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定例議会

2006年3月議会

杉山たかのり議員の代表質問
  1. 小泉「構造改革」と市政について
  2. 福祉切り捨ての第3次行財政改善実施計画と財政問題について
  3. くらし支える施策への転換について
  4. コミュニティ・バスについて
  5. 学校教育について

 新年度予算案は、一般会計1589億2000万円前年比3.2%増、特別会計1106億8100万円前年比4.7%増、企業会計215億9000万円前年比1.2%減、合計2904億8000万円前年比3.4%となっています。なお一般会計では、歳出歳入同額の借換債が132億9300万円あり、それを除くと、実質前年度比3.4%減となっています。
  この予算案の特徴について指摘をしておきたいと思います。

  まず一つ目の特徴は、市民税が前年より29億6000万円増加したことです。法人市民税も1億3200万円増額となっていますが、個人市民税は28億2700万円の増額となっています。これは、景気の回復ということが言われていますが、小泉首相は「サラリーマン増税はしない」といっていたにもかかわらず、公約を破って定率減税の縮減(次年度は廃止)、公的年金等控除の縮小、老年者控除の廃止、高齢者の住民税の非課税限度額廃止など約14億円で、市民への増税によるものとなっています。

  2つ目の特徴は、弱者を狙い撃ちした「行革」の強行です。
  第3次行財政改善実施計画の新年度の効果額は、28億2300万円と、市当局は試算していますが、この中には、敬老祝い金の廃止など敬老事業の見直しで1億2243万円、保育所保育料の値上げで3268万円、幼稚園保育料の値上げと減免縮小で1923万円、市民福祉金の50%削減をはじめ、原爆被爆者扶助費の50%削減、生活保護被保護者見舞金の廃止、特定疾病患者見舞金減額など、市単独扶助費の見直しで、5億1491万円、生活保護世帯への水道料金・下水道使用料の基本額免除の廃止で6258万円など、高齢者、障害者、生活保護受給者、子育て世代など、本来支援すべきところを削減や負担増などで狙い撃ちにしたものとなっています。

  3つ目には、財政危機といって切り捨てる一方で、「聖域」をつくっています。
  引き続き、山手幹線や市役所前線など街路事業には、多額の税金が使われています。阪急電鉄の西宮スタジアム跡地開発のために、今津南線の高架化は、何が何でもやろうとしています。食肉センターには3億6200万円の補助金が引き続き注ぎ込まれます。
  第3セクターの西宮都市管理株式会社への貸付金は、減額されたとはいえ、10億5000万円です。わが党は一貫して批判をしてきましたが、これまで無利子だったものを新年度からは利子を取ることになりました。利率は、何パーセントか聞きますと、0.1%、105万円の利子だそうです。道路占用料が8年ぶりに改定されます。8年というのは異例です。しかも、平均3.6%の値上げ幅が大きいとして、2ヵ年かける激変緩和措置を講じます。莫大な収益を上げているNNTや関西電力には激変緩和措置は必要ありません。
  市長の退職金は、4年間の任期で、約3000万円ですが、削減率はわずか2割です。
  議会に対する補助金は、政務調査費、議員互助会ともに、議会内からも「削減すべき」との意見が多数となっていますが、1円のカットもしませんでした。
  これらの財源確保のために、福祉を切り捨てることは許せません。

  4つ目には、市民の中に貧困と社会的格差が広がっていることです。
  いくつかの指標を示してみました。お配りした資料にグラフや数字を示していますのでごらんください。
  まず、生活保護がどうなっているのか。1997年では、生活保護受給状況は、1832世帯、2735人、千分率で6.84‰でした、2005年ではこれが、3650世帯、5397人、11.56‰、8年間で、世帯数も人数もほぼ倍増しています。
  つぎに、就学奨励金です。これは、生活保護に準じる水準、基準所得が2人世帯で198万6000円、3人世帯で242万円程度の世帯の児童・生徒におこなう給食費や修学旅行費、学用品などの援助をするものです。
  この就学奨励金を受けている児童・生徒の割合は、1998年では、小学校で12.8%、中学校で14.4%だったものが、2004年では、小学校18.2%、中学校21.8%と、6年間で約1.5倍にもなっています。さらに、地域によって格差が生じ、実に50%を超える、つまり児童の2人に1人という小学校もあります。
  国民健康保険料の滞納も大変な状況です。現年度と過年度を合わせた滞納状況は、1997年で約20%だったものが、2004年には30%になっています。また、現年度の滞納世帯数は、1997年に7592世帯、11.97%が、2004年には14230世帯、16.53%。世帯数でほぼ2倍、率でも約1.5倍になっています。
  資料には掲載していませんが、個人市民税では、税率3%となる所得が200万円以下の階層が、1997年50.3%が、2005年には53.6%になっています。
  低所得者の増大が顕著に進行していることが、わかります。

