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定例議会

2006年9月議会

杉山たかのり議員の一般質問

1.自民・公明政府による住民税など、高齢者いじめの負担増について

 今年6月下旬、市県民税の決定通知書が郵送されるや否や、高齢者のみなさんが市役所に殺到、電話での問い合わせもひっきりなしという事態が全国いたるところの自治体で生じました。西宮市役所にも1,235人の方が、わずか1週間に殺到しています。昨年住民税が非課税だった方が課税されたり、昨年に比べて数倍から十数倍に住民税がなった方など、高齢者が「間違いではないのか」「こんな高い住民税では生活が成り立たない」ということで、市役所に殺到する事態となったのです。
 これは、 (1)「老年者控除」、所得税で50万円、住民税で48万円を所得額から控除する制度を廃止した  (2)「公的年金等控除」、年金収入から課税所得を計算するときに控除するもので、65歳以上なら最低140万円控除できたものを120万円に縮小した  (3)65歳以上の所得金額125万円以下の非課税措置の廃止、あわせて、「定率減税」が今年半減、来年は全廃となります。この住民税について4つによる増税が、年金生活の高齢者の場合、一気に実施に移されたため、大変な増税になったことによるものです。

 少し事例を紹介します。
Aさんの事例:
 Aさんは69歳、68歳の奥さんと二人暮らし、年金収入はAさん270万4396円、妻46万2100円。所得税は昨年も今年も非課税ですが、住民税が昨年4000円でしたが、今年は3万5800円に。国民健康保険は19万6626円から21万4240円に。介護保険は、昨年Aさんは第4段階、妻第3段階が、今年はそれぞれ第5段階、第4段階になり、保険料は7万4200円が10万7800円に上がりました。

Bさんの事例:
 Bさんは70歳、65歳の奥さんと娘さんとで暮らしています。Bさんの年金収入は273万439円。所得税は、昨年3万7677円、今年は3万4225円と下がっているのに、住民税は昨年4800円が、今年はなんと7万3000円に。国民健康保険料は28万9738円が30万1873円。介護保険は昨年Bさんは第4段階、今年は第6段階へと段階が上がり、奥さんは今年から第4段階になり、保険料の総額は7万8610円が11万9800円に。あわせて、医療費の窓口負担は、8月から1割が2割になり、10月から3割負担になります。

 紹介したように、今回の負担増は住民税の増税にとどまらず、国民健康保険料や介護保険料、公営住宅家賃など、他にも跳ね返り、雪だるま式の負担増となっているのです。さらに、老人保健医療制度では、8月に現役並所得者の判定基準が厳しくなり、所得145万円以上で、単身で収入484万円以上が383万円に引き下げられ、二人世帯では収入が621万円以上が520万円に引き下げられ、新たに2割負担となった世帯が増え、10月には3割負担になります。

 資料の2をみていただきたいと思います。これは、夫婦、単身それぞれについて、年金収入額ごとに、所得税、住民税、国民健康保険料、介護保険料の負担が昨年と比べていくら負担増となったかを、モデルケースで示した表です。

例えば単身の場合、年金収入222万円で、前年非課税が今年は所得税3万5200円、住民税9600円、国保は前年2割軽減が今年は軽減がなくなり、2万6888円増、介護保険は1万7200円増、合計で8万8888円の負担増となります。また、年金収入250万円になると、前年非課税が所得税5万7600円、住民税2万8400円、国保は2910円増、介護保険は3万3500円の増で、合計12万2410円の負担増となります。
夫婦で夫の年金収入のみの世帯では、年金収入250万円では昨年は非課税だったものが、今年は1万8300円の住民税、2万7200円の所得税が課せられます。国民健康保険料では2328円の負担増、介護保険料は5万2800円が10万7800円になり、所得税、住民税、国民健康保険、介護保険の4つを合わせると、負担増は10万2828円、負担総額は29万7780円にもなり、実に年金収入の11.9%を占めることになります。年金収入280万円になると、負担増は12万1260円、負担総額は40万8600円、年金収入の14.6%も占めます。

この収入から生活費を考えると、年金収入250万円だと220万円、年金収入280万円だと239万円となります。65歳から70歳未満の二人世帯の場合、生活保護費は生活費と住宅扶助の最高額5万5300円では、年間215万円以上の支給になります。家賃あるいは住宅ローン、医療費や介護保険利用料などの負担額によっては、生活保護による最低生活費と比べて、それを下回るような状況が生じてくることが十分に予測できます。
最低生活費を下回るようなに状況にまで負担を強いてもいいのか。今、このことに政治が問われているのではないでしょうか。

