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定例議会

2004年9月議会

杉山たかのり議員の一般質問
  1. 4年間の山田市政を問う
  2. 行政経営改革とNPMについて
  3. 大型店の出店規制について

1.4年間の山田市政を問う

1.市民生活について

 この4年間、市長は、財政危機を口実に、第2次行財政改善計画を実施、前市長の時期と併せて、1999年から2003年の5年間で約271億円の効果をあげたとしています。その中身は職員の人件費等削減、それ以外にも福祉や教育の大幅な施策切捨てがおこなわれてきました。特に、保育所の民営化をはじめ、民間委託の推進、公共料金の値上げ、また高齢者交通助成制度にみられる給付水準の引き下げなど、市民サービスの切り下げで生まれた財源を、行革による効果額だというところに、市民生活をかえりみない市長の姿勢が現れているのではないでしょうか。
 いま小泉内閣のもと、深刻な不況と雇用悪化、医療・年金・介護などの社会保障が切り捨てられ、国民負担ばかりが押し付けられる悪政から、市民をまもるべき自治体が、さらに、市民に新たな負担と生活悪化をおしつけているといわなければなりません。
  私は、今の山田市政が、他の人を思いやる気持ち投げ捨て、市民から明るい明日への希望を奪い去っているということを厳しく指摘をしておきたいと思います。

質問事項

  1. 市民の生活実態について、この4年間、市政の担当者として悪化してきているという認識はあるのか。また、行財政改善計画による福祉や教育などの市民サービス切捨てがさらに、それに追い討ちをかけているのではないか。
  2. わたくしもよく市民から相談や要望のある具体的な事業について、市の4年間の対応をききたいと思います。まず市営住宅です。応募はいまなお大変な倍率となっているが、この四年間市長はどのような対策をとってきたのか。次に、国民健康保険は滞納者が増えるなど、保険料が高騰しています。この四年間、一般財源からの繰り入れなど、どのように対応してきたのか。3つ目、西宮の夏場の暑さは尋常ではありませんが、学校普通教室へのエアコン設置については、四年間どう対応してきたのか。

2.財政問題について

 西宮市の重要課題の1つは財政再建です。
 震災復興事業により、一般会計ベースで市債、つまり借金がピークの1998年には約3133億円にもおよび、その返済となる公債費は毎年220億円を超え、ピークの今年は約266億円もの額となっており、大きな負担となっています。しかし、震災復興事業というのは、実は震災前から計画されていた、土地区画整理事業、都市再開発事業、道路拡幅事業など大型開発を復興事業の名の下、一気にやってしまったものであり、市債では都市計画関連ではピークには約819億円、道路公園関連では約306億円にも達するという事態を作り出したのです。
  さて、山田市長の就任直後の2000年12月に出された「西宮市財政の現状 西宮市の財政を考える4」では、(1)市税収入は伸び悩む (2)公債費の増加により2005年度には起債制限比率は20%を超える状況になることが見込まれる (3)2000年度から2003年度までの普通会計一般財源ベースの財政収支試算表では366億8000万円の財源不足となるとして、第2次行財政改善計画を推進してきました。
  2003年度の決算見込みがでておりますので、財政収支試算表をそれと比較してみると、歳入では4年間で試算約4130億円のところが実際は約4288億円で158億円多くなっています。また、歳出では、試算約4582億円のところが約4295億円で約287億円少なくなっています。差し引きでは約445億円の違いが生まれています。市当局は5年間の行財政改善累積効果額を271億円としていますから、それを仮に差し引いても試算と実際の額は170億円から180億円もの乖離があります。
  つまり、歳入は小さく、歳出は大きく試算し、財源不足を大きく見積もって、これは大変だ。財源がこんなに足りない。基金がそこをつく。起債制限比率が20%を超えてします。赤字債権団体に転落してしまう。と財政危機をてこにして、市民要求を押さえつけ、市民サービスを切り捨ててきたのがこの4年間の実態です。
  新たな財政収支試算表では2002年度から2008年度までの財源不足は321億円として、国の三位一体改革によってはさらに変動するとして、さらなる行革をすすめるとしています。
  しかし、本来収入の範囲内に支出を押さえれば、赤字は生まれませんし、現に西宮市は震災後も毎年黒字となっています。西宮市は、2003年度決算見込みでも市税収入は約773億円です。これも恒久減税の影響による減収を含んでです。この間の一般財源は1100億円前後の水準であり、全国的に見てもこれだけの財政的な基盤をもった自治体はそうはありません。震災後の財政の危機的な状況は確かにありますが、4、5年間という期間に300億円を超えるような財源不足、赤字を生み出すことなどありえません。