  4つの特徴をあげましたが、市民の中に貧困と社会的格差が広がる下で、それに追い討ちをかけるように「行革」を強行し、一方で開発優先や大企業優遇、議会など「聖域」として、メスを入れることができない、山田市政の姿がくっきりと表れているのではないでしょうか。
  具体的な質問に入ります。市長、教育長にお答えいただきたいと思います。

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1、小泉「構造改革」と市政について

 小泉「構造改革」としてすすめてきた、いわゆる「新自由主義」の経済路線とは、大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義、弱肉強食をすすめるものです。
  「官から民へ」「小さな政府」の掛け声で進めてきた規制緩和万能論の害悪は日々、明らかになってきているのではないでしょうか。

  第1に、耐震強度偽装事件です。無法行為を行った当事者の責任、また政治家の関与について、徹底的な究明が求められます。しかし、この問題の根本には1999年の建築基準法改悪で、建築確認を「官から民へ」といって民間検査機関に「丸投げ」できるようにした規制緩和にあります。わが党は、国会で「民間任せでは検査の公正・中立性の確保は困難になる」「安かろう悪かろうという検査になる」と警告し、この法改悪に厳しく反対しました。この警告は現実のものとなりました。民間検査機関による検査が急増し「安さ」と「速さ」の競い合いがおこり、「安全」は置き去りにされました。

  第2に、ライブドア事件です。ライブドアが株価つりあげに使った手法は、株式交換、株式分割、投資事業組合という三つの手法を組み合わせて「錬金術」を行うというものでした。株式交換は1999年の商法改正で導入されたものです。株式分割も2001年施行の改正商法で自由勝手にできるようになったものです。自民党の安倍官房長官は「堀江さんの仕事の成功は、小泉改革の成果、規制緩和の成果だ」とのべていました。

  第3に、格差社会と貧困のひろがりという問題です。
  さきほど、西宮市での事例を示させていただきましたが、いずれも、低所得層の増大を示しています。そして、その責任は、これらの人々にあるのではありません。
この間、大企業・財界は正社員を減らし派遣・パートなど非正社員への置き換えを進め労働者の三人に一人、若者の二人に一人は不安定雇用のもとにおかれ、その八割は月収二十万円未満という極端な低賃金となっています。格差社会と貧困の広がりの根本に派遣労働の自由化など小泉政権の進めた規制緩和万能路線があるのです。

  その他、郵政民営化にともなう郵便局の再編で、塩瀬郵便局の集配業務を他に移すことが検討されており、当日の再配達ができない、書留や小包の受け取りをする集配局が遠くなるなど市民にとっては重大事です。

  西宮市は、現在「行政経営改革」なるものをすすめています。これは、行政を経営するとして、企業における経営理念、手法、成功事例など、可能な限り行政部門に導入し、効率化・活性化を図る。また、民間でできることは民間に任せる。まさに、小泉「構造改革」そのものといわなければなりません。