日本共産党はこの間、政府に対して以下を求めています。

  1. 今実施されている高齢者への大増税については、直ちに中止し、見直しをはかること
  2. 今度、実施予定の増税については、凍結すること

また、西宮市会議員団として、7月27日、市長に対する申し入れを行い、以下を求めています。

  1. 高齢者に対する大増税の中止、見直し及び今後予定されている増税計画の凍結を国に求めること。
  2. 年金生活者世帯などに対し、市として負担軽減措置を創設・拡充すること。
    1. 急激な増税となる高齢者世帯に対する、市税減免措置を新たに創設すること。
    2. 保険料抑制のために一般会計からの繰り入れを行い、高すぎる国民健康保険料を引き下げること。また、新たに増税となった年金生活者世帯を国民健康保険料の減免対象者にすること。
    3. 65才以上の1号被保険者に対する介護保険料の軽減措置を拡充するとともに、新たな増税に伴う急激な負担増となる被保険者に対し、さらなる減額措置を設けること。
    4. 税の申告で、障害者控除や寡婦控除、医療費控除などの手続きをしていない方が多数にのぼります。税等の軽減につながるよう市が積極的に手続きをすすめるための公報を行うこと。

       今後、この高齢者に対する増税や負担増は、3ヵ年で続き、ますます高齢者の生活は厳しくなるものと考えられます。市民のくらしをまもる防波堤としての自治体の役割は重要であり、市としての対応が求められます。

<質問項目>

  1. 今回の住民税の引き上げにより、高齢者等への影響はどうなっているのか。また、この住民税の引き上げによって、その他にも負担が増え、雪だるま式に負担増となるが、どのような影響が生じるのか。3ヵ年について、対象人数、負担総額について明らかにしてください。あわせて、医療費の負担増についても、影響はどうか示してください。
  2. これ以上の増税は高齢者の生活を破壊することになる。市として国に、増税の凍結をもとめるべきではないか。
  3. 市として独自の軽減策を、住民税、国民健康保険料、介護保険料、医療費負担等の分野で早急に創設するべきではないか。
  4. 現行制度内での軽減策、確定申告での控除により税の軽減や、国民健康保険や介護保険の減免制度の申請など、市として広報の強化と総合的な相談窓口の設置に取り組み、一人でも軽減を受けられるように最大の努力を払うべきではないか。
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2.障害者自立支援法について

 昨年10月、自民党公明党が数の力で押し切って成立した障害者自立支援法は、4月に施行され、5ヶ月が経とうとしています。このわずかな期間ですが、この制度が障害者と家族を直撃し、「自立支援ではなく、自立阻害だ」「看板に偽りあり」と、批判の声があがっています。
 福祉サービスに原則一割の応益負担が導入され、障害が重いほど負担が重くなるという事態の中で、負担増のため、サービスの利用を中止する障害者が続出をしています。
 特に、通所施設では、無料だった利用料負担が給食費を含めて月2万円から3万円もの大幅負担増となっています。このため、工賃収入をはるかに上回る利用料負担の支払いに、働く意欲をなくし施設利用を断念し、家に閉じこもる障害者が相次いでいます。あわせて、施設への報酬も激減し、経営の危機が危ぶまれる事態となっています。
 私が6月議会、請願第57号の紹介議員として厚生常任委員会で紹介させていただいた、名神あけぼの園に通うCさんについて、この場であらためて紹介させていただきます。

 Cさんは、今年の3月、15日間あけぼの園に通っています。収入については、工賃が2万3850円と加算227円、作業室手当てが3000円、支給総額2万7077円でした。
 名神あけもの園では、障害者自立支援法が施行された、4月に株式会社しるシルバーランドリーからの洗濯業務が中止となり、430万円の収入減となり、授産工賃等が大幅に引き下げられ、日額工賃が3月まで900円未満については400円に、900円以上については4月から600円に、次年度は500円、次々年度は400円にと引き下げられることになりました。
Cさんは、4月は、18日間施設に通っています。利用料が1日619円、18日間で11729円、食事代が1日650円、18日間で1万1700円、合計の支払い額が2万3429円となります。Cさんの場合、これまで日額単価が1590円だったものが4月から600円になり、990円も引き下げられています。18日間の工賃1万800円と加算340円、作業室手当て2000円、精勤手当て500円、と支給額が1万3640円となり、利用料と食事代が2万3429円ですから、9789円も支払うほうが上回ることとなったのです。3月までは毎月3万円前後を受け取っていたのに、4月からは1万円前後を支払う。Dさんのご家族は、「これからやめる人が出てくるだろう。」「小泉首相は、何を考えているのか」という趣旨のことを、怒りをこめて訴えられました。

 国会で日本共産党国会議員団が独自の実態調査にもとづく質問の中で、首相は「国としての調査をする必要がある」と答え、六月下旬、厚生労働省が実施した自治体アンケート調査が実施され、その中でも利用者負担増による退所者や利用抑制の事態が生まれています。
 大分県では8月2回目の影響調査結果がまとめられ、負担増を理由に福祉施設を退所したり、利用回数を控えた障害者は、43人増え、第1回調査(3月4月)から累計で、193人に上っています。施設別には、授産施設66人、児童デイサービスセンター50人、身体障害者デイサービスセンター46人で、授産施設が多い理由について「手取りの工賃より、支払う利用料が多くなり、勤労意欲が下がっているためでは」と分析、県としてなんらかの負担軽減策を検討したい」と県障害福祉課は具体的な対策をまとめる考えを示しています。

