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定例議会

2006年6月議会

佐藤みち子議員の一般質問

就学奨励金について

 小泉内閣になって4月26日で5年目を迎えました。医療、介護の負担そして障害者自立支援法で障害のある人にも負担を強いる等、弱い立場の人たちの暮らしを直撃しました。小泉「構造改革」が作り出した社会的格差と貧困が大きな問題になっています。

 2006年1月3日付けの「朝日新聞」は、一面で「就学援助4年で4割増」という見出しで、2004年度の就学援助率は、全国で公立小中学校の12.8%(133万7000人)が受給しており、2000年度より約37%増加しているのです。大阪がトップで27、9%、以下東京24、8%、山口23.2%、北海道19.3%、高知17.9%などとなっています。東京都足立区は、就学援助の平均が42%と全国1位です。小学校では70%を超えるところもあります。この小学校で子どもたちに「将来の夢」と言う題で作文を書かせたら、3割の子どもが何も書くことが出来なかったと報道されていました。貧困が子どもから夢や希望を奪っていることに心が痛みます。現在の子どもの生活を見つめてみると、すでに子ども時代においても格差が広がっているのです。

 就学援助とは、義務教育は無償と定めた「憲法26条」にもとづいて、学校教育法で規定されている内容で、保護者が生活保護を受けている子どもや市町村が独自の基準で「要保護に準ずる程度に困窮している」と認定した子どもが対象となっています。保護者の収入によって教育の機会均等がそこなわれることがないようにと、学用品や給食費などを国と地方自治体が援助する制度です。

 しかし、2005年から就学援助にかかわる国庫補助金の準要保護費が税源移譲・一般財源化されました。給食費や学用品、通学費、修学旅行費などの補助が、生活保護世帯に限られ、準要保護世帯は、バッサリと削られることにつながり自治体間で格差が出ることが予想されます。

  さて、西宮市では就学奨励金を受けている児童・生徒の割合は1993年では、小学校で5.2%(1457人)中学校で5.6%(720人)だったものが、2004年では、小学校18.2%(4572人)中学校21.8%(2100人)と、10年間で約3.5倍になっています。さらに地域によって格差が生じ、48%、51、5%、と2人に1人の子どもが就学奨励金を受けている小学校もあります。所得が、2人世帯で198万6000円、3人世帯で242万円、4人世帯で277万6000円、5人世帯で340万7000円、6人世帯で397万9000円の世帯の児童・生徒が受給しています。

  援助の種類と金額は、給食費・遠足代(交通費と見学料)・転地学習(中学生)・修学旅行費は実費支給になっています。学用品費月額・新入学用品費・卒業諸費・転入学用品費・通学費・学校病医療費などが支給されています。支給方法として保護者が指定した口座へ、年6回教育委員会から保護者の口座に振り込まれます。2004年は年間一人当たり小学生5万4000円、中学生8万9000円が支給されています。

  西宮市の就学奨励金制度が、憲法第26条に規定する「教育を受ける権利と受けさせる義務」および、教育基本法第3条の「教育の機会均等」を全学齢児童生徒に保障する制度として、国に先がけて1949年から実施され、翌年に「西宮市教育委員会奨学規定」が制定されました。1956年「就学困難な児童及び生徒に係わる就学奨励についての国の援助に関する法律」(就学援助法)が制定され、積極的に取り組まれるようになりました。

  1. 公立小・中学校の学校徴収金の年間納入費と徴収方法はどのようになっているのか。
  2. 西宮市の就学奨励金の受給者が、1993年から2004年の10年で約3.5倍に増えている、この要因は何か。
  3. 就学奨励金が年に6回支給されていますが、親が先に立替払いをする仕組みになっています。経済的に大変なために就学奨励金を受けているのに、「立替払いはしんどい」と言うのが親の声です。立替払いをしなくて済むように改善できないか。
  4. 第3次「行革」で眼鏡購入金が廃止されたが元に戻すべきではないか。
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公立保育所民営化について

 西宮市の人口が47万人を超えました。山田市長は町にますますの活気が出てきたと手放しで喜んでいますが、保育所の待機児童は増え続け、小学校の教室は足らない、特養は入れない等、市民生活に大変な支障をきたしています。

  西宮市には2006年4月1日現在で、公立23ヶ所、私立23ヶ所の保育所があり、公私合わせての定員が4064人ですが、入所児童数は公私合わせて4442人になっています。JR以北は公立保育所が少なく、反対にJR以南は公立保育所が多いなど配置に偏りがあります。また北部地域には公立保育所が1ヶ所もありません。一時保育や産休明け保育、延長保育なども私立保育所が担っているのが現状です。

  山田市長は、2006年の西宮市行政方針で「保育ニーズの多様化等に対応するため、社会保障審議会の答申に基づき、保育所の民営化への取り組みを進めます。」と市として公立保育所民営化を進めることを明言しました。

  さて、全国で進められている公立保育所の民営化問題で、保護者が民営化取り消しを裁判に訴えています。4月20日、大阪高等裁判所は、大東市立上三箇保育所廃止・民営化によって子どもたちに損害を与えたとして、大東市に損害賠償を命じました。民営化そのものの違法性は認めなかったものの、子どもを犠牲にした大東市の民営化を裁判所が明確に断罪しました。

