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たてがき初男議員の一般質問
2007年03月05日

指定管理者制度が持つ根本的矛盾について


公の施設を株式会社などが管理できるという指定管理者制度については本議会でも何人もの議員が、何回も取り上げています。
私も 2004年9月議会に西宮市公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例制定の件が提案されたときに議案質疑を行いました。そのとき問題にした点は
  1. 指定管理者導入の狙いとして、公の施設の管理を民間に開放して、あらたな儲け口をつくれという財界の要求に沿った施策であること。
  2. 利潤、効率最優先の営利企業が管理して住民の福祉を増進するという目的が達せられるのか。
  3. 利用者に対して公平性が確保できるのか。
  4. 指定管理者が変わるたびに雇用問題が発生するのではないか。
  5. 議会への報告や監査など公開性、透明性が確保されるのか等々でした。
民間の施設は利潤、効率が悪くなればさっさと閉鎖、撤退し、大きな社会問題となっています。一方、公の施設は恒久性、公平性、安定性が当然保たれなければなりません。
しかし、指定管理者制度になれば契約期間ごとに業者がかわり、施設の人も変わるということになります。施設利用者との信頼関係も築きにくいし、個人情報保護や、公正性、公平性にも疑問が残ります。そしてそこで働く人たちはもちろん正規雇用ではなく、パート、アルバイト、派遣、下請けということになります。
西宮市においても指定管理者制度導入後2年が経過しようというこの次期に浮かび上がってきた問題点を指摘しながら質問します。

自転車駐車場の指定管理者制度について


現在西宮市には自転車駐車場が64箇所あり、収容台数は2万1819台となっています。
自転車駐車場の管理は以前は西宮市都市整備公社に委託していました。2005年度から指定管理者制度を導入して2007年3月31日まで日駐管理株式会社という会社が指定管理者となっています。
来たる4月1日からはミディ総合管理株式会社が2010年3月31日までの3カ年間指定管理者となっています。西宮市自転車駐車場指定管理者選定委員会がミディ総合管理に決定した理由は「管理経費についてもっとも安価である」ことをあげています。

そこで、自転車駐車場の年度ごとの駐車場管理運営委託経費を予算ベースで見てみると、
2004年度は3億585万円
2005年度(指定管理者導入年度)は2億3173万円
2006年度2億278万円
2007年度は2億182万円となっています。

次に人員配置と人件費を見ると2004年度68人1億8700万円、2005年度67人1億7800万円、2006年度67人1億4008万円、2007年度70人1億4240万円となっています。
人件費はなんと76.1%にも下がってしまいました。

2005年度からは都市整備公社抜きで、直接日駐管理が仕事をするので中間マージンなしになるので、そこで働いている人たちの賃金が上がるだろうと思っていたら、実際は下がっていたことを2005年6月議会の議案質疑で取り上げました。

少し荒っぽい計算ですが、今紹介した年度ごとの駐車場人件費を管理人の人数で割って見ると(千円以下切り捨て)
公社に委託していた2004年度は一人当たり275万円
指定管理初年度2005年度265万円
2006年度日駐管理2年目209万円
来年度は203万円となっています。
このように競争に打ち勝つためには人件費を削るということになっていると思います。

<質問項目>
  1. 来年度指定管理者として指定しようとする業者はミディ総合管理株式会社の予定とのことだが、現在日駐で雇用されている人たちはどうなるのか。また、指定管理者による駐輪マナー指導はどうするのか。
  2. 指定管理者指定における選考条件の大きな要因に契約価格の低額化が上げられる。価格の切り下げは労働条件の切り下げによってなされている実態であるが、公共事業においてこのようなことを放置しておいてよいのか。
  3. このような矛盾を持った制度は根本的に改め、市の直営にするか、営利を直接目的としない団体等、例えば高齢者の就労対策団体等に地域を2分割ないし3分割して公募によらない指定管理者制度にするなどの改善をすべきではないか。2分割、3分割することによってサービスの低下、契約価格の独占化を防げると思うがどうか。

次に市営住宅の指定管理者制度です


 市営住宅は77住宅、戸数1万128戸、入居者は約1万8000人となっています。市営住宅の管理はそれまでの市の直営から2001年度から財団法人西宮市都市整備公社に業務委託し、指定管理者制度導入により2006年4月1日から2008年3月31日まで同公社が公募によらない指定管理者となっています。指定管理者制度の導入により業務内容の見直しも行なわれています。これは国土交通省通知等で指定管理者が行なえる業務が入居者の募集、修繕、清掃等の事実行為のみで、市が行なわなければならないものとして入居の決定や家賃の決定及び家賃収納、収入超過者に対する処置等となっています。従って、指定管理者の都市整備公社に負うべき業務量は決して多くないのが実態です。

ここで改めて言うほどのことではありませんが、市営住宅は1万8000人が生活をしている住居です。すなわち、24時間、なかには生涯を市営住宅で過ごす人もいるでしょう。しかも、密度の高い個人情報、プライバシーが密接にかかわる施設です。指定管理者が行なう修繕、清掃というような管理についても単に土地や建物管理だけではなく、隣人とのいさかいや近所付き合い、自治会、管理組合のあり方などさまざまな問題や相談事が持ち込まれている現実です。

このようなことは市であってこそ対応できるし、入居所の安心感や信頼感が育つものと思います。しかし、公募による指定管理者になれば、契約期間ごとに管理会社が変わることも起こりうるわけで、その都度、対応する人もかわるし対応の中身も変わる、このようなことでは、入居者の信頼や安心感は生まれてきません。

そこで質問します。市営住宅の指定管理者は2008年3月末で都市整備公社の期限が切れるが、市営住宅は高度な個人情報を扱っており、しかも主たる業務は市が行なっていることから市の直営に戻すべきではないか。