 三重県では、5月末各福祉団体などを通じて行った調査で、少なくとも27人が退所を余儀なくされ、36人がサービスの利用日数や回数を減らしていることが明らかになっています。
 滋賀県では、6、7月時点のアンケート回答で、通所施設の平均利用率が、実施前と比べて91.1%に減り、利用を控えた障害者が多数にのぼることが改めてわかりました。
 長野県では、5月に利用者の個別面談による聞き取り調査を行い、76人のうち、利用者負担が増えた人は73人で、サービスを止めた、または減らした人は17人となっています。また、事業者については、障害福祉施設30施設を抽出し、個別面接による聞き取り調査を実施、報酬単価の低下、日割り計算の導入により、大幅な収入源が見込まれ、経営の存続が難しいなど、経営軽費の項目で71件の意見要望。利用者負担が増大するため、送迎をどうするかが課題、自治体で負担軽減策をやるところも出てきて全国で格差が広がっている、など利用者負担の項目では70件の意見要望。障害程度区分では、知的・精神障害者は低めに判定されるなど20件の意見要望。という結果がでています。
 これら影響調査からも、利用者負担や障害者施設の経営の問題など、法の見直しが必要だということは明らかです。
 10月からは障害者自立支援法は本格的実施となり新たに、補装具、障害児施設にも応益負担が導入され、障害者と家族の負担は増加します。
 障害程度区分の認定とそれに基づく支給決定、地域生活支援事業もはじまります。小規模作業所については、補助金水準の低い地域活動支援センターの事業に移行した場合、現行水準が大幅に後退しかねないと危惧の声があがっています。
 今、自治体として独自の軽減策に取り組むことが求められています。
 3月議会で、わが党議員団のたてがき議員が、京都市や横浜市の独自軽減策について明らかにし、西宮市として取り組むよう求めましたが、きょうされん(障害者関連施設でつくる全国組織)による今年春の全国調査でも8都府県、242市区町村で利用者負担軽減や事業所補助のために独自の施策が行われており、さらにこの間増加している。

 例えば、京都市では、サービス利用料などを市の独自策で引き下げることを決め、10月から地域生活支援事業のガイドヘルパーなど異動支援事業は無料となります。あわせて、障害児の受けるサービスも市独自策で大幅に引き下げることになります。障害児の福祉施設利用料について、上限制をとり、非課税世帯では上限1900円、市民税の所得割が2万円未満の世帯では3000円に、入所は通所の倍におさえられます。
東京都台東区では、通所授産施設の利用料を所得に関係なく10月以降無料にすることを決めました。また、10月から1割負担となる車いすなど補装具の利用については、住民税非課税世帯は半額の負担に、障害者の外出に付き添うガイドヘルパーは月20時間までは非課税世帯は無料、手話通訳も10回または40時間まで無料となります。
 仙台市では、サービス利用料の月額上限を今年度10月からは4分の1に、2007年度は4分の2、2008年度は4分の3に引き下げ、利用者の約65%が負担軽減になります。通所施設にたいしては、報酬給付が月額払いから利用日額払いになって、収入が激減したことを受け、運営補助を実施し、定員の95%に応じた給付と利用実績に応じた給付費との差額を上限に補助します。
 そのほかにも、岡山県倉敷市では居宅サービス利用料の3分の1負担に続いて、地域生活支援事業の一部無料を含めて、独自の負担軽減を図るとしていますし、長野県上田市では、小規模作業所など一部事業は無料に、事業によって住民税非課税世帯は無料にするなど、原則5%の負担とします。
 このように、自治体による軽減の努力がすすんできています。

<質問項目>

  1. 厚生労働省による自治体アンケート調査が、都道府県、政令市、中核市で行われ、一部の自治体の調査結果がでています。また、障害者団体なども実態調査を行っています。これらの影響調査の結果についてどのように受け止めているのか。兵庫県の影響調査はどうだったのか。市として、実態の把握とその分析はどのように行っているのか。市として、市内の利用者、事業者の実態調査を早急に取り組むべきだと思うがどうか。
  2. さきほど、他の自治体の独自軽減策を紹介しましたが、西宮市として、他自治体の独自施策の取り組みについて、どう調査・研究し、評価しているのか。これら独自施策を西宮市も取り組むべきではないか。
  3. (介護保険の認定は西宮市は厳しすぎるとの声もあるが)障害程度区分認定と支給決定については、障害者の実態や利用意向を十分に反映させて、支給決定を行うべきだが、必要なサービス支給が切り下げられることがないようにすべきだがどうか。
  4. 政府に対して、応益負担の撤回を求めるとともに、当面の問題として、
    1. 障害者自立支援法による影響を直接把握するための全国調査をおこなうこと
    2. 利用者負担の軽減措置を大幅に拡充すること
    3. 施設・事業者に対する報酬を抜本的に改善すること、を求めるべきではないか。
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