  私は、「構造改革」による害悪の実態をしっかりと認め、市民の安全とくらしをまもるという立場から、市政の方向を転換すべきだと考えます。

質問

  1. 今、国会でも、新聞などマスコミでも、格差社会ということが大きな問題になっていますが、市長の行政方針から、全くこのことをうかがい知ることはできません。私が示した、生活保護、就学奨励金、国民健康保険料、個人市民税の指標は全て、市当局からいただいた資料からのものですが、市長はこの実態を知っているのですか。市民のなか「格差と貧困」が広がり、市民のくらしが大変な状況におかれているということを、市長はどう認識していますか。
  2. 市長は、行政方針で、「JR福知山線の脱線事故」を安全の問題として、「耐震偽装問題」「ホテル不正改造問題」「証券取引法違反事件」いわゆるライブドア事件ですが、これらを民間企業が引き起こした事件だとして、まるで他人事のように言い放っています。しかし、これらは、「構造改革」による「規制緩和」や「官から民へ」の流れの中で生じた害悪であり、西宮版で言えば「行政経営改革」の危うさを示しているといわざるを得ません。市長は、これら一連の社会問題から、教訓を引き出しているのですか。そして、民間の経営理念を導入するという「行政経営改革」は改め、地方自治の本旨「住民の健康と福祉の増進を」第1にすべきではないですか。
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2、福祉切り捨ての第3次行財政改善実施計画と財政問題について

 今、格差社会が大問題になっているときに、本来、政治がその是正に力を発揮すべきです。ところが、小泉首相と自民党、公明党は全く反対の姿勢をとり、庶民増税、所得が低いほど重くのしかかる消費税の二桁増税、さらに医療制度を改悪し、高齢者への負担を激増させようとしています。
  そうであればこそ、地方自治体がその悪政の防波堤とならなければなりません。
  ところが、市長は、震災復興の名を借りた大型開発によって生じた財政危機を、第1次、第2次、そして現在は第3次行財政改善実施計画で、市民にそのつけをおしてける、本当に情けない、最低、最悪の姿勢を示しています。

  市当局は、この第3次行財政改善実施計画を策定するにあたり、「赤字再建団体への転落を阻止する」ことを理由に、1年目は内部管理経費の削減を中心に、2年目以降は、予算案の特徴のところで、示したように、市民に負担を強いる福祉切り捨てを強行しています。

  これに対して、私ども日本共産党市会議員団は、@財政の改善となる毎年約20億円前後生じる決算剰余金を反映させていないことA市の財政収支試算表は「歳入は小さく」「歳出は大きく」して試算していることB今後、市税収入が増額していくC財政危機といいながら開発や食肉センター補助金などは温存していること、示して、「赤字再建団体への転落」という財政危機は、過大につくられたものであり、福祉切り捨てなしでも、財政再建はできるとして、市民いじめの第3次「行革」の撤回をもとめてきました。

  さて、第3次「行革」の実施根拠としている、西宮市の財政状況について見てみたいと思います。
  お配りした資料には、 新年度予算案とともに発表された、西宮市財政の現状〜西宮市の財政を考えるV−3、04年2月に発表されたV−1、05年2月に発表されたV−2から、市税収入、公債費、投資的経費、財源不足額、第3次行革の効果額を05年度から08年度まで抜粋して表にまとめました。
  市税では、V−2と比べてV―3では、3年間で118億1800万円の増額で、地方交付税との関係化から、その4分の1の約30億円程度の財政の改善となっています。
 投資的経費をみてみると、V−1からV−3まで、減少しており、当初多めに計上していたことがわかります。
  08年度末の財源不足についてですが、V−1では321億1200万円だったものが、V−2では163億9200万円に、最新のV−3では、70億5500万円になるという試算が示されました。わずかな期間で財政収支試算表が大きく改善していることがわかります。これには、甲子園浜浄化センター用地貸付元金の約50億円が大きな要因となっていますが、これに、新たな行革による削減、20億3400万円を差し引いても、なお大きな差が生じています。

  わが党が財政収支試算表に反映していないと指摘した決算剰余金ですが、04年度では22億円生じており、V−2で計上していた6億円を引いた約16億円が財政の改善に寄与しています。05年度では、3月補正予算案を見込んだ剰余金が13億2000万円生じており、決算によりさらに増額することが予測されます。

  市の示す財政収支試算表が、08年度末に70億円を超える財源不足を示していますが、05年度から08年度までの決算剰余金を、01年度から04年度の決算剰余金の平均額約19億円を仮にあてはめれば、63億円の財政収支の改善が見込まれ、財源不足はほぼ解消しているというのが、西宮市の財政の実態ではないでしょうか。

