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定例議会

2006年6月議会

上田さち子議員の一般質問

1.減り続ける学校運営経費を増額し、子ども達の教育環境の充実を

  西宮市は人口が47万人となり、さらに増えつづけています。保育所や高齢者施設、学校の教室等々、市民のくらしを支える社会資本が不足し、日に日にその深刻さを増しています。とくに学校の教室不足は朝日テレビでも特集されるほどで、プレハブ教室や大社小学校のようにせっかくつくったオープンスペース・多目的スペースまで仕切りを作り、普通教室として使用しなければならない事態です。今回質問にあたり、2006年5月現在で建設中または開発の届けが出ているマンションの建設戸数などから、新たな人口推計をもとにどれくらい教室が不足するか小中学校の一覧表をいただきました。ピークといわれている2010年・平成22年でみると半年前の資料との比較で、不足する教室の数がさらに39も増え、2011年度は浜脇小学校や高木小学校、甲子園浜小学校などはさらに児童数が増え続け、教室不足ももっと深刻な事態になることが明らかになりました。

 市は、2005年4月1日より施行された「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で、学校施設への受け入れが困難な地区の指定などで対応していますが、人口急増に対するさらに強力な「規制策」を打ち出さなければならない事態となっています。
このような人口急増のなか、子どもたちが日々過ごす学校での運営経費の実態はどうなっているのでしょうか。小学校の運営経費を1995年度と2006年度・この11年間で比較すると、総額で1995年度は6億6350万5000円、2006年度は4億1328万1000円で、2億5000万円も減少し62.2%になっています。反対に児童数は、2万4299人から2万7021人と、2722人(111.2%)の増となっています。児童一人当たりで見ると、2万7306円から、今年は1万5294円、11年前に比べて1万2012円の減少、56.5%にまで減ってしまっています。とくに児童数急増の浜脇小学校では児童一人当たり1万3843円、鳴尾北小学校では9208円という状況です。

 学校運営経費は学校の規模や老朽化の度合い、学級数、児童数、教員数などを元に積算して各学校に配分されるものですが、子どもたちに直接かかわるものとしては、消耗品費や印刷製本費、備品購入費などがありますが、浜脇小学校で見ると消耗品費と印刷製本費はこの5年間で半額になって、備品購入費は児童一人当たりわずか82円。これでしっかりと学力を保障する教育ができるとは到底思えません。毎日の授業で使用するプリント用紙代や理科の実験等に必要なビーカーなど消耗品、トイレットペーパーや石鹸等はどうなっているのかなど、直接子どもたちの教育にかかわる費用の大幅な減少、学校生活にかかわる費用の減少によって、学校現場は一体どんなことになっているのかと心配です。

 このように教育予算がどんどん削減されてきた背景には、市長名で出される予算編成方針が、前年度の1割減を強力に指示し、児童数急増や学校の老朽化による必要経費増もきちんと配慮したものになっていないことが原因です。今年3月の市民文教予算分科会では、私だけではなく全会派の議員が「教育費は聖域だ。削ってはいけない」「直ちに増額すべきだ」などの発言が相つぎました。

  1. 児童数急増にもかかわらず、学校配分予算が激減しているが、市教育委員会はこの影響、実態をつかんでいるか。とくに、児童数急増の学校の状況はどうなっているか。
  2. 直ちに学校運営経費を増額し、子ども達に責任を持って教育行政を行なうべき。
  3. 教室不足は市の開発行政の失策です。現行の「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」を条例に引き上げるとともに、児童受け入れ困難地区指定も拡大して、開発を規制するべきだと思うがどうか。市教育委員会と都市局に聞く。
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2.高すぎる国民健康保険料の引き下げを

 2006年度の国民健康保険料の料率が決まりました。医療給付費分で所得割が10.0%、被保険者一人あたりの均等割が3万5400円、一世帯あたりの平等割が2万5800円で、昨年に比べて所得割で0.5%、平等割が240円下がりました。これは診療報酬の引き下げや、前年度所得の増加がその要因としています。しかし今年の特徴として、自民党と公明党が強行した老年者控除の廃止や公的年金控除の縮減等「税制改悪」の影響で、とりわけ65歳以上の高齢者は、年金収入が全く増えていないのに、各種控除の廃止縮減、非課税限度額の廃止などにより、所得税や市県民税の負担増とともに、国民健康保険料も、今年は実質7万円、来年は13万円、再来年は20万円の収入増という計算上だけの増収によって、軒並み保険料が引き上げられるという結果となりました。

 たとえば65歳以上で一人世帯、年金収入が182万円の方の場合、17年度は均等割と平等割が7割軽減、所得割は5割減免が適用され、2万3157円であった保険料が、18年度は軽減も減免も2割しか適用されず、保険料は6万1760円、なんと3万8603円も高くなってしまいました。これは、ほんの一例です。

 もとより西宮市の国民健康保険料が、阪神間では尼崎についで2番目に高いことは、これまでにも指摘してきたとおりですが、今回は、国の悪政がさらに国保料の引き上げに拍車をかけていることから、あらためて国保料の引き下げを強く求めるものです。

