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定例議会

2005年3月議会

杉山たかのり議員の代表質問
  1. 財政問題と第3次行財政改善実施計画について
  2. 保育所の今後のあり方と民営化について
  3. 県「行革」による医療助成制度の改悪について
  4. コミュニティバスについて
  5. JR甲子園口駅のバリアフリー化について
  6. 学校教育について
  7. 県高校教育改革と総合選抜制度について

 日本共産党西宮市会議員団を代表して、2005年度西宮市行政方針及び教育委員会行政方針に対する代表質問を行います。
  私たち市民と西宮市を取り巻く状況は、大変厳しい状況です。
一昨日、2005年度政府予算案が、自民、公明両党の賛成多数で衆議院を通過し、参議院へおくられました。この予算案は、所得税の定率減税の半減を盛り込み、消費税の2ケタ化への大増税路線に踏み出す中身となっています。社会保障では、介護保険で利用者の負担を増やし、生活保護の母子加算を削減、障害者福祉に利用者負担を導入します。そのほか国立大学授業料の値上げなど、あらゆる分野で庶民に痛みを強いるものです。
  雇用保険や年金の保険料の値上げ、など中小業者への消費税強化など、すでに決まっているものを併せると、2005年、2006年度の国民負担増は合計で7兆円にも及びます。
  いま、長期に続く深刻な不況のもとで国民のくらしは大変です。このようなときに、新たな国民負担がおしつけられたら、消費税を5%に引き上げた1997年の「橋本大失政」をも上回る深刻な事態が生じるのではないでしょうか。
  そのほか、米英のイラク戦争から2年がたとうとしていますが、自衛隊のイラク派兵が続く中、憲法改正の動きが急ピッチとなっています。その狙いは9条を改悪して、いつでもアメリカとともに戦争のできる国にしていくことです。
  いま、このような国民への攻撃に対して、平和とくらしをまもる国民的なたたかいも強まっています。
  さて、このような中で、西宮市の新年度予算案は、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた予算総額は2808億9325万円前年度比4.3%減となっています。一般会計は1533億4266万円、前年度と比べると149億0806万円、8.9%減ですが、新年度では約33億円、前年度は約138億円の市債の借換があり、重複して計上されており、これを除いた実質予算額は前年比2.8%減とほぼ前年並みの予算額といえます。
新年度予算案の第1の特徴は、自公連合の小泉内閣の悪政による深刻な不況の影響を大きくうけていることです。
  市の収入の根幹とも言うべき市税は767億5944万円、前年と比べて5億4072万円の減額です。うち、個人市民税は306億2502万円、個人所得の落ち込みにより4億1246万円の減収です。また固定資産税は310億2753万で地価下落により6億2975万円の減となっています。法人市民税は41億7994万円で業績の回復により8億2415万円の増額ですが、市税全体としては不況の影響を大きく受ける結果といえます。
  また、歳出では、扶助費が前年より10億9091万円増、中でも生活保護扶助費は95億4205万円で,前年より10億6345万円も増えており、市民生活の大変さを見ることができます。
新年度予算案の第2の特徴は、三位一体の改革の影響を受けていることです。国庫補助負担金の廃止縮減の2年目にあたり、引き続き地方交付税は削減されたままです。市税が減ったため4億3200万円増が見込まれ92億8200万円となっています。臨時財政対策債は、地方財政計画が削減され、その影響で11億3420万円の減となります。地方への税源移譲ということでは、地方譲与税が25億9400万円、前年と比べて8億1300万円、45.6%増となります。
  財源不足を補う基金の取り崩しは、47億7171万円、前年より39億7186万円減です。
  新年度予算案は、一般財源で39億7186万円減額となり、厳しいものと言えます。しかし、一般財源の総額はそれでも1073億9094万円で、使い方を間違えなければ、市民のくらしを支えることができる豊かな財政だといえます。
  新年度予算案の第3の特徴は、第3次行財政改善実施計画がスタートしたことです。
  初年度は効果額を約30億円を目標としており、内部管理経費の削減が主で、一般会計で正規職員を56人減員、人件費で前年度から8億3257万円2.3%の減となっています。
  新年度予算案の第4の特徴は、県行革による福祉医療費助成制度の改悪を受け、西宮市医療助成費制度も大改悪となります。これにより7月1日より、大幅な市民負担となりますが、逆に市の負担は軽減され、事実上の行革効果を生み出すことになります。
  そのほか、前年つまり市長選挙の年には公共料金の値上げはありませんでしたが、新年度は保育所保育料を1.33%引き上げ、国民健康保険料の賦課限度額を52万円から53万円に、介護納付金を7万円から8万円に引き上げるなど、相次いでいます。
  投資的事業は約78億円です。開発のつけでは、フレンテの西宮都市管理株式会社への貸付金は、10億8000万円、名塩ニュータウンの斜行エレベーターの管理委託に9600万円なども計上されています。
  以上が、新年度予算案の主な特徴であります。
  それでは、具体的な質問に入ります。