質問事項

  1. 第3次総合計画の見直しなど、この間の財政措置は、たとえば未着手の事業については2009年度以降へ繰り延べるなど、しているが、一方では、第1次、第2次の行財政改善計画の名の下、職員の人件費削減、市民サービスの切り下げなどで強行している。財政が厳しい下で、財政再建は当然必要だが、なぜこのような深刻な財政危機を引き起こしたのか、その反省がなければ、財政が好転すればまた同じ轍を踏むことになります。わが党が繰り返し指摘してきたように、復興事業に名を借りた無謀な大型開発に今日の財政危機の原因があることを反省していますか。市長の認識をうかがいます。
  2. 2003年度までの財政収支試算では約367億円の財源不足としていたが、実際にはさきほど説明したように赤字どころか黒字となっている。財源不足というのは財政危機をあおるための過大な試算ではなかったのか。
  3. また、2008年度までの財政収支試算では、321億円の財源不足を示していたが、昨日の答弁ですでに財源不足が約41億円改善される見込みとなっている。現時点で試算と現状がいったいどう乖離しているのか明らかにしてください。

3.人口急増の問題について

 西宮市の推計人口は、今年8月1日現在で45万8748人となり、いよいよ46万人を超えようとしています。
  この間の西宮市の人口推移を見てみますと、1984年に42万人を超え、1994年つまり震災前までの11年間、42万人台を維持し、横ばいの状況でした。そして、阪神淡路大震災により、39万389人へと激減しました。その後、徐々に増え、2000年9月1日の推計人口は42万3523人となり、震災前の人口を回復しました。ところが、一か月後の2000年10月1日に実施された国勢調査で、実際には43万8105人にまで急増していたことがわかったのです。
  山田市長は、2001年6月議会において、「市内の人口も、この6月1日には44万3811人となり、震災前と比較いたしまして約2万人の増となっております。これもひとえに市民の皆様のご理解と市議会のご支援、ご尽力のたまものと感謝にたえない次第でございます。」と述べています。また同議会で「人口が増えるということは、町ににぎわいを与えますし、都市の活性化のためには喜ばしいことでございます。特に全国的に少子高齢化が進む中で、比較的若いファミリー層が多く転入されていることは、市全体の人口構成上からも望ましいことと考えております。しかし、一方では急激な人口増のため、すでに保育所の待機児童の増大などの問題が生じておりまして、この対応し特に力を入れて取り組んでいるところでございます」とものべています。
  山田市長は当時、一部行政課題についてふれるものの、まさに手放しで人口増を喜ぶという状況であったことを私はよく覚えています。
  さてその後の人口急増問題はどうだったでしょうか。
  保育所の待機児数は272人、4歳児で幼稚園、保育所に入園していない在宅幼児は296人、特別擁護老人ホーム入所待ち数は1243人など、特に子供たちと高齢者にそのしわ寄せが押し付けられています。
  人口急増の原因は、マンション開発によるファミリー層の急激な流入にあります。山田市長は人口増の原因は、「交通の便に加えて、山、海、川の豊かな自然環境、さらに教育、文化といったまさしく文教住宅都市西宮の魅力があることが考えられます」と答えていますが、震災後、マンション開発規制を大幅に緩和したために、マンション開発業者にとって、建設しやすく、儲けになることが、このような状況をつくりだしたのです。

質問事項

  1. 今年2月発行の「西宮市行政経営改革基本計画」の中で、「少子高齢化や人口の急増による新たな市民ニーズにも対応することができたものと考えている」という評価をしているが、そんな状況にない。いったいどこにそのような根拠があるのか。
  2. 私は、人口急増問題を解決るためには、ひとつには、現実の人口に見合った市民サービスの充実をはかることだと思いますが、もうひとつは、人口の急増を防ぐことだと思います。それは、適正人口を明らかにすること。人口増をふせぐためにマンション開発規制を震災前なみに戻して強化することだと思います。わが党は一貫して開発規制として、10戸以上のマンション建設について1戸あたり敷地50平方メートル以上を要すること、一定規模以上の開発については開発協力金を求めることなどを提起してきた。6月議会では、市当局は「マンション開発について一定の抑制策を検討してまいりたい」と答えています。6月議会では適正人口について「現時点では50万人程度までが本市の人口規模の目安である」と答えていますが、これはまったく現実を無視した数値ではないでしょうか。現在のサービス提供のできる適正人口はどう考えているのか。また、環境学習都市宣言市の市長として、ちゃんと勉強して住環境保全のためにマンション開発規制を強化すべきではないですか。

