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定例議会

2005年9月議会

杉山たかのり議員の一般質問
  1. アスベスト問題について
  2. 障害者自立支援法案について
  3. 再質問

1、アスベスト問題について

 まず、アスベスト問題について質問します。
 6月末から7月にかけて、アスベスト製品を製造していたメーカーから、製造工場労働者および工場周辺住民に、肺がんや中皮腫による死亡事例など、深刻な健康被害が出ている実態が相次いで発表され、アスベスト問題が急激に表面化しました。特に工場から飛散したアスベストの吸引が原因と考えられており、労働者とその家族、住民の不安は大きく高まっています。

 もともとアスベスト問題は、早くからがんとの関係が知られており、1960年じん肺法、1968年大気汚染防止法、1971年特定化学物質等障害予防規則の中で、非常に甘い基準でしたが、対策が必要とされていました。1972年には世界保健機関や国際労働機関が、それぞれ危険性を指摘しています。
 1980年代にはすでにヨーロッパ諸国であいついで全面禁止になり、アメリカでも89年からアスベストの生産・輸入を段階的に規制しています。

 日本共産党は1972年6月7日に当時の山原健二郎衆議院議員が科学技術振興対策委員会で質問して以来、30数年にわたって、一貫して国政の重要問題として国会で追及してきました。

 ところが、日本では60年代の高度成長期から建物や製造現場でアスベストが大量に使われ、国際的にも危険がはっきりしてきた70年代から90年代初めにかけて、アスベスト輸入のピーク期を迎えました。日本政府は、71年の特定化学物質等障害防止規則では、工場内だけの規制とし、72年には旧環境庁も委託調査で工場周辺住民の健康被害を認識していながら、89年まで排出基準を作りませんでした。75年になってやっとアスベスト吹きつけを禁止したものの、すでに使われたアスベストの撤去は行いませんでした。(95年になって、毒性の強い青・茶石綿を製造禁止しましたが、これも回収は行っていません。)政府がアスベストを全面禁止にしたのは2004年になってからで、しかも「代替品がないもの」は除かれ、完全禁止は2008年まで先送りされています。

 8月26日、政府は、石綿による健康被害に対応するために、特別立法で救済する方針を決定し、来年の通常国会で新法を制定、二○○八年としている石綿全面禁止時期の前倒しを検討するなどとしています。しかし、政府の姿勢は、「関係省庁の十分な連携が図られたとはいえず、反省の余地がある」としながら、具体的な行政責任を明確には認めず、「今後とも精査する必要がある」にとどまっています。また、新法による救済内容も、補償基準や範囲、財源などが明確になっていません。

 石綿の健康被害は、この間の被害実態の公表や国会質問などから、安全対策も不十分なまま大量の石綿の製造と使用を続けてきた企業と、危険性を認識しながら長期にわたって使用を容認してきた政府の責任がますます明確になってきています。

 日本共産党は、9月1日その政府と関係企業の責任と費用負担で、すべての健康被害者等の保護・救済、早急な石綿の全面禁止、今後の健康被害拡大の防止対策などをはかる法案の大綱を緊急に提案しました。

 さて、アスベストによる被害は日々新しい状況が報じられており、非常に広範囲なものであることが明らかになっています。

 クボタやニチアスのような、石綿製品の製造や石綿吹きつけなど工事段階での死亡者は7月29日現在で531人になっています。人口動態調査によると、中皮腫による死亡者は、政府が統計を取り始めた1995年以降の9年間で6000人を超え、近年増加傾向にあります。このうち「アスベストによる中皮腫」と労災認定を受けているのはわずか284人にすぎず、「アスベストが原因」と国や企業に認められないまま死亡した人が、相当数に上っていることが明らかになっています。

 また、学校など公共施設をはじめ、JR各社の駅舎などで、アスベストを使用、むき出しになっている事例も次々と明らかになっています。また、死亡者は建設労働者や工場周辺住民にとどまらず、アスベスト使用資材を使った個人住宅による死亡者も報じられるなど、ますます不安は高まっています。

 この間、7月20日に兵庫県がアスベスト製品製造事業所に対する立ち入り検査の調査結果を発表し、現在の届出事業所は県下4事業所あり、その一つが津門稲荷町にある二葉工業だということがあきらかになりました。西宮市は保健所に相談窓口を開設し、また、公共施設のアスベスト問題連絡会議を設置、8月31日に一次調査の結果を発表し、263施設中3施設で吹き付けアスベストが使用されていることが明らかになっています。

 日本共産党西宮市会議員団は、8月9日、市長に対して申し入れをおこない、アスベスト対策について全庁的な特別の体制をとること、市民の健康被害の実態調査、無料の健康診断の実施、国、県にアスベスト使用禁止、被害者救済、安全対策の強化など、7点について緊急要求をしました。
 国政、県政、市政と連携を取りながら、1日も早いアスベスト問題の解決に力をつくしています。

