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定例議会

2005年3月議会

杉山たかのり議員の2005年度予算案に対する討論
  1. 財政危機と第3次行財政改善実施計画について
  2. 兵庫県の行革に対する問題
  3. 大型開発優先の姿勢について
  4. 公共料金の値上げについて
  5. 特別会計について
  6. その他、意見、要望等

 ただいま上程中の諸議案のうち、議案第205号2005年度西宮市一般会計予算、議案第206号2005年度西宮市国民健康保険特別会計予算、及び議案第207号2005年度西宮市食肉センター特別会計予算、以上3件について日本共産党は反対をいたします。以下、理由を申し述べます。

  一昨日、3月23日、2005年度の政府予算案が自民・公明両党の賛成多数で成立しました。戦後4番目のスピード成立となりました。これによって、政府・与党は、二段階の過酷な増税計画の第一歩を踏み出そうとしています。家計の収入が年間で数兆円規模の減少を続けているもとで、大規模な増税路線の皮切りとなる定率減税の半減、2006年度は廃止となり増税総額は3兆3000億円にのぼります。これを含め、今後2年で7兆円もの巨額の負担増を押し付け、さらに2007年度から消費税を二ケタに増税する狙いです。かつてない不況と生活苦が国民を襲うことになります。
  日本共産党は広範な国民のみなさんとともに、大増税路線のこれ以上の暴走をストップさせるために引き続き力を尽くすものです。
  自民公明両党の悪政が進められる状況で、市民のくらしをまもる上で地方自治体の役割はますます重大になっていきます。
  さて、2005年度予算案は総額2808億9300万円、山田市長2期目の最初の予算編成となりましたが、市長選挙後の政治姿勢が色濃くでたものだと言えます。
  保育所、学童保育所の新増設、公民館の増築改修、教育施設のエレベーター設置、北口図書館の時間延長、など市民の声におされて実施し、その一方で、市民に負担を強いる第3次行財政改善実施計画を打ち上げ、公共料金の値上げや医療費助成制度の改悪など、不況や生活悪化に苦しむ市民を置き去りにした予算案となっています。
  以下、問題点及び反対箇所について述べたいと思います。

1.財政危機と第3次行財政改善実施計画について

  山田市長は、2005年度から2008年度の4ヵ年にわたって第3次行財政改善実施計画を断行することを表明、2005年度はその初年度となります。この行革は、初年度は主に特別職をはじめ職員の給与費のカットなど、内部管理経費の削減を行い、次年度以降、市民福祉金の縮減廃止をはじめ、市民生活に大きく影響する施策の切り下げを強行する内容となっています。
  その根拠に、財政危機をあげています。今年2月発行の「西宮市財政の現状 西宮市の財政を考えるV−2」では2008年度末の財源不足は232億円となり、2006年度以降も第3次行財政改善実施計画を行い68億円の効果をあげなければ赤字債権団体に陥る、としています。財政危機をテコに、市民には負担増と我慢を押し付けようとしています。
  しかしこの財政危機には、2つのごまかしがあります。
  ひとつは、現在の財政危機の原因が、真の震災復興事業ではなく、震災復興に名を借りた北口駅北東地区再開発事業に代表される、むだな大型開発を強行したことであり、市長はそれにたいして全く反省をすることなく、財政危機のツケを市民におしつけてきました。
  もうひとつは、財政危機の根拠となっている多額の財源不足、昨年2月は321億円、現在は232億円という財源不足額ですが、わが党議員団の本会議質問でも明らかになりましたが、毎年発生する約20億円の決算剰余額を考慮にいれておらず、市民に負担と我慢をおしつけるためのつくられた財源不足額だということです。
  西宮市は、新年度予算でも、市税収入は767億5900万円をはじめ、譲与税や地方交付税など自由に使える財源、一般財源は1073億9000万円。これは前年度に比べると落ち込みはあるものの、決して低い水準ではなく、本当に有効に使うことができればさまざまなことができます。
  今、市民は、かつてない深刻な不況やさまざまな重い負担で厳しい生活に直面しており、どう市民のくらしを支えていくのかが、自治体に問われています。ところが、西宮市は、つくられた過剰な財政危機をふりかざして、新年度予算案には、市民の暮らしを応援しようという施策はほとんど見られません。
市民に負担をおしつけ、くらしに大きく影響する第3次行財政改善実施計画は、直ちに撤回すべきです。

