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定例議会

2005年12月議会

上田さち子議員の一般質問
  1. 市民の福祉サービスを切り捨てる「第3次西宮市行財政改善実施計画」(改訂)と財政計画について
  2. 不急事業の阪急今津南線高架について
  3. 特定優良賃貸住宅空家の公営住宅転用について

1、市民の福祉サービスを切り捨てる「第3次西宮市行財政改善実施計画」(改訂)と財政計画について

 9月議会の総務常任委員会所管事務報告で、第3次西宮市行財政改善実施計画(平成18年度以降実施項目の具体化・追加による改訂(素案))が示されました。
 改訂素案では次のように述べています。西宮市は、赤字再建団体への転落も危惧されるという財政の危機的状況に対応するため、2005年2月に人件費等内部管理経費の削減を中心に「第3次行財政改善実施計画」を策定し実施することで、赤字再建団体への転落を回避するとしてきたが、なお、財源不足解消に至らず、加えて、普通地方交付税額の大幅減額など、財政状況が一段と厳しさを増しているため、見直し項目の更なる具体化・追加を行なう必要がある。今回の改定分実施により13億8600万円の効果額があるが、なお2008年度末には150億円の財源不足になる。このように強調しています。
  以上の理由で、2006年度以降、市長等特別職の退職手当の見直しなどもあげられていますが、そのほとんどが市民サービスの切り捨てとなる、今回の素案を発表したのです。
その中身は、(1)節目の年のみに限定した敬老祝い金を一切廃止するなど敬老事業の廃止見直し (2)西宮市単独扶助費の廃止・見直しとして、重度心身障害者児介護手当の減額、特定疾病患者見舞金減額、身体・知的・精神障害の方及び、母子・父子・遺児家庭への給付金の廃止、原爆被爆者扶助費の廃止、生活保護受給者への夏・冬見舞金と上下水道基本料金の免除の廃止 (3)保育所の民営化の推進や公民館登録グループの使用料50%減免の廃止などとなっており、これらはいずれも市民サービス、なかでも特に「生きていく為のくらしの支え」をきり捨てるものです。福祉の増進を目的とする地方自治体として、絶対手をつけてはいけない「社会的弱者切り捨て」そのものといわなければなりません。これには、与党の議員からも、「弱い者いじめだ」「着ている布団をはがすようなもの」と批判の声があがるほどのひどさです。

 日本共産党議員団は11月4日、福祉を切り捨てる「第3次行革」(改訂素案)の撤回を求める申し入れを、山田市長あてに行なったところです。
去る11月25日に開催された総務常任委員会では、9月26日から10月25日まで、素案に対してパブリックコメントを実施した結果が報告されました。237人の市民から419件にのぼる意見が寄せられ、その多くが反対の意見だったということです。ところが素案に対する反映は全くなく、無修正で「素案」から「計画」に決定したとの説明でした。委員の多くから「何の為のパブリックコメントか」「はじめから結論ありきじゃないか」など市民参画を否定する市当局のやり方に批判の声があったのは当然であります。
  市民に対してはまさにポーズだけのパブリックコメントを実施した市当局は、議会に対してはどうだったでしょうか。今回の改定素案が公表され、パブリックコメントを実施すると説明したのは9月議会の総務常任委員会です。当然その結果は総務常任委員会に報告され、そこでの意見も参考にして市としての方針を決めていくのが筋ではないでしょうか。しかし、その結果の報告が議会に正式にされたのは、11月25日の総務常任委員会であり、前日の24日、12月議会の議会運営委員会では、すでに関係議案が提案されていたのです。 このようにみてくると、今回の「第3次西宮市行財政改善実施計画」(改訂)素案から、正式に「計画」として決定された経過は、急いでことを強引に進める為に、異例としかいいようのないものであるといわなければなりません。

 今回の私の質問は、以上の通り弱者を切り捨てる「行革」の撤回を求めるとともに、市民参画のありかた、財政問題等について、以下質問を行ないます。

質問

  1. 本共産党議員団は、「第3次行革」改定案について撤回を求めていますが、仮に今回の計画が強行された場合、特に市民福祉金の廃止・見直しにより影響を受ける世帯数や人員、また、生活保護受給者の水道料金等免除の該当世帯数と人数はどれだけか。また、どのような影響を予測しているか。あらためて、なぜこの分野を切り捨てる計画となったのか。
  2. 「パブリックコメント手続き実施要綱」では、第1条目的に「市民の市政への参画を促進する」とうたい、第2条では、市民等から提出された意見を検討考慮した上で意思決定を行なうとしている。しかるに今回はこの要綱の趣旨に沿って進められたとはとうてい思えません。市民に結果を公表したのも、11月15日にすでに行政内部で計画決定を行い、12月議会に上程する議案書まで作成した上で、  日付けの市政ニュースに載せ、11月25日に総務常任委員会への報告を行なうというつじつまあわせです。まじめに意見を寄せた市民を裏切り、議会をも無視した今回の手続きといわざるを得ない。これでは「パブリックコメント手続き実施要綱」違反ではないのか。
  3. 計画強行の根拠が、「財政収支試算表」で2008年度末に150億円の財源不足になるとしている。本当にそうでしょうか。歳入では、今議会の補正予算案で市税収入を6億円増と上向きに修正するとともに、来年度以降景気の回復を見込んだ収入増や、国で審議されている各種控除の見直し等で市税収入増、さらに毎年の決算剰余金約20億円、4年間で80億円は財源不足を解消する重要な要素であるにもかかわらず、試算表には反映されていない。さらに歳出で、大型公共事業の更なる見直し・平準化等を行なえば、必要経費は極力抑えることが可能であると考えます。以上のことから、150億円の財源不足論は破綻していることは明白である。「財政収支試算表」の信頼性についてあらためて聞きたい。
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2、不急事業の阪急今津南線高架について