  市長は、ことあるごとに、「財政危機」だ、「赤字再建団体への転落阻止」だといってきましたし、「321億円の財源不足だ」とか「164億円の財源不足だ」などと言ってきました。しかし、「赤字再建団体への転落」という事態はすでに回避されており、これまでの「財政危機」は市民福祉金などの福祉を切り捨てるための口実だったということが、はっきりしたのではないでしょうか。そして、作られた財政危機をなんの吟味もせず、追認してきた人たちの責任も重大だということを指摘しておきたいと思います。

質問

  1. 第3次行財政実施計画策定の根拠となった、西宮市の財政を考えるV−1から最新のV―3までの財政収支試算表は、あまりにも金額が大きくかけ離れており、なぜそのような差が生じているのか。あわせて、財源不足も2年間で321億円が232億円、164億円、150億円、そして71億円と5回も変わっており、財政収支試算表の精度が低すぎると感じる。説明を求めます。
  2. 財政収支試算表による2008年度末の約71億円の財源不足は、05年度から08年度までの決算で生じる剰余金を考慮すれば事実上、財源不足はほぼなくなるといえるのではないか。
  3. 第3次行財政改善実施計画の目的は「赤字再建団体への転落を阻止する」ことだが、赤字再建団体となる170数億円の財源不足額よりも大幅に財政が好転しており、市長が「市民の皆様にも痛みを共有していただくという苦渋の選択」といって切り捨てようとしている市民福祉金や敬老祝い金などの福祉の切り捨てをしなくても財政再建ができるところまで財政の改善はされているのではないですか。なぜ福祉切り捨てをやめようとしないのですか。
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3、くらし支える施策への転換について

特に医療については、自治体の姿勢によって大きく施策に差が生じています。

(1)国民健康保険について

  まず、国民健康保険です。先ほど、西宮市の国保料の滞納が増えてきていることをいいましたが、「構造改革」による貧困と格差の拡大という問題とともに、西宮市では保険料が高すぎるということが滞納を増やしている原因となっています
  西宮市は、2000年度まで一般会計から5億円を投入して保険料の高騰を抑制していましたが、367億円の財源不足を口実とした第2次行財政改善実施計画により3か年で繰入金をなくしました。それ以後、国民健康保険料がさらに跳ね上がり、保険料の滞納、短期保険証の発行も増加する事態となっています。
  昨年6月議会でわが党の上田さち議員が、宝塚市と比べると、2人世帯所得200万円では、7万2000円も西宮市は保険料が高いこと、宝塚市並みの繰入金をしようとすれば7億2000万円の一般会計からの繰入金がいることなどを明らかにし、一般会計からの繰り入れによる保険料の引き下げを求めましたが、市の取り組みの違いを痛感するものでした。

質問

  1. 市民のいのちと健康をまもる立場から、国民健康保険料の引き下げは待ったなしです。一般会計からの5億円の繰り入れを復活させるべきではないです。
  2. 保険料の抑制という点では、早期発見早期治療により医療費を抑えることが欠かせないことはいうまでもありません。西宮市では人間ドッグ助成で、「保険料を完納している人」ており、1回でも滞納があれば助成は受けられません。しかし、今のように滞納世帯が増えているもとで、現状にあわないと思います。これも宝塚市ですが、予防による医療費の抑制という観点から運用によって分納であれば助成を行っています。宝塚市のように、医療費の抑制という観点から、柔軟な運用をすべきではないですか。

(2)乳幼児医療助成制度の拡充について

 この間、各自治体があいついで、拡充を発表しています。
  2月3日明石市が、就学前乳幼児の医療費を7月から無料化することを発表しました。伊丹市は就学前乳幼児の通院入院を全額助成、小学生も入院に限り全額助成するとしています。稲美町では、6歳児までの無料化とともに、中学1年生まで入院医療費は無料とするとしています。市町の努力で就学前の乳幼児医療無料化の取り組みが強まっています。

質問 「子育てするなら西宮」という看板をかかげており、他の自治体が取り組み始めている就学前の乳幼児医療の無料化を西宮市でもただちに決断すべきではないか。

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4、コミュニティ・バスについて

 コミュニティバスについては、わが党議員団は、昨年の代表質問でも取り上げ、その後も本会議一般質問で取り上げてきました。
  昨年の私の代表質問での答弁は「庁内の交通政策課題検討委員会での検討結果を踏まえ、事業化についての考え方を一定取りまとめ、議会にご報告するとともに、実施計画に反映させるなど、適切に対応してまいりたいと考えております。」となっていました。

