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2007年予算特別委員会 上田さち子議員の発言
2007年03月20日

2007年度予算についての反対討論


ただいま上程中の諸議案のうち、
議案第527号 2007年度西宮市一般会計予算
議案第528号 2007年度西宮市国民健康保険特別会計予算
議案第529号 2007年度西宮市食肉センター特別会計予算 
以上3件につきまして日本共産党西宮市会議員団は反対します。以下、討論を行ないます。

 財務省が昨年9月発表した2005年度統計によりますと、日本の全企業の売上高は1508兆円、経常利益は51兆7千億円。2006年度実績はさらにそれを上回りつつあるといわれています。いま日本経済は「戦後最長の景気拡大期」、企業はバブル期を超える過去最高の収益をあげていると言われていますが、庶民にはまったくその実感がありません。安倍内閣がはじめて編成した2007年度政府予算は、雇用の破壊をテコに、空前の利益をむさぼってきた財界・大企業に、減価償却制度「見直し」で、新たに7000億円の減税を献上、たった7人が株式売買で200億円もの減税を享受するような大資産家優遇の減税措置の継続、これら大企業や・大資産家への減税を合わせると、定率減税全廃など、庶民増税に匹敵する規模の1兆7000億円にのぼります。まさに逆立ち税制であるとともに、生活保護の母子加算の段階的廃止、雇用対策費の半減など、貧困問題をいっそう深刻にする予算だといわなければなりません。

 このような国の悪政が次々強行されている中で、西宮市の2007年度予算はどうなっているでしょうか。日本共産党市会議員団は、総額2912億円にのぼる、2007年度の西宮市予算案が、地方自治体の本旨である「福祉の増進」をはかり、市民生活を応援する予算かどうか、また、地方財政の基本である「総計予算主義」が発揮されているかどうかなど、行政のチェック機関としての議会の役割を充分に発揮する立場から、予算審査に望みました。とくに永年にわたる自民党や公明党の政治による構造改革が、どのように市民のくらしを圧迫しているか、開発規制の緩和策による人口急増問題の対策はどうか、子育て支援策の観点は、ムダな税金の使い方はないかなどを各分科会で重点的に質疑してきました。

 新年度は、4年生以上の障害児の学童受入や、公立保育所全園で産休明け保育や延長保育が実施されること、乳幼児医療費助成が小学校3年生まで拡充、保育所や老人介護施設の新設、JR甲子園口横断地下道改良工事に調査費がつくなど、毎年わが党が予算要望している項目も盛り込まれたことは評価するものです。しかし、予算全体としては、財政危機を口実にした第3次行財政改善実施計画続行で、市民サービスを切り捨てる「行革」予算であり、到底認めることはできません。

以下、主な問題点及び反対箇所について述べたいと思います。
第1は、弱者を狙い撃ちにした「行革」続行予算だということです。
具体的には、2007年度は保育所保育料や幼稚園保育料、学童育成料、高校授業料など子育て世代を直撃する値上げ攻勢をかけていること。さらに弱小事業者の負担を大きくする廃棄物処理手数料の値上げ、市民福祉金や原爆被爆者扶助費の全廃、特定疾病患者見舞金の減額などなど、本来自治体として一番手厚い保護をしなければならない方々の予算を、バッサリ切り捨てており、弱者に情け容赦のない冷たい予算となっています。さらに、兵庫県下で一番高く、宝塚市より年額10万円も高い西宮市の国民健康保険料には、市民負担を軽減するために、他市では実施している一般会計からの繰り入れを、依然として一円も投入しないという態度は改めるべきです。

 第2は財政問題です。今年2月に策定された西宮市の財政を考える「V―4」は、2008年度末で、38億円の基金積み立て確保を明らかにしました。今から3年前の2004年2月に発表した「財政計画」では、2008年度末には321億円の財源不足になり、西宮市が赤字再建団体に転落すると公表しましたが、中間点である今年2月には赤字解消宣言。一体この間に何があったというのでしょうか。「V?1」と「V?4」を比較すると、地方特例交付金や減税補填債の減、臨時財政対策債の減があるものの、市税で166億円の増、その他収入で甲子園浜浄化センター貸付元金収入確保で60億円の収入がそれらを大きく上回り、歳入全体で184億円もの、当初「財政計画」との差が出ていること。一方歳出では、人件費や扶助費の減、公債費を予定より48億円多く返すなど、義務的経費では67億円、投資的経費を加えると、144億円も予定した歳出より下回っています。「V?1」と「V?4」を比較すると、差し引きでは328億円の差が生じており、翌年度繰越財源を控除しても、321億円の赤字は解消したうえに、38億円もの基金積み立てとなったのです。つまり、日本共産党議員団が繰り返し主張してきたとおり、入りを小さく見込み、いずるを大きく見積もって意図的に財源が大きく不足することを強調した「財政計画」であったこと、さらに、毎年の決算剰余金を、まったく加味しなかったことなどによる狂いが明らかになりました。

