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2006年12月 佐藤みち子議員の一般質問
2006年12月30日

多重債務について


小泉「構造」改革によって庶民の暮らし、中小業者の営業と暮らしの破壊が進みました。大企業の利益を最優先にした国づくりをすすめる中で、雇用が破壊され、社会保障が連続して改悪されてきました。大企業が史上最高益を記録する一方、国民の所得は減少し、貯蓄ゼロ世帯が99年、05年の比較で2倍に増え、生活保護世帯も100万世帯を超えました。所得そのものが減少し、生活費にも事欠く状況もひろがっています。こうしたもとで、経済的理由による自殺者は年間8000人前後の高水準をつづけています。
私は、2004年10月より毎月1回、地元で生活相談会をしています。家賃の滞納、生活保護、DVの問題、保育所に入所したい等あらゆる相談があります。解決に向けて色々と相談していると必ず「実はサラ金にも借金が・・・」と話がでてきます。かつてはサラ金というとギャンブルや遊興費にあてるなど、遊ぶお金がほしくてお金を借りているというイメージがありましたが、生活相談に来られる人の中で、遊びのために借りている人は皆無です。1番多いのが「生活のために借りざるを得なかった」という理由です。
 相談事例ですが、83歳の女性が「公団住宅の家賃を滞納して払わなければ退去せよと言われているが、追い出されたら行くところがありません」と言うのです。なぜ家賃が払えなくなってしまったのか事情を聞くと、「50代の息子が失業し、離婚をして家に帰ってきている。私の年金だけで生活しているが足りないので、家賃を滞納してしまった」とのことです。さらに生活の事を聞くと、「ずっと以前にサラ金を借りて、今も返しているが、苦しくて中々返せない」とサラ金がからんでいることが分かりました。この人は、西宮民主商工会の多重債務相談会で、利息制限法で計算し直して過払いだとわかり、後日サラ金会社から100万円戻ってきました。 
 もう1件は、70歳男性。「自己破産と商売の廃業を同時にしたい」との相談でした。
この人は商工ローンに600万円の借金がありました。どこに相談にいけばいいのかわからず、市民相談課の法律相談に行ったそうです。そこで弁護士から約20分間「借りる方が悪い」と説教され、自分の話は何も聞いてくれなかったとのことでした。西宮市では、サラ金や多重債務の人たちが相談に行く窓口は、市民相談課の法律相談。又は、消費生活センターです。今年度、市民相談課では金銭問題での相談が484件。消費生活センターでは去年が260件、今年上半期では142件になっています。しかし、消費生活センターでは、弁護士や司法書士を紹介するだけで、相談に来られた方がその後どうなっているのかわからないとのことでした。 
西宮市の友好都市である鹿児島県・奄美市は、市民課の職員が10年程前から、「多重債務者の救済は行政の役割だ」と積極的にこの問題にとりくんでいます。奄美市の職員は、「長年多くの多重債務者とかかわる中で、バブル崩壊後の長期的な不況によるリストラや収入減と貸し渋りにより、貸してくれるのはサラ金・商工ローンしかないという社会になり、生きるため、子どもを育てるため、仕方なく高金利業者に足を運ばざるを得なかった。つまり多重債務者の大半は、社会状況・経済状況の悪化により発生した被害者なのです。」と言いきっています。また、多重債務救済で最も大事なのは、債務整理後の生活維持です。奄美市では、生活保護・国民健康保険課・収納対策課等と連携をとり、債務整理と並行して問題解決し生活再建を援助しています。
 多重債務に陥ると、高金利・過剰融資・過酷な取立てで、収入の大半を返済に充て、将来に希望を見出すことも出来なくなります。国民が安心して生活できる状況を確保することは、国・行政の役割ではないでしょうか。多重債務者の多くは借金生活から脱却したいと願っていますし、借りたものは返さなければならないと思っています。しかし家族にも相談しにくい、弁護士に相談するには敷居が高く費用の心配があります。

  1. 市が主体になってサラ金問題の相談会ができないか。

  2. 西宮市では、多重債務の相談を市民相談課の法律相談。消費生活センターが行っていますが、実態は弁護士や司法書士を紹介するだけにとどまっています。「弁護士などの紹介」にとどめず、奄美市同様に市の職員がかかわり解決する取り組みが出来ないか。