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1.財政問題と第3次行財政改善実施計画について

 市長は2月15日付け庁内ニュースにおいて財政の問題と第3次行財政改善実施計画について、次のように述べておられます。
 「西宮市の財政状況は震災復興に伴う起債の償還や長引く不況により危機的な状況にあります。試算によると平成20年度までの財源不足額は、321億円に達すると見込まれ、このまま推移すると、平成19年度には赤字債権団体への転落も危惧されます。この財政危機を突破するため、第3次行財政改善実施計画し、それを実行していく。」と。
 第3次行財政改善実施計画は、昨年11月素案という形で発表され、昨年12月1日から1月4日にかけてパブリックコメントが実施されました。市民の意見に対する回答を公表し、この2月正式の計画として発表されました。併せて、最新の財政収支試算表を掲載している西宮市の財政を考えるV−2も発行されています。
 第3次行財政改善実施計画については、昨年12月議会一般質問でわが党のたてがき議員が問題点を明らかにしています。
 第1に、財政危機の原因が、むだな大型開発にあることを反省せず、大型開発には全く手をつけず、とりやすいところ、弱いところから犠牲にするもの。
第2に、第3次行革策定の根拠としている、2004年2月発行の「西宮市財政の現状 西宮市の財政を考えるV−1」の財政収支試算表の2008年度までの財源不足321億円がすでに根拠を失っている。
  さてこの第3次行財政改善実施計画について、新旧を比べてみたいと思います。昨年11月を素案、今回を計画と呼びます。
 4年間の行革効果額が素案では189億4100万円、計画では191億5700万円となっています。
素案では中央病院事業の経営改善について効果額は記載されていませんでしたが、計画では4億3600万円となっています。その他変更は人事組織の見直しの特別職報酬等の減額に「議員報酬の5%減額及び費用弁償の一部廃止」が記載されました。施策毎の効果額で、いくつか変更は見られますが、議員報酬の減額等は市当局の行革ではありませんから、それ以外に内容の違いを見つけることはできませんでした。
  また財政的に比較をすると、素案では2008年度末の財源不足は321億円で、第3次行革を実施すれば財源不足は170億円になりますが、計画では、新年度実施予定の行革効果額123億円を盛り込み、2008年度末の財源不足は231億円、これに2006年度からの行革67億円を実施すれば、財源不足は163億円になると修正されています。いずれにしても、市当局は、財政危機をアピールしています。
 しかし、財政危機については、昨年9月議会一般質問で私は莫大な財源不足は、行革つまり市民に負担をおしつけるために作られた赤字だということを明らかにしました。1つには収入を少なく見積もって、支出を多く見積もる。2つに年度末に15億円から20億円ほど生じる決算剰余金を全く考慮に入れていない。などです。
  西宮市は、震災時、復興事業に名をかりた大型開発を強行、その失政の反省もなく、その借金のつけを2回にわたる行革で、市民に負担増とサービスの切り下げでおしつけてきました。さらに現在は行政経営改革、つまり効率の名の下、市の仕事を民間にゆだね、公共の責任を放棄することにつながります。そして今回は3度目の行革を、つくられた財政危機をばねに、強行し、財源不足を解消できれば、さらなる大型開発にすすめる、これが市長のねらいではないでしょうか。
  このことをふまえて質問します。

