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定例議会

2005年6月議会

上田さち子議員の一般質問
  1. 合同慰霊祭について(靖国問題にもふれて)
  2. 国民健康保険料の引き下げについて
  3. 小規模工事等契約希望者登録制度の創設について
  4. コミュニティバスの実現について

1、合同慰霊祭について(靖国問題にもふれて)

 去る5月6日、2005年度合同慰霊祭が戦没者、戦災死没者、海外物故者、原爆死没者1880柱のご遺族、700名が参加されアミティホールで執り行われ、私も出席させていただきました。当局に伺いますと、昭和30年・1955年、満池谷に慰霊碑が建立されたのを期に西宮市が主催して「合同慰霊祭」を実施したのが始まりだということでした。私の義母も、空襲で背中に負ぶった子どもを爆撃で失っており、戦災死没者の遺族として毎年「慰霊祭」に出席していたのを覚えています。
  ところで、当日はいくつか気になることがありました。一つは市長が主催者として読み上げた祭文の内容です。「・・・かえりみますれば、諸霊には 過ぐる大戦において、祖国の危急に際し、ひたすら、故国の興隆と同胞の安泰を念じつつ、尊い生命を祖国と民族のために捧げられました・・・」と冒頭に述べられたことです。
 これは、侵略戦争を美化するとともに、国の公式見解となっている1995年8月15日、戦後50年にあたり、当時の村山首相が「わが国は遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して、多大の損害と苦痛を与えました」と「痛切なる反省と心からのおわびの気持ち」を表明した、この立場とも、祭文の内容は相容れないものといわなければなりません。
  日本共産党議員団はこのことを重く見て、公費によって開催されている「合同慰霊祭」が、戦争によって命を失ったすべての方々を追悼するとともに、平和を祈念して行われるべきものとして、市長の祭文は、その趣旨にふさわしい内容に改めるよう、6月8日、市長への申し入れを行ないました。
  もう一つの問題は、ご遺族を代表し、今年は遺族会の方が追悼の言葉として「小泉首相には困難を打開して、靖国神社参拝をしてもらいたい」という趣旨を述べられたことです。
  もちろん誰であれ、表現の自由は憲法で保障された基本的人権です。しかし、ときあたかも、小泉首相の靖国参拝問題が、国内だけではなく国際問題にまで発展している時期であり、さらに、「合同慰霊祭」という自治体の公費を使った公式行事の場での発言として「これは問題がある」と感じたのは私一人ではないと思います。いったい出席しておられたご遺族のどれほどの方が、首相の靖国参拝を望んでおられたというのでしょうか。
 
 ここで、あらためて靖国神社とはどういう神社なのかみてみたいと思います。靖国神社は明治政府が1869年・明治2年、幕末・明治維新の殉難者や戊辰戦争の戦死者などを国家に殉じた忠臣、功臣として顕彰するため、創設したものです。終戦まで陸軍省、海軍省の共同管理化にあり、祭神の選定も両省が行なっていました。責任者である宮司も、陸軍最高位の軍人・陸軍大将があたっていたのです。敗戦により両省が廃止されてからは、厚生省が戦争による「公務死」と認定した者を、合祀することについては、宗教法人として靖国神社が決定権をもっていました。
 靖国神社は自らの使命は、「英霊の武勲の顕彰」だと述べています。これは戦争で亡くなった方々を追悼することではなく、あの戦争を正当化する立場にたって、その戦争での武勲、つまり戦争行為そのものをたたえるということです。だから、日本には戦争犯罪などなかった、日本を侵略国と断罪した東京裁判の不当性を暴き、刑場の露と消えた戦犯の無念をふり返り、「形ばかりの裁判によって、一方的に‘戦争犯罪人‘という濡れ衣を着せられ、無残にも生命を絶たれた方」つまり、「昭和の殉難者」(やすくに大百科)だとして、14名のA級戦犯を含め1068人が「神」としてまつられています。しかし、度重なる空襲や原爆、沖縄戦で亡くなった一般の国民は、誰一人としてまつられていません。
 6月6日放映の「たけしのテレビタックル」という番組で、出演者の福岡正行・白鴎大学教授が「靖国神社の中に遊就館というところがあります」として「あの戦争は正しかった、自存自衛の戦争だという世界でも有数の資料館です。戦争の資料館であって、決して不戦の資料館ではない」と発言していた通り、太平洋戦争を「大東亜戦争」とよび、日本が行なった戦争は正しかったとして、この靖国史観を広めるための施設が存在しているということです。靖国神社の宮司が、靖国神社公認の写真集「世界に開かれた昭和の戦争記念館」で、さきに述べた村山首相談話を「嘘と誤り」と攻撃していることも重大です。
 ところで、私はこの質問を準備中、どうしても自分の目で、靖国神社というところを確認したい、とくに戦前・戦中、教育勅語とともに、日本軍国主義の精神的支柱の役割を果たしたといわれる、その事実を確かめたいと思い、23日に同僚の野口議員とともに行ってきました。

