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定例議会

2005年12月議会

佐藤みち子議員の一般質問
  1. 障害者「自立支援」法について
  2. 介護保険について
  3. コミュニティーバスについて

1、障害者「自立支援」法について

  障害者「自立支援」法は、かつて国会が経験したことのない障害者の注目、不安の声、抗議の行動につつまれるなか、10月31日の衆院本会議で自民党、公明党の賛成で成立しました。
現行の障害者福祉(支援費制度)は、収入に応じた負担方式(応能負担)によって低く抑えられ、ホームヘルプサービスや通所施設は95%の人が、無料で利用しています。これを「自立支援」法は、サービス利用は障害者が「利益」を受けることだとして「応益負担(1割の定率負担)にかえます。
 わかっているのは、負担は障害が重いほど、高くつくことです。障害者と家族にとっては過大な負担になることは間違いありません。もともと応益負担は、障害者福祉とは相いれない、最悪の負担方式です。それは第一に、障害が重く、多くのサービスを必要とする人ほど、多くの負担金の支払いが求められることです。これは「障害が重い」ということだけで、特別に税金を上乗せするようなものであり、障害がゆえの苦しみをさらに増幅させるものです。

 実際に障害者・家族はこの負担に耐えられるのでしょうか。NPO法人大阪障害者センターが実施した「障害者の社会的支援ニーズ実態調査」で、家計における収入・支出の実態ですが、まず、生計の中心者は「父親」が79.5%、「母親」が10.2%、「障害者本人」が4.9%となっています。母親が生計中心者であるという割合が、1割近くになっているのが特徴的です。本人の収入については、公的現金収入が月額「10万円未満」95.1%となっており、障害基礎年金中心の水準と予測されます。また、作業所等での収入は「年10万円未満」が76.6%とほとんどの人が、月額平均1万円前後の賃金でしかないのが現状です。一方、支出面については、社会的サービスの利用料が「月1万円未満」で51.4%、「3万円未満」が30.9%、「3〜10万円未満」が16.3%、「10万円以上」が1.4%となっており、応能負担制度のなかで、利用料負担が一定軽減されている側面もうかがわれます。しかし、障害があるがゆえに、必要となる特別な経費では「ガソリン代」41.3%、「外出経費」26.4%、「医療費」「通院交通費」「水道代」「おむつ代」などが上げられ、「福祉サービス利用外の経費」が家計を圧迫している実態は、障害が重ければ重いほど深刻になっているのです。

 個別の例では、45歳 男性 一人暮らし。収入は障害厚生年金、約10万円、特別障害者手当、2万7000円、生活保護費が2万5000円です。介護保険では要介護1に認定されています。今は、ホームヘルパーを週に5時間、ガイドヘルパーを月30〜40時間利用して、負担はありません。しかし移動するためのタクシー代や内部疾患があるため、室内の温度を一定に保つために、電気代が月5000円。また、水道代が2ヶ月で1万円かかります。

 45歳 男性 一人暮らし。収入は、障害年金1級で年間99万円、特別障害者手当2万7000円、難病手当、市民福祉金です。1ヶ月、30時間ガイドヘルパーを利用しています。移動はヘルパーさんが一緒のときは、電車を使い、一人のときは、タクシーを利用しています。家賃が高くて、光熱費を入れて約8万円。支援費制度では、利用料はゼロですが、自立支援法では、新たに負担がかかります。
入所施設では、新たに障害程度区分で障害を判定しますが、その基準が不明です。たとえば、重症心身障害児施設の砂子療育園では、この区分で、医療が必要ない生活介護と認定される人が、全体の4分の1、約180人が対象になるが、この人たちがどうなるのか、今の時点では、わからないとのこと。わかっているのは、今は3万4000円の負担ですが、入所施設では、月2万5000を残すと、厚生大臣が答弁しているように、障害年金1級の人は、5万9000円に負担が増えることになることです。
在宅の人も、入所の人も、また施設関係者も、不安だらけではないでしょうか。

  さらに、精神障害者通院公費負担制度は、これまで5%の自己負担でしたが、育成医療、更生医療と同じ1割の応益負担に変更されます。
  福祉サービスの利用は、障害者が地域のなかで生きていくこと、社会参加をすすめていく上で必要不可欠のものです。そんな福祉サービスに応益負担を導入することは、障害が重度であることへの二重の苦しみを課すものです。裕福な家庭に生まれた障害者とそうでない障害者との間の不平等を助長し、社会参加等への機会格差を広げることになります。このような負担方式を「福祉」という名で行うことは、社会福祉の理念を大きくゆがめることになるのではないでしょうか。
 