 

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2.行政経営改革とNPMについて

 いま、「自治体の構造改革」についての新しい行政手法として、ニュー・パブリック・マネージメントの導入が「はやり」となっています。このニュー・パブリック・マネージメントの頭文字をとってNPMと呼んでいます。
  NPMはもともと、1980年代の半ば以降、イギリスやニュージーランドなどを中心に行政実務の現場を通じて形成された革新的な行政運営理論だと言われています。その核心は、民間企業における経営理念・手法・成功事例などを行政の現場に導入することを通じて、行政部門の効率化・活性化を図るというものです。
  長く続く自民党政治のもとで、大型公共事業優先の政治が地方自治体でもすすめられるなか、地方自治体の財政危機が進行、その打開のため「構造改革」として、NPMがもてはやされています。
  日本では、かつては三重県、最近では静岡県や横浜市などが有名かと思います。
  さて、西宮市においても、今年2月に「西宮市行政経営改革基本計画」という方針がだされています。
  山田市長は3月議会たてがき初男議員に対する答弁で、「本市の行政経営改革は、限られた経営資源を最大限に活用して市民満足度の高い行政運営を行うという理念のもとに、行政を経営するという新しい視点に立って行政運営の仕組みそのものを変えようとするものであります。企業における経営理念や手法などを可能な限り行政部門に導入して効率化や活性化を図るという新しい公共経営の考え方をもとに、人、物、金、情報などの経営資源を最大限に活用して市民満足度の高い行政運営ができる仕組みをつくり上げたいと考えています。」とその特徴を示しました。
  日本におけるNPMの特徴や問題点は、(1)自治体の支出の削減・効率化が目的となる (2)トップダウンによる予算・職員・組織の重点配分 (3)市民の主権者としての視点が極めて弱い (4)「競争原理の導入、業績・成果の評価、市民への公開・市民参加、行政組織の分権化・現場への権限委譲」という4つの手法が混在 (5)行革と比べても強烈な緊縮財政をもたらす、などがあげられるのではないでしょうか。
  西宮市の行政経営改革ではどうでしょうか。
  私たち「市民」はどう位置づけられているのか。NPM理論では、顧客、いわゆる「お客様」なんです。基本計画では「行政サービスの受け手、利用者であり、納税者」とされていますが、もっとも大切な主権者という観点がすっぽり抜け落ちているのです。市民はお金を出して行政が提供するサービスを利用するもの。お金がなければ「お客様」にはなりませんからサービスは受けられなくなります。これで市民満足度を最大にするといっても市民ニーズにみあった行政サービスができるとは思えません。
  具体的に、なにをするのか。しくみづくりを除けば、アウトソーシングしかありません。「民間にできるものは民間に」と民間委託、民営化、PFI、公の施設の管理については指定管理者制度の導入。あらゆるものを対象に民間に委ねていくということです。
  自治体が本来すべきことまで民間にということになれば、これは公共の責任を放棄することにつながります。 現在でさえ、公社等市の外郭団体でさえ、直営と比べれば情報公開や議会のチェックなどが及びにくいのに、これが民間委託や民営化となれば、さらに遠のきます。
  市の仕事から離れる範囲が広がれば広がるほど、市民が主権者として参画する間口が狭まるのは必然です。
  「民間でできるものは民間で」。福祉や教育など、住民にとってどうしても必要な公共的な仕事は、民間まかせにせず自らの責任で取り組んでこそ、自治体といえます。それを投げ捨てて「民間でできるものは民間で」と、民間委託、民営化などを推進し、「コストは受益者負担」などといって、公共料金を値上げするなど、まともな自治体とはいえず、「営利企業」というほかないではありませんか。
  行政経営改革とは、市民満足度の名のもと、福祉や教育など市民の要求を切り捨て、なんでも民間にと公共の役割を投げ捨て、自治体を自治体でなくしてしまうための、「構造改革」そのものです。いくら言い訳をしてもその本質は隠すことはできません。

