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2007年予算要望書
2006年11月30日

都市局


  1. まちづくりにおいてはハードもソフトもふくめ西宮市をどんなまちにするのかの明確なビジョンをもち、民間事業者をも強力に指導する市のリーダーシップが求められる。ところが、市では震災後マンション開発をしやすいよう規制を緩和し、人口が急増した。その結果学校や保育所、高齢者施設などが不足し、市民生活に大きな不安を与えている。また、大型店舗の増加も同様に生活環境に大きな影響を与えている。こうした事態に至った無計画さを十分反省し、文教住宅都市にふさわしいまちづくりをおこなうこと。

  2. 大規模マンション等の開発については、2005年4月施行の「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとり、また06年度には開発抑制指定地域の拡大をはかった。しかし市内ではこれ以上のマンション開発は必要ない。市全域を規制し、要綱を条例にすること。

  3. 安心・快適なまちづくりを進める上で建築物の用途や大きさ、高さなどのルールを定める「用途地域制度」は大変重要である。06年度の見直しでは一部規制の方向での見直しがされているが、生活環境を守る立場での見直しを随時行なうこと。

  4. 阪急西宮スタジアム跡地開発は、西宮市内に巨大ショッピングセンターは必要ないとする市民や議会の声がいかされないまま着工されようとしている。西宮市の中心地のまちづくりとして市はもっと主体性をもってかかわるべきであるが、開発者である阪急電鉄言いなりと言わざるをえない。住民の要望である緑地の増加を求め、広範囲にわたる交通処理に真剣に取り組むこと。また、球場前線の東伸は隣接住民の環境に大きな影響を与えるため、住民の意見をよく聞くこと。

  5. 阪急今津南線の高架化事業は、阪急スタジアム跡地開発の便宜を図るものといわれても仕方のない事業である。財政難をいい、高齢者や障害者の施策をきりすてる第3次「行革」を進めるなかで、他の踏み切りと比較してもこの踏み切りの高架化は緊急性に乏しい。本事業は中止すること。

  6. 開発指導について
    1. 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」(以下開発条例という)の運用では、圧倒的な専門知識と経験を持つ事業者に対し、市民はあまりに非力であることから、住民協議に際して市は親身に援助し、市民の立場に立った指導に徹すること。また、住民の住環境と権利を守る上で「住民協議」の義務付けだけでは不十分である。同意を求めるまでには至らなくても、それに近い協議ができるよう先進例も研究し、新たなしくみを検討すること。

    2. 近隣住民協議が終了したとする、標識記載写真報告(いわゆる朱書き)は状況に応じて部局長の意見も聞き判断するとしているが、住民の意見もとりいれられるよう改善すること。

    3. あっせんや調停の紛争調整にいたった例のなかには、協議中に合意に至ったものまでご破算にしてしまう事業者がいるが、これでは何のための協議・指導かが問われることになる。こうしたことのないよう指導すること。

    4. 開発条例では「開発区域に接する道路は6m(中心点より3m後退)に拡幅すること」と規定しているが、開発地に接続する道路で開発区域外の道路についてはまったく規制がなく、4m以上の道路であれば開発を認めている。これはまちづくりという観点からも矛盾している。その結果、工事用車両はもとより、消防車両(はしご車等)の通行も制限され、近隣住民に多大な被害がおよんでくる。 
      地域外の道路についても最低6mを確保するよう行政指導を強めるとともに、それができない場合は開発を認めないこと。

    5. 地球温暖化対策の一環として、建物の屋上や壁面の緑化を推進すること。また、雨水の活用では、マンション敷地や戸建て住宅敷地内に雨水貯留槽設置を促進するよう助成制度も創設し、指導すること。

    6. 10戸以上のマンションを建設(第1種中高層住居専用地域)する場合には、その敷地は1戸あたり50平米以上要すること。

    7. 建築基準法で容積率の対象外となっているマンションの居住室以外の廊下・階段室・駐車場などについても学校・事務所と同等の容積率内に収めるよう規定すること。

    8. 一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供、教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。

