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2006年9月 野口あけみ議員の一般質問
2006年09月30日

1.介護保険について


 自民、公明、民主の賛成多数で昨年成立した介護保険法改悪が今年4月より実施され、さまざまな問題が噴出しています。特に軽度者のサービス低下が大問題になっています。
 これまでの要支援が要支援1に移行し、要介護1の方のうち6割が要支援1・2になって、ともに新しい介護予防給付の対象となります。いま順次、介護認定の更新が進み最終的には要支援1、要支援2の軽度者はあわせて5300人程度、認定者全体の5割を占めることになります。
 軽度者の方のサービス提供プランをたてるケアマネージメントは、新設された市内11ヶ所の地域包括支援センターで行われ、必ずしもこれまでのように1ヶ月に1回の面談によるのではなく、3ヶ月に1度の訪問面接で新介護予防サービスを受けることになります。メニューとしてはこれまでのホームヘルプやデイサービスなどに加え、運動機能向上や口腔機能向上などの新メニューも生まれました。

 しかし、この新予防給付では、これまで受けていた訪問介護(ホームヘルプ)は原則「家族や地域の支えあい、他の施策などが利用できない場合」にのみ利用という制限がつきました。さらにこれまでは高齢者の状態や希望に応じて支給限度の範囲内で自由に利用できていたものが、週1回、週2回など回数に制限がつき、1回あたりの時間も法改正前は2時間だったものが最大でも1時間半に短縮されました。こうしたホームヘルプの回数制限、時間短縮で病院への通院介助が事実上できなくなっています。またデイサービスやデイケアでも、1回あたりのいくらの料金設定から月当たりの定額料金になり、一定回数以上は事業者にとって持ち出しとなるような介護報酬の改定がなされ、事実上軽度者の利用が制限されています。
 軽度者への介護サービスが「自立支援」をより徹底するという名目で大きく後退したのです。

 さらに要介護1までの軽度者には車椅子、電動ベッドなどの福祉用具貸与サービスが保険では利用できなくなりました。経過措置で従来の利用者には今年9月末までみとめられましたが、10月からは原則取上げ、引き続き利用するには全額自己負担となります。全国で車椅子11万人、ベッド27万人、市内では車椅子約600人、ベッド860人にものぼります。

 昨年10月から施設入所者の食費、部屋代が保険からはずされ、全国では1300人以上、西宮では3人の方が経済的理由により退所せざるを得なくなっています。さらに今回の軽度者からの福祉用具取上げ、ヘルプ、デイサービスなどの回数時間数減等、保険給付を切り縮めるのが今度の「介護保険見直し」でした。一方で保険料は値上がりしていますから、ますます「保険あって介護なし」の実態が深刻になったのではないでしょうか。

 質問1、新介護予防給付の実態についてです。
・最終的には5300人の軽度者のうち、サービス利用が約8割として4000人の方のケアプランを地域包括センターを中心に作成することになるが、現時点では混乱なく行なわれているか、今後の見通しはどうか。
・ホームヘルプやデイサービスの回数減、時間減が、高齢者の状態にどう影響しているか、悪化をきたしている例などないかなど、実態をリアルにつかむ必要があると思うが、どうか。

 質問2、ベッドなど福祉用具貸与で一律回収を戒める厚生労働省連絡が8.14付けで出ているが、市ではどう対処しているか。継続して利用する場合、多大な自己負担となります。東京都港区、新宿区、豊島区など独自で支援策をとる自治体も生まれています。やり方はさまざまです。市でも取り組むべきではないか。
 最後に、介護保険料について。今年になって4件「介護保険料滞納で銀行口座を差し押さえられた」との相談が党議員団に寄せられました。Aさんは73歳、自営業でやってきたが、妻が病気勝ちで年金もいつのまにかかけられなくなり未年金。一人になった今は月に2,3万になるかならないかの仕事をしながら、百数十万の貯金をくずしながら細々暮らしている方でした。その貯金から2年分の保険料6万3360円が差し引かれて、びっくりしての相談でした。年金もなく資産といっても百数十万の貯金のみ。生活が1年持つかどうかのわずかなお金です。現に相談の結果、生計困難として保険料が減免されました。生計困難者に差し押さえをしたのです。市では介護保険の滞納処分として、財産等の差し押さえを今年1月から3月末で15人、4月から7月21日までで24人実施しています。このような非人道的な滞納処分は即刻止めるべきです。
 
 保険料について、もう1点。市では独自減免を実施しているが、まだ十分知られていません。党主催の相談会で知り、減免を受けた方がありました。前年度の減免対象者には申請書を送付しているとのことですが、今年は課税状況など大きな変更があり、改めて広い対象に直接知らせるべきではなかったですか。来年も状況は変わります。周知についての考えを聞かせてください。