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2.兵庫県の行革に対する問題

  これについては、議案第196号西宮市医療費助成条例の一部を改正する条例制定の件の反対討論で述べましたが、県と市の共同事業として実施している医療費助成制度を見直し、老人医療、乳幼児医療、障害者医療、母子等医療について、障害者医療では重度精神障害者を対象に加え、乳幼児医療では3歳未満まで無料とするなど一部拡充はあるももの、全体としては改悪となり、7月1日より大幅な負担増を強いるものです。
  市当局はやむなしと言いつつも、市民負担を軽減しようという姿勢はとらず、年間3億円近い事実上の行革となります。まさに、県追随の冷たい姿勢だと言わなければなりません。

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3.大型開発優先の姿勢について

  阪急電鉄の西宮スタジアム跡地開発にともなって、市当局は阪急今津南線の高架事業、球場前線の東伸を第3次総合計画実施計画にあげ、2008年度までの着工を目論んでいる。西宮北口駅南地区土地区画整理事業の関連事業として阪急今津南線の鉄道高架化を位置づけており、スタジアム跡地の将来構想と球場前線の東伸計画によって、阪急の負担額を多くして高架事業に投入するなどの考え方がしめされました。
  また、山手線拡幅事業と阪急甲陽線地下化については、建設常任委員会の所管事務報告で、県の道路管理者と公安委員会との協議結果が示され、国の補助事業採択を受け2分の1補助をもらうとすれば、2007年度にはやりたいと当局は答弁しています。
  これらは、新年度予算案に計上されているものではありませんが、財政危機だといいながら、多額の財源を注ぎ込む開発事業は着々と計画をすすめており、このような開発優先の姿勢に反対をするものです。直ちに撤回すべきです。
  また、フレンテを管理運営する第3セクター西宮都市管理株式会社には10億8000万円の貸付金が引き続き計上されています。前年に突然阪神電鉄の土地をマンション建設は困ると購入した仮称六湛寺南公園整備事業には3807万円が計上されています。このような形で、これまでの開発によるツケや市民的に合意の得られないものに、貴重な財源が注ぎ込まれています。
  そのほか、山手幹線や市役所前線、西福河原線など街路事業に、不要不急の事業に新年度も約7億円が計上されています。
  このような開発優先の市長の姿勢は認められません。

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 4.公共料金の値上げについて

  2004年度は公共料金の引き上げはありませんでしたが、市長選挙後の2005年度は保育所保育料が平均で1.33%引き上げられます。また国民健康保険料賦課限度額は52万円から53万円に、介護納付金賦課限度額は7万円から8万円にそれぞれ引き上げられます。
  市当局は受益者負担を理由に今後も公共料金の引き上げをすすめる計画です。
  なお市民文教分科会では、幼稚園保育料の見直しについての質疑で、教育委員会はまともな説明をせず、追及の中で、6月議会に2006年度幼稚園保育料を引き上げる議案を提出することを明らかにしました。近々にも提案予定の事件を説明しない教育委員会の議会軽視、市民無視の姿勢を厳しく批判するものです。
  以上が問題点及び反対箇所です。

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 5.特別会計について

 2005年度国民健康保険特別会計予算については、議案第195号の反対討論で意見を述べさせていただきましたが、保険料の賦課限度額の引き上げを含む予算案については反対であります。また、保険証の取り上げとなる、短期証や資格証明書の交付は直ちにやめ、すべての加入者に保険証の交付をすべきです。
 食肉センター特別会計予算については、市民になんら寄与しない事業に新年度も3億6779万円もの一般会計からの繰入金が投入されており、反対です。検討委員会の提言に基づき早急に対処することを求めます。
 公共用地買収事業特別会計については、反対はいたしませんが、道路用地、市街地整備用地に9億9700万円が一般会計から繰り入れられ、土地開発公社があてもなく買い込んだ土地に貴重な財源がつぎ込まれており、厳しく指摘をしておきます。

