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2007年予算要望書
2006年11月30日

総務局


  1. 「骨太の方針2006」では「国と地方の役割分担の見直し」「国の関与・国庫補助負担金の廃止・縮小等を図る」として地方交付税削減を明らかにしている。これを受け総務省は、地方税率のフラット化等による増収分を見込み、2007年度の概算要求で地方交付税を前年度比2.5パーセント減の15兆5,101億円としている。
    このようななか、9月の臨時国会で新たに発足した安倍内閣は就任最初の会見で「構造改革を加速させ補強していきたい」と語ったように、弱肉強食で格差を未曾有に広げた小泉「構造改革」を強行に推進しようとしており、福祉や教育分野にねらいをさだめた国庫補助負担金の削減と、地方交付税の縮減が明らかとなっている。これらにより地方自治体の財源保障機能が破壊され、さらに、移譲する税源を消費税増税に求めようとするなど許されない。
    政府に対して、?税源移譲等による地方税財源の充実強化 ?地方交付税の財源保障機能と財政調整機能の堅持、充実 ?国民の基本的権利を保障しなければならない国の責任を後退させ、地方へ財源負担を転嫁する国庫補助負担金の廃止・縮減に反対の3点を強力に申し入れるとともに、全国市長会にも提言すること。

  2. 西宮市は、財政収支試算表を根拠として、ことあるごとに「財政危機」を強調して市民にがまんを強いている。ところがその財政収支試算は、収入を意図的に低く見積もり、支出は多く見積もるというものである。たとえば市税では試算より118億1,800万円の増額、反対に投資的経費は減少している。この結果、財源不足額では08年度末163億9,200万円(05年2月現在)としていたものが、70億5,500万円(06年2月現在)に大幅に減少。さらに毎年20億から30億円も発生する決算剰余金を試算表に反映させれば、2008年度末の財源不足額は解消され、黒字となることは必至である。
    このような状況から市長は9月議会の開会あいさつで、財政改善を認める発言をせざるを得なくなった。もはや、「赤字再建団体転落」という名目は実質根拠がないことがはっきりした。
    今後において財政危機を煽るための財政収支試算表はつくらないこと。
    また、いまだに「赤字再建団体へ転落する」という職員もおり、市職員には正確な財政状況を徹底すること。

  3. 小泉自・公内閣によって税制改悪が行なわれ、特に年金生活者は給付額が引き下げられる一方で老年者控除の廃止や年金課税強化などで、個人市県民税が数倍から十数倍に引き上げられた市民が続出している。さらに2007年度からはいわゆる地方税のフラット化が行なわれ、低所得者の市民税率が3パーセントから6パーセントに引き上げられる。そこで、以下のことに取り組むこと。
    1. 現在強行されている税制改悪の中止・見直しと、今後計画されている改悪についても凍結するよう、国に求めること。

    2. これ以上の消費税率引き上げについては、絶対行なわないよう、強く国に要請すること。

    3. 今回の税制改悪で急激な増税となった高齢者世帯に対して、市独自の市民税減免措置を創設すること。

    4. 税の軽減化として、障害者控除や寡婦控除などがあるが、申告漏れがないよう積極的に周知徹底すること。

    5. 介護保険、福祉医療助成制度等個人市民税額を根拠とした料金制度や所得制限等があるが、地方税率の引き上げによって収入は変わらないのに料金が引き上げられたり、制度の適用が受けられなくなっている。このような矛盾を解決するため市独自の補助制度を創設すること。

  4. 1994年度から1999年度に借り入れた政府資金による既発債について、高利率地方債の借り換え(利下げ)および、地方債残高の償還期限の延長等、条件変更について可能となるよう法令の改正を国に要望すること。

  5. 随意契約については慣例的に行なわれているのも見受けられる。そのため契約価格が高止まりとなっている。地方自治法に基づき厳格に行なうこと。

  6. 市発注の公共事業は、市民生活の向上と地元中小零細企業の育成の観点からも生活密着型に切り替え、以下の施策にとりくむこと。
    1. 市発注の公共事業のうち、金額での発注率を中小企業むけに引き続き75%以上とすること。

    2. 工事の指名競争入札参加資格が経営事項審査結果通知書の総合評点にもとづいて行なわれるようになったが、特に中小企業については市内に本店を有する市内業者を優先すること。

