に求めるべきではないか、質問します。
 保険料の逆進性を根本的に解決するのは国によるしかありませんが、少しでも高齢者の負担感、不公平感を軽減するために、今可能な保険者の努力方向として、現行の5段階区分を増やす方法があります。全国では今年4月現在225保険者が6段階を採用しています。所得層の幅が広い第2段階を細分化するなどの方法で市でも6段階導入の検討をすべきではないか。

3.小規模・多機能、地域密着施設を

 介護保険の質問の3つめは施設についてです。特養待機者が1200人を超えています。本音は、高齢者ご本人もご家族も住みなれた自宅で最後まで暮らしたい、介護をしたいと思っておられるのではないでしょうか。しかし、住宅事情や、現行の在宅サービスがホームヘルプ、ショートステイ、デイサービス、訪問看護など複数の事業者が提供するサービスを時間を区切って組み合わせて利用する体系となっているため、たとえば共働きしながらの在宅介護はとても大変です。お年寄りのためには家で最後まで面倒を見たいがやはり施設でなければとても無理…という思いは容易に想像がつきます。サービスを選択できるのが介護保険との建前からも、特養ホームの建設は引き続き緊急の課題です。
  同時に1200人という希望者に見合うだけの特養が実際に西宮で整備できるかというと、国が建設費補助を出し渋っていることもあって、きわめて困難な課題です。今後の方向として在宅介護をめざせるさまざまな条件整備や基盤整備が求められます。
  見直し意見のなかでは、在宅ケアに夜間緊急時の対応を含めた365日24時間の安心を提供する体制を整備し、施設では「在宅に近い環境」でのケアを実現させる、さらに両者を統合した地域密着型サービスをめざすとあります。
  質問、今年8月25日付日経新聞に、国が市町村に交付し、市町村の裁量で利用できる小規模施設整備への補助金制度が来年度予算に盛り込まれるとの報道があります。この詳細を聞かせてください。

<質問>特養の整備とともに、住み慣れた地域で在宅を基本に安心して老いるために、小規模多機能施設など地域密着型サービスを市としても誘導していく必要があると思うが、その考えはあるか。

4.非該当、サービス未利用者に適切な対応を

 介護保険の質問の最後は、介護保険申請で自立と認定され非該当となった人、要介護認定されてもサービスを利用していない人への対応についてです。
  西宮市の65歳以上の1号被保険者は7万4000人、そのうち介護認定を申し込む人は1万4000人程度おられます。認定申請をされる方には、すぐにも介護が必要な方もあれば、何とか日常生活は送っているがお一人暮らしなどで病気になったらたちまち困る、そのときには助けてほしい、そんな方も含まれています。結果、自立と認定され介護保険を使えない非該当となる方が、15年度末では544人、約5%おられました。調査員に「5メートル一人で歩ければ自立」といわれた方がありましたが、現に心配不安を抱えている高齢者に介護保険だけでは対応しきれないということではないでしょうか。

 質問です。すべての高齢者の福祉に責任を負うのが行政の役割ですから、自ら介護保険を申請してくる方は、特に見守りなどなんらかの福祉施策が必要な方です。現在市では介護保険で自立と認定され、介護保険サービスを使えない人にどのように対応しているか。また要介護認定者でサービス未利用者に対してはどうか。

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2.JR甲子園口駅エレベーター設置について

 3月議会に続いてとりあげます。エレベーター設置の必要性についてはもう繰り返す必要はないかとは思いますが、交通バリアフリー法では2010年と期限が切られています。既設駅舎へのエレベーター設置は努力義務とはいえ、乗降客数でトップクラス、改善要求でも第1位の甲子園口駅については放置できない課題です。
 JRは長年、駅の構造上エレベーター設置そのものが不可能といい続けてきましたが、やっと設置の具体案を提示しました。構造上不可能が可能に変わったわけですが、JRの「やる気」の問題も大きいのではないかとか思います。
さて提示された案は約17億円の費用を要するものです。ホームと階段を東側に新設するというものですが、はたしてこれが最良かどうか、過大な内容になっているのではないか、とのおもいがぬぐえないのです。
 市ではこれまでに事情がさまざま違うとはいえ、JR西ノ宮駅駅舎改築や、阪神高架事業に取り組んできた経験があります。JR側の言いなりではなく市としての対案を作成・提示して、JRの本気、やる気を促すべきではないか。まずお聞きします。

