再質問
アスベスト問題
なぜ、アスベスト被害が急に表面化してきたのか、偶然ではなく、ちゃんと背景があるのです。
ILO162号条約「石綿の使用における安全に関する条約」が1986年に採択され、89年に発効されています。ところが日本政府は、アスベスト使用禁止の国内法の整備を怠り、国際条約ができてから、なんと19年も批准をしてこなかったのですが、通常国会で6月末から審議が行われることになったのです。国会での審議を前に、クボタやニチアスなどが、これまでの秘密扱いではなく、使用状況や被害実態について、みずから公表する方向に転換せざるを得なかったのではないでしょうか。 もちろん、被害者や遺族の方々の粘り強い運動があり、クボタの工場周辺の住民で被害を受けた方がテレビに出演されるなど、問題が表面化して隠しきれなくなったということも、大きな要因のひとつでしょう。
石綿濃度の基準値は、1971年の特定化学物質等障害予防規則施行令、76年の作業環境測定基準施行令でさだめられていましたが、明らかになったクボタの実態は、石綿のチリがもうもうと立ちこめる作業場の濃度測定は76年までおこなわれず、工場敷地の境界線での濃度測定は88年までおこなわれていません。このような状況にもかかわらず、行政指導は行われていなかったのです。
経済産業省出身者から石綿協会への天下りは1989年から2002年にかけて行われ歴代専務理事に就任、また石綿代替製品の開発・研究の委託先である財団法人・建材試験センターにも経済産業省や国土交通省などの出身者が歴代理事長などに多数天下っています。
また、2004年にアスベストを原則禁止としながらも、建材については、繊維強化セメント板や屋根用化粧スレートなどが相当在庫として残っており、2004年10月以前に製造したものは、経過措置として販売が認められています。
このように、経過などを見てみると、国民の命や健康よりも、石綿協会や鉄鋼、造船、自動車、石油化学、ゼネコンなど大口ユーザーの利益と要求を優先してきた政府の責任は重大だということがわかります。
さきほど、兵庫県市長会を通じて国に要望書を提出していると答弁がありましたが、読ませていただきました。ところが「アスベスト製造・使用を即刻全面禁止せよ」という要望がないので、迫力ないですね。認識があまいのではないですか。
答弁では「国においても、対策がおくれたことから 特別立法を行い救済に取り組む」と、しかし、国は対策が遅れたのではなく、遅らせたわけですから、市民の命をあずかる市長としては、政府に責任を問う姿勢とはとても感じられないことを指摘しておきます。
さきほど、アスベスト関連事業所の調査について、質問しました。アスベストには30年、40年という潜伏期間があるので、現時点の調査だけではだめなんです。
津門稲荷町の二葉工業株式会社について説明がありましたが、現時点のことしか言わなかったですね。
私は、津門仁辺町に42年間住んでおり、500メートルもないところに住んでいるので大変木になります。この会社は、昭和28年に法人化し、南甲子園2丁目にあったものが、1960年に今のところに移転、南甲子園2丁目は以前は第2工場として位置づけられていました。
答弁では「石綿でできた布状の1次製品を仕入れ、樹脂で固めて成型し、車のブレーキパッドやクラッチフェーシング等の2次製品として出荷し」ているとのことでしたが、樹脂で固めたものを研磨するので、やはり粉塵がでるそうです。それを固めて処分するとのことだそうです。ただ、先代社長が他界しており、1960年代の状況はわからないと現在の社長は言われていました。
環境局長は、第2次工場については、立ち入り調査でつかんでいたのですか。お答えください。
障害者自立支援法案について
答弁では「障害者の生活への影響は、これらの負担軽減制度の活用により、大きな影響は生じないものと考えております」といわれました。
私は聞いて驚きました。障害者やご家族のみなさんは、お怒りになられているのではないでしょうか。
応能負担から応益負担に変わるということが、どれほどの不安と負担を強いることなのか、わかっていない、冷たい答弁だと思います。
現行の支援費制度の場合の、利用の状況が説明されましたが、ホームヘルパーなど居宅サービス利用者では、98%の方が無料で、負担のある方の平均負担額が月2200円。施設訓練利用者では62%が無料で、負担のある方で入所で平均負担額が39700円、通所で14800円。こういう状況です。
「障害者福祉支援費制度利用の手引き2005」を見ますと、15ページのサービス利用時の負担額というところに、次のように説明があります。
「支援費制度では、サービスを利用したときに受給者証に記載された利用者負担額を事業者に支払います。まず、利用者本人が負担し、不足する場合に扶養義務者が負担します。利用者負担額は、それぞれの負担能力に応じてきまります。居宅サービスでは、利用者の負担額が、著しく増大しないように、1ヶ月に利用者が支払う利用者負担額の上限が区分ごとに決まっています。」
このように記載されていますが、つまり現在の支援費制度の負担額が負担能力に応じたもので、しかも著しく高くならないように上限を定めているということです。現行の負担額を超えるということは、負担能力を超えるものだということです。
具体的な例をみてみます。
作業所に22日通所で約15万円利用の場合、現行支援費制度の利用料は、ほとんどの方が無料です。ところが、障害者自立支援法案が通るとどうなるのか。生活保護世帯の方で食費5000円の負担になります。住民税非課税世帯だと、食費5000円と1割負担2万円の負担になります。一般世帯では食費14300円と1割負担で32300円の負担となります。
これに政府の言う軽減措置、社会福祉法人の減免制度が適用された場合、生活保護世帯は、5000円のままで、住民税非課税世帯は2万円が15500円に減額されます。一般世帯は32300円のままです。
これはあくまで経過措置や減免制度が適用され場合で、1割負担だと、施設利用は3万円以上の負担になります。作業所では一月の工賃は1万円くらいですから。働いて得る額よりも利用料のほうが高くなるのです。こんなばかな話があるでしょうか。
30万円以下の所得税課税世帯、18歳以上、心臓手術で20日間入院で保険診療の総医療費が300万円かかった場合、現行では所得に応じて2300円から1万4670円が、移行後では11万5490円にもなります。
これらは、ほんの1例ですが、応益負担の導入というのは、いくら上限を設けたり軽減措置をつけても、1割負担を原則とする以上、重い障害ほど重い負担にならざるを得ないのです。
私は、小泉さんが「障害者生活破壊法」とか「障害者自立抑制法」とかで出してくるのならまだしも自立できなくなるものを、自立支援法という名で出してくることは本当に許せないと思います。
局長、これでも「大きな影響は生じない」、これで自立できるといえるのですか。お答えください。
廃案となった障害者自立支援法案は、来年1月からは利用料の1割負担を、また今年10月から医療費公費負担制度の1割負担をねらっていました。このため、今年度の国家予算はそれぞれ2か月分43億円、5か月分38億円の削減をしています。つまり、現状では国からの補助金に穴が開いているのですが、この点について聞いておきたいと思います。 まとめ:
アスベスト問題は、数十年間に及ぶ長期にわたる問題です。2000年から40年間に約10万人は中皮腫で死亡するという予測もあります。西宮市の場合、尼崎市の隣に位置し、しかも阪神淡路大震災による家屋の解体でアスベストの飛散が予想されるわけで、今しっかりとした認識をもってあたっていくということが大事だと思います。
そういう点では、市当局の対応というのは、残念ながら不十分といわざるを得ないと思います。
障害者自立支援法については、小泉首相の言う「改革」の本質、全く逆の言葉、この場合「自立」ですが、この言葉で国民に痛みをおしつける、ニセ改革の本質があらわれたものであり、私は、市当局の冷たい姿勢がうきぼりになったというふうに思います。 |