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2008年度予算要望
2007年09月04日

都市局


  1. まちづくりにおいては、ハードもソフトもふくめ西宮市をどれくらいの人口規模で、どんなまちにするのかの明確なビジョンをもち、民間事業者をも強力に指導する市のリーダーシップが求められる。ところが、市では震災後マンション開発をしやすいよう規制を緩和し、人口が爆発的に急増した。その結果、学校や保育所、高齢者施設などが不足し、市民生活に大きな不安を与えている。とくに大社小学校区では、市の誤った予測により児童数増で校区変更までしなければならない事態となっている。また、大型店舗の増加も同様に生活環境に大きな影響を与えている。こうした事態に至った無計画さを十分反省し、用途地域の変更も先手を打って行いながら、第4次総合計画では文教住宅都市にふさわしいまちづくりをおこなうためにも、関係部局と十分調整を行うこと。

  2. 大規模マンション等の開発については、2005年4月施行の「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとり、その後も開発抑制指定地域の拡大をはかった。しかし1、で述べた通り大社小学校区では受け入れ困難地区に指定したにもかかわらず、予測をはるかに超える児童数増となり、市民生活に重大な影響を及ぼし、「要綱」指定の遅れや予測の甘さが明確となった。同校区に限らず市内ではこれ以上のマンション開発は必要ない。市全域を規制対象地区とし、現要綱を条例にすること。

  3. 阪急西宮スタジアム跡地開発については、市が主体性をもって山手幹線・中津浜線・西宮豊中線など、広範囲にわたる交通処理等に真剣に取り組むこと。また、東伸道路は隣接住民の環境に大きな影響を与えるため、住民の意見をよく聞き歩道の確保など安全対策をとること。阪急電鉄が整備予定の、阪急西宮北口駅から阪急ガーデンズまでのデッキ(歩廊)については、公共的な性格もあることから球場前線や北口線にはエレベーターを設置するよう要請すること。

  4. 阪急今津南線の高架化事業は、阪急電鉄(株)がすすめる阪急スタジアム跡地開発の便宜を図るものといわれても仕方のない事業である。他の踏み切りと比較してもこの踏み切りの高架化は緊急性に乏しい。今からでも本事業は中止すること。

  5. 開発指導について
    1. 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」(以下開発条例という)に基づく事業者による住民協議に対しては、市は親身に援助し、市民の立場に立った指導に徹すること。その際、同意を求めるまでには至らなくても、それに近い協議ができるよう先進例も研究し、市として新たなしくみを検討すること。

    2. 近隣住民協議が終了したとする標識記載写真報告(いわゆる朱書き)は、状況に応じて部局長の意見も聞き判断するとしているが、協議終了については、住民の意見も聞くなど改善すること。

    3. あっせんや調停の紛争調整に至った例のなかには、協議中に合意に至ったものまでご破算にしてしまう事業者が多い。事業者に対して合意事項を遵守するよう厳しく指導をすること。

    4. 開発条例では「開発区域に接する道路は6メートル(中心点より3メートル後退)に拡幅すること」と規定しているが、開発地に接続する道路で開発区域外の道路についてはまったく規制がなく、4メートル以上の道路であれば開発を認めている。これはまちづくりという観点からも矛盾している。その結果、工事用車両はもとより、消防車両(はしご車等)の通行も制限され、近隣住民に多大な被害がおよんでくる。
      地域外の道路についても最低6メートルを確保するよう行政指導を強めるとともに、それができない場合は開発を認めないこと。

    5. 地球温暖化対策の一環として、建物の屋上や壁面の緑化を推進すること。また、雨水の活用では、マンション敷地や戸建て住宅敷地内に雨水貯留槽設置を促進するよう助成制度も創設し、指導すること。

    6. 10戸以上のマンションを建設(第1種中高層住居専用地域)する場合には、その敷地は1戸あたり50平米以上要すること。

    7. 建築基準法で容積率の対象外となっているマンションの居住室以外の廊下・階段室・駐車場などについても学校・事務所と同等の容積率内に収めるよう規定すること。

    8. マンション開発の急増により、人口が急増して小学校の教室不足や保育所等が不足している。本市として、一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供、教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。


  6. 阪急西宮北口駅南地区土地区画整理事業内のサティ跡地の利用については、現段階でも具体的な土地利用計画が示されていない。市としても芸文街区の一角であり、整合性をもったものになるよう注意を払い指導すること。

  7. 阪急西宮北口駅北東地区土地区画整理事業では、残事業の関係で事業計画期間を1年延長すると聞いている。精算金などを定める換地計画では住民の意見をよく聞き、徴収については権利者の要望を取り入れて進めること。

  8. JR西宮駅南再開発ビル(フレンテ)の管理会社・西宮都市管理株式会社に対し市は2000年度から毎年約10億円の貸付を無利子で行なってきている。2006年度よりわずかの利子を取るようになったが、管理会社の経営については出資企業が責任を持つのが当然であり、支援が必要であれば出資企業にも応分の負担を求めるべきである。市の貴重な一般財源であり、貸付は直ちにやめること。また、管理会社所有の駐車場床を市がどんな名目を持ってしても購入しないこと。

  9. 西宮浜地区では若い世代の入居者も多く既存の幼稚園、保育所だけでは足りず、大橋や人道橋をわたって浜脇・用海地域まで通うなどの状況となっている。工業団地地区には兵庫県企業庁所有の土地がまだ残っており、これらの有効活用で緊急に子育て支援の施設を拡充し、西宮浜地区の市民生活を支援すること。