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6.その他、意見、要望等

 まず、市職員の待遇にかかわる問題です。
  職員自治振興会への公費負担がこれまで職員の掛け金1に対して1.6になっていたことや、水道局の職員が職員厚生会とダブって加入している問題などに対して、市当局は改善することを言明しています。しかし、その基準は明確なものはなく、掛け金と公費負担が1対1でいいのかの声もあります。自治体職員の待遇は、その給与が住民の税金でまかなわれている以上、賃金その他労働条件も、住民の理解と支持を得られる適正なものであるべきです。
  わが党議員団もその観点から、例えば議員が年間24万円使用できる交通チケットについては返上、また特別委員会の費用弁償については受け取らないことを決め、実行しています。
  市当局にも、住民の理解と支持が得られる適正な改善を求めるものです。

  次に、この4月1日より教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱が施行されます。 大社小学校区を「受入困難地区」に、浜脇・甲東・高木・用海・鳴尾北小学校区を「予測地区」に指定し、開発指導をすることになります。
  しかし、実施を前に指定される地区を含めて、開発申請が相次いでいます。大社小学校区では新年度は19クラス、もう使える教室はなく、教育委員会は多目的室を間仕切りして3教室増やせるが、後は校区変更となると答えています。新年度は、4小学校でプレハブ校舎が建設、運動場が狭くなるなどの影響が懸念されます。これ以上の教育環境の悪化を防ぐことが市と教育委員会に求められます。これまで、人口急増に対しては後手後手となっており、一刻も早い条例化を求めます。また、全国的に少人数学級が取り組まれる情勢となっており、このことを視野に入れた早急な学校整備に取り組むことも併せて求めるものです。

 次に、県公社住宅・南甲子園第一住宅の取得費として、1億683万2000円が計上されている件についてです。
  同住宅は、1955年に県公社が建設した共同住宅24戸の団地で、西宮市・三菱電線・キリンビールが各8戸、市営住宅や社宅として使用し、住宅金融公庫への償還が終わる50年後の2005年12月にそれぞれ県公社から所有権移転されることになっているものです。今回の予算は、キリンビールの所有分を市が取得しようとするものです。
  理由として、「震災時の被災者への住宅確保のため、当時空き家だったキリンビール社宅を所有権移転時に、市が買い取ることを条件に借り受けた」と説明しましたが、取得後は三菱電線とともに老朽化した建物つきで土地を売却する計画も明らかになりました。平米単価24万円とかなり高めで取得費が計上されており、老朽建物つきというかなり悪い条件で売却することから、取得について厳密な鑑定を行うとともに、購入時期と売却時期をできるだけ同時期にし、地価下落の状況で差損の出ないよう、指摘しておきます。

 加えて一言言っておきたいと思います。今月22日内閣府は15歳から34歳層で就業していない若年無業者のうち、職探しもせず職業訓練も受けていない、いわゆるニートが2002年約85万人に達したとする推計結果を発表しました。このうち半数の43万人は就職を希望しながら仕事を探していない「非求職型」だとしています。教育委員会の行政方針ではニートを「勤労意欲がなく働かない若者」と定義付けました。これは政府の認識ともかけ離れたもので、到底行政方針に耐えうるものではありません。教育委員会は、文部科学省の「生徒指導メールマガジン」第4号の「キャリア教育をめぐって」という文章に使われていた文言を使ったとのことですが、余りにも軽率な作文であるとともに、「教育委員会が定義したものではない」と、教育委員会として最重要文書ともいえる行政方針の内容について責任を放棄した答弁をしました。このことは、教育委員会が市民に対して無責任であるとともに、市民に信頼をよせていないかをあらわしており、その根本は市長の政治姿勢にあります。この点は厳しく指摘をしておきたいと思います。

  山田市長は、2004年度は行政経営改革、2005年度は第3次行財政改善実施計画に取り組みますが、そこには公立保育所の民営化をはじめとした、市の仕事はなんでも民間にと、公共の役割を投げ捨て、財政危機を口実に市民サービスを切り下げ、またぞろ大型開発に財源を注ぎこむという、市民不在の政治姿勢と市政運営があります。
  日本共産党西宮市会議員団は、このような市政をあらため、市民が主役、暮らし第一の市政への転換をめざして、引き続き奮闘することを申し上げて、議案第205号、議案第206号、および議案第207号の3件に対する反対討論といたします。

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