7.高校教育改革と総合選抜制度について
最後に、高校教育改革と総合選抜制度についてです。
昨年3月議会一般質問で、私は県立西宮今津高校の総合学科高校への改編問題を取り上げました。
現在、県教育委員会は、高校教育改革をすすめています。その内容は、魅力ある学校づくりと称して単位制や総合学科など新しいタイプの学校を設置し、普通科などの特色化をすすめる、選抜制度の改善と称して複数志願選抜・特色選抜の導入する、望ましい規模と配置と称して、高校の統廃合をすすめるというものです。この西宮では、普通科高校を総合学科に改編すること、総合選抜制度を廃止して複数志願選抜・特色選抜を導入することをすすめています。
これに対して西宮市教育委員会はどういう態度をとっているのか。総合学科高校の設置については認めています。2004年度には市民意識調査で総合選抜制度について調査をしています。その結論として2005年度教育委員会行政方針は、「小・中・高等学校の連続した視点から子供たちの進路を考える公立校連携協議会の中間報告を受け、新年度はさらに高等学校の特色化や選抜制度のあり方等を研究してまいります」としています。まさに県教育委員会につき従う姿勢です。
高校教育改革については、昨年10月8日、市教委・中学校校長会・PTA協議会の主催で、杉本兵庫県教育次長の講演会が行われ、市教育委員会の職員や教員、PTAなどが参加をしています。ところが、内容がさっぱりわからないとPTAのみなさんから批判が起こり、この間、いくつかの地域で市教委が説明会をやりなおしているとのことです。県の教育次長が説明してもわからないような内容なのでしょう。
まず、総合学科高校についての質問です。県教育委員会はどの普通科高校を総合学科高校に改編するのか、校名は発表していません。しかし、西宮今津高校の校長が名乗りを上げており、西宮今津高校をまもろうという運動も取り組まれています。その趣旨は、まず県教育委員会は説明責任を果たしなさいというものです。私は当然のことだと思います。
<質問事項>
- 西宮学区でなぜ普通科高校をつぶしてまで、総合学科高校をつくらなければならない理由はなにか。明確に説明してください。
- 総合学科高校への改編について、西宮今津高校の校長が名乗りをあげていますが、正式にはまだ県教育委員会は校名を発表していません。現時点でも西宮市議会にはなにひとつ報告も説明もありません。地元への説明もありません。ましてや地元の合意もないのに、一方的に県教育委員会が決定することはあってはならないと思いますが、どうか。また、このような状況からも、市教育委員会として総合学科高校の設置は直ちに拒否すべきだと思うが、どうか。
次に総合選抜制度についての質問です。
私は、市教委は「はじめに複数志願選抜導入ありき」の態度だと思います。
市民意識調査の結果からも、うかがえます。
総合選抜制度の評価の項目についてですが、結論を「改善派が最も多く、否定派が肯定派を上回る」としています。「よい制度なので現状のままでよい」が12.5%、「よい制度だが改善すべき点がある」が36.2%です。つまり、「よい制度」だと48.7%が認めているのです。
また、総合選抜制度の具体評価の項目では、「受験競争が和らぎ、ゆとりある中学校生活がおくれる」「高校間に序列がなく、のびのびと高校生活がおくれる」「受験競争が少ないため、進路目標に向かい努力する姿勢が育ちにくい」「高校内での生徒の学力差が大きくなる」の4つの選択肢しはいずれも受験競争と序列化にかかわる問題ですが、重複回答ができますが合計すると80.9%となり、総合選抜制度は受験競争を緩和し高校の序列化をふせぐが、制度が変われば受験競争の激化と高校の序列化がうまれる、との市民の意見をあらわしています。
さきほども申し上げましたが、国連も指摘するほど、日本の教育は異常な競争主義がある中で、西宮市の総合選抜制度は、中学校でも高校でもゆとりある生活をおくれる優れた制度であり、これを守ってきた西宮市民と教育関係者の努力はほこれるものです。そして、総合選抜制度をさらに発展させるためには北部の公立高校を設置するなど、偏った高校配置を改めることではないでしょうか。
<質問事項>
- 市民意識調査でも多数が「よい制度」だと答えている総合選抜制度をなぜ県に従って複数志願制度への見直しを検討する必要があるのか。
- 総合選抜制度を複数志願制度へ変えれば、受験競争の激化や高校の序列化を生み出すことになるのではないか。
- 50年以上も続いている伝統ある総合選抜制度を守ることが市教育委員会の役目ではないか。
|