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2007年09月04日
健康福祉局
- 介護保険について
2006年4月施行の「改正」介護保険は、介護予防重視と持続可能な制度への転換を進めるとしながら、実際は保険給付費削減と、被保険者の負担増によって制度存続を図ろうとするものであった。
給付の減は、施設利用者の食費、居住費の保険適用除外、軽度要介護者の給付制限という形ですすめられ、必要な介護が十分に受けられない事態が広がっている。また保険料は、08年の第3期改定で36.1%値上げされ、さらに自民・公明の税制「改革」により、収入は増えないにもかかわらず、保険料段階があがるという二重の負担増であった。
今回の「改正」は、介護保険制度を「保険料だけとりたてて、介護は受けさせない」制度へと、重大な変質をもたらした。また、事業者も介護報酬の引き下げ等によって、労働者の賃金を抑えなければ事業が存続できないところまで追い込まれている。今回明らかになったコムスン問題は、もちろん「もうけ第一」の企業体質が指摘・弾劾されねばならないが、介護現場への市場原理の導入は質の向上につながらず、事業者にとっても介護保険制度が問題の多いことを示している。
このような中、保険者である市が、国いいなりに高齢者から公的な介護を取り上げてしまうのか、出来る限りの努力をするのかが問われている。
必要な介護が受けられるよう以下の項目を実施すること。
- 介護保険料が高額になっている最大の原因は、介護保険の創設時に、国の負担を2分の1から4分の1に引き下げたことにある。国庫負担を30%に引き上げるようもとめること。当面、25%のうち調整分の5%は全額交付するよう引き続き国に求めること。
- 国の税制改悪の中で、収入が増えていないにもかかわらず保険料段階があがっている高齢者には市独自の保険料減免を行なっているが、対象はわずかである。
さらに拡充すること。また国の制度として保険料、利用料減免制度の創設を国に求めること。
- 施設利用料の大幅な値上がりで、特別養護老人ホームへの入所を断念する人や、通所介護、リハビリの負担増も深刻になっている。また要支援1・2の要支援者にはホームヘルパーなどの利用時間や回数が大幅に減らされ、要介護1以下の軽度の高齢者は、車椅子や介護ベッドなど福祉用具貸与への保険給付が原則なくなった。市はこれら高齢者の実態をつかみ、必要なサービスを今までどおり利用できるようにし、市独自に上乗せすること。
- 特別養護老人ホームの待機者は1,566人(2007年3月末現在)となっている。さらに療養病床削減の国方針により、施設不足がいっそう深刻化する事態が起きてくる。計画を大幅に見直し特別養護老人ホームや地域密着型施設等の増設をすすめること。
- 「地域包括支援センター」は、介護・医療・福祉の連携で地域の高齢者の生活を総合的に支える拠点として発展しなければならないが、マンパワーが不足しており、全高齢者を掌握、支援できていないのが現状である。市独自で一般財源を投入し、全高齢者に責任を負える体制をつくること。
- この間連続して介護報酬が引き下げられたため、多くの介護施設などが経営の危機に直面している。介護労働者の労働条件はますます過酷になり、介護サービスの質にも影響しかねない。市として実態をつかみ国に対して改善を要望すること。
- コムスンの不正申請等の問題は介護制度全般に国民の不信をつのらせている。介護事業者に対する指導・監督を、いっそう強化すること。
- 介護認定にまでは至らないが、生活に不安がある特定高齢者に対する介護予防事業(地域支援事業)は、対象者のふるいわけが厳しく、また利用者も極端に少ない。対象を拡大し、介護予防を進めるという本来の趣旨にのっとった事業を展開すること。また、一般高齢者を対象にした介護予防事業についても積極的にすすめること。
- 市立軽費老人ホーム「雅楽荘」は施設の老朽化、狭い居室や相部屋など居住環境の劣悪さが問題となっている。またショートステイの利用はほとんどないと聞いている。
建替えをふくめ、これらの改善に取り組むこと。