<質問事項>

  1. 第3次行財政実施計画素案に対するパブリックコメントを実施したが、2月に発表した今回の計画には、市民の声を、どこにどのように盛り込んだのか。
  2. 投資的事業の見直しについて、第3次総合計画の実施計画で毎年見直すとしているが、実施計画で、どのように見直しをしたのか。
  3. 昨年9月議会で2003年度決算見込みから、約32億円の財政が改善されるとの答弁をしているが、西宮市の財政を考えるV−2では、それはどのように財政収支試算表に盛り込まれているのか。
  4. 財政危機の理由の1つに市税の落ち込みをあげているが、震災後のように交付団体になった場合、市税の減収については交付税措置がとられるので、市税収入の落ち込みを理由に挙げるのはおかしいのではないか。
  5. 今回示された財政収支試算表では、2005年度の実施予定の行革について、今後4年間の効果額が盛り込まれ、2006年度以降の新たな行革効果額は約68億円としている。市長は、「目標額が未設定の取り組みの具体化や総合計画の実施計画の見直し、決算剰余などで解消していきたい」といっており、決算剰余額は、毎年15億円から20億円程度見込めることから考えれば、これ以上の新たな行革を実施しなくとも、赤字債権団体へは回避できるのではないか。
  6. 行財政改善実施計画とは、結局、2009年度以降、つまり第4次総合計画で、阪急甲陽線地下化事業や阪急今津南線高架事業など、投資的事業をやるために、市民と職員に耐えがたい負担を押し付けることではないのか。
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2.保育所の今後のあり方と民営化について

 2月24日市長は西宮市社会保障審議会に対して、保育サービスにおける課題について諮問をおこないました。その内容は、「大きな福祉制度改革の流れの中にあって、限られた財源と今までにない保育ニーズの高まりを受け、保育所運営についても対等な競争条件のもとで質の高いサービスの向上につながる改革や、保育所を運営する公立・民間保育所の役割の検証、現行の保育サービスに対する市の助成制度の仕組みなどについて見直しをする必要があります。」として (1)保育所運営主体の規制緩和について (2)公立・民間保育所の役割分担と民間移管について (3)民間保育所助成金のあり方について (4)保育所における保育料のあり方についての4つの項目について、審議を求めています。
  また、市は行政経営改革を推進するとともに第3次行財政改善計画においても、市立保育所の民営化や保育サービスのあり方の見直しを項目にあげています。
  市長の諮問の中で、市の考え方が示されていますが (1)今後の新設保育所については運営主体の規制を緩和することが適当 (2)公立は地域の子育て支援の総合的調整役、民間は通常保育の中心的役割を担うとともに、待機児の解消、延長保育など地域の多様な保育ニーズに応える (3)公立保育所を3から5年程度の年次計画を定め民間移管を進める (4)現行の民間保育所助成金制度の見直し (5)保育料を国基準に対応して引き上げる、などです。
  これらは、市立保育所の数を減らし、株式会社などの保育所を含めた民間保育所に保育サービスをゆだねるとともに、これまで西宮市として給与改善や施設運営など一定の水準確保のための民間保育所への補助金をやめて、取り組んだ事業にたいしての補助金にと事実上補助金を減額する制度に切り替えていこうとしています。
  私は、待機児の解消と保育ニーズにこたえるという点で、公立保育所の役割は重要だと考えます。それを今後民間にゆだねていくということは、まさに保育における公的責任を放棄するものです。さらに、今後の問題として、民間保育所への補助金で、特に保育士の給与に対する補助金がなくなれば、経験と力量の低下を招きかねない。これは保育サービスの種類は増えても保育水準を低下させるものです。
  これを行革、つまり保育予算の削減のために行うことは断じてゆるされません。
  この間、民間保育所が予定も含めて相次いで開設され、民間保育所の力を発揮しているときに、待機児解消でも、保育ニーズの対応でも、肝心の市立保育所が民営化により、設置数を減らしていては本末転倒です。
  今こそ、市立保育所が力を発揮して、待機児の解消でも、保育ニーズに応えるという点でも、民間保育所を引っ張る存在になるべきだと思います。

< 質問事項>

  1. 公立・民間保育所の役割分担として、公立は地域の子育て支援の拠点、民間は供給の拡大や保育ニーズに応えるとの考えがしめされています。その中で、民営化を進めるとのことだが、これらは市としての公的責任を放棄する立場ではないのか。
  2. 市は民間まかせにせず、市立保育所の定員を増やし、延長保育や一時保育などの保育ニーズに応えるなど、民間保育所以上に取り組むべきではないのか。そして、全体の保育水準を高めるようにすべきではないか。
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3.県行革による医療助成制度の改悪について

