阪急スタジアム跡地開発と阪急今津南線高架化および県道西宮豊中線(球場前線)東伸について
2月6日、阪急電鉄から現時点での開発計画素案が県、市、阪急のいわゆる三者協議の場において提出されたとして、議員にも13日付で資料が配られました。今議会の総務常任委員会で所管事務報告があるとのことです。(資料参照)
約8万2000平方メートルの敷地に、地上7階建て2万5000平方メートルの阪急百貨店、5階建て約3万平方メートルの総合スーパーとシネマコンプレックス、4階建て約3万8000平方メートルの専門店モール、さらに8階建ての立体駐車場と専門店モールの真ん中に屋上が庭園となる駐車場、駐車台数は全部で2980台という、大変広大な開発です。
JR伊丹駅からデッキで続くダイヤモンドシティが、敷地面積6万1000平方メートル、2600台の駐車場ですから、これを上回る規模のものです。
北口駅周辺は市長行政方針にもあるとおり、市の都市核の一つであり、この阪急開発は、生活環境、交通問題、市が進めたアクタやフレンテをふくめた既存周辺商業施設への影響、緑地の確保など、周辺の住民にとってもまたさらに広範な住民にも重大な影響を及ぼします。
今回の素案では、建築物の配置や交通アクセスについての考え方が示されていますが、一体どんなものになるのかイメージもわかなければ、やる気があるのかもがわからない資料となっています。店舗数などもまったく記述がなく、当局に聞くと昨年11月に発表された概要が、ほぼ踏襲されるようです。
それにしても、阪急は集客目標数やその集客手段(交通手段)電車で来るのか、車、自転車なのか、当然予測した上で計画しているはずですが、そうした基礎的な数値がまったく配布資料にないのです。2980台の駐車場を要する施設にどれだけの人を呼びこもうというのか、ピーク時にはこの周辺にどれだけの車が押し寄せるのか、それをこの計画しているアクセスで処理し切れるのか。まるでわかりません。
たとえば駐輪場は北側に1ヶ所のみ、台数も示されておらず、また東に予定している大型スーパーの周辺に駐輪場はありません。サティがなくなって買い物に不便しているとの声も多く聞きます。スーパーには周辺住民が徒歩や自転車でも集まるでしょう。常識で考えても自転車がまわりにあふれかえります。ダイヤモンドシティでは2500台分が周辺4ヶ所に配置されています。
また新たに県道西宮豊中線を付け替え踏切のところから開発地を横ぎって市民交流センターの前につなげていく新設道路、(いわゆる球場前線の東伸です)そこにも車の出入り口をつくる計画になっています。今でもこの西宮豊中線は大変狭い道路であるにもかかわらず、山手幹線の混雑を避ける抜け道にもなっており、交通量も多く危険な道路です。その上新設道路ができ、現在行なわれている武庫川の上武庫橋の改修がすめば通過交通がいっそう増えることは目に見えています。そこに上り線には開発地への入り口、下りに出口です。通過車両と来客車両で、混雑と渋滞、周辺への悪影響が想像されるところです。
少し考えただけでもこの素案では不透明部分が多く、これで議会や市民に説明しようとするなら、まじめな態度とはいえないのではないでしょうか。
2006年度下期には着工、2007年度下期に開業が目標とありますが、阪急が本気でそう考え、市や、周辺住民の理解を得ようと思うのなら、今の時期、検討に値する計画素案が市に対しても、周辺住民に対しても示されるのが当然ではないでしょうか。
次に規模の問題です。車での進入経路の一つである県道西宮豊中線については先に述べたような状況で、とても多数の車を処理できるとは思えません。山手幹線はどうか。今でも渋滞道路です。サティがあったとき、あの規模でも山幹は大変な状況でした。こうしたところに3000台の駐車場ということは1日3〜4回転、少なくとも1万台の車が集中すると推測されます。来客車両は敷地内を周遊させ地下でも処理する計画のようですが、はたして処理し切れるのかどうか、疑問です。
人の住まない梅田のど真ん中に開発するのとはわけが違います。開発地のすぐ北側と東側は住宅街です。開発地自体がいかに広大であっても、開発者に財力があって、法や条例に違反しなくても、今回のこの計画は基礎データが示されていないこの素案段階でも、周辺状況に似つかわしくない巨大すぎる開発だといわねばなりません。
周辺商店街や市が鳴り物入りで開発したアクタやフレンテへの打撃的な影響も心配されているところです。災害時の避難場所もかね、周辺との緩衝にもなりうる緑地や空地を十分確保させ、受け入れ可能な規模に縮小させるべきだと考えます。
さらに阪急今津南線高架化です。この踏み切りより、阪急神戸線と今津西線や中津浜線との踏み切り、アクタの前の甲風園第1踏切などのほうが、交通量でも住民の要求でも比較にならないほど必要性、緊急性が高いのではないでしょうか。阪急今津南線高架事業は財政が厳しいというなら、今無理にとりくむ必要性はまったくありません。不急事業です。
それを急ぎとりくむのは阪急の開発にあわせているからとしか、いえないではありませんか。
質問1、今回示された計画素案はあまりに粗案(あらい、おそまつ)過ぎます。阪急から市や市民に対し、基礎データを出させ、考え方をもっと明確にさせるべきではないか。
質問2、球場前線東伸について、ここに車の出入り口をもってくれば相当の混雑が予測されるが、どう考えているのか。また県道西宮豊中線全体について交通量予測など必要な環境影響調査をさせる考えはないのか。東伸道路の施工主体は阪急と聞いているが、どうなのか。
質問3、高架化は不急事業であり、阪急開発のためのものといわざるをえません。この開発計画がなかったらとりくんでいなかったはずです。総事業費35億円のうち市の負担は9億円ですが、財政難だからと福祉を削っているこの時期におこなうべきでないと考えるが、どうか。 |