 去る11月28日、建設常任委員会が開催され、「阪急今津線の立体交差事業について」報告がありました。この件で正式な議会への報告はこれが初めてです。事業の目的は、阪急西宮北口駅南で阪急今津線と県道西宮豊中線、通称球場前線が交差する踏切を解消して立体交差し、駅南地区の道路交通の安全性や円滑化、今津線の東西地区における土地利用の一体化の促進等としています。説明では、2006年度は詳細設計に入り、2007年度より4ヵ年の工事に着工するということでした。
  当日はこれまでの検討経過が報告されましたが、当初検討案では、西宮市が事業主体となり「限度額立体交差事業」で、総事業費75億円のうち60億円が市負担。中間検討案でも西宮市が事業主体で、地方単独事業・引込み線は残したままで営業線のみの片線高架方式、事業費は48億円で内16億円が市負担。そして現在検討案では、駅改良事業と街路事業の分割方式で、事業主体は決まらず調整中、事業費は総額で35億円のうち市負担は9億円、阪急は49%の17億円の負担となっています。
  日本共産党議員団は安全性等から高架事業そのものに単純に反対するものではありませんが、本来の高架事業であれば、都市側の必要性から交通渋滞の解消と道路の直進延長を促進する為、事業費も国・県・市がほとんどを負担し、鉄道側が10%を負担し協力するというのが通例です。このことからも今回の立体交差事業が、球場前線の東伸(東への延長)計画のあいまいさや、事業費などの負担割合から、いかに異常な計画かが計り知れるのではないでしょうか。2転3転して、当初の南西地区土地区画整理事業の関連性もなくなり、はっきり見えてきたのは、阪急が西宮スタジアム跡地に展開しようとしている大型商業施設の計画が浮上してきた為に、これにあわせて急きょ事業化を進めるということだけです。まさに、阪急の為の事業だといわなければなりません。
  当初60億円の市負担が9億円まで圧縮できた、だからこの時期にということでしょうが、私たちには、立体交差事業の必要性も緊急性も全く感じられません。阪急の開発の為に高架が必要であれば、阪急が独自で高架事業を実施すべきで、「金がないから」と市民サービスを徹底的に切り捨てる西宮市には、わずか1日3000台の交通量しかない球場前線の高架事業のための財源などないはずです。この時期に阪急今津南線高架事業はやるべきじゃないという立場から、次に質問します。

質問:

  1. 現在検討案では、引込み線を残す、つまり踏切を残したまま高架事業を行なうとしている。このような変則的な事例があるのか。また、1日の踏み切り通過交通量は3000台、渋滞もなく交通事故もありません。現在の平面交差のままで、いったいなにが問題なのか。
  2. 阪急が総事業費の49%・17億円を負担する確約もなく、駅改良事業採択についても不確定要素もあり、4億円の国の補助金も不透明である。従って市負担の上限は9億円だとする保障も全くない。将来、結局市が重い負担をしょわされる危険性をはらんでいる事業である。全市的な幹線道路の状況から、また市の財政状況から、阪急今津線高架事業の必要性や緊急性についてはないと考えるが、市の見解を聞く。
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3.特定優良賃貸住宅空家の公営住宅転用について

 私のこのテーマでの一般質問は2002年12月議会に続き2回目の本会議質問となります。中間所得層を対象に当時の建設省が推進した特定優良賃貸住宅、西宮市ではタイアップ住宅といわれていますが、家賃が平均で13万5000円という高額のため、空家が増えつづけ大問題になっています。震災後、民間の土地所有者をオーナーとして、共同賃貸住宅建設時に一定の税金をつぎ込み、入居者には公費で家賃を補填する家賃減免制度、オーナーには契約賃料を空家分も含めて全額補償するというシステムでスタートしました。現在、西宮市都市整備公社が管理しているのは、市内の20団地484戸ですが、このうち30戸前後が常時空家となっています。昨年来、空家対策として公社独自に1戸あたり1万2000円から1万5000円の家賃特別減額をを実施していますが、空家解消の兆しは見えません。
  国土交通省は2004年4月、「特定優良賃貸住宅供給促進事業等補助要領」で、特定優良賃貸住宅を用途変更のために廃止ができる、という方針を出しました。条件は社会・経済情勢の変化等により空家となって3ヶ月以上入居者がないもので、公営住宅として管理されるものであることとなっています。
  この要領に基づき、市内の県管理分津門大塚町のフレシア西宮など5団地・109戸がすでに県営住宅に転用され一般公募で入居者を決定し、入居をすすめています。2年前の質問時と比べて状況は大きく変わってきています。
  このまま空家について家賃保障をオーナーに続けるだけの体力が、都市整備公社にはないのではないでしょうか。一方で、市営住宅入居希望者は多く、倍率は上がるばかりです。有効活用を図るべきです。

質問:

  1. 都市整備公社特優賃事業会計では、積立金を取り崩して空家の家賃保障をオーナーに行なっていますが、前回の答弁では、「2004年から2005年度で、積立金をすべて取り崩すことになる」としていたが現状はどうか。また、今後このままの制度で行くなら、空家に対する家賃保障財源をどうするつもりか。
  2. 県と同様に、西宮市の管理分についても空家の公営住宅への転用を行ない、有効活用を行なって家賃収入をはかるべきと考えるがどうか。他に空家解消策はあるのか。
 
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