 新年度予算案の中でも特に市民のくらしとかかわる大きな問題として上げられるのが、兵庫県と西宮市が共同で実施してきた医療助成制度が大幅に改悪される問題です。市民負担、それも弱者への負担が急増する問題です。
  兵庫県は1昨年12月「行財政構造改革推進方策後期5ヵ年の取り組み」を発表し、その1つとして県と市町との共同事業として実施している医療助成制度を改悪して大幅な市民負担増を狙いました。昨年の3月議会一般質問で、私自身が取り上げましたが、当時、神戸市議会の意見書、神戸市医師会の撤廃署名の運動、また各市町からも相次ぐ批判が寄せられ、2004年度の実施を県は見送らざるを得ない状況となりました。
  ところが、兵庫県は2005年7月から制度改悪実施を決定、西宮市の新年度予算案にも盛り込まれています。
  具体的にどのような改悪となるのでしょうか。老人医療では、これまで1割負担だったものが2割負担になります。乳幼児医療では、入院については6歳児まで無料だったものを1割負担になります。障害者医療と母子等医療では無料から有料になります。ただし、障害者医療では精神障害1級が対象拡大となります。西宮市はこの県制度に、乳幼児医療で0歳から2歳まで、入院外来ともに負担なしを上乗せします。
  今回問題だと思うのは第1に、兵庫県が急に、しかも一方的に制度改悪を決定したことです。この問題については、兵庫県は市町と協議を行うことになっていたはずですが、まさに強引な改悪だと思います。
  第2に、この県の制度改悪に対して、一部制度拡充はあるものの、市は県に追随する姿勢をとっていることです。それは、年間2億円から3億円の市の負担が減額することになり、事実上の行革効果を生み出すことになります。

<質問事項>

  1. 今回の医療助成制度の改悪によって、制度はどう変わるのか。また、市民にどのような影響を及ぼすと考えているのか。対象者数や金額についてもお答えください。
  2. 今回の県の制度改悪について、いつ、どのように協議をしたのか。市として、どのような意見をいってきたのか。
  3. 今回の改定で、最も弱者の障害者や母子家庭等については、無料で医療を受けられたものが、負担をしいられる。ところが、市は、今回の改定で、年間ベースで3億円近い負担減となる。少なくとも、それをあてれば無料を継続できるのではないか。
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4.コミュニティバスについて

 コミュニティバスは、山田市長1期目の所信表明の中での公約であり、南北バスについては、2期目の選挙公約であります。この本会議では、西宮市議会すべての会派が新たなバス導入の要求をしています。
  日本共産党西宮市会議員団は、先日東京都渋谷区を視察し、コミュニティバスの試乗をしてきました。渋谷区では、ハチ公バスと名づけられ2つのコースが運行されています。導入の基本方針は高齢者・障害者を始めとするすべての人の移動機会の向上、経済性・採算性の確保と継続的なサービスの供給、親しみやすい街づくりに資する交通システムの実現の3つを上げています。地域から大変親しまれ、毎月利用者は3万人を超える状況です。東京ですから電車やバスは整備されていますが、バス停を設置する際、利用地域は200メートル以内を基準にしており、交通弱者をなくす配慮がされています。運行は東急バスと京王バスで、1コース年間4千数百万円の赤字補填がされています。国や都の補助制度も利用しながら、バスの初期投資も負担しています。
  さて、新年度予算案ですが、バスの「バ」の字も、また、一切これに関連する予算計上は見当たりません。それどころか、総合計画の実施計画の4ヵ年の中にも一切盛り込まれていません。
  私は、市長はやる気がないのではないかと言わざるを得ません。

<質問事項>

  1. @市長は、コミュニティバスの導入ができない理由に、採算を維持できないことをあげてきました。全国的に、利益を上げているような事例があるのか。福祉目的として赤字補填などの財政支出を前提としないのなら、実施はできないのではないか。
  2. A総合計画の実施計画(2005年度から2008年度)を見てみますと、4ヵ年で約538億円の事業、施策が記載されています。6部快適な都市空間の整備には4ヵ年で約425億円の事業、施策が記載されています。ところが、市長の任期中であるにもかかわらず、南北バスやコミュニティバスについては、なにもありません。公約を破棄するつもりなのですか。
  3. B行政方針では「可能性を検討する」としているが、そのような段階ではない。新年度は市民・バス事業者なども入った検討委員会を設置し、その予算を計上すべきではないのか。
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5.JR甲子園口駅のバリアフリー化について

