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まつお正秀議員の一般質問
2007年06月29日

国民健康保険料の引き下げについて


昨年NHKで放映された『もう医者にかかれない 行き詰まる国民健康保険』という特集番組では、全国で高すぎる国民健康保険料を滞納して医者にかかれない実態とともに、退職者や年金者・失業者・自営業・農業の人たちなど、もともと比較的に所得の低い人たちを対象にした国民健康保険制度は、当初は農業・自営業者が7割を占めていましたが、現在では非正規雇用や失業者・年金者などが7割を超える割合となって、労働環境の変化によって、さらに低所得者の弱者が弱者を支える構図となり、制度として大きな矛盾をきたしていることが報道されていました。

2005年度国民健康保険事業年次報告書では、1984年から2004年度までの間に、国保への国庫補助が49.8%から34.5%となり、1兆6000億円も減らされています。このことで地方自治体の負担が増え、全国平均で住民一人当たりの国民健康保険料は3万9020円から7万8959円へと大幅に上がっていることが明らかになっています。日本共産党は7月の参議院選挙政策で、大企業優遇をやめ、当面4000億円の国庫補助を元に戻し一人当たり1万円の保険料引き下げを求めています。

そして、1997年に国会では国民健康保険料滞納者から保険証を取り上げることが出来る法案を、自民党・公明党・民主党・社民党の賛成で可決し、2000年度からこれが実施されています。さらに2005年2月に厚生労働省保健局国民健康保険課長名で、もっと厳しく滞納者には資格証を発行するような通達がだされたことから、現在35万人を超える人が保険証をとりあげられて、窓口10割負担の資格証の発行をされています。また、滞納者は480万人にものぼることが明らかになっています。窓口での10割負担は医者にかかるのをためらい、我慢して死亡するという事例が各地であいついでいます。全国1700の病院や診療所が加盟する全日本民主医療機関連合会の調査で、直近の二年間の分かっているだけでも医者にかからず(かかれず)29人が亡くなっています。資格証の人や短期証の人たちが病院に行くことをためらっていることは、資格証の発行が最も多い神奈川県ではレセプト(つまり受診率)が33分の1に、二番目に高い先ほど紹介したNHKで報道された福岡市がある福岡県では113分の1になっていることからも明らかです。

ところが政府は、国庫補助を元に戻すどころか、社会保険庁改革法案で、国民年金保険料滞納者から国民健康保険証を取り上げて短期証を発行するも仕組みを盛り込み、まったく別の制度をリンクさせて各種保険料の取立てを強めることまで計画しています。昨日国会の委員会で強行採決されたことにこの場を借りまして抗議の表明をしておきます。

そのような中で、昨年の老年者控除の廃止や公的年金控除の減額、定率減税の縮小などによって収入は増えないのに大幅な増税となり、連動して介護保険料や国民健康保険料引き上げにつながり、保険料を払えない人が拍車をかけて増える事態となっています。国民健康保険料だけで前年の4倍になったという人もいました。さらに今年も定率減税全廃の影響による住民税増税で、昨年より収入が減ることになった人たちが、新たな保険料滞納になる可能性をも秘めています。
この深刻な実態は全国的にも国保料引き下げを求める運動として、各地に市民運動の会などが作られて広がり、大阪の茨木市のように保険料引き下げをした自治体も生まれています。

こうした中で西宮でも、いまのままでは命も守れないとの思いの人たちで、昨年7月に『国民健康保険料を引き下げる西宮市民の会』が立ちあげられ、署名活動や宣伝活動などの運動が広がっています。また、今年の2月7日には市民の会の人たちも含めて保険料引き下げの申し入れを行ない、市当局との話し合いももたれました。その中では200万円のうち40万円が国保料で『憲法で保障された健康で文化的生活の、文化的は要らないから健康だけは守って欲しい』との切実な訴えも出されました。今年も定率減税の全廃による住民税通知の送付に合わせて、日本共産党市会議員団は市民の方とともに、今月11日から15日までの昼休みを利用して、増税中止と国民健康保険料引き下げの宣伝署名活動を行いました。この運動にのべ130人の方が参加され、住民税増税中止署名361筆、国民健康保険料引き下げ署名448筆が集まりました。さらに、22日には 国民健康保険料引き下げる西宮市民の会 として抗議の市民集会を行い、雨の中ではありましたが約130名の方の参加で市役所前からのデモ行進も行われました。

こうした国保における深刻な状況は、社会保障にかかわる憲法25条における国の責任が求められながらその責任を果たさないどころか切り捨てを行う中で、地方自治体、特に西宮市がどのような役割りを果たして市民の暮らしを守るのかが大きく問われています。市長はこの間の挨拶で『財政面での明るい兆しが見えてきた』と発言されています。そうであるなら、特に命につながる国民健康保険料の負担軽減は、地方自治体が何にもまして優先して取り組むべき課題だと思います。

おりしも、5月28日の神戸新聞では西宮の国民健康保険料が兵庫県一高く、佐用町の二倍になっているという報道がされました。このことは、この間わが党が保険料引き下げを求めてきたことの正当性を改めて浮き彫りにしました。神戸新聞の数値では退職被保険者分と介護分を含んだ平均額となっていますが、お手元の資料ではその二つを除いた純粋な国保料の平均値を出しています。この資料から見えてくることは、西宮で8割給付が7割給付になったときに、市民への負担増に配慮して一般会計からの繰り入平成11年度から5億円行われました。平成11年度から12年度にかけて収納率が上がり4年間で順次無くされていくにつれて収納率が下がっていることが一目で分かると思います。現在では85パーセントを切っています。

西宮では所得が300万円5人家族で比較をした場合に、近隣の宝塚や伊丹・芦屋と比較をしても、10万円から11万円も高い保険料となっています。一年間以内に限定されてしか使えない3ヶ月や6ヶ月の短期証の人や分納者は西宮でも年々増えています。保険料の値上がりによって保険料の収納率も年々悪化していることもいま述べたとおりです。こうした状況化の中で、伊丹市では未収納者分の保険料を含めて賦課総額を算定することに、国保審議会で支払えないあるいは支払わない人の分まで含んで按分され市民に負担させることの疑問が出され、保険料未収納額の半額を市が繰り入れをする対策がとられ、約90パーセントの収納率が続いています。

【質問項目】
  1. 兵庫県一高い国民健康保健料という報道に対して市長の受け止め・見解を求めます。 

  2. 西宮の保険料を引き下げるためには、一般会計からの繰り入れを行うしかないと思います、いかがでしょうか。当局の答弁を求めます

  3. 保険料引き下げが収納率向上につながるのはお手元の資料からも明らかです。伊丹市では未収納分を一般会計から半額繰り入れることで収納率が上がっています。西宮でも未収納率の半額を繰り入れが出来る仕組みを作る考えはありませんか。