1.4年間の山田市政を問う
1.市民生活について
この4年間、市長は、財政危機を口実に、第2次行財政改善計画を実施、前市長の時期と併せて、1999年から2003年の5年間で約271億円の効果をあげたとしています。その中身は職員の人件費等削減、それ以外にも福祉や教育の大幅な施策切捨てがおこなわれてきました。特に、保育所の民営化をはじめ、民間委託の推進、公共料金の値上げ、また高齢者交通助成制度にみられる給付水準の引き下げなど、市民サービスの切り下げで生まれた財源を、行革による効果額だというところに、市民生活をかえりみない市長の姿勢が現れているのではないでしょうか。
いま小泉内閣のもと、深刻な不況と雇用悪化、医療・年金・介護などの社会保障が切り捨てられ、国民負担ばかりが押し付けられる悪政から、市民をまもるべき自治体が、さらに、市民に新たな負担と生活悪化をおしつけているといわなければなりません。
私は、今の山田市政が、他の人を思いやる気持ち投げ捨て、市民から明るい明日への希望を奪い去っているということを厳しく指摘をしておきたいと思います。
質問事項
- 市民の生活実態について、この4年間、市政の担当者として悪化してきているという認識はあるのか。また、行財政改善計画による福祉や教育などの市民サービス切捨てがさらに、それに追い討ちをかけているのではないか。
- わたくしもよく市民から相談や要望のある具体的な事業について、市の4年間の対応をききたいと思います。まず市営住宅です。応募はいまなお大変な倍率となっているが、この四年間市長はどのような対策をとってきたのか。次に、国民健康保険は滞納者が増えるなど、保険料が高騰しています。この四年間、一般財源からの繰り入れなど、どのように対応してきたのか。3つ目、西宮の夏場の暑さは尋常ではありませんが、学校普通教室へのエアコン設置については、四年間どう対応してきたのか。
2.財政問題について
西宮市の重要課題の1つは財政再建です。
震災復興事業により、一般会計ベースで市債、つまり借金がピークの1998年には約3133億円にもおよび、その返済となる公債費は毎年220億円を超え、ピークの今年は約266億円もの額となっており、大きな負担となっています。しかし、震災復興事業というのは、実は震災前から計画されていた、土地区画整理事業、都市再開発事業、道路拡幅事業など大型開発を復興事業の名の下、一気にやってしまったものであり、市債では都市計画関連ではピークには約819億円、道路公園関連では約306億円にも達するという事態を作り出したのです。
さて、山田市長の就任直後の2000年12月に出された「西宮市財政の現状 西宮市の財政を考える4」では、(1)市税収入は伸び悩む (2)公債費の増加により2005年度には起債制限比率は20%を超える状況になることが見込まれる
(3)2000年度から2003年度までの普通会計一般財源ベースの財政収支試算表では366億8000万円の財源不足となるとして、第2次行財政改善計画を推進してきました。
2003年度の決算見込みがでておりますので、財政収支試算表をそれと比較してみると、歳入では4年間で試算約4130億円のところが実際は約4288億円で158億円多くなっています。また、歳出では、試算約4582億円のところが約4295億円で約287億円少なくなっています。差し引きでは約445億円の違いが生まれています。市当局は5年間の行財政改善累積効果額を271億円としていますから、それを仮に差し引いても試算と実際の額は170億円から180億円もの乖離があります。
つまり、歳入は小さく、歳出は大きく試算し、財源不足を大きく見積もって、これは大変だ。財源がこんなに足りない。基金がそこをつく。起債制限比率が20%を超えてします。赤字債権団体に転落してしまう。と財政危機をてこにして、市民要求を押さえつけ、市民サービスを切り捨ててきたのがこの4年間の実態です。
新たな財政収支試算表では2002年度から2008年度までの財源不足は321億円として、国の三位一体改革によってはさらに変動するとして、さらなる行革をすすめるとしています。
しかし、本来収入の範囲内に支出を押さえれば、赤字は生まれませんし、現に西宮市は震災後も毎年黒字となっています。西宮市は、2003年度決算見込みでも市税収入は約773億円です。これも恒久減税の影響による減収を含んでです。この間の一般財源は1100億円前後の水準であり、全国的に見てもこれだけの財政的な基盤をもった自治体はそうはありません。震災後の財政の危機的な状況は確かにありますが、4、5年間という期間に300億円を超えるような財源不足、赤字を生み出すことなどありえません。
質問事項
