2.第3次行革について
西宮市当局は11月19日に総務常任委員会に第3次行財政改善計画の説明を行いました。また11月24日の議会運営委員会においても説明をしています。当局資料の概要によると期間は2005年度から2008年度とし、目標は赤字再建団対転落を阻止するとしています。その内容として1つは2005年度から給与等の減額で72億9200万円、正規職削減で24億3000万円など内部管理経費の削減で106億1800万円の効果額とし、2つ目は、2006年度から市民福祉金の廃止で18億円、さらに使用料・手数料の引き上げなどの実施で、計19億9500万円の削減を目標としています。この計画については必要に応じてパブリックコメントを実施するとしています。削減の対象となっている市民福祉金は病気やけがで障害者になった人や父母のどちらか、または両親がいない子どもを対象に福祉金を支給する制度で、「社会保障の理念に基づき、障害者または遺児に、市民福祉金を支給することにより、その生活の安定と福祉の増進に寄与することを目的とする」と条例でうたっています。2003年度実績でも1万7771人もの受給者がいます。もちろん所得制限が設けられています。
市長はこの第3次行革について、市長選挙が終わってからの市長インタービューでにわかに表明しました。このような市民生活にかかわる重要な問題を選挙期間中はだんまりを決め込んで、自分の当選が決まったとたんに発表するのは山田市長らしいやり方かもしれませんが、あまりにも姑息なやり方ではありませんか。自分の政策に自信がないことの表れでもあります。市民の支持が得られないと考えている証拠でもあります。
さて、当然西宮市の財政を放置してよいものではありません。具体的に手を打たなくてはなりません。日本共産党議員団はこの問題について過去なんかにも取り上げ、財政危機の原因が震災復興に名を借りた大型開発にあること、また財政再建は無駄な大型開発をやめることによって、市民犠牲のない再建が可能と指摘や提案を行なってきました。
市長は財政危機の原因をあくまでも経済不況とし、無駄な大型開発にあることを認識も反省もしていません。「行革」も市民の福祉、暮らし、教育予算を削り、大型開発は温存してきました。今回の「行革」も大型開発にはまったく手をつけず、取りやすいところから、弱いところから犠牲にするというものです。市民の福祉や暮らしの予算を切り下げて、財政状況が好転すれば、大手を振ってまたぞろ大型開発を推進しようとする魂胆があらわになっているといわなければなりません。それは投資的事業がまったく対象になっていないことからも明らかです。たとえば、不要普及の阪急西宮北口駅南西部のプレラビルと芸文センターの歩行者用デッキ建設、都市計画道路の市役所前線、西福河原線等の凍結、中止はありません。さらに、阪急甲陽線の地下化や同今津線立体交差事業はあくまでも進めるとしています。
この第3次行財政「改善」策定に当たって根拠としているのが、2004年2月に発表した「西宮市財政の現状〜西宮市の財政を考えるV-1〜」の財政収支試算です。これによれば2008年度までに財源不足額が321億円に達するというものです。この「財政を考える」の内容は従来のものもそうでしたが、上っ面だけを述べているだけの無責任なものです。
実際の財政状況はこんなものではなく、たとえば、2003年度決算を見ても決算剰余金が4億500万円その上に基金取り崩しを全額やめて、財政計画よりも21億8200万円改善しています。9月議会で明らかになったように321億円の不足はまったく根拠を失っています。このように実態を正確に表していないものを持ち出してきて、財政難だから市民サービスも切り捨てるではだれも納得がいきません。
<質問事項>
- 市長選挙後に発表したのは、なぜか。また、市長の選挙公報では市民サービスの維持向上とあるが、市民を欺いたことになるのではないか。
- 321億の資金不足は先ほど述べたように根拠がない。実際の推移はどのように考えているのか。
- パブリックコメントを実施するとしているが、市長選挙における公開質問状を拒否するような市長では、意見を言っても聞いてもらえないという危惧があるが、計画の根本的見直しなど、どのように保障するのか。
- 職員の給料や退職金は削減するとしているが、一期目の市長の退職金はもうすでに受け取っているが、晴れ晴れした気持ちで受け取れたか。また、2期目の退職金も報酬削減に影響されずに、満額支給されるが、たった4年で約3000万円は市民感情からも理解されない。廃止するべきではないか。
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