- 敬老会については市からのおみやげが廃止されるとともに、これまでの委託事業から「高齢者いきいき活動推進事業補助金」に組みかえられたことにより、すべての高齢者対象から一部の高齢者対象に、その内容が大きく変わってしまった。おみやげを復活させすべての高齢者を対象にした事業に戻すこと。
- 敬老祝い金制度を復活させること。
- 高齢者交通助成金制度は、5000円の現金支給に戻すこと。
- 福祉タクシー制度は障害のある人や高齢者の外出支援として有効な施策である。助成金の増額や行き先の拡大など、制度の改善をはかること。
- 障害のある人もない人も、ともに安心して暮らせるまちをつくるための、実効ある「障害者権利条例」を策定すること。そのためにも障害者団体等とともに、とりくみをすすめること。
- 原則1割の応益負担によって大幅な利用者負担増が押し付けられている障害者自立支援法だが、障害者団体の調査で施設からの退所や、サービス利用の手控え、また報酬の激減による施設経営の危機的状況などが明らかになっている。
障害のある人が安心して生活をするために以下の項目を実施すること。
- 国に対して、障害者自立支援法の「応益負担」をやめ「応能負担」に戻すよう抜本的な見直しを求めること。
- 障害者自立支援法による影響について、市独自で障害のある人や家族、事業者の実態を調査すること。
- 負担増に反対する障害者の世論と運動に押され、09年3月までの経過措置として、一定の利用料減免措置がとられることになったが、まだ不十分である。さらなる減免を市独自で行うこと。
- 通所・入所施設の報酬が月額制から日額制になって事業者収入は1割から2割の減収となり、職員の労働条件悪化だけでなく経営の継続さえ困難な状況を招いている。報酬単価をあげ日額制を見直すよう国に要望すること。市として事業者への補助をおこなうこと。
- 生活保護について
生活保護世帯が増えている。政府は「老齢加算」に続いて「母子加算」の廃止にふみだしている。さらに「生活保護基準より低い年金」の存在を楯に、いっそうの保護基準の引き下げをねらい、支給額の減額、住宅扶助費の見直し、医療費の1割負担導入などが言われている。最低生活保障制度である生活保護を充実させるために、以下の項目を実施すること。
- 生活保護法では生活に困っている人は誰でも生活保護を申請でき、条件にあっていれば、平等に受けることができることを明記している。しかし市では「門前払い」というような対応も見受けられる。この規定や憲法25条の具体化として、申請書を窓口に常備し、より適正な事務を行うこと。また、政府の補助額の削減や給付削減攻撃を許さず、老齢加算や母子加算の復活、生活扶助費、住宅扶助費など保護基準(最低生活費)の引き上げを国に求めること。
- 「第3次行財政改善実施計画」により、夏季冬季見舞金、上下水道基本料金減免などが廃止になった。元に戻すこと。
- ホームレスに対する保護適用では、NPO法人が運営する低額宿泊施設入所によることが多いが、その活用をはかること。またテント生活者にはそこを居住地として認定し、保護の適用も実施すること。
- 保護相談や申請、適用が急増している。昨年は面接相談員を1名増員しているが、相談者の立場にたった親身な相談を行うこと。また、ケースワーカーについても増員し、きめ細かな援助をすること。これらの職員は社会福祉士とすること。
- 援護資金の貸付は、生活実態と見合うよう、貸付限度額の増額とともに、保証人、民生委員の証明は求めないこと。また、県社協の生活福祉貸付金の貸付について、条件緩和、手続きの簡素化、貸付までの期間短縮を求めること。
- 一人親家庭支援について
- 国は、母子家庭に支給されている児童扶養手当を、08年4月から最大半減するとしている。これは所得の低い母子家庭の「命綱」を削るものである。国に中止を求めること。
- 専門技術取得を支援する母子家庭自立支援給付金事業があるが、その利用は少ない。周知を図り利用を促進すること。
- 母子生活支援施設は、老朽化している。早急に建てかえること。また、母子生活支援施設からの自立を促進するため、市営住宅への優先入居など、何らかの支援策を講じること。
- 父子家庭への支援策は母子のそれと比較しても圧倒的に少ない。実態を調査し、必要な対策を講じること。
