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2006年11月30日
健康福祉局
- 介護保険について
2005年10月から施設入所者の介護報酬と新予防給付の導入による要介護度の見直しで、食費、居住費が自己負担になり、2006年4月から介護保険料が値上げされた。
これまでも介護保険の実態は、保険料は40歳以上から徴収し、年金からは「天引き」されながら、基盤整備は遅れており、利用したい施設を利用できず、低所得者には利用料の負担が重いなど「保険あって介護なし」と指摘されてきた。今回の改悪は、いっそうの負担増に加えて「介護の社会化」という最大の看板まで投げ捨てて、要介護度が低いとされた高齢者をサービスから門前払いするものとなっている。公的な介護制度でありながら、低所得者、「軽度者」など多くの高齢者の利用を排除する「保険料だけとりたてて、介護は受けさせない」制度へと、介護保険は重大な変質を始めている。同時に、自治体でも、国いいなりに高齢者から公的な介護を取り上げてしまうのか、自治体として出来る限りの努力をするのかが問われている。
必要な介護が受けられるよう以下の項目を実施すること。
- 2006年4月から、要介護1以下の軽度の高齢者は、車椅子や介護ベッドなどの保険給付がなくなり、従来からの利用者への経過措置も2006年9月末が期限とされた。福祉用具貸与の是非を判断する際には、機械的にせず、ケアマネージャー・主治医らの判断を最大限に尊重し、高齢者本人の意見を聞くこと。福祉用具を自費で購入・レンタルする高齢者には、市として独自の助成をすること。
- 要支援1・2と判定された人のホームヘルパーなどの利用時間や回数が大幅に減らされている。厚生労働大臣は、国会答弁でも「本当に必要な家事援助の方は、当然・・・今後も受けていただく」と約束している。市は実態をつかみ高齢者が必要なサービスを今までどおり利用できるようにし、市独自に上乗せすること。
- 介護保険料が高額な最大の原因は、介護保険の創設時に、国の負担を2分の1から4分の1に引き下げたことにある。国庫負担を30%に引き上げ、保険料、利用料の減免・軽減制度を創設するよう国に求めること。
- 国の税制改悪の中で介護保険料が大幅に引きあがっている。市独自の保険料の減免制度を拡充すること。
- 今回の税制改悪の増税で施設入所者の利用料が大幅に値上げになる人もいる。特別養護老人ホームへの入所を断念する人や通所介護、リハビリの負担増も深刻になっている。市として独自の助成制度をつくること。
- 特別養護老人ホームの待機者は1886人(2006年9月末現在)となっている。さらに今後6年間で全国の療養病床を23万床も削減する計画のため、施設不足がいっそう深刻化する事態が起きてくる。国は都道府県向けの施設整備費交付金を廃止(一般財源化)した。その一方で、有料老人ホームなど民間の高額な居住系のサービスだけは急増している。西宮市高齢者保健福祉計画・西宮市介護保険事業計画は療養病床がある前提で計画されている。計画を見直し大幅に特別養護老人ホームを増設すること。
- 「地域包括支援センター」について、介護・医療・福祉などと連携をとり、地域の高齢者の生活を総合的に支える拠点としてセンターを発展させるためには、マンパワーが不足している。そのために力が発揮できていない。市独自で一般財源を投入し、センターの活動に責任を負えるような体制をつくること。
- 在宅介護がさまざまな要因で困難であるという現実がある。特養整備だけでなく、地域での民家を利用した小規模施設や夜間・緊急対応など多様なサービスが提供できるよう、事業者への補助金制度を創設すること。
- この間連続して介護報酬が引き下げられたため、多くの介護施設などが経営の危機に直面している。高齢者からの「介護とりあげ」もヘルパーの仕事を奪っている。介護労働者の労働条件はますます過酷になり、収入と誇り、働きがいが奪われている。介護サービスの質は確保できず、結局利用者や家族が一番被害を受けることになる。市としても国に対して改善を要望すること。
- 市立軽費老人ホーム「雅楽荘」は狭い居室に2人入居が半数を占めているが、現定数を維持した上で、人権、プライバシー尊重の観点からすべて個室とすること。
- 「第3次行財政改善実施計画」により、養護老人ホーム入所法外扶助費は縮小、寿園法外扶助費は廃止されたが元に戻すこと。