質問:

  1. 障害者本人や家族に大きな不安が広がっています。西宮市の障害者と家族の生活実態を正確に把握するべきではないでしょうか。
  2. 障害者の実態を考慮して、新たな障害者施策、たとえば、市独自の負担軽減措置が必要ではないのでしょうか。
  3. 障害者自立支援法では、障害者の自立を支えることは到底できません。市として法の施行凍結を、国に求めるべきではないでしょうか。
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2、介護保険について

 介護保険が実施されて5年半が経過しました。また介護保険の改定が行われ10月から一部実施されています。その内容は、(1)現在の介護報酬から、施設等の居住費、食費に要する費用を削減する。(2)それぞれの施設・事業所ごとに、利用者との間で居住費・食費を決めて徴収する。の二つを柱にしています。西宮市でも、西宮市立デイサービスの食材料費が400円から食費600円に、老人保健施設すこやかケア西宮では、光熱水費相当の居住費として1日320円、食費日額1380円の新たな自己負担を求め、月額では居住費で約1万円、食費で約4万2000円の負担増になります。民間事業所では、それぞれの契約によるため、その負担は青天井と心配されています。介護保険見直しとは名ばかりの大改悪ではないでしょうか。

  介護保険の導入時、政府はその目的を「家族介護から社会が支える制度へ(介護の社会化)、「在宅で安心できる介護へ」、「サービスが選択できる制度へ」などとさかんに宣伝しました。「老老介護」の広がりや、家族の介護のために職場をやめなければとされる女性を中心に、深刻な家族介護の実態を解決することが、介護保険制度にたいする国民の期待でした。今回の改定では、介護保険導入時に盛んに言われた、「介護の社会化」という言葉が姿を消し、「自立・自助」の方針が前面に出てきたことです。今までも、重い利用料負担によって、サービスの利用を控えざるをえない問題が、指摘されてきましたが、サービスの利用が、利用者の状態や必要性からではなく、経済的な負担能力によって決まってしまう事態が、いっそう広がっていくのではないでしょうか。

  これは財界主導の「介護保険見直し」が具体化されてきたものです。日本経団連は、2004年4月に「介護保険制度の改革についての意見」を出し、社会保障の「高コスト構造」の「是正」と新たな介護市場の創出を要求しました。財界の要求に、政府は、年金、医療、介護を「総合化」させ、社会保障分野における公的財源のさらなる縮小と市場化をすすめる「改革」にむけて、その牽引役に介護保険を位置づけてきました。

  本来、制度の見直しは、最低限必要な介護を受けられずに苦しんでいる人たちを救うためにおこなわれるべきものであり、その中心には、高齢者障害者をはじめとした「社会的弱者」がすえられなければなりませんでした。しかし今度の制度改定でも、多くの高齢者は自分たちの生活が、どのように変るのか知らされないままに決められたのです。     
新たな利用者負担は、施設からの退所、サービス利用の手控えなど、利用者に深刻な影響をもたらしています。 

 そして、来年4月の第1号保険料の改定では、どこの市町村でも、大幅な値上げが予想されています。西宮市でも西宮市高齢者保健福祉計画・西宮市介護保険事業計画の素案で、保険料を第6段階と第7段階の2案を設定し、現行の保険料の基準額2934円が4200〜4300円と約1.43倍の値上げが示されていますが、低所得者に対する減免制度を拡充するとともに、国に対しても国庫負担の割合を30%に戻すように、市としても要求すべきではないでしょうか。

  介護保険料は大幅に引き上げながら、介護サービスは食費・居住費の大幅負担増、軽度認定者はサービス利用が制限される、高齢者のなかには、「これでは保険料詐欺」だという声までおこっています。「介護保険で老後は安心」などという人は、いなくなりつつあります。

  また、大幅な介護報酬の削減は施設・事業所の経営を直撃しています。施設入所者の重度化が、いっそう進行しているなかで、きびしい職員体制で、ケアの質の向上に、奮闘している現場の職員の努力に、何ら報いるものではありません。逆に、いっそう現場の矛盾を深め、施設経営にも困難をもたらすものです。西宮市内にある特養ホームの施設長も、「お年寄りには負担増、施設は報酬減で何も良いことはない、この先、施設が維持できるのか、正規職員をパートにしなくてはやっていけない」と、高齢者だけでなく、施設側にも不安が広がっているのが実態です。事業費用の大部分は人件費であることから、介護報酬の大幅な削減は、非正規職員の拡大を促進することにつながります。