 質問

  1. 危険性を知りながら、使用禁止や予防対策をおこたってきた政府の責任は重大だと考えるが、市民の命と健康をあずかる市長として、見解をもとめます。アスベスト問題についての認識もあわせて伺います。
  2. 市として国、県に対してアスベスト使用禁止、被害者救済、安全対策の強化等を求めるべきではないか。また、解体業者への飛散防止費用の助成制度を新設するよう国、県に求めるべきではないか。
  3. 市内アスベスト製品製造事業所、津門稲荷町にある二葉工業株式会社について、兵庫県の調査結果は公表されているが、1960年から稼動しており、肝心の60年代、70年代に工場がどのような形で操業されていたのかは全くわからない。過去をふくめた調査を行い、その結果を公表するべきではないか。また、昔鳴尾地域でパンの窯を外で作っていた、とか、今津にスレート工場があった、とか、材木屋でもアスベスト使用の資材を使っていたとか、様々な話を私自身も聞きます。過去においてのアスベスト関連事業所の所在地と稼動時期を調査、公表するべきではないか。
  4. 市民の健康被害の実態を調査するとともに、市民の死亡原因を調査し、アスベストによる死亡被害を明らかにするべきではないか。また、健康診断を希望する市民に対して無料で実施するべきだがどうか。
  5. 先日、フレンテ西宮で駐車場にアスベストを使用しているのではないかという問い合わせが相次いで、至急調査してアスベストではなくロックウールであると張り紙をしたという話を社長からお聞きしましたが、市民はやはり不安なんです。市施設や水道管等のアスベスト使用の調査は徹底的に行い、アスベストの除去等対策を講じるとともに、鉄道駅をはじめ市内の公共的な施設、民間施設を含めて、アスベスト使用の現状把握と安全な除去等、対策を講じるべきではないか。
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2、障害者自立支援法案について

 次に障害者自立支援法案について質問します。
 障害者福祉制度の一元化をかかげた障害者自立支援法案は、サービス利用の際に、1割負担を導入し、障害が重く必要なサービスが多い人ほど、負担が重くなる制度で、「これでは生活できない」と「慎重審議」と「応益負担反対」を求めた障害者、家族、関係者の共同・連帯した粘り強い運動が国会会期末まで参議院での採択を許しませんでした。小泉内閣と自民党、公明党は成立に全力を挙げていましたが、衆議院解散により、廃案に追い込まれました。これは、国民の運動と世論の成果です。
 ところが、8月10日には尾辻厚生労働大臣は、臨時国会で再提出を示唆し、「他の制度との整合性などを考えると1割負担は言わざるを得ない」と述べており、基本的な骨格を変えずに法案の成立を政府はねらっています。

 この動きにたいして、総選挙中、日本障害者協会が各政党に公開質問を行い、その回答が5日に公表されました。もちろん日本共産党は、法案にはきっぱり反対、「収入に応じた応能負担」にすべきだと答えています。それによると、「応益負担の導入は必要」と明確に答えたのが公明党です。自民党は「低所得者に配慮」したうえで「必要」としています。民主党は将来的な介護保険の活用を理由に、「定率負担導入はあり得る」と、容認の姿勢を明らかにしました。法案については、自民党、公明党は成立を期す立場を強調しています。民主党、社民党は法案反対を表明しています。

 西宮でも、メイストリーム協会が、7区の小選挙区候補に対して障害者自立支援法案は問題ありとの立場から懇談を申し入れています。

 総選挙の結果からも、引き続き政府・与党によるこの法案の再提出、成立を許さない国民的なたたかいが求められてくるでしょう。日本共産党は全力をあげてたたかうものです。

 障害者自立支援法案の重大な問題は、福祉サービスの利用料を所得に応じて負担している、「応能負担」を、サービスの量に応じた「応益負担」に変更し、一割の定率負担を導入する点にあります。
 現行の支援費制度のもとで、自己負担は、所得に応じた負担になっていたため、ホームヘルプサービスでいうと、住民税非課税の方までは無料です。実際には、95%の人は費用負担なしにサービスを受けることができます。厚生労働省は現行制度は実質1%の負担と説明しているので、介護保険と同じ1割負担になれば10倍の負担増ということになります。

 通所施設でも現行制度では95%が無料ですが、食費の負担が加わる上に、1割の自己負担を支払うことになります。
 所得に応じて負担の上限を設けるとしていますが、厚生労働省の試算では、応益負担の導入による負担増は、ホームヘルプで平均月1000円から4000円と4倍に、通所施設では食事負担も加わり、1000円から19000円と19倍にもなります。

