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2007年予算要望書
2006年11月30日

総合企画局


  1. 小泉「構造改革」の5年間で、格差と貧困が広がり、わが党議員団が実施した市民アンケートでも以前に比べて生活が悪くなったと答えた市民は71%にもなっている。 
     今こそ西宮市は、地域住民の福祉の増進をはかるという地方自治体本来の役割を発揮すべきである。
    しかし市は、高齢者、障害者、低所得者福祉を切り捨て、市民福祉金の廃止、幼稚園保育料の引き上げ、公民館使用料の減免廃止など、ひとことで言えば弱者切捨ての非情な「第3次西宮市行財政改善実施計画」を強行してきた。その根拠として当面2008年度までの収支試算をおこない「このままでは赤字再建団体に転落する」としていたが、現時点では目標値を上回る「行財効果」と「増税」で08年度の財源不足額は51億円にまで縮小している。
    また2004年度からは「行政を経営する」という「行政経営改革」に取り組んでいる。
    これは民間の手法=利潤、効率優先の考えで、行政に対する満足度も金次第というおよそ住民の福祉と暮らしを守るという地方自治体の本来の役割とまったく相反するやり方である。
    そもそも「財政難」の原因は震災復興を口実にして強引に進めた大型開発によって膨大な借金を抱えたことにある。西宮市はこのことから深い教訓を汲み取るべきである。その観点から以下のことを求める。
    1. 当局は「行政経営改革」によって「限られた経営資源の下でも、その効果的な配分により、市民満足度の高い行政サービスの提供」ができるとしている。
       しかし、その実態は非効率的なことや、「採算性」の合わないことはどんどん切り捨てるというもので、市役所を儲け本位の株式会社のようにするものである。福祉や暮らしを守るという地方自治体本来の役割を発揮するよう施政方針を転換すること。

    2. 今日の財政危機の真の原因が震災復興を口実にした大型開発にあることは明白であり、このことを真摯に反省し、西宮市自ら生み出した財政難を安易に市民に転嫁し、暮らし、福祉を直撃する「第3次西宮市行財政改善実施計画」は直ちに撤回すること。

    3. 「市場化テスト法」が成立したが、地方自治体が実施するかどうかは各自治体の判断である。当面対象とされている事務は戸籍謄本、納税証明書、住民票等の「交付の請求の受付及びその引渡し」となっており、いずれも住民が最も秘匿したいプライバシーにかかわるものであり、「市場化テスト」は導入しないこと。

    4. 市長の退職金は20パーセント削減されたが、市民感覚とはまだまだかけ離れている。廃止すること。

    5. 削減した市民の暮らし、福祉、教育の予算充実のため、今後予定している不要不急の大型公共事業は行なわないこと。

  2. 西宮市の推計人口は10月1日現在471,573人となっている。震災前より47,003人(11%)増となっている。これは第3次総合計画の人口予測をはるかに上回っている。
    市は「50万人程度までが本市人口規模のひとつの目安」としているが、人口増をただ単に町のにぎわいとして喜ぶわけにはいかない。人口増の原因はマンション建設の規制を緩和したことにあるのは明白である。その結果、学校の教室不足や公立幼稚園や保育所に入園・入所できない事態が起こり深刻な問題となっている。一方で幼稚園の廃園など年齢構成を含め人口密度にアンバランスが生じている。西宮市が文教住宅都市を掲げる以上このような不均衡や市民生活に支障を来たす事態をなくすため、各種施設などを早急に整備し、これ以上の人口増につながる施策をとらないこと。

  3. 第4次西宮市総合計画について
    1. 総合計画は、「長期的なまちづくりの基本方向と、事業、施策を総合的、計画的に示すもので、市政の指針となるものである。同時に、市民、事業者に長期的なまちづくりの目標を示し、望ましい方向へとその諸活動を導くものである。」として、基本構想、基本計画、実施計画によって構成される最も重要な計画である。新年度は第4次西宮市総合計画(2009?2018年度)の策定に、本格的に着手することとなる。現計画である第3次総合計画(1999?2008年度)は、人口予測をはじめ、財政計画でも、策定時から大きく狂いが生じ、実施計画を毎年ローリングするとしたが、破綻は明確となり、早期に見直しをしなければならなくなるなど、市民生活に悪影響を及ぼした。次期計画策定にあたっては、その教訓を明らかにするとともに、それを活かし、正確な計画を策定すること。