 約4時間、よーく見学させてもらいましたが、神社そのものが「正しい戦争」論の最大の宣伝センターになっているという、この一言でした。
 遊就館の展示や「私たちは忘れない」という50分の映画などを見た感想の第一は、明治維新以後、日本が起こした戦争は、すべて欧米列強がアジアの小国である日本を干渉したことに対し、やむにやまれぬ戦争だった。日本が戦争で勝って領土を拡大することは、国力の弱い欧米諸国の植民地になっているアジア諸国に、独立への希望を与えた「自存自衛」の正しい戦争だったということを主張する徹底した軍事博物館。したがって、日本が侵略したアジアの国々で、どれほど非道の限りを尽くし、2100万人といわれる人々の命を奪ったかという観点が見事に、全く触れられていない施設。
 第二に、日本軍国主義の精神的支柱の役割という点では、戦死した方々が神になる儀式「招魂式」が、戦前・戦中に全国から何万人もの遺族を招待し、国を挙げてくり返し行なわれ、時の天皇が参拝した旨の展示があり、この模様はラジオで全国に実況中継されたということです。
 1882年公布された「軍人勅諭」は「忠節の義務は山より重く、人の死は鳥の羽よりも軽い」として、天皇の為に命をささげよと説きましたが、その一方、その覚悟を貫いて、戦争で命を落とした者は、国の神として祀られることを制度化したのです。こうして靖国神社は、国民を戦場に動員する上で、またその家族を含めた国民全体の戦争への精神的“団結”をはかる上で、絶大な役割を果たしたということが実感されました。
 第三に、ここには、過去の戦争に対する真摯な反省も、日本国憲法の不戦の誓いの立場もみじんもなく、むしろこの立場にたつ人々を攻撃しているということです。これでは、ドイツやイタリアがヨーロッパでやった戦争、日本がアジアでやった戦争は、いかなる大儀ももたない侵略戦争・不正不義の犯罪的な戦争だったとする世界の共通認識を否定するものであり、21世紀に日本が、国際社会の一員として生きていけないことは明らかです。