質問事項

  1. 行政にとって、市民をどう見るのかは重要である。市民置き去りの立場か、それとも市民が主役の立場か。NPM理論では、市民を顧客という考え方となるが、顧客という位置付けなのか、それとも主権者として位置付けているのか。
  2. 市民満足度については、市民意識調査を使ってアンケート調査をすることになっているが、そもそも市民満足度とは何なのか。どのようにはかるのか。たとえば、国民健康保険、保育所、介護保険など、市民満足度は現状ではどのように判断しているのか。
  3. 行政評価、政策評価、事務事業評価など、市政の都合いいような評価をしてはならない。客観性をどう担保するのか。
  4. この行政経営改革は、行政の仕組みや職員の意識改革などを掲げているが、結論的には指定管理者制度の導入、民営化や民間委託などアウトソーシングを推進するための仕組み作りになっている。「民間でできるものは民間に委ねる」ことを基本に全事業を検討対象にするとしている。こうなれば、議会のチェック、市民の参加、情報公開などが大きく後退せざるを得ないが、どうか。
  5. 「民間でできるものは民間に委ねる」という考え方は、「地域にできることは地域に」「個人にできることは個人に」つまり「自助」を求め、最終的には市民サービスの切捨てにつながり、公共の責任を放棄することではないか。
  6. 「民間にできるのもは民間に」と言いながら、一方では一部の民間には手をさしのべている。アクタ西宮の駐車場を都市再生機構からの46億円も予算で買取ってやる、第3セクターであるフレンテの西宮都市管理株式会社へは毎年11億円を超える貸付で援助する、西宮名塩ニュータウン斜行エレベーターの管理運営を都市再生機構から引き受けるなど、民間のしりぬぐいをしているが、どう考えているのか。
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3.大型店の出店規制について

 西宮市は、私が指摘するまでもなく、大規模小売店舗いわゆる大型店の出店があいつぎ、いまや異常な事態になっています。
  私が住んでいる津門周辺でも、震災前は、ライフとイズミヤにオープンしたばかりのフレンテ西宮というところでしたが、いまでは、ダイエー、関西スーパー、コープ、マルナカ、ミドリ電化など次々とスーパーなど大型店が進出しています。
商店街は次々と消えていき、残る商店街、個々の商店も厳しい状況に置かれています。地域経済を衰退させる原因となっています。
さらに、阪神パーク跡地のイトーヨーカドーを含むショッピングセンターや白雪跡地のコーナン、西宮スタジアム跡地のショッピングセンターなど、今後もさらに大型化した出店が続く勢いです。
  このような事態をまねいたのは、自民党政府がアメリカの市場開放の要求を受け、周辺小売店との調整のための法律、大規模小売店舗法(大店法)を相次いで緩和し、2000年には廃止してきたからです。現在の大型小売店舗立地法が、求めるものは駐車場の確保、騒音、廃棄物対策など極めて狭いものです。そして同法には「地域的な需給状況を勘案することなく」として、地方自治体に対して、大型店出店によって一番影響をうける商店街、中小商店への影響に配慮することや深夜営業の制限など生活環境を守ることをかえって抑制する役割を果たしています。
  このような中でも、大型店出店規制をもとめ、市民、業者団体、自治体などにより全国で取り組まれています。
  いま京都などで新たな動きが始まっています。それは、小売商業調整特別措置法を活用して、大型店出店に歯止めをかけようとするものです。
  小売商業調整措置法というのは、1959年、大会社の購買会事業や小売市場などの調整法として制定され、78、79年には激しくなった大手業者の進出に対応するために改正強化されました。定められた中小小売商団体は、その構成員の多くの経営が大企業者の事業により著しく悪影響を受ける場合、大企業者の事業の調査や開始時期の繰り下げ、規模の縮小などについて都道府県知事に対して調整・勧告を求めることができます。ただ、2000年までは出店にかかわる部分は大店法が優先されてきました。しかし、大店法の廃止により、この法律が復活しています。
  西宮市は、現在は小売店舗の総床面積に占める大型店の割合は、なんと62%にまで達しようとしており、本当に異常な事態です。これ以上の大型店の出店は、中小業者への影響にとどまらず、大型店同士の競争による閉店で市民の購買にも大きな悪影響を引き起こすことも予想されます。

質問事項

  1. これまで市長は大型店の進出について「にぎわい」ということを言っているが、大型店出店を基本的には歓迎しているのか。
  2. 大型店出店規制について、今年6月議会でわが党議員団の質問に対して「大規模小売店舗の新規出店が近隣の商業集積に影響を及ぼすおそれもあり、市として商業施策を考えていく上において重要な課題と認識しており、現在その対策に取り組んでいるところ」だと答えている。改めて聞きますが、現状がもう大型店の出店を食い止めていくうえで待ったなしの状態であることについて、どう認識しているのか。地域経済と住環境をまもる上で、条例による出店規制を本格的に取り組むべきだと思うが、どうか。
  3. 当面の問題として、大型店の出店を規制するために、小売商業調整措置法が有効だと思うが、市として商業団体への手続きなど援助や、周知を含めたルール化をすべきだと思うがどうか。同法律についての有効性についても見解を伺いたいと思います。
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