 次に補助要綱についてです。
 昨年度、JR高槻駅で8億2500万円かけて、エレベーター、エスカレーターが設置されました。この負担内訳を見ると、JR、国、府と市の三者がそれぞれ3分の1、2億7500万づつを負担、ただし府が3800万を上限としているため、市は差し引き2億3700万を負担しています。高槻市の要綱が上限を設けず、補助対象経費の3分の1以内としているためこのような負担割合となっているということです。
 市の要綱はどうでしょうか。県の要綱に準拠して、エレベーター1基あたり1億5000万を限度とし、その6分の1を負担するものとなっています。仮に甲子園口駅エレベーター設置に17億円どうしてもかかるとした場合、上り下りで2基、3億円の6分の1の5000万円づつを県と市が負担、国は県市の負担を上回らないのを原則としていますので1億円、残り15億がJR負担という内容になります。県市が上限を決めているために国からの補助も引き出せないのです。
 もちろん、できあがったものはJRの資産ですし、利益向上にもつながるわけでから鉄道事業者の責任が一番重いのですが、バリアフリーの実現には行政としての責任もあるとの観点から補助要綱を改正し、補助金増額をはかる考えはないか。おききします。

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3.不燃ゴミのコンテナ収集について

 地球環境を守るためのごみ減量化、再資源化には、徹底した分別が不可欠だと考えます。その分別は、市民の環境保全意識の向上と具体的な協力なくしてはなりたちません。市において可燃ゴミと不燃ゴミの分別収集は1963年より開始され、すでに40年が経過しています。
 そして92年より不燃ゴミのコンテナによる収集が開始され、99年からはペットボトルの回収も加わっていますが、このコンテナ回収について、おおむね10世帯を1単位としたステーションが約1万3000ヶ所あるときいています。コンテナの管理はステーションごとに形態が違うようで、マンションなどの集合住宅では管理組合が業者に委託し、住民がコンテナの出し入れなどをする必要がないところがほとんどのようです。また、公園の一角にコンテナを保管、運び出す負担のないステーションもあります。しかし一般的なのは1ヶ月ごとに当番を決め各家庭で保管し、必要な日の早朝にステーションまで運び出し、回収後また家庭で保管するというやりかたです。
  ゴミの混入を防ぎ、ごみ減量意識を向上させる上でもコンテナ収集は優れた方法だと思います。これまでの取り組みでこの方法は一定定着してきたのではないでしょうか。問題はコンテナが重すぎることです。通常のコンテナは4.3kgあり、その扱いに困っている方の声を多く聞きます。
  私のグループもお隣の一人暮らしのお宅は3年ほど前から当番を免除することとしました。あるグループは高齢者が多く、三家庭が当番を担当していると聞きました。このようにステーションによって高齢世帯は当番を免除しているところが多いのではないかと推察されます。今後、高齢化がさらに進めば、コンテナの出し入れの担い手がいなかったり、少ないステーションが生まれるのではないでしょうか。コンテナの管理については真剣に検討するべき時期に来ていると思います。

 質問です。これまでも議会でコンテナ収集に関する議論がありました。近いところで昨年9月と01年3月です。その他プラスチック容器の細分別収集の問題とも合わせ収集体制の抜本的見直しとあわせ検討をおこなうとの答弁がありましたが、その検討は進んでいるか。
 コンテナの軽量化や、コンテナ運搬用簡易台車の開発と貸し出し、可能なステーションではその場での保管も認めるなど柔軟な方法をとってはどうか。
 そのためにも地域に網の目で組織されている環境衛生協議会などの協力もえて各ステーションごとの状況把握を進めてはどうか。

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