- 敬老祝い金制度は廃止されたが復活させること。また、高齢者が楽しみにしていた敬老会行事のおみやげも復活させること。
- 高齢者交通助成金制度は、5000円の現金支給に戻すこと。
- 福祉タクシー制度は障害のある人や高齢者の外出対策として、助成金の増額や行き先の拡大など、制度の改善をはかること。
- 西宮市老人クラブ連合会は、1967年(昭和42年)より西宮市が購入した老人クラブ研修バス(ことぶきバス)を活用してきた。2001年6月にNO?法の改正法が成立し、そのため西宮市でも2007年12月以降現在のバスが使用できなくなり、廃車にせざるをえなくなった。このことから市は、「2007年12月までの運行経費は補助するが、以降は補助しない」としている。ことぶきバスの存在は、会員の心と健康の支えとなっており、廃止するのではなく、今後とも継続して利用できるようにすること。
- 障害者自立支援法が2006年4月から実施されて6ヶ月が経過した。全国各地の障害者団体の調査などで、原則1割の応益負担による大幅な利用者負担増、相次ぐ施設からの退所やサービス利用の手控え、また、施設経営を大本からゆるがす報酬の激減など問題点が明らかになっている。政府は審議の中で「サービス水準は後退させない」とくり返し答弁してきたが、全国各地で起きている深刻な事態は、この政府答弁に真っ向から反するものになっている。「応益負担」の持つ根本的な問題が浮き彫りになっている。障害のある人が安心して生活をするために以下の項目を実施すること。
- 国に対して、障害者自立支援法の「応益負担」をやめ「応能負担」に戻すよう抜本的な見直しを求めること。
- 障害者自立支援法による影響について、市独自で障害のある人や家族、事業者の実態を調査すること。
- 市独自で利用料と施設利用者の食事代の減免を行うこと。
- 利用者へ制度の周知徹底は事業者任せにせず、市として責任を持ってすること。
- 通所・入所施設の報酬が月額制から日額制になって事業者収入は1割から2割の減収となり、職員の労働条件悪化だけでなく経営の継続さえ困難な状況を招いている。報酬単価をあげ日額制を見直すよう国に要望すること。市として事業者への補助をすること。
- 障害程度区分によって今まで利用していたサービスが、受けられなくなる人が出てくる可能性がある。継続して利用できるようにすること。特に、知的や精神の障害程度区分は、身体に比べて軽くなる傾向が指摘されている。実態に合わせて判定基準の見直しを行うこと。
- 市内の障害者の相談窓口が限られた施設にしか委託されていない。増やすこと。
- 市立名神あけぼの園については、この間大幅な工賃引き下げが行なわれている。
仕事の確保とともに、あけぼの基金については、設備の整備ではなく、設置当初の目的である工賃の安定化のために使うこと。
- 生活保護について
小泉「構造改革」が作り出した格差社会で、生活保護世帯が増えている。しかし、政府は生活保護世帯の保護費の引き下げや「老齢加算」「母子加算」の廃止などを強行した。さらに支給額の減額、住宅扶助費の見直し、医療費の1割負担導入などが言われている。国の責任の後退は、国民の生存権が侵害される事態に拍車をかけるものである。生活保護を充実させるために、以下の項目を実施すること。
- 生活保護法では生活に困っている人は誰でも生活保護を申請でき、条件にあっていれば、平等に受けることができることを明記している。この規定や憲法25条の具体化として、より適正な事務を行うこと。また、政府の補助額の削減や給付削減攻撃を許さず、むしろ保護基準の引き上げを国に求めること。
- 「第3次行財政改善実施計画」により、夏季冬季見舞金、上下水道基本料金減免などが廃止になった。元に戻すこと。
- ホームレスに対する保護適用では、NPO法人が運営する低額宿泊施設によることが多く、その促進をはかること。テント生活者には居住確保をはかるやり方だけでなく、そこを居住地として認定し、保護の適用も実施すること。
- 保護相談や申請、適用が急増している。面接相談員を増員し、相談者の立場にたった親身な相談を行うこと。また、ケースワーカーについても増員し、きめ細かな援助をすること。こられの職員は社会福祉士とすること。
- 援護資金の貸付は、生活実態と見合うよう、貸付限度額の増額とともに、保証人、民生委員の証明は求めないこと。また、県社協の生活福祉貸付金の貸付について、条件緩和、手続きの簡素化、貸付までの期間短縮を求めること。