    2. 市素案策定にあたっては、市民の声をしっかり反映し、市民密着型のくらし、福祉、教育を優先すること。

    3. 審議会の設置にあたっては、公募による市民代表も入れること。

  4. 西宮市は、2008年4月中核市への移行をめざしている。全国の中核市の事例について、調査するとともに、市としてのメリット、デメリットも明らかにし、市民の意見をよく聞くこと。また、児童相談所が設置できるよう調査研究をすること

  5. 公の施設の一部が指定管理者制度に移行されたが、公募によるものと非公募によるもの、また非公募のなかでも後年に公募を検討するものがある。
    1. 真に住民サービスの向上、公的責任を果たすという観点から、現在直営のものは引き続き直営とすること。

    2. 福祉・教育施設や個人情報を多岐にわたって取り扱う施設については、直営に戻すこと。

    3. 外郭団体等が指定管理者となっているもので、後年公募にするものがあるが、安易に民間の経営理論を優先させるのではなく、公的性格を保持し、住民奉仕を旨とする点から非公募とすること。また、労働者の雇用条件は現行を切り下げないこと。

  6. 男女共同参画センター(ウェーブ)が男女共同参画社会の実現に向けての学習や交流の場となるよう次のことを実施すること。
    1. 男女共同参画とは男女の差別なくあらゆる面において男女が平等で、かつ男女の性差にとらわれず、真に男女平等の社会を実現しようというものであり憲法24条に基づくものである。ところが一部マスコミや政治勢力のなかに、このような男女共同参画を後退させるような動きがある。その背景には憲法を改悪する動きとあい呼応しているが、すべての公務員は憲法を尊重し擁護する義務があり、この立場にたって男女共同参画=ジェンダーフリー施策を進め、同時に啓蒙を強力にすすめること。

    2. 夜間・休日は外部委託の管理会社職員が対応しているために利用申し込みもできないなど、登録グループ等の活動に支障をきたしている。夜間・休日にも利用申し込みができるよう職員の勤務時間の変更も含めて具体化すること。

    3. 市民参画(登録グループ)で企画、運営している講座や講演会(いきいきフェスタ)の予算は1企画あたり2万円程度であまりにも少ない。各グループが十分な活動ができるよう予算を増額すること。また、自主性を尊重し、行政が不当な介入を行なわないこと。

    4. 登録グループ、団体が設置目的に沿って日常的に使用する場合、減免があるとはいえ原則有料となっている。使用料は原則無料とすること。

    5. DVや児童虐待、職場での差別、セクシャルハラスメントなど多種多様な女性の悩みに気軽に相談できるよう夜間にも面接、電話相談できるように職員配置を行なうこと。

  7. 西宮市の事務職員のなかで女性管理職係長以上の占める割合は2006年4月1日現在23.4%で2年前と比べて9.3ポイントも低下している。そのため男女の比率は3対1となっている。特に30代女性職員における管理職の割合は90%で、同様の男性管理職率26.9%に比べてその格差がますます広がっている。当局は「子育て中」をその理由にしているが、これこそ男女共同参画に反することである。このような庁内の実態を調査、研究して改善するよう積極的な役割を果たすこと。また、市内の事業所についても実態調査などして公表すること。

  8. 市民だれもが自由に文化を創造し享受できるよう、以下の施策に取り組むこと。
    1. 市として市内の芸術文化団体を育成、支援すること。

    2. 市民が低廉な料金で文化・芸術の鑑賞ができるよう助成制度をつくること。

    3. フレンテ西宮やプレラにしのみやは、ホールの使用料が高いうえに映画上映に際しては映写機等の使用料も高い。文教住宅都市であり、市民文化向上の観点からも市内の個人や団体が非営利で文化活動をするときは、減免できるようにすること。

  9. 第159国会で米軍の海外での戦争に自衛隊を参戦させ、自治体や民間企業、国民を動員する有事関連法が強行成立した。この法律は戦力不保持、交戦権放棄をうたった憲法9条に明らかに反するものである。平和非核都市宣言市として次のことを行なうこと。
    1. 政府に有事関連法の撤回を申し入れること。

    2. 「国民保護計画」の策定にあたっては、地方自治体として憲法を遵守する立場と平和非核都市宣言市の立場を堅持すること。

    3. 訓練等については市民に強制することがないよう、関係団体、市民に通知徹底すること。

  10. 平和行政の一環として市役所前の公園を平和公園と位置づけること。

  11. 平和資料館は面積が狭小で十分その機能が果たせていないので、移転も含めて拡張すること。またそれまでの間、日本の近現代史についての関心が大きく高まっている現状からも、展示については戦争に至った経過、日本の加害の事実や戦時下での市民の不自由な暮らしなどがわかるよう改善すること。

  12. 議員互助会への補助金支給は、市として主体性をもち、直ちに廃止すること。