 これまで申し上げてきたような戦争観、特定の政治目的をもった運動体である靖国神社への参拝を一国の総理大臣が行なうことに、いま、国内外から大きな批判と注目が集まっているのは当然です。日本共産党は、この間国会の質疑で、靖国神社の実態を明らかにするとともに、戦争の正当化にお墨付きを与え、政府の公式見解である「村山首相談話」そのものを自己否定することになると、小泉首相の靖国神社参拝の中止を、強く求めていることはいうまでもありません。
  いま自民党内部からも、首相経験者を代表し、河野洋平衆院議長が小泉首相に靖国参拝について「慎重の上にも慎重に対応すべきだ」と異例の要請を行い、日本遺族会会長の古賀誠元幹事長が「立場のある人の発言は、近隣諸国への気配り、外国への思いやりが必要だ」という発言、を行なうに至っています。
 海外でも靖国問題が大きくとりあげられ、6月22日付ニューヨークタイムズが「日本のために無罪判決を求める戦争神社」と、23日付のUSAトゥデーでも「東京の神社がアジア中の怒りの的」と報道し、「靖国史観は、ほとんどのアジア人、アメリカ人が受け入れることができない」と述べています。靖国問題をとりまく状況はまさに大きく変化してきているといわなければなりません。
 付け加えていうなら、靖国神社の使命の二つ目に「近代史の真実を明らかにする」と書かれていますが、靖国史観と密接な関係のある「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書がまさしくそれを具体化していると思いました。遊就館ロビー奥に売店があり、扶桑社の関係書物や新しい歴史教科書をつくる会名誉会長の西尾幹二氏の「国民の歴史」など数多く並べられていたことも紹介しておきます。西宮での教科書採択にあたっては、侵略を正当化する教科書ではなく、憲法の平和条項や教育基本法に沿った教科書が採択されるよう、教育委員会の良識に期待をしておきたいと思います。
  以上のことを踏まえて質問します。

  1. 公費を使い、市が主催する合同慰霊祭の市長の祭文、ならびに、遺族代表の追悼の言葉は、戦争によるすべての死没者への追悼と、憲法や国の公式見解に沿った内容に見直すべきと考えるが見解を。
  2. 靖国神社について、私はさきに述べた通り、特定の政治目的をもった運動体ととらえていますが、市長、ならびに教育長は、靖国神社の実態について、どのように認識されているか、お聞きしたい。
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2、 国民健康保険料の引き下げについて

 2005年度の西宮市国民健康保険の料率が決まり、6月3日に告示されました。保険料率は医療給付費分については所得割が1%アップの10.5%、均等割が1800円アップの3万5400円、平等割は840円アップの2万6040円と大幅に引き上げられました。これは阪神間7市で見ると保険料率は尼崎についで2番目の高さとなっています。
  6月10日付「西宮市の国保」特集号では、「保険料率はなぜ上がったか?」として、(1)保険給付率が7割から9割になる70歳以上の前期高齢者が、毎月200名以上づつ増え続けていること。(2)医療給付費分の賦課総額が前年度より7億円も大幅に増えていること。(3)保険料の所得割の算定基礎となる基準総所得金額は前年度を下回っていることをあげて説明しています。つまり、医療費はどんどん増えているにもかかわらず、加入世帯の所得は減っているということです。この結果、増え続ける医療費を国保特別会計でまかなうには、保険料を引き上げなければならないということで、結局、収入が減って暮らし向きが大変な加入者には過酷な「高い保険料」となってしまったのです。他の自治体と比べてみると、2003年度の資料ですが、兵庫県下全自治体で、調定額の高い順では西宮市は第5位、市レベルでみると断トツ第1位の高い額となっています。
  もちろんこの背景には、政府による国庫負担引き下げが大きな原因としてあることはいうまでもありません。さらに保険者である西宮市が、保険料を抑制するために一般会計から繰り入れていた5億円を、2003年度からまったくゼロにしたことも高い保険料の要因です。この間、払いたくても払えない高い保険料を引き下げるために、日本共産党議員団は、一般会計からの8億円繰入れで、一世帯平均1万円の保険料引き下げをと一貫して要求してきたところです。
  さて、今回の質問は、阪神間の自治体との比較で、西宮市は、高すぎる保険料対策をどのように取ってきたのか、とくに所得階層別世帯数の割合や市民の所得水準が似かよっている宝塚市との比較で、次に質問します。

  1. 法定軽減分以外のいわゆる市独自の減免分や福祉医療分など、一般会計からの繰入金は、西宮市と比較してどうなっているのでしょうか。
  2. 保険料を二人世帯200万円の所得の方で比較すると、西宮市の30万6840円より、宝塚市は7万2040円低い23万4800円となっています。この状況をどのように評価していますか。
  3. 宝塚市並みの保険料にしようと思えば、一般会計からの繰入金の増額が不可欠です。西宮市ではどのような対策をとれば可能となるのか。具体的に答弁を。
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3、小規模工事等契約希望者登録制度の創設について

