JR福知山線の事故での西宮市立中央病院の対応について
去る4月25日、JR福知山線で死者107名、負傷者500名を越えるJR史上最大の事故がおきました。安心、安全でなければならない公共交通で、あってはならない事故です。国鉄からJR西日本になった会社の一番の目標が「稼ぐ」であり、安全対策を軽視していたのではないかという問題、また運転士には「日勤教育」と教育とは名ばかりの過酷な制裁を押し付けていたことなど様々な問題が指摘されています。
また政府が国鉄分割民営化(1987年)の際に、大手私鉄に速度制限型ATS(自動列車停止装置)の設置を義務付けていた通達を廃止し、JRへの適用を避けたことが問題になっています。小泉首相は衆院予算委員会で我が党の穀田衆議院議員の質問に「私鉄に対する対応と、JRへの対応が違うということが事実だとすれば政府にも反省すべき点がある」と政府の責任を認める発言をしました。事故の直接の原因はJR西日本にありますが、おおもとには(速度制限型ATS義務付け通達の廃止など)政府がJRに対して安全指導を緩めてきた問題があり、民営化、規制緩和で国の責任を放棄し、JRの利益第一主義を許してきた政府にも大きな責任があります。
さて、6月議会では冒頭全会派一致で「JR福知山線快速列車脱線事故」に関する意見書が採択されました。また日本共産党西宮市会議員団はJR事故の翌日4月26日、遺族や、被害者に心のケアも含めた救援、治療などの支援に万全を期すこと、JR西日本に事故原因の徹底究明を行うよう申し入れることなど、JR福知山線列車事故について緊急の申し入れをしました。また5月25日にはJR事故についての報告会を行い、JR名塩駅で市民アンケート調査も行いました。
さて、今回の事故で西宮市中央病院の危機管理が問題になっています。さる、6月8日厚生常任委員会が開かれ、事故当日の現状が報告されました。
- 午前9時18分に事故発生、午前9時40分〜45分頃、兵庫県広域災害・球急医療情報システムが運用される。
- 尼崎消防本部が158病院に一斉通報。アラームを鳴らし、緊急搬送受け入れ可能人数の入力を呼びかける。
- 当初、この時間帯に当院のパソコンのアラームが鳴ったどうかは確認できず。
- 午前10時40分頃、総務課職員が脱線事故が報じられていることを講義室内の職員に連絡、職員は院長に事故のことを報告する。
- 院長としては、その時点では事故の内容や規模など具体的な状況把握が充分にできず報告をうけるにとどまる。
- 午前11時30分頃、兵庫県広域災害・球急医療情報センターによりFAXにて緊急搬送登録についての連絡が入るが、FAXは医事課事務室と別の部屋にあり、昼前に医事課担当者のところに送られる。
- 午後0時10分頃、整形外科医師が副院長にテレビ報道に基づき死者23名に上る事故内容と、球急患者でオーバーフローしつつある関西労災病院の状況を説明。午後0時20分頃、院長と副院長が協議のうえ、整形外科・外科医師3名、看護師長1名を救援と情報収集のために関西労災病院に派遣することを決定。
- 午後1時00分頃、当院の受け入れ可能人数の緊急搬送登録を行う。
しかし、当日は事故患者の受け入れはなく、翌日事故の負傷者が1名来院したが外来で対処したとのことでした。
当日は監査が行われる日で、院長、副院長ら全管理職17人が参加しています。通常の監査は、市役所に担当者を呼ぶが、中央病院については緊急時の対応ができるように委員が出向いて行っているとの説明でしたが、まさしく緊急時であるのにまったく事故に対応できていなかったのは大きな問題ではないでしょうか。特に職員がメモを回したときに公立病院の院長として適切な対応をしなかったこと、また鳴ったとされているアラームが、パソコンをクリックして起動させていなかったために鳴らなかったことが明らかになりました。
今回の事故の対応で市民には中央病院への信頼感が薄れました。JR事故の対応を中央病院としても厳しく反省し2度とこのようなことを繰り返さない、そのことが市民の信頼を取り戻すことにつながるのではないでしょうか。
質問します
- 事故が起こってから正確に情報が入ってきたのが午後0時過ぎだと報告されているが、事故発生から2時間30分も対応が遅れている。この間どんな影響を与えてしまったと考えるのか。
- この事故についての反省と教訓は何か。
- 事故が起こったときの緊急連絡では県の広域災害・球急医療情報システムの専用パソコンだけでは機能しなかった。市全体の連絡体制はどうなっているのか。
|