- 母子生活支援施設は老朽化し、現在の住環境から見ても、改修等では解決できない。DVへの対応等での役割も増大しており、早急に建てかえること。
- 児童虐待が急増し、その対応に追いつかない実態がある。子どもを守る第一線の中心的機関である児童相談所の対応の遅れや踏み込みが足りなかったために幼い命が犠牲となる例もあとを絶たない。適切に即応できるよう、子どもセンター(児童相談所)の増設、専門職員の増員を、国、県に求めること。また、2008年4月には中核市に移行するとしているが、その際には市立児童相談所を設置すること。
- 名塩・生瀬地域に総合的な病院の設置を具体化すること。
- 保健所について
- BSE、鳥インフルエンザ、SARSなど、相次いで新たな問題が発生しており、保健所の役割は重要である。市民の信頼を得られる迅速な対応、情報公開に努めること。BSE対策の牛の全頭調査は引き続き行うこと。
- 節目総合健診(40、50、60歳時)では、歯周疾患検診もあわせて行えるようにすること。
- 1歳半健診については、地域の公立保育所でも行い、子育て支援に結びつけること。
- 市関係施設にAED(自動体外式除細動器)の設置を進めること。
- 子育てに悩んでいる親が多くなり、保育所や学校現場でも問題を抱えている子どもが増えてきていることも指摘されている。金沢市では「教育プラザ」と命名した施設で、教育委員会と連携し、乳幼児から中学生まで視野に入れた子育て支援を行い、市民から歓迎されている。また、市で「子ども条例」をつくって子どもの権利を守る取り組みも進められている。西宮市でも「子育てするなら西宮」にふさわしい施設整備や「子ども条例」制定を早期にすすめること。
- 保育所について
公立保育所民営化、規制緩和による企業保育所の参入など、小泉「構造改革」で保育の公的責任が後退させられている。公立保育所は「保育に欠ける子ども」だけでなく、在家庭の子どもたちの支援など、その役割はますます重要になっている。また、虐待など子育てをめぐる問題も深刻になってきている。国の進める儲けが優先する保育制度では、子どもたちの発達を保障する権利を守ることは出来ない。市は「子育てするなら西宮」のスローガンを掲げるなら、保育に公的責任をもつ立場にきっぱりとたつべきである。以下の項目を実施すること。
- 保育所待機児童は220人(2006年10月1日現在)となっている。また、弾力運用で保育所はすし詰め状態になり、子どもたちが劣悪な環境に置かれている。認可保育所を希望しても入所することができず、やむなく無認可保育所を利用せざるを得ない事態がある。希望するすべての子どもたちが入所できるように保育所の増設を行い、減員している公立保育所の定員を元に戻すこと。
- 西宮浜はどこへ行くのも橋を渡らなければならない。現在は、私立保育所が1ヶ所しかなく入所できなかった人は、橋を渡って他の地域の保育所に通っているが、小さい子どもを連れて通うのは大変である。西宮浜に早急に保育所を新設すること。
- 公立保育所民営化は私立保育所からも反対の声が上がっている。これ以上の民営化はしないこと。
- 株式会社の参入は認めないこと。
- 税制改悪の影響で、大幅に保育料が引き上げられる。市として対策をたてること。
- 今年度中、すべての公立保育所で午後7時までの延長保育、産休明け保育が実施されるが、保育士の体制を充分にととのえてすすめること。
- 障害児保育や一時保育をすべての保育所で実施すること。
- 民間保育所の補助金削減をやめること。パート保育士への時給を公立と同額とするよう市が補助すること。
- 公立保育所の1歳児の配置基準は今までどおり5対1を守ること。また、私立保育所の1歳児も5対1に改善すること。
- 虐待や生活荒廃の影響を受けている子どもへの対応は特別の配慮が必要とされる。専門知識を持った職員を配置するとともに、保育士への研修を強めること。
- 10月から公立保育所で3歳以上児の米飯給食の自園調理が実施されているが、主食代の1000円は民間と比べて高い。引き下げること。また、主食の食器代わりに空の弁当箱を持参させているが、食育の観点からも市で食器を購入し運用すること。
- 自園調理の実施やアレルギー除去食への対応等で給食調理員の過重負担がある。
給食内容をいっそう充実させるために調理員の増員をはかること。
- 認定子ども園について