  市長は行政方針で「課題となっています南北バスについて、試験運行にあたっての条件整理や関係機関との協議をおこなってまいります。また、コミュニティバスは、引き続き導入の可能性について検討してまいります。」と述べられていますが、新年度予算案、また総合計画の実施計画にはなにも反映されていません。

  近隣市を見てみると、市営バスを運営している自治体は、神戸市、尼崎市、伊丹市、コミュニティバスを運営している自治体は、宝塚市、三田市です。残るのは、西宮市と芦屋市ですが、芦屋市は、新年度コミュニティバス事業調査検討軽費350万円の予算が計上し、コミュニティバスの導入について、交通空白地域の解消や高齢者の方の外出支援等を行うために、国・県の補助制度や他都市の状況を調査してきたが、新たなコミュニティタクシーも検討項目に加え、平成19年度導入に向け、最も適した輸送手段を引き続き検討するとしています。ここでも、他の自治体の長との違いを痛感します。
  市長公約がこれほど軽く扱われていいのかと、怒りを覚えます。早急に、南北バスとコミュニティバスの実施を求めるものです。

質問

  1. 芦屋市がコミュニティバス事業調査検討経費を予算案で計上し、方向性を明らかにしていますが、西宮市として、このことをどう評価しているのか。
  2. 市長の行政方針では明らかになっていないが、南北バスを2007年度の後半には試験運行をする、コミュニティバスについては仁川地区ですでに運行されている宝塚市のコミュニティバスに参画できないか協議していると聞いているが、その方向に間違いないのか。
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5、学校教育について

(1)35人学級の拡充について

 兵庫県教育委員会は、現在実施している小学校1年生の35人学級を、新年度は2年生に拡大し、年次的に4年生まで拡大する方針をあきらかにしました。
  日本共産党は、学力の向上をはじめ、一人ひとりの子供に行き届いた教育をするうえで、少人数学級実施は重要であり、県議会本会議で80回以上にわたり取り上げてきましたし、市議会でも繰り返し、県や国に要望するよう求めてきました。昨年の代表質問でも、県に対して35人数学級の拡充を要望するよう求めましたが、市教育委員会はそれを受け、今年度は他学年への拡大、本定員として配置できるよう学級編成の基準の見直しの検討を要望しています。
質問  35人学級については小学4年生まで直ちに取り組むとともに、小・中・高の全ての学年で少人数学級を実施するよう県に要望すべきではないか。

(2)まちづくりと学校教室の不足について

 西宮市では、深刻な教室不足が進行しています。それは、西宮市が、震災後、マンション開発規制を撤廃したため、マンションが急増、そこにファミリー層が集中し、人口の急増とともに、子供が大幅に増える事態となったからです。
  すでに、浜脇、甲東、用海、鳴尾北の4小学校でプレハブ教室が使用されており、プレハブが建てられない大社小学校では、廊下を仕切って教室に使うという異常な事態となっています。さらに、新年度は高木小学校にプレハブ教室が使用されることとなります。
  お配りした資料の裏面に、小中学校の今後のクラス数の推計と教室の不足の状況を示しています。市教育委員会の推計では、4年生まで35人学級を実施した場合、小学校でのクラス数のピークは2009年度911クラスで、普通教室が不足する小学校は42校中35校、教室の転用をしても15校で教室不足になります。例えば、浜脇小学校は、現在24クラスでプレハブ教室を使っていますが、2010年には34クラス、5教室の転用をしても5教室が不足します。甲子園浜小学校は、現在12クラスですが、2010年には23クラス、3教室の転用で8教室も不足します。改めて、山田市長の無責任なまちづくりを思い知らされます。