 市長の行政方針にも、「JR甲子園口駅などエレベーター未設置駅の解消について鉄道事業者と協議を重ねる」としており、地元のJR甲子園口駅エレベーター設置促進協議会のみなさんも署名運動や国・県・市への要望活動にがんばっておられるように、市民の強い願いです。わが党議員団も、国会、県会と連携しながら取り組んでまいりました。
 粘り強い取り組みの中で、JRが重い腰をあげ、設置案が示されましたが、事業費が17億円と高額なため、いまだエレベーター設置にはいたっていません。

<質問事項>

  昨年9月議会でわが党の野口議員が、事業者任せにせず、市としても設置案を示してはどうか、補助要綱を改正して補助額の増額も図るべきとの質問をしましたが、当局は設置案については技術的には可能としながらも、設置案は駅の所有者であるJRがやるべきこと、補助増額も現時点では困難、との答弁でした。
 その後、昨年11月県議会でわが党つづき研二議員がこの問題を同様にとりあげ、県補助金増額、県としての設置案の提起を求めました。これに対して県は、対応方策の調査検討が必要として、本年度を目途に調査をおこなう。鉄道事業者に対し、具体的なバリアフリー化仕様を提案して協議検討を進める、設置案も提案するという前向きな答弁がされたところです。
 県の取り組みも含めて、現在の推進状況をお答えください。

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6.学校教育について

 いじめや不登校、学級崩壊など学校教育の現状は大変深刻です。合わせて、少年犯罪や学校内での殺傷事件など、だれもが胸を痛める事態です。
  学力の低下もそのひとつです。「学校の勉強がわからない」「学校の勉強がきらい」という子供たちが多くなっています。その原因は、子供たちを管理主義でしばりつけ、競争主義でおいたててきた長年の自民党の教育行政の行き詰まりがあります。
  ひとつは、週5日制になり新しい学習指導要領は、「とにかく内容を3割減らせ」といっそう系統性を失わせ、「このまま教えても基礎学力がつくかどうか心配」という中味にしてしまっています。ゆとり教育といいながら、これでも授業時間の削減でつめこみ教育になるなど、学力に対する不安は大きくなっているのではないでしょうか。
   もうひとつの問題点は、異常な競争主義にあると思います。最近、マスコミなどで「負け組み、勝ち組」などの言葉が使われますが、子供を競争に駆り立てて、偏差値によって全部順番をつけて、序列をつけていくというやり方、「ゆとり教育」といわれながら、このやり方がますます激しくなってきています。これは国連からも勧告されている問題です。
  いま求められるのは、すべての子供が、基礎学力をみにつけられるよう、わかるまで教えることです。その点で、学校における教員は、教育の専門家として、大切な役割をもっています。ところが、学校、教員をめぐる諸条件は、教員の努力をはげますどころか、教員のストレスを助長させるような深刻な問題をかかえています。子供と関わったり、授業の質を上げることに時間を割きたくとも、その他のことに追われているのが実態です。
  これには、少人数学級の実現と、教員の多忙化を解消することは不可欠だと思います。

<質問事項>

  1. すべての子供たちに「わかるまで教える」ということが、きちんと基礎学力をつけさせるということだと思いますが、学力低下の問題をどのように認識しているのか、また今の学校現場に基礎学力を保障する実態はあるのか、教育委員会の見解を聞きます。
  2. 子供たち一人ひとりに教員が目を向けるということが、今求められています。その最大の保障が少人数学級です。兵庫県でも2004年度は小学校1年生については35人での学級編成が取り組まれましたが、新年度は学年の拡大はありませんでした。しかし、教育特区などの制度をつかって市独自に少人数学級に踏み出すこともできます。市教育委員会として、新年度にむけて県への要望や検討はしたのか。
  3. 学校の安全対策という点でも教員が担っているのが現状ではないでしょうか。
    山田市長もいつも「安心・安全」という言葉を使っていますが、今、学校においてはこの言葉は非常に重要なことだと考えますが、学校や子供たちに対する、安心・安全について、どのように認識をしていますか。また、学校に警備員など安全対策として人員の配置は不可欠だと思いますが、見解を問います。
  4. あわせて、新年度から学校給食の牛乳が、ビンから紙パックに変わるとのことで、これは環境学習都市宣言をしたことから逆行する問題だと思いますので、見解をうかがいます。
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7.高校教育改革と総合選抜制度について

