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2006年3月 杉山たかのり議員の代表質問
2006年03月30日

学校教育について


(1)35人学級の拡充について


 兵庫県教育委員会は、現在実施している小学校1年生の35人学級を、新年度は2年生に拡大し、年次的に4年生まで拡大する方針をあきらかにしました。
  日本共産党は、学力の向上をはじめ、一人ひとりの子供に行き届いた教育をするうえで、少人数学級実施は重要であり、県議会本会議で80回以上にわたり取り上げてきましたし、市議会でも繰り返し、県や国に要望するよう求めてきました。昨年の代表質問でも、県に対して35人数学級の拡充を要望するよう求めましたが、市教育委員会はそれを受け、今年度は他学年への拡大、本定員として配置できるよう学級編成の基準の見直しの検討を要望しています。
質問  35人学級については小学4年生まで直ちに取り組むとともに、小・中・高の全ての学年で少人数学級を実施するよう県に要望すべきではないか。

(2)まちづくりと学校教室の不足について


 西宮市では、深刻な教室不足が進行しています。それは、西宮市が、震災後、マンション開発規制を撤廃したため、マンションが急増、そこにファミリー層が集中し、人口の急増とともに、子供が大幅に増える事態となったからです。
  すでに、浜脇、甲東、用海、鳴尾北の4小学校でプレハブ教室が使用されており、プレハブが建てられない大社小学校では、廊下を仕切って教室に使うという異常な事態となっています。さらに、新年度は高木小学校にプレハブ教室が使用されることとなります。
  お配りした資料の裏面に、小中学校の今後のクラス数の推計と教室の不足の状況を示しています。市教育委員会の推計では、4年生まで35人学級を実施した場合、小学校でのクラス数のピークは2009年度911クラスで、普通教室が不足する小学校は42校中35校、教室の転用をしても15校で教室不足になります。例えば、浜脇小学校は、現在24クラスでプレハブ教室を使っていますが、2010年には34クラス、5教室の転用をしても5教室が不足します。甲子園浜小学校は、現在12クラスですが、2010年には23クラス、3教室の転用で8教室も不足します。改めて、山田市長の無責任なまちづくりを思い知らされます。

質問
  1. 市長は、人口増を「これまでのまちづくりが評価された」と自画自賛しているが、学校の大変な教室不足を引き起こしており、あきらかにまちづくりに失敗したと思いませんか。すでに数年にわたって保育所の待機児童の問題や学校の教室不足が続いているにもかかわらず、「早急に解決すべき課題」などと全く他人事です。子供たちがプレハブ教室や仕切りをつけて廊下で勉強しなければならないということに痛みを感じませんか。

  2. 浜脇、甲子園浜、高木小学校については、具体的にどのような対策を検討しているのか。

  3. 、甲子園浜小学校は、もともと東甲子園小学校と統合し、さらに、南甲子園小学校の校区の一部を編入してきた経緯があり、小学校区を中心としたコミュニティを分断し、町まで分断するなど、場当たり的な対応をしてきた反省はないのか。

  4. これ以上の事態を招かないようにするには、その原因となっているマンション開発による規制緩和を規制強化にすべきだと思うがどうか。同時に、「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」は条例化するとともに、現在の受け入れ困難予測校を受け入れ困難校にするなど、実効性のあるものにすべきと考えるが、どうか市長、教育長の双方の答弁を求めます。

(3)高校入学者の選抜制度について


 教育委員会行政方針は高校入試選抜制度について「選抜制度の改善については、広く理解を求めるとともに、積極的に取り組んでまいります。」と述べています。
兵庫県教育委員会は、選抜制度について、現行の単独選抜は、長所は希望する学校へ志願できる、課題は受験競争の過熱化、いわゆる学校の序列化、総合選抜は、長所は過度の受験競争は起こらない、課題は志望校を自由に選ぶことの制限、として、2つの選抜制度の長所を取り入れた新しい選抜制度として複数志願選抜を、位置づけています。
  前議会では、高校入試選抜制度についての意見書案をめぐって、激論となりなりましたが、その中で、市民意識調査の結果をどう見るのかが、問われました。総合選抜制度の評価で?「よい制度なので現状のままでよい」12.5%、?「よい制度だが改善すべき点がある」36.2%、?「あまりよい制度だと思わない」27.1%の回答があり、「よい制度だ」と答えたものが半数近くに上っています。「よい制度だが改善すべき点がある」というのは、制度はよいが、その制度の枠の中で何点か改善すべき点があるということであって、制度そのものの変更を意味していないことはあきらかです。ところが、「よい制度だが改善すべき点がある」を勝手に、制度を変えることに組み込んで、複数志願選抜を早急に導入せよという暴論が生まれています。
  また、複数志願制度の早急な導入を主張する蒼志会三原幹事長は、複数志願選抜では、「学校を自由に選べる」と言いながら、質疑の中で「入れそうなところを」と説明しました。蒼志会プレス25では「学区内で学校間格差が生じる」と、単独選抜と同じ課題が生じることをあげています。私は、この分析はかなり正確だと思いますが、複数志願選抜では、選抜制度の改善につながらないのです。
  西宮市では50年以上にわたって公立高校の入試制度として総合選抜制度がとられてきました。日本の今日の教育の実態は受験中心の詰めこみ教育となり、さまざまな問題が続出しています。そのため2004年には国連子どもの権利委員会が日本政府へ「教育制度の過度に競争的な性格が、子どもに否定的な影響を及ぼしている」と1998年に次ぎ2度目の勧告を行なっています。このような状況の中で高校の総合選抜制度は過度に受験競争をあおらない制度として今日まで広く、永く西宮市に定着してきました。この制度では単独選抜制度や複数志願制度のような公立高校間の学力格差がほとんどなく、したがって学校が序列化されることもありません。入学した生徒をはじめ保護者も地域の住民もそれぞれの高校に誇りを持って今日まで来ています。

質問
  1. 国連子供の権利委員会の「教育制度の過度の競争的な性格が、子供に否定的な影響をおよぼしている」との勧告について、市教委の見解をもとめます。

  2. 先日、わが党議員団は市教委に総合選抜制度維持発展を求める申し入れをしましたが、真鍋教育長は「複数志願制度は、メリット・デメリットはわからない。研究中だ」という趣旨の発言をしました。選抜制度については、制度の研究や検討、当事者となる児童・生徒やPTA協議会、校長会をはじめ教職員への説明や意見を広く聴くなど、十分に時間をかけて慎重にやるべきものだと思いますが、どうか。

  3. 市民は総合選抜制度を「よい制度だ」と多数答えており、北部高校の設置や西宮今津高校普通科の存続を含めた総合選抜制度の維持発展をこそ、市教育委員会の方針とすべきではないか。