質問

  1. 市長は、人口増を「これまでのまちづくりが評価された」と自画自賛しているが、学校の大変な教室不足を引き起こしており、あきらかにまちづくりに失敗したと思いませんか。すでに数年にわたって保育所の待機児童の問題や学校の教室不足が続いているにもかかわらず、「早急に解決すべき課題」などと全く他人事です。子供たちがプレハブ教室や仕切りをつけて廊下で勉強しなければならないということに痛みを感じませんか。
  2. 浜脇、甲子園浜、高木小学校については、具体的にどのような対策を検討しているのか。
  3. 、甲子園浜小学校は、もともと東甲子園小学校と統合し、さらに、南甲子園小学校の校区の一部を編入してきた経緯があり、小学校区を中心としたコミュニティを分断し、町まで分断するなど、場当たり的な対応をしてきた反省はないのか。
  4. これ以上の事態を招かないようにするには、その原因となっているマンション開発による規制緩和を規制強化にすべきだと思うがどうか。同時に、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」は条例化するとともに、現在の受け入れ困難予測校を受け入れ困難校にするなど、実効性のあるものにすべきと考えるが、どうか市長、教育長の双方の答弁を求めます。

(3)高校入学者の選抜制度について

 教育委員会行政方針は高校入試選抜制度について「選抜制度の改善については、広く理解を求めるとともに、積極的に取り組んでまいります。」と述べています。
兵庫県教育委員会は、選抜制度について、現行の単独選抜は、長所は希望する学校へ志願できる、課題は受験競争の過熱化、いわゆる学校の序列化、総合選抜は、長所は過度の受験競争は起こらない、課題は志望校を自由に選ぶことの制限、として、2つの選抜制度の長所を取り入れた新しい選抜制度として複数志願選抜を、位置づけています。

  前議会では、高校入試選抜制度についての意見書案をめぐって、激論となりなりましたが、その中で、市民意識調査の結果をどう見るのかが、問われました。総合選抜制度の評価で@「よい制度なので現状のままでよい」12.5%、A「よい制度だが改善すべき点がある」36.2%、B「あまりよい制度だと思わない」27.1%の回答があり、「よい制度だ」と答えたものが半数近くに上っています。「よい制度だが改善すべき点がある」というのは、制度はよいが、その制度の枠の中で何点か改善すべき点があるということであって、制度そのものの変更を意味していないことはあきらかです。ところが、「よい制度だが改善すべき点がある」を勝手に、制度を変えることに組み込んで、複数志願選抜を早急に導入せよという暴論が生まれています。

  また、複数志願制度の早急な導入を主張する蒼志会三原幹事長は、複数志願選抜では、「学校を自由に選べる」と言いながら、質疑の中で「入れそうなところを」と説明しました。蒼志会プレス25では「学区内で学校間格差が生じる」と、単独選抜と同じ課題が生じることをあげています。私は、この分析はかなり正確だと思いますが、複数志願選抜では、選抜制度の改善につながらないのです。

  西宮市では50年以上にわたって公立高校の入試制度として総合選抜制度がとられてきました。日本の今日の教育の実態は受験中心の詰めこみ教育となり、さまざまな問題が続出しています。そのため2004年には国連子どもの権利委員会が日本政府へ「教育制度の過度に競争的な性格が、子どもに否定的な影響を及ぼしている」と1998年に次ぎ2度目の勧告を行なっています。このような状況の中で高校の総合選抜制度は過度に受験競争をあおらない制度として今日まで広く、永く西宮市に定着してきました。この制度では単独選抜制度や複数志願制度のような公立高校間の学力格差がほとんどなく、したがって学校が序列化されることもありません。入学した生徒をはじめ保護者も地域の住民もそれぞれの高校に誇りを持って今日まで来ています。

質問

  1. 国連子供の権利委員会の「教育制度の過度の競争的な性格が、子供に否定的な影響をおよぼしている」との勧告について、市教委の見解をもとめます。
  2. 先日、わが党議員団は市教委に総合選抜制度維持発展を求める申し入れをしましたが、真鍋教育長は「複数志願制度は、メリット・デメリットはわからない。研究中だ」という趣旨の発言をしました。選抜制度については、制度の研究や検討、当事者となる児童・生徒やPTA協議会、校長会をはじめ教職員への説明や意見を広く聴くなど、十分に時間をかけて慎重にやるべきものだと思いますが、どうか。
  3. 市民は総合選抜制度を「よい制度だ」と多数答えており、北部高校の設置や西宮今津高校普通科の存続を含めた総合選抜制度の維持発展をこそ、市教育委員会の方針とすべきではないか。

以上で、壇上からの質問を終わります。答弁により、再質問、意見要望を述べたと思います。

 
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