 まず最初に、余り耳慣れない「小規模工事等契約希望者登録制度」について簡単に説明します。この制度は競争入札参加資格のない地元の中小個人業者で、小規模で簡易な工事(西宮市の場合契約金額31万5000円未満)などの受注・施工を希望する方をあらかじめ登録し、自治体が発注する小規模工事や修繕の登録業者への受注機会を拡大、結果として地域経済の活性化を図ることを目的とした制度です。たとえば学校・公民館など教育施設や市民館などのちょっとした修繕、また市営住宅の入れ替え時の分離分割発注による畳・ふすま修繕などなど、自治体が必要なときに、登録している近くの業者さんから見積もりをとり仕事をしてもらう。仕事を請けた業者さんは、小額といえども税金を使った公共工事を施工し、収入を得ることになり、地域経済の活性化にも貢献することになります。
 この制度は全国で急速に広がり、6月5日現在289自治体で実施されています。西宮でも、阪神土建労働組合西宮支部や西宮民主商工会建設部会の方々が、この制度をぜひ西宮でも実施してほしいとこれまで要望してこられました。現在、市も前向きに検討されていると聞いています。
  去る5月27日、西宮民商の方々が制度創設を求めて、市と3回目の懇談をし、私も同席しました。そのとき、造園・土木の仕事をしているある業者さんが「実は市の仕事を請け負った指名登録業者が他市の業者へ下請けに出し、その業者から、結局私らが安くたたかれて3次下請けで市の仕事してますねん。」「この制度ができて直接市の仕事ができたらありがたいし、市も経費節減ができるのと違いますか」と発言しておられました。阪神間各市でも、来年度実施に向けた動きも出ていると聞いています。不況が続く中、市内業者の仕事起こしにもつながる「小規模工事等契約希望者登録制度」を、是非、阪神間他都市に先駆けて、西宮市で来年度からスタートさせるべきと考えますが答弁を。

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4、コミュニティバスの実現について

 今年の3月議会でわが党杉山議員の「コミュニティバスは市長の一期目からの公約であり、早期に実施を」との代表質問に答え、都市局長は、「南北バス・コミュニティバス・JR甲子園口エレベーターの三課題について、庁内の交通政策課題検討委員会での検討結果を踏まえ、事業化についての考え方を一定取りまとめ、議会に報告するとともに、実施計画に反映させる」「できるだけ早い時期に一定の考え方を取りまとめる」と答弁されました。
 いうまでもなくコミュニティバスは、既存のバス路線が、朝夕の駅直通の通勤バスとなっているため、公共施設や病院、買い物施設などを昼間利用する方々には利用しにくい実態が広くあることを解消する目的や、高齢者や障害のある方など、社会的弱者といわれる方々の、とくに昼間の移動の自由を自治体がバックアップしていこうというのが一番のベースになって、全国各地で取り組まれているものです。
 西宮市でもやっと、検討委員会が立ち上がったということで、市民も議会もおおいに関心を寄せているところです。市長が公約を本気で実現されるお考えであれば、今年度の庁内検討委員会を経て、(1)2006年度には学識経験者や市民参加の検討委員会への発展 (2)2007年度には試験運行が実施され (3)市長の2期続きの公約であることから、任期最後の年2008年度には本格運行が開始されていること。以上のようなタイムスケジュールが必要となります。 このような期待をもって次に質問します。

  1. 検討委員会はこれまで何回開催され、協議した内容はどうか。また会議の公開はどうなっているか。
  2. 検討委員会のメンバー8人のうち、西宮市在住者は何人か。また、検討委員会では市内の既存バス路線の実態、例えば、半径200m以内に鉄道やバスの停留所がない「公共交通空白地域」、また、停留所はあっても便数が少なかったり、公共施設などへのアクセスが悪い「交通不便地域」についてどう分析、認識しているか。
  3. 市長の公約である以上、当然「実施すること」を前提に検討していると思うが、実施までのタイムスケジュールはどうなっているか。
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