 さらに、公費負担医療についても定率負担を導入し、精神障害者の通院医療では精神保健福祉法による5%の自己負担を廃止し、1割負担に、また障害者の更生医療、育成医療は所得に応じた負担となっていますが、月2500円から5000円の医療負担に加え、食費負担まで求めます。

 応益負担の導入は、サービスを多く必要とする重度障害者ほど、重い負担を強いられるもので、もはや福祉とは言えないものです。

 なぜこんな目茶苦茶な制度が急いで持ち出されてきたのか。もともと、社会福祉事業法の「改正」により障害者福祉制度支援費制度が導入され、それまでの行政の責任から事業者との契約という形にかわりました。今回、障害者福祉制度に「応益負担」を導入することによって、介護保険と同じような利用者負担の構造にして、次の段階で統合する方向を示しています。しかし、実際は、支援費制度がはじまり、初年度は128億円、次年度は250億円の予算不足が起きており、この財政難を理由に利用者への負担増を押し付けるものとして、公費負担医療は10月から、一割の定率負担は来年1月から実施を強行しようとしていたのです。

 今後、政府与党は、障害者自立支援法案を再提出し、その成立をねらうことになるでしょう。これが仮に成立することになれば、「自立支援」のなのもとに、耐え難い負担を強いられ障害者の生活が破壊されことになるのではないでしょうか。
 このようなことは絶対に許してはならないと思います。

 質問

  1. 政府がねらう障害者支援法案は、1割の定率負担等大幅な負担増を強いるものですが、これで障害者が自立した生活がおくれるのか。実際の障害者の生活にどのような影響を及ぼすと考えるか。
  2. 障害者自立支援法案が仮に成立すれば、市の負担や施策はどうなるのか。
  3. 市として、政府に法案の再提出の撤回をもとめるべきではないか。
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再質問

アスベスト問題

 なぜ、アスベスト被害が急に表面化してきたのか、偶然ではなく、ちゃんと背景があるのです。
 ILO162号条約「石綿の使用における安全に関する条約」が1986年に採択され、89年に発効されています。ところが日本政府は、アスベスト使用禁止の国内法の整備を怠り、国際条約ができてから、なんと19年も批准をしてこなかったのですが、通常国会で6月末から審議が行われることになったのです。国会での審議を前に、クボタやニチアスなどが、これまでの秘密扱いではなく、使用状況や被害実態について、みずから公表する方向に転換せざるを得なかったのではないでしょうか。

 もちろん、被害者や遺族の方々の粘り強い運動があり、クボタの工場周辺の住民で被害を受けた方がテレビに出演されるなど、問題が表面化して隠しきれなくなったということも、大きな要因のひとつでしょう。

 石綿濃度の基準値は、1971年の特定化学物質等障害予防規則施行令、76年の作業環境測定基準施行令でさだめられていましたが、明らかになったクボタの実態は、石綿のチリがもうもうと立ちこめる作業場の濃度測定は76年までおこなわれず、工場敷地の境界線での濃度測定は88年までおこなわれていません。このような状況にもかかわらず、行政指導は行われていなかったのです。

 経済産業省出身者から石綿協会への天下りは1989年から2002年にかけて行われ歴代専務理事に就任、また石綿代替製品の開発・研究の委託先である財団法人・建材試験センターにも経済産業省や国土交通省などの出身者が歴代理事長などに多数天下っています。

 また、2004年にアスベストを原則禁止としながらも、建材については、繊維強化セメント板や屋根用化粧スレートなどが相当在庫として残っており、2004年10月以前に製造したものは、経過措置として販売が認められています。

 このように、経過などを見てみると、国民の命や健康よりも、石綿協会や鉄鋼、造船、自動車、石油化学、ゼネコンなど大口ユーザーの利益と要求を優先してきた政府の責任は重大だということがわかります。

 さきほど、兵庫県市長会を通じて国に要望書を提出していると答弁がありましたが、読ませていただきました。ところが「アスベスト製造・使用を即刻全面禁止せよ」という要望がないので、迫力ないですね。認識があまいのではないですか。

 答弁では「国においても、対策がおくれたことから  特別立法を行い救済に取り組む」と、しかし、国は対策が遅れたのではなく、遅らせたわけですから、市民の命をあずかる市長としては、政府に責任を問う姿勢とはとても感じられないことを指摘しておきます。

 さきほど、アスベスト関連事業所の調査について、質問しました。アスベストには30年、40年という潜伏期間があるので、現時点の調査だけではだめなんです。

 津門稲荷町の二葉工業株式会社について説明がありましたが、現時点のことしか言わなかったですね。

 私は、津門仁辺町に42年間住んでおり、500メートルもないところに住んでいるので大変木になります。この会社は、昭和28年に法人化し、南甲子園2丁目にあったものが、1960年に今のところに移転、南甲子園2丁目は以前は第2工場として位置づけられていました。