 「財政計画」はその後の西宮市政のあり方を左右するものです。現に、321億円もの大赤字を打ち出した直後に、第3次「行革」を強行したことに現れています。逆に考えると「行革」を強行するためにつくられた赤字「財政計画」だったといわなければなりません。
 代表質問で、赤字が解消したのであれば、赤字理由の「行革」は直ちに中止、削った福祉の予算を元に戻すことを求めましたが、今度は、将来のために「財政を健全化」しなくてはいけないから、引き続き市民サービスを切り捨てる「行革」を続行すると答弁しました。とんでもないことです。地方財政の基本は、その年に収入したものは、その年の内に市民に還元するという「総計予算主義」です。これに反するものだといわなければなりません。「健全財政」を否定するものではありませんが、将来のためにといいながら、今助けを求めている市民の手を振り払い、くらしを脅かしながら、基金積み立てに突き進むことは許されません。

 第3は、ムダな開発、不要不急の事業はやめることを求めるものです。
 財政が大きく好転してきたことを裏付けるかのように、新年度は、まったく事業計画もないのにJR西宮駅北東の用地を4億2000万円も出して購入しています。さらに、阪急西宮スタディアム跡地の超大型ショッピングセンターの開発に合わせ、阪急今津南線を高架する事業費が計上されていることは認められません。また、建設分科会の審査の中で、六湛寺南公園の活用についての質問に、河野助役は、「南館や江上庁舎、市職会館等の課題もあり、第4次総の中で第2庁舎について方向性を考える時期」と述べたことは重大です。金がないといって「行革」を強行し、市民や職員を泣かせてきたことは棚に上げ、財政好転をいいことに、これまでのブレーキをアクセルに切りかえ、一気に開発を推し進めることは許されません。また阪急甲陽線の地下化事業も、計画を撤回することを求めるものです。
 
 第4に人口急増問題に真正面から向き合う問題です。
 西宮市は震災後、人口を呼び戻すとしてマンション開発の規制を取り払いました。その結果、若い世代を中心に西宮市の人口が急増しています。年代別に見ると30代が一番多く、全体の22、4%にもなっています。まさに子育て真っ最中の世代が急増しているのです。「子育てするなら西宮」は単なるスローガンではありません。いまこそ質の高い子育てを応援するために思い切った予算措置が求められています。保育所の増設は待ったなし、学校の教室不足にも的確に答えなければなりません。学校教育費はやっと下げ止まりとなりましたが、積極的に新年度の早い時期に増額補正をするべきです。人口問題ではやはり基本的には、これ以上のマンション開発はもっと強力に規制策を講じるべきです。学校の教室不足だけを何とかすればいいとでも言わんばかりに、要綱がつくられましたが、西宮の住環境保全の見地からも、要綱を見直し、一定期間の時限条例で開発を規制することを求めます。

 次に特別会計について述べたいと思います。
 2007年度西宮市食肉センター特別会計予算については、市民になんら寄与しない事業に、新年度も3億6285万円が一般会計から繰り入れられています。これに反対します。2007年度中に検討委員会の提言を受けて結論を出すことになっていますが、完全民営化もふくめ、市が、中途半端なかかわりを引きずることのない結論を出すことを求めておきます。
 また、2007年度西宮市国民健康保険特別会計には、介護納付金の賦課限度額の引き上げで市民負担を大きくすることから反対をします。

 以上、日本共産党市会議員団が各予算に対する反対の理由と意見です。

 いま国会では、政治家と金の問題が大きく取り上げられています。とくに家賃も光熱水費もかからない議員会館を主たる事務所にしながら、多額の事務所費を計上している問題など、国民の前に事実を公表することが求められています。この点では、朝日新聞が報道した西宮の市議会議員のタクシーチケット問題でも、祇園や北新地からの帰路、あるいはゴルフ場の行き帰り等々、およそ議員活動とは思えない使い方であるとの指摘がありました。税金を使って、公人である市会議員が、議員活動のためにタクシーを利用したというのであれば、当該議員は堂々と事実を市民の前に明らかにすることは当然の責任でしょう。また、実施機関の責任者である議長は、直ちに全面的に情報公開するべきであります。

 西宮市は、いわゆる財政危機を乗り越えたということから、先ほど述べたとおり開発に乗り出す構えを見せています。しかし、財政の好転で真っ先にしなければならないのは、市民のくらしや子育て世代の応援です。その優先順位を間違えることなく、地方自治体の本来の任務である、西宮市政に「福祉の心」をとり戻すことを強く求め、また、市民の命とくらしを守るために、私たち日本共産党市会議員団も、いっそう奮闘することを最後に申し上げて、2007年度予算に対する反対討論といたします。