10月から「認定子ども園」(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律)が本格実施される。市では県の条例に基づいてとしているが、この法律は?幼稚園・保育所双方の認可基準の切り下げ、認可外施設の公認化をすすめ、?保育所に直接契約制度、保育料の自由設定方式を導入し、憲法・児童福祉法に基づいて、国と自治体が責任を負う公的保育制度の「解体」に道を開くなど、子どもの権利をないがしろにするものであり、認めることはできない。県に対し条例化をしないように申しいれること。
- 家庭保育所について
- 家庭保育所は、公立保育所で行っていない産休明け保育を担い、市の保育行政の中で重要な役割を果たしている。市は運営助成費や保育補助費の年間通じての満額支給や、水光熱費などの全額支給を行い、家庭保育所の運営改善に責任をはたすこと。
- 保育所待機児童解消のために、たけのこ家庭保育所など条件のある保育所で定員増を行うこと。
- 保護者負担になっている給食や延長保育に助成を行うこと。
- 認可保育所に兄姉を預けている家庭にも第2子、第3子以降の減免制度を適用すること。
- 家庭保育所の卒園児を希望の認可保育所に入所させること。
- 保育ルームでは、1名の補助員をつけることになっている。実行するよう指導すること。
- 無認可保育所は県が所管しているが、市としても指導、援助を強めること。
- 地域での子育て支援を進めるため展開されている、子育て総合センターの各種事業が好評である。全市に1ヶ所では不足しているので増やすこと。また、教育委員会と連携して、幼児から中学生までの子育てを支援する施設を創設すること。
- 学童保育所(留守家庭児童育成センター)について
- 2006年度から社会福祉協議会が2年間指定管理者として指定されている。1年後は公募と言われるが、子どもの保育の継続性からも非公募とすること。
- 9月議会で育成料が20%値上げの条例案が可決されたが、値上げの根拠がないことが、厚生常任委員会の論議の中で明らかになった。また、多くの保護者が反対をしている。値上げは撤回すること。減免制度も元通りにすること。
- 待機児童がでている所は、早急に予算化を行ない対処すること。希望する子どもはすべて受け入れること。
- 春・夏・冬休みおよび休校日の開所時間は、午前8時から午後6時30分とすること。
また、開校日の閉所を午後6時30分に延長すること。
- 弾力運用で子どもたちが詰め込まれすし詰め状態である。特に、雨の日は居場所さえない。早急に改善すること。
- 障害のある4年生以上の子どもたちを新年度より直ちに受け入れること。
- スロープや身障者トイレなど施設のバリアフリー化を急ぐこと。
- 高学年学童を自主運営している父母団体に補助制度をつくること。
- 西宮市立養護学校に学童保育所を設置すること。
- 学童保育所はただ単なる子どもを預かる場所ではなく、異年齢集団の中で遊びと生活を通して子どもの成長発達を保障する場所であり、放課後の居場所である。学童保育所の指導員は子どもに寄り添い、遊びや日々の生活の中で適切な指導を行い、子どもの発達を保障する重要な仕事である。また、複数クラスになっているところは、それぞれが独立して生活している。それらにふさわしい指導員の配置と勤務時間にすること。
- 学童保育(放課後児童健全育成事業)は、地域での子どもの生活をめぐる環境の悪化のなかで、仕事と子育ての両立支援、地域での安全・安心な毎日の生活を保障する施設であり、「全児童対策事業」(余裕教室を活用したすべての児童を対象とした遊び場作り)に解消できない。現行の学童保育事業を後退させることなく充実させること。
- 総合福祉センターは市の福祉活動において重要な役割を果たしているが、洋式トイレの不足など、施設整備の面では遅れが目立つ。引き続き、利用者の声も聴いて改善に取り組むこと。
- 近年、障害児は増加し、その障害も多様化、複合化している。わかば園では本来の肢体不自由児療育だけでなく、精神発達障害の療育も引き受け、市の障害児療育の中心的役割を果たしており、今後もますます重要である。
- 現在医師は1名、非常勤医師1名を配置しているが、なお不足している。専門医師の増員を行うこと。
- 施設は増築を繰り返し、つぎはぎだらけで、老朽化も激しく、また、大変手狭となっており、年次的な補修では対応できない。わかば園を含めた総合療育センターの整備は次期総合計画の課題としているが、計画を前倒しし、改築すること。
- 「第3次行財政改善実施計画」により原爆被爆者扶助費は廃止、特定疾病患者見舞金は減額されたが、元に戻すこと。