- 市では子育て世帯が急増しており、それに伴って子育てに悩んでいる親や、また児童虐待など、問題を抱えている子どもも増えてきている。市は「子育てするなら西宮」を標榜しているが、それにふさわしい施策や施設整備が求められている。
子どもの権利を守り、行政や市民全体で子育てをすすめるための「子ども条例」制定を検討すること。
- 子どもを守る第一線の機関である児童相談所で、適切に即応できるよう子どもセンター(児童相談所)の増設や専門職員の増員を、国、県に求めること。また、08年4月には中核市に移行する予定なので市立児童相談所を設置すること。
- 地域での子育て支援を進めるため展開されている子育て総合センターの各種事業が好評である。全市に1ヶ所では不足しているので増やすこと。
また、同センターは就学前児童が対象と言うことで、就学児童は利用を断られていると聞く。夏休みなど特別の時期には、兄弟での利用も認めるなど、柔軟に対応すること。
- 保育所について
公立保育所民営化、規制緩和による企業保育所の参入など、自公「改革」路線により保育に対する公的責任が後退させられている。公立保育所は「保育に欠ける子ども」だけでなく、虐待など子育てをめぐる問題も深刻になってきているなか、在家庭の子どもたちの支援など、その役割はますます重要になっている。
- 2009年度から10年度にかけて、鳴尾北、今津文教、朝日愛児館の各公立保育所の民営化計画が発表された。保育に対する公的責任を後退させる民営化は中止すること。
- 保育所待機児童問題はなお解決していない。また、定員の弾力運用で、子どもたちの保育環境は悪化している。希望するすべての子どもたちが入所できるように保育所の増設を行い、減員している公立保育所の定員を元に戻すとともに、老朽施設、狭隘施設については計画的に改善を進めること。
- 認可保育所を希望しても入所することができず、やむなく無認可保育所を利用せざるを得ない事態がある。各地でずさんな経営による犠牲者が出ているが、指導監督権のある県とともに市も実態をつかみ、適切な指導を行なうこと。
- あらたな保育所設置にあたっては、株式会社の参入は認めないこと。
- 負担能力を超える高い保育料で、滞納も増えている。保育料の引き下げと減免制度の拡充を進めること。
- 障害児保育や一時保育をすべての保育所で実施すること。
- 民間保育所の補助金が削減され、経営を圧迫している。補助金を増やすこと。特に、パート保育士に対する時給については公立保育士と同額とするよう市が補助すること。
- 公立保育所の1歳児の配置基準は今までどおり5対1を守ること。また、私立保育所の1歳児も5対1に改善すること。
- 虐待や生活荒廃の影響を受けている子どもへの対応は特別の配慮が必要とされる。専門知識を持った職員を配置するとともに、保育士への研修を強めること。
- 自園調理の実施やアレルギー除去食への対応等で給食調理員の過重負担がある。給食内容をいっそう充実させるために調理員の増員をはかること。
- 西宮浜には現在、私立保育所が1ヶ所あるのみで、ここに入所できなかった子どもは、橋を渡って他の地域の保育所に通っている。これは子どもにとっても親にとっても大変な負担であり、西宮浜に早急に保育所を新設すること。
- 「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」にもとずいて県で条例化され、07年10月から「認定子ども園」が本格実施されている。
認定子ども園では、直接契約制度、保育料の自由設定方式が導入されており、これは国と自治体が責任を負う公的保育制度の「解体」に道を開くものである。また、幼稚園・保育所双方の認可基準の切り下げや、認可外施設の公認化をすすめるとして懸念が広がっている。市内ではつくらせないこと。
- 家庭保育所について
- 家庭保育所は、産休明け保育の大部分を担い、市の保育行政の中で重要な役割を果たしている。市は運営助成費や保育補助費の年間通じての満額支給や、水光熱費などの全額支給を行い、家庭保育所の運営改善に責任をはたすこと。
- 保育所待機児童解消のために、たけのこ家庭保育所など条件のある保育所で定員増を行うこと。