  10. 生産緑地は、緑地の保全や災害時の避難場所等の役割を果たしている。都市部での生産緑地保全を営農家だけにまかせるのではなく、市としても都市政策の立場から、必要な手だてをとること。また、要望があれば追加指定をすること。

  11. 駅舎へのエレベーター設置については、JR甲子園口駅も実施されることとなった。
    引き続き阪急・阪神国道駅もふくめ、エスカレーター設置について働きかけること。また、JR西宮名塩駅の改札口までに、下りエスカレーターを設置するようはたらきかけること。また、阪神甲子園駅へのエレベーター設置についても早急に実施できるようとりくむこと。

  12. 高齢化社会への対応、また地球環境への負荷軽減からバス交通の充実は重要課題である。地域交通の柱となるバス交通について、以下の項目にとりくむこと。
    1. 阪神と阪急の経営統合後、バス路線の再編整理の動きが感じられない。市内交通不便地域の解消に向けた市としての動きを明確に示し、改善を求めること。同時に、市は不採算路線の切捨てなどは許さず、市民の足を守り充実させるよう求めること。

    2. 北部と南部を結ぶ南北バスの試験運行が実施となった。調査結果を分析し、本格実施をめざすこと。その際、広く市民の参加を促し、総合的に結論を出すこと。

    3. 北部の住宅開発地区では高低差があることと合わせ高齢化が進んでいる。コミュニティバスの要望が多く出されているが、青葉台に続き順次実態調査を実施し導入を図ること。また、北部も含め当局が市内に24ヶ所あるとした交通不便、空白地域についても、それぞれ実情にあった対策をとること。そのために実態調査を順次実施すること。

    4. バス交通問題の検討には市民の要望をよく聞き、意見や提案を取り入れられるよう検討委員会に市民代表を参加させること。


  13. 浜甲子園団地の建替え事業が行なわれているが、安心して住み続けられるようさまざまな配慮を行うとこと。また、建替えに伴い人口がどう推移するかを見極め、必要な社会資本の整備を都市再生機構に求めること。とくに浜甲子園保育所・幼稚園は今後も必要な施設である。都市再生機構の責任で、浜甲子園団地地区内で建替えを行なうよう強く要請すること。

  14. 市営住宅について
    1. 市営住宅の管理については、その一部を公募による指定管理者とすることが決
      定されたが、個人情報の保護や福祉の観点から市民にとっては大きな不安が残る。近隣市では直営とする自治体もあり、今後の推移のなかで直営に戻すことも検討すること。

    2. 住宅応募者が年々増加してきており、それに対応できる住宅の確保が重要な課題となっている。「西宮市営住宅ストック総合活用計画」が財政問題を理由に先延ばしとなっているが、計画を大幅に前倒しにし、建替等早期に具体化すること。
      また、武庫川団地(都市再生機構の賃貸住宅)などの民間住宅を借り上げ、市営住宅として市民に提供すること。

    3. 空き家募集を随時行ない、住宅困窮者の要望に応えること。その際、以前行なっていた「落選回数の多い者の優先」を復活させること。また、特定目的(障害者、老人、母子家庭等)の募集戸数を増やすこと。

    4. 階段が苦痛な高齢者の住み替え希望については公募抽選で対応しているが、1・2階が空家になった場合優先的に入居できるようにするなど、早急に合理的公平な方法を研究すること。また根本解決には、エレベーターの設置が必要である。未設置住宅には早急に設置すること。その際、入居者全員の合意形成を待つのではなく、バリアフリーの観点から市の主体性を発揮して積極的に進めること。

    5. 改良住宅ではエレベーターの電気代、散水用の水道代などは公費負担となっている。他の住宅も同様の扱いとすること。

    6. ふすま等の改修は、住宅によって改修期間の相違がある。期間の短いほうに早急に基準をそろえること。

    7. 災害公営住宅などに設置した駐車場が余っているが、積極的に有効活用をはかること。

    8. 不正入居者、住宅明渡し義務者に該当する高額所得者については、市が主体性を持って期限を切って明け渡しを迫るなど断固とした態度で対処すること。公務員で該当する者については早期に退去させること。万一、市職員で該当者がいる場合は公表すること。

    9. 市営住宅家賃等の滞納対策に関連して、所得状況などから生活保護等につなげる努力がなされているが、さらに適正な指導や援助を強化すること。また、徴収猶予の基準が見直されたが、一層滞納対策が図れるよう工夫、努力すること。

    10. 名義継承は配偶者に限るようにとの国の通知があるが、低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。慎重に対応すること。


  15. 都市整備公社が管理する特定優良賃貸住宅(西宮タイアップ住宅)は、年々空き家率が増えており、空き家に対して住宅オーナーに公社が家賃補填を行うシステムになっているため、一般会計からの補助金をつぎ込む深刻な事態となっている。入居促進のため新規入居者の家賃を一定引き下げるキャンペーンを06年10月から実施しているが、引き続き入居率を向上させる対策をとること。一方で住宅に困窮する市民も多くあることから、空き家住宅を市営住宅として借り上げるなど、有効活用をはかること。

  16. 青年や高齢者をはじめとする低所得者層での住宅困窮者に対しては、市営住宅や特定賃貸住宅の空き家で対応しようとしているが、倍率が高くさらに高額な家賃などから現実的ではない。民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。

  17. 中越沖地震など相次ぐ災害で、住宅の耐震化が求められている。しかし個人住宅の耐震化は遅々として進んではいない。現在、耐震診断に補助制度はあるが、補強が必要なときに何の補助も無いことがその原因のひとつとなっている。個人住宅の耐震化を促進するためにも、市として「耐震推進住宅リフォーム制度」を創設し支援すること。