  7. 甲子園筋では、県が電線共同溝工事のためとして地域住民の意見を十分聞かずに街路樹を伐採し大問題となり、街路樹の保全を図る方向で工事の見直しがされることになった。市内道路沿道の街路樹は、どこでも一定の景観を形づくっている。都市景観の重要な要素として保全し、あわせて街路樹の管理についても関係局と連携して適切に行なうこと。

  8. 阪急西宮北口駅南地区土地区画整理事業内のサティ跡地の利用については、芸文街区の一角であり、整合性をもったものになるよう指導すること。

  9. 阪急西宮北口駅北東地区土地区画整理事業では、仮換地指定や道路整備などほぼ収束に向かっており、事業計画期間内(07年度)での完成をめざすとしている。精算金などを定める換地計画では住民の意見をよく聞き、徴収については権利者の要望を取り入れて進めること。

  10. JR西宮駅南再開発ビル(フレンテ)の管理会社・西宮都市管理株式会社に対し市は2000年度から毎年約10億円の貸付を無利子で行なってきたが、2006年度よりわずかの利子を取るようになった。貸付自体をただちにやめること。管理会社の経営については当の企業が責任を持つのが当然であり、支援が必要であれば出資企業にも応分の負担を求めること。また、管理会社所有の駐車場床を市がどんな名目を持ってしても購入しないこと。

  11. 西宮浜は橋でのみ市街地とつながっているという特殊な地域環境がある。若い世代の入居者も多く既存の幼稚園、保育所はすでに満員で、大橋や人道橋をわたって浜脇・用海地域まで通うなどしている。買い物施設など公共公益施設や商業施設も不足している。また、高齢者も多い。実態に見合った基盤整備を進めること。

  12. 都市再生機構の西宮名塩ニュータウン開発では、これまでに斜行エレベーターの市への移管や、住宅の建っていない場所に名塩北公園を設置(完成後は市に移管)するなど、無責任なまちづくりが目にあまる。さらに土地利用計画の変更でまちの将来像は予測がつかない事態である。市はこれ以上財政負担を負うことのないようにすること。

  13. 生産緑地は、緑地の保全や災害時の避難場所等の役割を果たしている。都市部での生産緑地保全を営農家だけにまかせるのではなく、市としても都市政策の立場から、必要な手だてをとること。また、要望があれば追加指定をすること。

  14. 交通バリアフリー法に沿った駅舎へのエレベーター設置については、阪急・阪神国道駅、JR甲子園口駅が実施されることとなった。エスカレーター設置についても働きかけること。JR西宮名塩駅の改札までの階段に下りエスカレーターを設置するようはたらきかけること。
    また、阪神甲子園駅へのエレベーター設置についても早急に実施できるようとりくむこと。

  15. 高齢化社会への対応、また地球環境への負荷軽減からバス交通の充実は重要課題である。地域交通の柱となるバス交通について、以下の項目にとりくむこと。
    1. 当局が市内に24ヶ所あるとした交通不便、空白地域についてそれぞれ実情にあった対策をとること。

    2. 阪神と阪急が経営統合したが、市内のバスはすべて両社に頼っており、今後予測されるバス路線の再編整理は市民の足に重大な影響を及ぼすおそれがある。市は不採算路線の切捨てなどは許さず、市民の足を守り充実させるよう求めること。

    3. 北部と南部を結ぶ南北バスやコミュニティ
      (地域巡回)バスを求める声と運動が大きく広がっている。南北バスについては新年度に試行運転する予定となっているが、いずれも早期本格実施をめざすこと。その際県や国の助成も求めること。

    4. バス交通問題の検討には市民の要望をよく聞き、意見や提案を取り入れられるよう検討委員会に市民代表を参加させること。

  16. 仮称JR夙川駅は駅前広場が必要との要望が聞き入れられないまま、07年春開業予定である。開業後、地域住民の意見をよく聞き必要な周辺環境対策を講じること。

  17. 住宅市街地総合整備事業の適用を受けて浜甲子園団地の建替え事業が行なわれている。安心して住み続けられるようさまざまな配慮を行うとともに、建替えによる余剰土地の活用については、景観や周辺環境に配慮するよう市としての指導を行うこと。