 最後に、高校教育改革と総合選抜制度についてです。
 昨年3月議会一般質問で、私は県立西宮今津高校の総合学科高校への改編問題を取り上げました。
 現在、県教育委員会は、高校教育改革をすすめています。その内容は、魅力ある学校づくりと称して単位制や総合学科など新しいタイプの学校を設置し、普通科などの特色化をすすめる、選抜制度の改善と称して複数志願選抜・特色選抜の導入する、望ましい規模と配置と称して、高校の統廃合をすすめるというものです。この西宮では、普通科高校を総合学科に改編すること、総合選抜制度を廃止して複数志願選抜・特色選抜を導入することをすすめています。
 これに対して西宮市教育委員会はどういう態度をとっているのか。総合学科高校の設置については認めています。2004年度には市民意識調査で総合選抜制度について調査をしています。その結論として2005年度教育委員会行政方針は、「小・中・高等学校の連続した視点から子供たちの進路を考える公立校連携協議会の中間報告を受け、新年度はさらに高等学校の特色化や選抜制度のあり方等を研究してまいります」としています。まさに県教育委員会につき従う姿勢です。
  高校教育改革については、昨年10月8日、市教委・中学校校長会・PTA協議会の主催で、杉本兵庫県教育次長の講演会が行われ、市教育委員会の職員や教員、PTAなどが参加をしています。ところが、内容がさっぱりわからないとPTAのみなさんから批判が起こり、この間、いくつかの地域で市教委が説明会をやりなおしているとのことです。県の教育次長が説明してもわからないような内容なのでしょう。
  まず、総合学科高校についての質問です。県教育委員会はどの普通科高校を総合学科高校に改編するのか、校名は発表していません。しかし、西宮今津高校の校長が名乗りを上げており、西宮今津高校をまもろうという運動も取り組まれています。その趣旨は、まず県教育委員会は説明責任を果たしなさいというものです。私は当然のことだと思います。

<質問事項>

  1. 西宮学区でなぜ普通科高校をつぶしてまで、総合学科高校をつくらなければならない理由はなにか。明確に説明してください。
  2. 総合学科高校への改編について、西宮今津高校の校長が名乗りをあげていますが、正式にはまだ県教育委員会は校名を発表していません。現時点でも西宮市議会にはなにひとつ報告も説明もありません。地元への説明もありません。ましてや地元の合意もないのに、一方的に県教育委員会が決定することはあってはならないと思いますが、どうか。また、このような状況からも、市教育委員会として総合学科高校の設置は直ちに拒否すべきだと思うが、どうか。

 次に総合選抜制度についての質問です。
 私は、市教委は「はじめに複数志願選抜導入ありき」の態度だと思います。
 市民意識調査の結果からも、うかがえます。
 総合選抜制度の評価の項目についてですが、結論を「改善派が最も多く、否定派が肯定派を上回る」としています。「よい制度なので現状のままでよい」が12.5%、「よい制度だが改善すべき点がある」が36.2%です。つまり、「よい制度」だと48.7%が認めているのです。
 また、総合選抜制度の具体評価の項目では、「受験競争が和らぎ、ゆとりある中学校生活がおくれる」「高校間に序列がなく、のびのびと高校生活がおくれる」「受験競争が少ないため、進路目標に向かい努力する姿勢が育ちにくい」「高校内での生徒の学力差が大きくなる」の4つの選択肢しはいずれも受験競争と序列化にかかわる問題ですが、重複回答ができますが合計すると80.9%となり、総合選抜制度は受験競争を緩和し高校の序列化をふせぐが、制度が変われば受験競争の激化と高校の序列化がうまれる、との市民の意見をあらわしています。
 さきほども申し上げましたが、国連も指摘するほど、日本の教育は異常な競争主義がある中で、西宮市の総合選抜制度は、中学校でも高校でもゆとりある生活をおくれる優れた制度であり、これを守ってきた西宮市民と教育関係者の努力はほこれるものです。そして、総合選抜制度をさらに発展させるためには北部の公立高校を設置するなど、偏った高校配置を改めることではないでしょうか。

<質問事項>

  1. 市民意識調査でも多数が「よい制度」だと答えている総合選抜制度をなぜ県に従って複数志願制度への見直しを検討する必要があるのか。
  2. 総合選抜制度を複数志願制度へ変えれば、受験競争の激化や高校の序列化を生み出すことになるのではないか。
  3. 50年以上も続いている伝統ある総合選抜制度を守ることが市教育委員会の役目ではないか。
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