  在宅介護を支える、ホームヘルパーの圧倒的多数は、非正規労働者である「登録ヘルパー」です。ヘルパーは1件でも多くのケースをこなすため、昼食も公園のベンチや車中でとらざるを得ないような状況ですが、それでも月収10万円に満たないという人がほとんどで、仕事に比べて賃金が安いために、やめていく人が後をたちません。ヘルパーの多くは無権利状態に置かれたままで、今回の法改定でもなんら変りません。さらに社会福祉施設職員の退職金制度にたいする公的助成を廃止しました。
 
質問:

  1. 食費・居住費の自己負担を軽減するために、市独自の減免制度を設けるべきではないでしょうか。
  2. 食費・居住費の新たな負担で高齢者や家族のなかでは、利用料を払い続けることができるのかと、不安が広がっています、日本共産党は、9月29日山田市長に、市として、入所者の実態や具体的な影響を調査すべきではないか。と申し入れをしましたが、その結果はどうなっているのでしょうか。
  3. 来年度の保険料改定にあたっては、より所得に応じた負担とするために保険料段階を増やすとともに、低所得者の減免を拡充すべきではないでしょうか。
  4. 「福祉は人」といわれているように、介護労働者の労働条件や待遇の改善は、介護を受ける人が、幸福に生活できるようにするうえで不可欠の課題です。しかし、登録ホームヘルパーは、制度発足当初より、移動や待機時間、交通費が支払われずに、利用者の家に直帰、直行型が多く、介護時間のみの報酬しか払われず、低賃金の上、労働者としての権利が守られていません。福祉の仕事を志したにもかかわらず、あまりの労働条件の劣悪さに、辞めていく労働者が後を絶ちません。市としても労働者の実態を把握し、ひどい労働条件の改善をしていくために、支援が必要ではないでしょうか。
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3.コミュニティーバスについて

 「電車の駅まで遠い、バスが1日に1本か2本しか走っていない、買い物にも病院へ行くのも大変不便です」と、交通不便地域の方の切実な要望もあり、日本共産党は本会議で何回もバス問題について、質問をしてきました。

  昨年の10月31日にバス交通不便地域の充実、地域巡回バスの実現目指して、「西宮市内のバス問題を考える会」が設立され、結成1周年を記念して11月23日に勉強会と総会が開かれました。地域の自治会、老人会、行政や議会各会派、西宮商工会議所、学校関係、バス事業者、労働組合など約150団体、個人に呼びかけ、当日は、行政、自治会関係者、老人会、高校生、市民など45人が参加され、私も参加しました。

 また、当日は老松町、今津真砂町、甲山高校生、北部地域から、それぞれの地域の実態が報告されました。甲山高校生からは、「北部の人は、地域に高校がないために、市立西宮高校、県立西宮高校に通学しているが、交通費が年間10万円から15万円もかかっている、この不況の中で学費も含めて親の負担が大変、バスが通れば北部の人が甲山高校に通学できるのに、自分たちより後輩のためにもバスを」と訴えがあり、この運動が高校生も含めて市民的に、大きく広がってきているのを実感できました。

 北部地域の人は「坂道が多くて不便である。身近なバスがあれば助かる。JR宝塚駅まで行きは歩き、帰りは坂道のためタクシーを利用して800円かかる。タウンミーティングがあって、市長にバス問題を訴えたが、市長からは快い返事はなかった。北部は忘れられているのではないか」の発言もありました。

 市は2005年3月に南北バス、コミュニティーバス、JR甲子園口駅のバリアフリー化の問題を検討するために、交通政策課題検討委員会を庁内に設置しました。5月12日に第1回検討委員会、6月17日に第2回検討委員会を開催しています。しかしこの検討委員会が、市長の公約である南北バスとコミュニティーバス、特にコミュニティーバスについては、実現の可能性について検討していると6月議会で、わが党上田議員の質問に答えています。何回も言いますがこれは市長の公約です。実現の可能性ではなく実現させることが1番の目的ではないでしょうか。

質問:

  1. 交通政策課題検討委員会で、南北バス、コミュニティーバスについて、導入の可能性について、今年度を、めどに市として一定の考え方を整理したいとしているが、現在の状況はどうなっているのでしょうか。
  2. 西宮市は交通不便地域として11地区、約6平方キロメートルを上げています。明確な定義はないとしながら、バス停から300メートル、鉄道駅から500メートル、人口2000人以上とし、何らかの対策が必要な地域としています。しかし、バス停があっても、1日にバスが1〜2本であったり、坂道が多いなど、実際に不便を感じている住民もいます。実態を調査し、市として明確に交通不便地域を考えるべきではないでしょうか。
 
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