 今年の各市の保険料を見てみると(資料)、所得割では尼崎市10.92%、芦屋市が6.5%、伊丹市が7.44%、宝塚市が7.55%、川西市が8.25%となっており、均等割では尼崎市は3万4320円、芦屋市が3万3360円ですが、他は2万5000円から2万7000円と、西宮市の3万5400円がいかに高いかがわかります。この均等割は所得が低くてもお構いなしで、家族が多ければ多いほど額が引きあがります。例えばこれらをもとに計算すると、4人家族で基準総所得200万円の世帯では、西宮市は36万7400円の高額の保険料になりますが、伊丹市は28万3800円、宝塚市は28万8800円、川西市は29万3000円、芦屋市は29万3200円、それぞれ西宮市より7万4000円から8万3600円も低い保険料で済むことになります。これは全ての所得階層でも同じ傾向で所得階層によっては、10万円以上も差が出ています。

 なぜこうなるのでしょうか。阪神間の他都市では、被保険者の負担をできるだけ抑えようということで、各市が一般財源を国保特別会計にさまざまな形で繰り入れて努力していることがあげられます。とくに芦屋市や宝塚市は、西宮市の2倍の繰り入れです。あらためて西宮市の対応と大きな開きが出ていることを指摘しなければなりません。同じ生活圏である阪神間で、なぜこんなに西宮市は高いのか。これでは保険料が高すぎて払えない、何とか引き下げてもらいたいとの声が大きく上がるのは当然のことです。

  1. 今年の保険料通知に対する、問い合わせや苦情の件数はどうか。
  2. 条例減免分や保険料抑制など法定外の一般会計からの繰り入れ分が、西宮市は被保険者一人あたり5353円に比し、芦屋市は9900円、伊丹市6749円、宝塚市1万305円となっています。単純に言えば、宝塚市並の繰り入れを行なえば、2人家族で1万円、4人家族で2万円の保険料抑制につながることになります。ぜひ一般会計からの繰り入れを行ない保険料を引き下げるべきだと思いますが見解を。
  3. いま医療費総額を抑制する立場からも、検診や予防に力を入れ始めています。西宮市でも人間ドックなどに補助を出していますが、保険料を分納している方はこの補助が受けられません。これを見直して、多くの被保険者がドッグや検診を定期的に受けられるようにすべきではないか。
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3.市内のバス交通の充実について

 この間、阪神と阪急の統合問題で、あいついで新聞報道がありました。ひとつは、11日付読売の記事で、山田市長がインタビューに答えておられます。要約すると「阪急と阪神が経営統合することで一緒に地域の交通網をどう改善していくかという行政からの提案を検討してもらえればメリットは大きい」「具体的には、南北方向を伸ばし路線の充実。両者のバス路線を見直して網の目のように張り巡らしてもらえれば、空白地帯が減って利便性が高まる」と述べておられます。また、16日付の神戸新聞では、西宮市は15日までに、庁内に統合に伴う諸問題を検討する組織を設ける方針を固めた。と報じました。これらの報道を見て、私は率直に言って、山田市長は自らの公約であり、毎年の行政方針に述べているバス問題の解決を、阪神・阪急の統合に便乗してそれで済まそうとしているのではないか・・・との思いを持ちました。確かに統合によって、たとえば西宮浜から阪神西宮、JR西ノ宮を経て、阪急西宮北口までの路線が実現する可能性なども出てきました。しかし一方で、統合により新たに2500億円の有利子負債をかかえることになり、「財務体質の強化が最大の経営課題」あるいは「有利子負債の圧縮は重要課題」と両首脳が述べている通り、経営のスリム化、ひいては不採算部門の整理は必死であると見なければなりません。こういう状況をふまえて、市として市民全体の交通手段確保という観点を貫くためには、財源論議抜きにはできないと思います。

 日本共産党議員団は、議会のたびに市内のバス交通の充実と交通不便地区の解消、他市で実施している福祉的観点からのコミュニティバス等の導入などを求めて、真正面から質問を重ねてきました。3月議会では、わが党杉山議員の質問に、「交通問題等についての庁内検討委員会のまとめをまもなく議会に報告する」との答弁がありました。

 現時点で明確になっているのは、市内には交通不便地区が24地区あること。その解消として (1)阪急・阪神の既存のバス路線を延長、新設で対応 (2)南北バスで対応 (3)コミュニティバスの導入 (4)デマンドバスの検討 などが考えられる対応であることがこれまでにも表明されてきたところです。

 この間にも、政令市となった堺市では南海バスと提携し、65歳以上を対象に100円で乗れる「お出かけ応援バス」を試行運行から本格運行への実施を開始したとの報道があるなど、環境問題からも、福祉的観点からも、あらゆる面から公共交通を自治体が主体となって進めることが主流になってきたことを指摘しておきたいと思います。

  1. 3月中にも、交通問題等検討委員会のまとめ報告されると聞いていましたが、いまだに報告されていません。なぜなのか。一体いつ議会や市民に報告するのか。
  2. この間報道された新聞記事の内容は、これまでの答弁とどう関連するのか聞く。とくに、阪神と阪急の統合により、メリットとともに不採算路線の切り捨て等で、さらに交通不便地区が増大することにならないか懸念します。この点についての今後の対応はどうか。
  3. 西宮市内のバス交通のあり方については、いま新たな局面を迎えている。交通不便地区解消と市民の移動の自由を保障する立場から、行政・バス事業者だけではなく、市民の代表や学識経験者なども交え、幅広く検討委員会を再編するべきだと思います。見解を聞く。
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