1.コミュニティバスとバス路線の充実について
バス事業は、高齢者の移動手段の確保や環境対策の面からも、21世紀の持続可能な交通手段として、鉄道とともに、交通政策や街づくり計画に位置づけられるのが、世界の大勢となっています。
最近の乗り合いバス乗客数は、最盛期だった1968年の半分以下にまで減っています。バス輸送人員とマイカー保有台数を1968年と2001年で比較すると、バス輸送人員は99億人から46億人と半分以下となり、マイカー保有台数は172万台から4210万台と、約24倍になっています。モータリーゼーションの急速な発展がバス事業を衰退させたことがあきらかです。このような結果、自動車の運転免許を持たない高齢者や子どもたちが交通弱者として移動手段に大変不便な思いをしています。高齢者は一般に、加齢とともに脚力、視力、聴力などの身体機能が低下し、移動の際には、階段の昇降、段差の乗り越えなど、物理的に大きな制約を受けることになります。高齢者世帯の増加により、高齢者のみで外出する機会が増えれば、行きたいところへ自由に行けないという移動制約の問題が社会的にますます大きくなるものと考えられます。
1998年度内閣府がおこなった「高齢者の日常生活に関する意識調査」によれば高齢者が外出する時の障害として (1)道路に階段、段差、傾斜があったり、歩道が狭いこと (2)交通事故が心配 (3)バス、電車など公共の交通機関が利用しにくい等があげられています。これらの改善は、高齢者のみならず全ての人の外出機会を増加させることにつながります。このような点から今、地方自治体では地域巡回バス(コミュニティバス)が多数運行されています。
さる10月31日にバス交通不便地域の充実、地域巡回バスの実現めざして「西宮市内のバス問題を考える会」の設立総会が開催されました。「市内には東西にJR、阪神、阪急電車が走り、大阪や神戸に通勤や遊びに行くのは便利だが、市内交通のなかでの地域間の移動が特別に不便、巡回バスがあればどれだけ助かるか。」「2時間に1本しかバスが来ない地域があり、これは人の自由を阻むものであり、生存権にかかわるのではないか」との声もでました。北部地域では「幹線道路にはバスは走っているが、急な坂道を上がっていく団地にはバスがない、北部から南部に通学する高校生は時間と多額の交通費に大変な思いをしている、また、バスもタクシーも山間料金で高いこと、買い物も車で行かなければならず、高齢化で運転できなくなればたちまち困る。阪急が開発したところにはバス路線があるが、それ以外はない」「西宮浜では浜の施設では不十分なため市街地に出かけるのに往復420円のバス代が負担になっている」など切実な現状が話されました。私の地元の鳴尾、高須地域でもバス路線が阪神甲子園駅、JR甲子園口駅を拠点にしているため、「目的地に行くのに何度もバスを乗り継がねばならないので不便」高齢者は病院に行くのにタクシーを利用している人が多く、「年金生活で交通費が大変という声」が聞かれます。
このように、バス路線の拡充や地域巡回バスを要望する市民の声はますます大きくなってきています。バスによる移動は高齢化社会を迎え市民の足としても重要度を増しています。また交通渋滞や排気ガスなどの環境対策としてもその重要性が高まってきています。病院、公共施設、買い物ができるところをめぐる地域巡回バスの要望は、高齢者だけでなく、障害のある人や赤ちゃんを連れた若いお母さんたちの願いでもあり、全市的にコミュニティバスを走らせてほしいという要求が高まっています、市として市民の声に応えるべきではないでしょうか。
<質問事項>
- 尼崎市、神戸市では市バスがあります。高齢者には無料パスがあり、気軽にバスを利用して外出されています。2003年9月議会でわが党の上田議員が、西宮浜の問題を取り上げ、100円で乗れる地域巡回バスの実現をと質問しました。その質問に答えて都市局長が「コミュニティバスの運行事例を見ても、ほとんどの自治体が実績のあるバス事業者に運行を委託している、運行主体のあり方や経費の削減方法などにつきましては、今後とも幅広く検討してまいりたいと考えております。」と答弁しました、現在までどのように検討したのか。
- 1期目の市長当選後12月議会の施政方針でやるといったコミュニティバスの導入には具体的に何もしてこなかったこの理由はなにか。また採算性に問題があるとした南北連絡バスを今回の選挙公約にあげているが、これはいつまでに実現させるのか。
- バス路線がなく交通不便な地域には新規のバス路線を拡充すべきだが、どう具体化するのか。
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