- 第3次総合計画の見直しなど、この間の財政措置は、たとえば未着手の事業については2009年度以降へ繰り延べるなど、しているが、一方では、第1次、第2次の行財政改善計画の名の下、職員の人件費削減、市民サービスの切り下げなどで強行している。財政が厳しい下で、財政再建は当然必要だが、なぜこのような深刻な財政危機を引き起こしたのか、その反省がなければ、財政が好転すればまた同じ轍を踏むことになります。わが党が繰り返し指摘してきたように、復興事業に名を借りた無謀な大型開発に今日の財政危機の原因があることを反省していますか。市長の認識をうかがいます。
- 2003年度までの財政収支試算では約367億円の財源不足としていたが、実際にはさきほど説明したように赤字どころか黒字となっている。財源不足というのは財政危機をあおるための過大な試算ではなかったのか。
- また、2008年度までの財政収支試算では、321億円の財源不足を示していたが、昨日の答弁ですでに財源不足が約41億円改善される見込みとなっている。現時点で試算と現状がいったいどう乖離しているのか明らかにしてください。
3.人口急増の問題について
西宮市の推計人口は、今年8月1日現在で45万8748人となり、いよいよ46万人を超えようとしています。
この間の西宮市の人口推移を見てみますと、1984年に42万人を超え、1994年つまり震災前までの11年間、42万人台を維持し、横ばいの状況でした。そして、阪神淡路大震災により、39万389人へと激減しました。その後、徐々に増え、2000年9月1日の推計人口は42万3523人となり、震災前の人口を回復しました。ところが、一か月後の2000年10月1日に実施された国勢調査で、実際には43万8105人にまで急増していたことがわかったのです。
山田市長は、2001年6月議会において、「市内の人口も、この6月1日には44万3811人となり、震災前と比較いたしまして約2万人の増となっております。これもひとえに市民の皆様のご理解と市議会のご支援、ご尽力のたまものと感謝にたえない次第でございます。」と述べています。また同議会で「人口が増えるということは、町ににぎわいを与えますし、都市の活性化のためには喜ばしいことでございます。特に全国的に少子高齢化が進む中で、比較的若いファミリー層が多く転入されていることは、市全体の人口構成上からも望ましいことと考えております。しかし、一方では急激な人口増のため、すでに保育所の待機児童の増大などの問題が生じておりまして、この対応し特に力を入れて取り組んでいるところでございます」とものべています。
山田市長は当時、一部行政課題についてふれるものの、まさに手放しで人口増を喜ぶという状況であったことを私はよく覚えています。
さてその後の人口急増問題はどうだったでしょうか。
保育所の待機児数は272人、4歳児で幼稚園、保育所に入園していない在宅幼児は296人、特別擁護老人ホーム入所待ち数は1243人など、特に子供たちと高齢者にそのしわ寄せが押し付けられています。
人口急増の原因は、マンション開発によるファミリー層の急激な流入にあります。山田市長は人口増の原因は、「交通の便に加えて、山、海、川の豊かな自然環境、さらに教育、文化といったまさしく文教住宅都市西宮の魅力があることが考えられます」と答えていますが、震災後、マンション開発規制を大幅に緩和したために、マンション開発業者にとって、建設しやすく、儲けになることが、このような状況をつくりだしたのです。
質問事項
- 今年2月発行の「西宮市行政経営改革基本計画」の中で、「少子高齢化や人口の急増による新たな市民ニーズにも対応することができたものと考えている」という評価をしているが、そんな状況にない。いったいどこにそのような根拠があるのか。
- 私は、人口急増問題を解決るためには、ひとつには、現実の人口に見合った市民サービスの充実をはかることだと思いますが、もうひとつは、人口の急増を防ぐことだと思います。それは、適正人口を明らかにすること。人口増をふせぐためにマンション開発規制を震災前なみに戻して強化することだと思います。わが党は一貫して開発規制として、10戸以上のマンション建設について1戸あたり敷地50平方メートル以上を要すること、一定規模以上の開発については開発協力金を求めることなどを提起してきた。6月議会では、市当局は「マンション開発について一定の抑制策を検討してまいりたい」と答えています。6月議会では適正人口について「現時点では50万人程度までが本市の人口規模の目安である」と答えていますが、これはまったく現実を無視した数値ではないでしょうか。現在のサービス提供のできる適正人口はどう考えているのか。また、環境学習都市宣言市の市長として、ちゃんと勉強して住環境保全のためにマンション開発規制を強化すべきではないですか。
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