  18. 市営住宅について
    1. 市営住宅は都市整備公社が指定管理者として管理しているが、公営住宅法等によって市が直接管理することが望ましい業務、一体的におこなうことが効果的な業務(家賃・入居決定や家賃収納業務等)は、公社の業務から市の直接業務に移行している。公社が管理する業務は、市業務の補助と、清掃など再委託でおこなわれており、公社を介する必要性がない。 
      よって、1年後の見直しにおいては、個人情報保護や福祉の観点から、市の直営管理とすること。

    2. 住宅応募者が年々増加してきており、2002年6月に策定した「西宮市営住宅ストック総合活用計画」では、市民の要望にこたえられない。計画を前倒しにし、長田町用地での早期建設や、木造住宅用途廃止後の建替等早期に具体化すること。 
      また、武庫川団地など(都市再生機構の賃貸住宅)や民間住宅を借り上げて、市営住宅として市民に提供すること。

    3. 空き家募集を随時行ない、住宅困窮者の要望に応えること。その際以前行なっていた「落選回数の多い者の優先」を復活させること。また、特定目的(障害者、老人、母子家庭等)の募集戸数を増やすこと。

    4. 階段が苦痛な高齢者の住み替え希望が増えている。今は公募抽選で対応しているが、より合理的公平な方法を研究すること。また根本解決には、エレベーターの設置が必要である。未設置住宅には早急に設置すること。その際、入居者全員の合意形成を待つのではなく、バリアフリーの観点から市の主体性を発揮して積極的に進めること。

    5. 改良住宅ではエレベーターの電気代、散水用の水道代などは公費負担となっている。他の住宅も同様の扱いとすること。

    6. ふすま等の改修は、住宅によって改修期間の相違がある。期間の短いほうに早急に基準をそろえること。

    7. 災害公営住宅などに設置した駐車場が余っているが、積極的に有効活用をはかること。

    8. 不正入居者、住宅明渡し義務者に該当する高額所得者については、市が主体性を持って期限を切って明け渡しを迫るなど断固とした態度で対処すること。 公務員で該当する者については早期に退去させること。万一、市職員で該当者がいる場合は公表すること。

    9. 市営住宅、店舗、駐車場の使用料滞納対策については、所得状況などから生活保護等、他の制度につなげる努力を健康福祉局と連携して行なうとともに、収入申告をしておれば減免対象となり、支払える可能性のあるものも見受けられることから、市としても適正な指導を強化すること。また、徴収猶予の基準が一定見直されたが、さらに滞納解決がはかれるよう工夫、努力すること。

    10. 名義継承は配偶者に限るようにとの国の通知があるが、低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。慎重に対応すること。

  19. 特定優良賃貸住宅(西宮タイアップ住宅)は、空き家率が高くなり、都市整備公社の家賃負担が大幅に増え、税の投入もされている。入居促進のため新規入居者の家賃を一定引き下げるキャンペーンを06年10月から07年3月まで実施しているが、引き続き入居率を向上させる対策をとること。また公社が家賃補填している空き家については市営住宅として借り上げ、有効活用をはかること。

  20. 新築住宅は増加しているものの、青年や高齢者をはじめとする低所得者層での住宅困窮者も増加の一途である。民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。

  21. 都市局所管の住宅改造助成制度については、介護保険認定者を対象とした制度もあって非常にわかりにくい。バリアフリーのための住宅改造を行う市民が、よりわかりやすく利用しやすいように制度の改善を行うとともに、施工事業者の事務の簡素化も進めること。また県に対し制度の継続を求めること。

  22. 震災から10年を過ぎたが、住宅の耐震化が進んでいない。現在、耐震診断に補助制度はあるが、補強が必要なときに何の補助も無いことがその原因のひとつとなっている。個人住宅の耐震化を促進する意味から、市として「耐震推進住宅リフォーム制度」を創設し支援すること。

  23. 区分所有法に基づく分譲マンションが市内に多く建設されている。管理問題や、修繕の長期計画策定などの相談窓口を市として設け、居住者に対するサービスを行うこと。