  また、横浜市では民営化の取り消しと損害賠償を求めた裁判の判決が5月22日、横浜地裁でありました。裁判長は保育園民営化を違法とし、原告団一世帯あたり10万円の支払いを命じました。行政による公立保育園の民営化が違法という司法判断が示されたのは、全国で初めてです。新聞報道によると、宝塚市では、横浜の訴訟判決を受け「他市の裁判結果なども受け、保護者に対する説明が今後も必要と判断した」と公立保育所民営化の延期理由を説明していますが、保護者からは「時間をかけて進めようとする姿勢は評価できるが、説明の中身が伴わなければ何も変らない。」と話しています。

  子どもを取り巻く状況や子育て困難世帯がますます広がる中で、親の願いは私立保育所も公立保育所も大切にされ、子どもたちの成長に行政が最大の配慮を行ってほしいということです。

  公立保育所の民営化・民間委託が急速に進みだしたのが1990年代後半からです。そしてその理由が、どの自治体でもほぼすべて同じになっています。「同じサービスであっても行政が供給すればコストが高くなり、民間が供給すればコストが安くなる」ということです。同じ児童福祉施設であるため、本来なら公立と私立との間には格差が無いはずですが、実際には様々な格差が発生しています。公立保育所と私立保育所の経費を比較するとコスト差が存在するのは事実です。

  大きな差がでるのは人件費です。しかも運営費のうち人件費の占める比率が通常は80%〜90%程度になります。そのためにこの人件費の差がコスト差だと考えられます。

  このように人件費に差が出る要因として3つあります。1つは職員配置です。西宮市の保育士の配置基準の違いは、1・2歳児が公立では5:1、私立では6:1になっています。

  2つめは、個々の職員に支給される給料の差です。私立保育所では国の基準に基づいて給料が計算されます。その基準は勤続年数がおおむね10年ぐらいまでは昇給しますが、それ以降は経験年数が加算されず、給与はほとんど上がりません。公立保育所の場合、給与体系は一般の行政職と同じであるため、勤続年数が増えるに従い、給与も上がります。

  3つめは、保育士の年齢構成による違いです。西宮市の場合、公立保育所の保育士の平均年齢は38.4歳。それに対して私立保育所の保育士の平均年齢は27.7歳。平均勤続年数は公立保育所では16.5年、私立保育所では5年未満の職員が全体の61%になっています。人件費の差を引き起こしている最大の要因は、保育士の年齢構成の違いです。結局、公立保育所と私立保育所のコスト差は人件費の差で、この人件費の差は保育士の平均年齢の差によります。これは女性が働き続けられるかどうかということで決まります。公立保育所は、私立保育所と比較して、とりわけ賃金と働きつづけるための労働条件が、保証されているからです。公立保育所はその優位性を生かして保育所に入所している子どもだけでなく、地域の子育てに責任をもたなくてはなりません。西宮市は待機児童解消のために、この間私立保育所の建設を進めてきました。そのことは評価できるものですが、量だけでなく質も大事です。私立保育所の助成金を削減するとし2006年から実施していますが、これは保育の中身が「安かろう悪かろう」につながっていくものです。子どもたちの発達を1番に保障しなければならない保育所を、コストや財政面だけで議論することはまちがっており、子育てするなら西宮を放棄するものであり、公立保育所の民営化はすべきではありません。

  そもそも保育所というのは、就労と育児を両立させるための施設です。民営化によってコストを下げるということは、保育士に働き続けてもらっては困ると言うことです。そうなれば、保育所で働く保育士はコストを下げるために、就労と育児が両立できないことになります。子育てが困難と言われていることに母親と子どもの孤立が指摘されています。以前であれば子どもは祖父母や、伯父伯母、兄弟、異年齢の友達の中で育ちました。ところが今は母親が一人で1日中子どもと向き合い、子育てをしています。子どもには様々な年齢の人がかかわることが大事だと言われていますが、そのことを実際に実践しているのが公立保育所です。保育所には、子育てにくわしいベテランの保育士から、元気な若い保育士まで、様々な年齢、大人がいます。とりわけ子育て困難な時代である以上、保育所に来れば、様々な大人たちに接することができる状況を作り出すべきです。いろいろな年齢構成、人生経験を持つ保育士がいて、いろいろなことを相談できる、それが多くの親が公立保育所を信頼する理由ではないでしょうか。

  1. 大阪高等裁判所は公立保育所民営化で子どもたちに損害を与えたとして、大東市に損害賠償を命じる判決を出しました。また、横浜地裁は「特別に民営化を急ぐ理由があったとは認められず、裁量の範囲を逸脱、乱用したもので違法」民営化によって多様なニーズに応えられるなどとした市側の主張は「早急な民営化を正当化する根拠としては不十分」だとしました。この両方の判決について市はどのように受け止めているのか。
  2. 社保審の答申では、民間移管に当たっては「子育てするなら西宮」を進める内容となるよう (1)保育関係者の意見を十分聞くこと (2)子育て支援や虐待への対応など地域の調整役を担う拠点施設の役割を考え、適正配置や拠点施設の分布などを考慮して計画するように言われているが、公立保育所民営化についての協議はどうなっているのか。また検討メンバーはどのようになっているのか。
  3. 公立保育所も地域の多様なニーズに対応し、一時保育、延長保育、産休明け保育などにも積極的に取り組むべきであり、豊富な人材や経験豊かな保育士を生かし、保育所運営をしていくべきとしています。市は公立保育所の改革を、保育所長、保育士、調理員等の保育関係者をメンバーにし、昨年の10月から協議をしているが、それぞれの実施時期はいつか。
  4. 市は2008年4月には待機児童を解消する計画で保育所整備を進めているが、解消できる見通しはあるのか。
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