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2006年12月 佐藤みち子議員の一般質問
2006年12月30日

高校教育改革について


 西宮市では、昭和28年(1953年)から公立高等学校(全日制普通科)の入学者選抜制度として総合選抜が導入されました。総選が始まった当時、公立高校は県西・鳴尾・市西の3つしかなく、公立中学校は8校でした。高校間の格差の拡大、それに伴う受験競争の激化、児童・生徒の苦悩等の解決をどのように図るかが日々論ぜられ、高等学校の新設、学級増などへの働きかけと併行して、中学校教育の正常な運営、小学校の私学偏重体質の改善等のためには、高校間格差をなくし、地元の高等学校を育て、小・中・高一貫の教育をめざす「総合選抜」の実施に踏み切るべきだとの機運が高まり、総合選抜制度が始まりました。県立・市立を問わず、地域の学校育成の見地から、保護者の理解と協力の中で、総合選抜制度が50年間維持されてきました。
 兵庫県教育委員会は、「生徒が自分の個性に応じて、学びたいことが学べる学校を自由に選ぶことが出来るように、高校の特色化をいっそう推し進める必要がある」として、総合学科高校や単位制の設置、複数志願制の導入などを柱とする「高校教育改革第1次実施計画」を、地域住民の理解を十分に得ないまま進めてきました。西宮市においては、西宮今津高校が、市民的な合意を得ないままに総合学科に改編させられ、来春から募集が始まります。さらに西宮市教育委員会は高校の選抜制度について、2006年5月に保護者や小・中・高等学校の教育関係者からなる「高校改革に伴う選抜制度改善検討会」を設置し、10月27日に「会のまとめ」を公表しました。しかし、この検討会がわずか7回の会合で、傍聴を認めない密室で審議し、50年間市民に支持されて定着している「総合選抜制」を廃止して、単独選抜からの導入でも問題が噴出している「複数志願制」を「望ましい」という結論を出しました。これを受けて、市教育委員会の考えをまとめるためとして、11月14日から24日までの間、市内7ヵ所で保護者や市民を対象にした説明会を順次開催し、12月議会で市教委のまとめを報告するとしています。
 私は、11月16日浜甲子園中学校での説明会に参加しました。市教委からの説明が約1時間あり、その後30分間が質問。周りでは「『複数志願選抜・特色選抜』の中身がさっぱりわからん」「総合選抜制度がなくなるんやろか」と説明中もざわざわ。質問では「15時半から17時まででは働く親が参加できない」「第1志望、第2志望はどう選ぶのか」「特色選抜はどの高校か」等の質問が出されましたが、5時前になると「これで終わります」と一方的に打ち切られました。「他の会場でも同様だった」と聞いています。終わった後も多くのお母さんが、市教委の人を取り囲んで質問をしていました。
日本共産党西宮市会議員団は、11月17日に教育長に、1、西宮の公立高校選抜制度については、総合選抜制度堅持の立場に立ち、県教育委員会のスケジュールに合わせるのではなく、充分時間をとって西宮市の保護者・市民に情報を公開し、意見を聞くこと。2、そのためには、現在行われている説明会だけでは、仕事を持つ保護者等はまったく参加すらできません。回数を大幅に増やし、夜間や休日の説明会の開催と意見聴取の場を設けること。この2点について申し入れをしました。これを受けて市教委は、12月3日(日)午前10時から市立西宮高等学校で説明会を追加するとしました。
検討会のまとめには、「新しい制度の導入にあたっては、広く市民に周知する必要がある」と書かれています。説明会に参加した大多数の保護者から、「複数志願選抜は1度聞いただけでは理解が出来ない」と不満の声が出されています。小・中学校の先生が保護者と一緒に参加していましたが、「ようわかりません」と困った顔でした。
  1. 11月14日より24日までの間、市内7ヵ所で小・中学校の保護者等を対象にした説明会が行われたが、保護者からまったく理解できないという声があがっている。いったい何のための説明か。

  2. 50年続いた総合選抜制度を変えるのであれば、市民や保護者等で時間をかけて充分に議論するべきではないか。