1、市民の福祉サービスを切り捨てる「第3次西宮市行財政改善実施計画」(改訂)と財政計画について
9月議会の総務常任委員会所管事務報告で、第3次西宮市行財政改善実施計画(平成18年度以降実施項目の具体化・追加による改訂(素案))が示されました。
改訂素案では次のように述べています。西宮市は、赤字再建団体への転落も危惧されるという財政の危機的状況に対応するため、2005年2月に人件費等内部管理経費の削減を中心に「第3次行財政改善実施計画」を策定し実施することで、赤字再建団体への転落を回避するとしてきたが、なお、財源不足解消に至らず、加えて、普通地方交付税額の大幅減額など、財政状況が一段と厳しさを増しているため、見直し項目の更なる具体化・追加を行なう必要がある。今回の改定分実施により13億8600万円の効果額があるが、なお2008年度末には150億円の財源不足になる。このように強調しています。
以上の理由で、2006年度以降、市長等特別職の退職手当の見直しなどもあげられていますが、そのほとんどが市民サービスの切り捨てとなる、今回の素案を発表したのです。
その中身は、(1)節目の年のみに限定した敬老祝い金を一切廃止するなど敬老事業の廃止見直し (2)西宮市単独扶助費の廃止・見直しとして、重度心身障害者児介護手当の減額、特定疾病患者見舞金減額、身体・知的・精神障害の方及び、母子・父子・遺児家庭への給付金の廃止、原爆被爆者扶助費の廃止、生活保護受給者への夏・冬見舞金と上下水道基本料金の免除の廃止 (3)保育所の民営化の推進や公民館登録グループの使用料50%減免の廃止などとなっており、これらはいずれも市民サービス、なかでも特に「生きていく為のくらしの支え」をきり捨てるものです。福祉の増進を目的とする地方自治体として、絶対手をつけてはいけない「社会的弱者切り捨て」そのものといわなければなりません。これには、与党の議員からも、「弱い者いじめだ」「着ている布団をはがすようなもの」と批判の声があがるほどのひどさです。
日本共産党議員団は11月4日、福祉を切り捨てる「第3次行革」(改訂素案)の撤回を求める申し入れを、山田市長あてに行なったところです。
去る11月25日に開催された総務常任委員会では、9月26日から10月25日まで、素案に対してパブリックコメントを実施した結果が報告されました。237人の市民から419件にのぼる意見が寄せられ、その多くが反対の意見だったということです。ところが素案に対する反映は全くなく、無修正で「素案」から「計画」に決定したとの説明でした。委員の多くから「何の為のパブリックコメントか」「はじめから結論ありきじゃないか」など市民参画を否定する市当局のやり方に批判の声があったのは当然であります。
市民に対してはまさにポーズだけのパブリックコメントを実施した市当局は、議会に対してはどうだったでしょうか。今回の改定素案が公表され、パブリックコメントを実施すると説明したのは9月議会の総務常任委員会です。当然その結果は総務常任委員会に報告され、そこでの意見も参考にして市としての方針を決めていくのが筋ではないでしょうか。しかし、その結果の報告が議会に正式にされたのは、11月25日の総務常任委員会であり、前日の24日、12月議会の議会運営委員会では、すでに関係議案が提案されていたのです。 このようにみてくると、今回の「第3次西宮市行財政改善実施計画」(改訂)素案から、正式に「計画」として決定された経過は、急いでことを強引に進める為に、異例としかいいようのないものであるといわなければなりません。
今回の私の質問は、以上の通り弱者を切り捨てる「行革」の撤回を求めるとともに、市民参画のありかた、財政問題等について、以下質問を行ないます。
質問
- 本共産党議員団は、「第3次行革」改定案について撤回を求めていますが、仮に今回の計画が強行された場合、特に市民福祉金の廃止・見直しにより影響を受ける世帯数や人員、また、生活保護受給者の水道料金等免除の該当世帯数と人数はどれだけか。また、どのような影響を予測しているか。あらためて、なぜこの分野を切り捨てる計画となったのか。
- 「パブリックコメント手続き実施要綱」では、第1条目的に「市民の市政への参画を促進する」とうたい、第2条では、市民等から提出された意見を検討考慮した上で意思決定を行なうとしている。しかるに今回はこの要綱の趣旨に沿って進められたとはとうてい思えません。市民に結果を公表したのも、11月15日にすでに行政内部で計画決定を行い、12月議会に上程する議案書まで作成した上で、 日付けの市政ニュースに載せ、11月25日に総務常任委員会への報告を行なうというつじつまあわせです。まじめに意見を寄せた市民を裏切り、議会をも無視した今回の手続きといわざるを得ない。これでは「パブリックコメント手続き実施要綱」違反ではないのか。
- 計画強行の根拠が、「財政収支試算表」で2008年度末に150億円の財源不足になるとしている。本当にそうでしょうか。歳入では、今議会の補正予算案で市税収入を6億円増と上向きに修正するとともに、来年度以降景気の回復を見込んだ収入増や、国で審議されている各種控除の見直し等で市税収入増、さらに毎年の決算剰余金約20億円、4年間で80億円は財源不足を解消する重要な要素であるにもかかわらず、試算表には反映されていない。さらに歳出で、大型公共事業の更なる見直し・平準化等を行なえば、必要経費は極力抑えることが可能であると考えます。以上のことから、150億円の財源不足論は破綻していることは明白である。「財政収支試算表」の信頼性についてあらためて聞きたい。
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