- 保護者負担になっている給食や延長保育に助成を行うこと。
- 家庭保育所の卒園児を希望の認可保育所に入所させること。
- 保育ルームでは、1名の補助員をつけることになっている。実行するよう指導すること。
- 学童保育所(留守家庭児童育成センター)について
- 学童保育所は、ただ単に子どもを預かる場所ではなく、異年齢集団の中で遊びと生活を通して子どもの成長発達を保障する場であり、放課後の子どもの居場所である。また、指導員には子どもの安全を守り、適切な指導で発達を保障する重要な役割がある。
市は、これまで長きにわたって委託してきた社会福祉協議会を、非公募で指定管理者としてきたが、2008年度から4ヶ所の育成センターについて指定管理者を公募するとして、関係者の理解・納得を得ることなく、07年8月公募を強行した。今後数年ごとの公募による委託先の変更は、保育の継続性を損なう。また全市41センターの保育の質についても同一性、公平性が保てない。指定管理者の公募はやめ、これまでどおり非公募で社会福祉協議会を委託先とすること。
- 開校日の閉所時間、また春・夏・冬休みおよび休校日の開所時間については、関係者の意見もよく聞いた上で延長すること。その際、料金加算は行わないこと。
- 待機児童がでているセンターは、希望する子どもをすべて受け入れられるよう、早急に予算化を行ない対処すること。
- 定員の弾力運用で、子どもたちは施設の中ですし詰め状態である。特に、雨の日は居場所さえない。早急に改善すること。
- スロープや身障者トイレなど施設のバリアフリー化を急ぐこと。
- 高学年学童を自主運営している父母団体に補助制度をつくること。
- 西宮市立養護学校に学童保育所を設置すること。
- 近く具体化されようとしている「全児童対策事業」については(余裕教室を活用したすべての児童を対象とした遊び場づくり)が2010年度実施予定となっているが、現行の学童保育(育成センター)事業とはまったく役割や内容が異なっている。現行の学童保育(育成センター)事業を後退させないこと。
- 総合福祉センターは市の福祉活動において重要な役割を果たしているが、洋式トイレや駐車場の不足など、施設整備の面では遅れが目立つ。引き続き、利用者の声をきいて改善にとりくむこと。
- 障害児は増加し、その障害も多様化、複合化している。わかば園では本来の肢体不自由児療育だけでなく、精神発達障害の療育も引き受け、市の障害児療育の中心的役割を果たしており、今後もますます重要である。
- 現在医師は1名、非常勤医師1名を配置しているが、なお不足している。専門医師の増員を行うこと。
- 施設は増築を繰り返し、老朽化も激しく、また、大変狭隘である。わかば園を含めた総合療育センターの整備は2009年度からの第4次総合計画の課題としているが、関係者の意見を十分尊重し、早期に計画をたて、実現すること。
- 「第3次行財政改善実施計画」により原爆被爆者扶助費は廃止、特定疾病患者見舞金は減額されたが、元に戻すこと。
- 名塩・生瀬地域に総合的な病院の設置を具体化すること。
- 内科、小児科の第1次救急医療をになう応急診療所は、休日のみから夜間、土曜午後と順次拡大され、市民の命を守っている。子どもが急増している中、ますますその役割は重要であり、充実を図ること。
- 保健所について
- 07年2月発覚した大手洋菓子チェーン不二家の消費期限切れ牛乳の使用等事件、同年8月、北海道「白い恋人」で賞味期限改ざん・偽装事件と、食の安全に対する不信が強まる重大な事件が相次いでいる。特に「白い恋人」事件では、立ち入り検査をしながら公表を指導しないなど、保健所行政の問題点も指摘されているところである。日常的な衛生管理への指導や抜き打ち検査の実施、食品表示の実態把握など、迅速で厳しい対応と情報公開をおこなうこと。
- 1歳半健診については、地域の公立保育所でも行い、子育て支援に結びつけること。
- 災害援護資金貸付金の県への償還期限は06年法令改正により5年間延長されたが、小額償還も多く、最終償還までには相当期間がかかるものと思われる。引き続き国に対し、償還期間の延長と償還免除の適用範囲の拡大等を求めること。