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2006年3月 杉山たかのり議員の代表質問
2016年03月30日

小泉「構造改革」と市政について


 小泉「構造改革」としてすすめてきた、いわゆる「新自由主義」の経済路線とは、大企業の利潤追求を最優先にし、規制緩和万能、市場原理主義、弱肉強食をすすめるものです。
  「官から民へ」「小さな政府」の掛け声で進めてきた規制緩和万能論の害悪は日々、明らかになってきているのではないでしょうか。

  第1に、耐震強度偽装事件です。無法行為を行った当事者の責任、また政治家の関与について、徹底的な究明が求められます。しかし、この問題の根本には1999年の建築基準法改悪で、建築確認を「官から民へ」といって民間検査機関に「丸投げ」できるようにした規制緩和にあります。わが党は、国会で「民間任せでは検査の公正・中立性の確保は困難になる」「安かろう悪かろうという検査になる」と警告し、この法改悪に厳しく反対しました。この警告は現実のものとなりました。民間検査機関による検査が急増し「安さ」と「速さ」の競い合いがおこり、「安全」は置き去りにされました。

  第2に、ライブドア事件です。ライブドアが株価つりあげに使った手法は、株式交換、株式分割、投資事業組合という三つの手法を組み合わせて「錬金術」を行うというものでした。株式交換は1999年の商法改正で導入されたものです。株式分割も2001年施行の改正商法で自由勝手にできるようになったものです。自民党の安倍官房長官は「堀江さんの仕事の成功は、小泉改革の成果、規制緩和の成果だ」とのべていました。

  第3に、格差社会と貧困のひろがりという問題です。
  さきほど、西宮市での事例を示させていただきましたが、いずれも、低所得層の増大を示しています。そして、その責任は、これらの人々にあるのではありません。
この間、大企業・財界は正社員を減らし派遣・パートなど非正社員への置き換えを進め労働者の三人に一人、若者の二人に一人は不安定雇用のもとにおかれ、その八割は月収二十万円未満という極端な低賃金となっています。格差社会と貧困の広がりの根本に派遣労働の自由化など小泉政権の進めた規制緩和万能路線があるのです。

  その他、郵政民営化にともなう郵便局の再編で、塩瀬郵便局の集配業務を他に移すことが検討されており、当日の再配達ができない、書留や小包の受け取りをする集配局が遠くなるなど市民にとっては重大事です。

  西宮市は、現在「行政経営改革」なるものをすすめています。これは、行政を経営するとして、企業における経営理念、手法、成功事例など、可能な限り行政部門に導入し、効率化・活性化を図る。また、民間でできることは民間に任せる。まさに、小泉「構造改革」そのものといわなければなりません。

  私は、「構造改革」による害悪の実態をしっかりと認め、市民の安全とくらしをまもるという立場から、市政の方向を転換すべきだと考えます。

<質問>
  1. 今、国会でも、新聞などマスコミでも、格差社会ということが大きな問題になっていますが、市長の行政方針から、全くこのことをうかがい知ることはできません。私が示した、生活保護、就学奨励金、国民健康保険料、個人市民税の指標は全て、市当局からいただいた資料からのものですが、市長はこの実態を知っているのですか。市民のなか「格差と貧困」が広がり、市民のくらしが大変な状況におかれているということを、市長はどう認識していますか。

  2. 市長は、行政方針で、「JR福知山線の脱線事故」を安全の問題として、「耐震偽装問題」「ホテル不正改造問題」「証券取引法違反事件」いわゆるライブドア事件ですが、これらを民間企業が引き起こした事件だとして、まるで他人事のように言い放っています。しかし、これらは、「構造改革」による「規制緩和」や「官から民へ」の流れの中で生じた害悪であり、西宮版で言えば「行政経営改革」の危うさを示しているといわざるを得ません。市長は、これら一連の社会問題から、教訓を引き出しているのですか。そして、民間の経営理念を導入するという「行政経営改革」は改め、地方自治の本旨「住民の健康と福祉の増進を」第1にすべきではないですか。