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定例議会

2005年9月議会

野口あけみ議員の一般質問
 

介護保険について

  2000年4月から始まった介護保険制度は実施5年後の見直し法案が先の国会で自民、公明、民主の賛成で成立しました。

 政府は見直しにあたって(1)制度の持続可能性をはかるため「給付の効率化・重点化」をすすめる(2)「予防重視システム」に転換する(3)「社会保障の総合化」として、社会保障制度全体を効率的・効果的な体系へ見直すなどの視点をかかげていますが、「保険給付の抑制」に最大の眼目がおかれているのが特徴です。

 その具体化として、さっそくこの10月から特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設の三施設と在宅サービスのショートステイで居住費と食費が、またデイサービスでは食費が保険給付からはずされ、全額自己負担になる、いわゆるホテルコスト徴収が始まります。

 施設の問題では、利用者の選択という大前提がありながら特養待機者が全国で34万人、西宮市でも今年3月現在1625人(優先度1の方でも732人)もいるほど施設不足は深刻な問題ですが、厚労省は逆に3施設やグループホームなど居住系サービスへの入所を1割程度減らすとして入所資格を制限し、施設整備計画も緩やかなものに見直すとしており、今後待機者の増大にさらに拍車がかかります。

 また、来年4月からは新たに予防給付を創設し、要支援、要介護1の軽度要介護者には予防給付しか受けさせず、ホームヘルプやデイサービスなどの利用を制限し、費用の削減をおこなうとしています。

 さらに老人保健法にもとづいて全額公費で実施している保健事業、在宅介護支援センター運営事業、介護予防・地域支えあい事業の3事業を見直し・再編し地域支援事業として介護保険に組み込もうとしています。このことによって国の負担額はおよそ300億円以上減少し、一方で介護保険料から新たに1000億円を負担しなければなりません。介護保険に何でもかんでも投げ込むのは問題ではないでしょうか。

 制度開始当初から「保険あって介護なし」といわれた介護保険ですが、今回の見直しで問題点はなんら改善されず、さらに「負担なければ給付なし」という保険制度の悪い面を高齢者福祉全体に広げようというとんでもない大改悪といわなければなりません。

 問題点はこれにとどまりません。高齢者全体にかかわる保険料の問題があります。高齢化の進行や、サービス利用者の増加で保険料の大幅増加が試算されています。市でも仮に現行制度がそのままだとしても現在2,934円の基準額が4200円に跳ね上がるだろうとの数値が3月議会厚生委員会で示されました。真に見直しをするのであれば国は国庫負担を増やし保険料軽減を図ったり、低所得者対策を考えるべきですが、これらはなんら示されませんでした。それどころか先に述べたように公費で実施している事業を介護保険に加え保険料引き上げの要因をつくる始末です。かろうじて現在の第2段階が細分化され当段階の約半数の方の保険料が基準額の0.5倍となる若干の改善がなされるのみです。

 さらに重大なことは来年度より実施される税制改革の影響です。「配偶者特別控除」「老年者控除」が廃止となり、公的年金控除額が140万から120万円に引き下げられるため、本人または世帯員が非課税から課税になり、収入は増えないにもかかわらず、税、国民健康保険料、介護保険料が一気に増大します。生存権を保障すべき医療や介護が、その負担増によって逆に生存権を脅かしかねない重大な事態です。

 具体的に保険料、利用料、新予防給付について質問します。

  1. 新年度税制改正が介護保険料にどう影響するか、まずおききします。
  2. 今後新制度の内容や介護報酬に応じて保険料の設定がなされるが、その際に市独自で軽減のための減免や激変緩和策などを市として考えるべきでないか。
  3. 利用料の問題です。施設利用者からのホテルコスト徴収は具体的にどのようなものになるか。
  4. 利用料減免ではわたしたちも強く求め、ホームヘルプサービスについて国の特別対策に準じ市独自減免をおこなってきましたが、特別対策の終了とともに市の減免も終了してしまいました。今回のホテルコスト徴収に対するものも含め、新たな低所得者に対する市独自の利用料減免制度を創設すべきと考えるがどうか。
  5. 新予防給付や、地域支援事業についてはどのようなものになるか、現時点では不明な点が多いとのことでした。
     新予防給付については3月議会で一定の答弁がありましたが、改めてうかがいます。軽度要介護者に本人の意に反して筋トレの強制、食事内容への介入などを行うべきでないし、状態の改善につながるホームヘルプサービス等の利用について制限すべきでない、あくまで介護保険制度の大前提である被保険者のサービス選択権を保障すべきだと考えるが、どうか。
     また老人保健法による保健事業などは公的責任で、希望する人全員を対象に実施すべきである。地域支援事業として介護保険へ移行することは極力避け、これまでどおり市の福祉事業、保健事業としてとりくむべきと考えるが、どうか。
  6. 最後に、地域包括支援センターについてです。地域包括支援センターは公正・中立な立場から地域における総合相談・支援や新予防給付や地域支援事業のマネジメントなどをおこなう中核機関とのことですが、この設置についての基本方針はどのようなものか。ここには社会福祉士、保健師、主任ケアマネージャーを配置しなければならないがその確保の見込みはどうか。

以上で壇上での質問は終わります。ご答弁によりましては自席より再質問などさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

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