    3. 公共工事、物品購入、委託等については、分離分割発注し、市内中小業者を優先すること。

    4. 特定業者との癒着につながりやすく、受注の独占化になりかねない一括単価契約はやめること。


    5. 工事の元請け業者が下請け業者をつかう場合には、「公共工事適正化法」及び付帯決議にもとづき、元請、下請けの契約書と支払い領収書の提出を引き続き元請けに求めること。

    6. 「公共工事における建設労働者の適正な労働条件の確保に関する意見書」を議会は採択したが、これにもとづき市として「公契約条例」を制定すること。

    7. 市発注の一定金額以下の工事等に、市の競争入札参加資格のない市内業者に直接発注する「小規模工事等契約希望者登録制度」がはじまった。制度の活用を広く庁内に徹底し、市全体として、中小業者の仕事づくりを進めること。また、金額については当面50万円までに引き上げること。

  7. 市からの工事、管理、委託などすべての受注業者に対して労働組合法など労働三法を契約書に明記し、遵守するよう周知徹底すること。

  8. 地価が上昇しているといわれているが、市民の暮らしは引き続き厳しい状況がある。固定資産税を引き下げること。

  9. 戸建住宅であれば、私道でも固定資産税減免の制度がある。一方分譲マンション内の同様の通路には適用がなく不公平な扱いとなっている。公道につながる敷地内通路を公衆用道路あつかいとし、免除対象とするなど課税の見直しを行なうこと。

  10. 都市計画税の税率を0.3%から0.2%に引き下げること。

  11. 悪質な大手企業の市税等の滞納については厳しく指導し、早急に回収すること。

  12. 土地開発公社がかかえている土地は2006年3月末時点で、約15万5,951平方メートル、取得金額は173億1,557万8,296円(うち、甲子園浜下水道用地117億7,900万円)となっている。

    1. 公社保有の処分困難な用地(上大市4丁目、高畑町等)については福祉施設など広く市民に役立つ施設の用地に活用するなど早急に結論を出すこと。

    2. 甲子園浜の下水処理場(甲子園浜浄化センター)の未利用地の第3次処理用地13haのうち高度処理場用地としては7.3haとなった。残る5.6haの土地利用については庁内の委員会だけで決めるのではなく、広く市民の声を聞き有効活用すること。

  13. 西宮市は第3次行財政改善実施計画によって2008年度までに250名の職員を削減するとしているが、消防職員は緩和された国基準以下であり、福祉・暮らしや教育などの市民サービスにも支障をきたしてはならない。職員は単純に減らせばよいという観点ではなく「全体の奉仕者」としてあくまで住民サービスを担うという観点から適正配置を行うこと。

  14. 職員人事について
    1. 職員の能力や指導力に応じた適材、適所で公平、公正に行なうこと。また、労働組合活動を理由とした昇進、配置などの差別は絶対行なわないこと。

    2. 西宮市の事務職員のなかで女性管理職(係長級以上)の占める割合は2006年4月1日現在23.4%で2年前と比べて9.3ポイントも低下している。そのため男女の比率は3対1となっている。特に30代女性職員における管理職の割合は9%で、同年代の男性管理職率26.9%に比べてその格差がますます広がっている。当局は「子育て中」をその理由にしているが、これこそ男女共同参画に反することである。このような庁内の実態を調査、研究して改善するよう積極的な役割を果たすこと。また、市内の事業所についても実態調査などして公表すること。

    3. 障害のある人の雇用を広げすすめること。特に視力障害者の採用についてはまったく積極性にかけている。コンピューター化が進んでいるなかで民間職場ではコールセンターで活躍している視覚障害者もいる。早急に職域の開発を行なうこと。

    4. すべての職員に研修の機会を均等に与えること。

    5. 2007年度には団塊の世代が定年退職するいわゆる「2007年問題」がある。なかでも管理職の相当数が退職することになるので、後進の人材育成などを今から進め、市民サービスに影響が出ないようにすること。

    6. 職員の在職死亡や長期にわたる病気休業が見受けられる。職場環境の点検を行なうとともに、人的配置や人事管理を適正に行なうこと。

  15. 嘱託調理員、嘱託介助員、嘱託看護士、老人ホーム嘱託職員、嘱託司書などの常勤的非常勤職員は、労働時間数に違いがあるだけで労務内容は正規職員となんら代わりがない。待遇は正規職員と均等にすること。