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2006年3月 たてがき初男議員の一般質問
2006年03月30日

利用料の大幅引上げとなる障害者自立支援法に負担軽減を


 この法律は障害者団体や幅広い国民の反対の世論で1度は廃案になったものが、先の国会で再度提出され、共産党、民主党、社民党の反対、自民党、公明党の賛成多数で可決しました。そして、半年も経たない来月4月1日から福祉サービスの利用料に対して原則1割負担が導入されます。また10月1日からは障害認定区分の施行と大変あわただしく、複雑なことになっています。しかも、この法律の一番大きな問題は障害者やその家族の生活実態を無視して、障害が重く制度を多く利用せざるをえない人ほど費用負担も重くなると言う「応益負担」が導入され、これまでの経済的能力に応じて負担する「応能負担」と根本的に変わっていることです。

  西宮市では各種障害者手帳所持者は1万6350人となっています。そのうち居宅介護やデイサービスなどの居宅生活支援を受けている人は1120人、授産施設や更生施設に入所、通所している人が718人、精神障害者居宅生活支援事業を利用している人は55人となっています。これら制度利用者のうち居宅生活支援利用者の所得階層は市民税非課税が72.7%、生活保護受給者とあわせて81.5%が負担額0円となっています。また、施設訓練等利用者は同様に63.7%が負担額0円となっています。これが4月1日から障害者自立支援法によって上限額が設定されたとはいえ原則1割の利用料を払わなければなりません。支援費制度の下では収入は6段階に分かれていましたが、自立支援法の下では4段階に圧縮され、今までと同じように負担額が0円は生活保護受給者のみで、低所得1?市民税非課税で本人収入が80万円以下の人は1万5000円、低所得2?市民税非課税で1より収入の多い人は2万4600円、それ以上の人は一般で3万7200円を負担しなければなりません。さらに施設入所者には食費、光熱水費、通所施設には食費がそれぞれ自己負担となります。大変な負担額です。

  先日、私のところに視力障害の方から電話がかかってきました。自分は按摩、針、灸で80万円を超える収入があるので、低所得2になり、夫婦ともまったく見えないのでヘルパーさんの費用の負担が大変になる。特に妻はガイドヘルパーさんに月30時間来てもらっている。専業主婦なので現在は負担がないが、4月からは世帯の収入で見られるので5100円の負担となる。市民福祉金も削られたうえに出費が増えるのはしんどい。しかも収入があるとはいえたかだか80万円を少し超える程度で、市民税は非課税だ。300万円の世帯と同じ負担になるが収入の区分があまりにも大雑把過ぎるというものでした。

 次に施設利用者でこの費用負担が具体的にどうなるのか調べてみました。津門大箇町に名神あけぼの園という通所授産施設があります。ここは定員100名で現在98名が通所しています。2005年1年間の平均授産工賃―施設で仕事をして得る賃金ですが、平均2万1744円となっています。これに対して利用料を負担している人は2人で、1人は月額1万6000円、もう1人は2900円です。ところが4月からは全員に利用料の負担が生じます。新たに発生する負担額はサービス利用料と食費で社会福祉法人減免を適用しても、所得によりますが最低でも1万2600円の負担となります。通園生の工賃を見ると1万円未満が12人、1万円から1万5000円未満が7人で1万2600円以下の人は16人います。この16人は働いて得る工賃より施設利用料の方が高いと言う逆転現象が生じ、旭川市や東大和市などでは通所を断念したり退所せざるを得ない人たちも出ています。

 以上のように、障害者自立支援法によって負担が重くなると言う問題点を少しでも緩和しようと、京都市では低所得1の世帯と障害基礎年金1級及び特別障害者手当てのみの世帯は月額負担上現額1万5000円を7500円に、またそれ以外の市民税非課税世帯は2万4600円を1万2300円に市民税課税世帯の一般のうち市民税所得割り4万円未満は3万7200円を1万8600円にそれぞれ2分の1に引き下げ案を発表しています。また横浜市では低所得1、2の在宅サービスは負担なし、東京都でも低所得1、2のホームヘルプサービスは3%負担のみとするとしています。
  自立支援法のもう一つの変更点は10月1日から実施される6段階の「障害程度区分」です。介護保険と同じように福祉サービスを利用したい場合は、この認定審査を受けなければなりません。この審査が障害を持つ人や家族にとって正確に実態が反映されるのか大いに心配のあるところです。

<質問>
  1. 応能負担から応益負担になったことにより必要とするサービスも受けられなくなるような事態は絶対避けなければならないが、西宮市として京都市で示されたような負担額の減免を行なうべきではないか。

  2. 「障害程度区分」の認定にあたっては本人や家族の事情や実態、必要度など正確に把握する必要があるが、積極的な聞き取り調査や専門性をもったスタッフの配置など、十分な調査、認定審査会の体制をととのえる必要があるが、この点、問題はないのか。

  3. 利用者の負担軽減策を国に要求すべきではないか。