 答弁では「石綿でできた布状の1次製品を仕入れ、樹脂で固めて成型し、車のブレーキパッドやクラッチフェーシング等の2次製品として出荷し」ているとのことでしたが、樹脂で固めたものを研磨するので、やはり粉塵がでるそうです。それを固めて処分するとのことだそうです。ただ、先代社長が他界しており、1960年代の状況はわからないと現在の社長は言われていました。
 環境局長は、第2次工場については、立ち入り調査でつかんでいたのですか。お答えください。

 障害者自立支援法案について

 答弁では「障害者の生活への影響は、これらの負担軽減制度の活用により、大きな影響は生じないものと考えております」といわれました。

 私は聞いて驚きました。障害者やご家族のみなさんは、お怒りになられているのではないでしょうか。

 応能負担から応益負担に変わるということが、どれほどの不安と負担を強いることなのか、わかっていない、冷たい答弁だと思います。

 現行の支援費制度の場合の、利用の状況が説明されましたが、ホームヘルパーなど居宅サービス利用者では、98%の方が無料で、負担のある方の平均負担額が月2200円。施設訓練利用者では62%が無料で、負担のある方で入所で平均負担額が39700円、通所で14800円。こういう状況です。

 「障害者福祉支援費制度利用の手引き2005」を見ますと、15ページのサービス利用時の負担額というところに、次のように説明があります。

 「支援費制度では、サービスを利用したときに受給者証に記載された利用者負担額を事業者に支払います。まず、利用者本人が負担し、不足する場合に扶養義務者が負担します。利用者負担額は、それぞれの負担能力に応じてきまります。居宅サービスでは、利用者の負担額が、著しく増大しないように、1ヶ月に利用者が支払う利用者負担額の上限が区分ごとに決まっています。」

 このように記載されていますが、つまり現在の支援費制度の負担額が負担能力に応じたもので、しかも著しく高くならないように上限を定めているということです。現行の負担額を超えるということは、負担能力を超えるものだということです。

 具体的な例をみてみます。
 作業所に22日通所で約15万円利用の場合、現行支援費制度の利用料は、ほとんどの方が無料です。ところが、障害者自立支援法案が通るとどうなるのか。生活保護世帯の方で食費5000円の負担になります。住民税非課税世帯だと、食費5000円と1割負担2万円の負担になります。一般世帯では食費14300円と1割負担で32300円の負担となります。

 これに政府の言う軽減措置、社会福祉法人の減免制度が適用された場合、生活保護世帯は、5000円のままで、住民税非課税世帯は2万円が15500円に減額されます。一般世帯は32300円のままです。

 これはあくまで経過措置や減免制度が適用され場合で、1割負担だと、施設利用は3万円以上の負担になります。作業所では一月の工賃は1万円くらいですから。働いて得る額よりも利用料のほうが高くなるのです。こんなばかな話があるでしょうか。

 30万円以下の所得税課税世帯、18歳以上、心臓手術で20日間入院で保険診療の総医療費が300万円かかった場合、現行では所得に応じて2300円から1万4670円が、移行後では11万5490円にもなります。
 これらは、ほんの1例ですが、応益負担の導入というのは、いくら上限を設けたり軽減措置をつけても、1割負担を原則とする以上、重い障害ほど重い負担にならざるを得ないのです。

 私は、小泉さんが「障害者生活破壊法」とか「障害者自立抑制法」とかで出してくるのならまだしも自立できなくなるものを、自立支援法という名で出してくることは本当に許せないと思います。

 局長、これでも「大きな影響は生じない」、これで自立できるといえるのですか。お答えください。
 廃案となった障害者自立支援法案は、来年1月からは利用料の1割負担を、また今年10月から医療費公費負担制度の1割負担をねらっていました。このため、今年度の国家予算はそれぞれ2か月分43億円、5か月分38億円の削減をしています。つまり、現状では国からの補助金に穴が開いているのですが、この点について聞いておきたいと思います。

まとめ:  アスベスト問題は、数十年間に及ぶ長期にわたる問題です。2000年から40年間に約10万人は中皮腫で死亡するという予測もあります。西宮市の場合、尼崎市の隣に位置し、しかも阪神淡路大震災による家屋の解体でアスベストの飛散が予想されるわけで、今しっかりとした認識をもってあたっていくということが大事だと思います。
 
 そういう点では、市当局の対応というのは、残念ながら不十分といわざるを得ないと思います。
 障害者自立支援法については、小泉首相の言う「改革」の本質、全く逆の言葉、この場合「自立」ですが、この言葉で国民に痛みをおしつける、ニセ改革の本質があらわれたものであり、私は、市当局の冷たい姿勢がうきぼりになったというふうに思います。

 
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