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佐藤みち子議員の一般質問
2007年09月13日

公立保育所民営化について


 7月29日投開票で行われた参議院選挙は、自民・公明の惨敗という結果になりました。「政治とカネ」「消えた年金」「大臣の暴言」等にとどまらず、貧困と格差を拡大し、国民に負担増ばかりをおしつける、小泉政権から安倍政権の「構造改革」路線と安倍首相の「戦後レジーム」からの脱却に対して、国民から厳しい審判が下されました。今、政治に求められているのは、子どもや高齢者、障害のある人の命や権利を最優先させる暖かい政治、暮らしを守る政治です。

 さて、少子化といっても働く母親が増え続け、保育所は働きながら子育てする親にとってはなくてはならない存在です。また、地域の子育て支援と、保育所の役割はますます高まっています。しかし、財政難や保育ニーズの多様化を理由に、公立保育所の廃止・民営化の嵐が全国の自治体で吹きあれ、公的保育制度が、戦後最大の危機と言われる状況になっています。全国の保育所数を2005年4月現在と、2006年4月現在の数値で比較すると、公立保育所は242箇所減少し、他方で民間保育所は371箇所増えています。この原因は、安倍政権が財界と一緒になり、世界的にも大変優れている公的保育制度を解体し、保育の市場化を進めるために、まず、公立保育所の民営化をおこなっているからです。

 これに対して、保育士や保護者が「子どもたちの育ちを守ろう」と、公立保育所民営化反対の運動に立ち上がり、裁判に訴えるなど、「保育の公的責任の後退は許せない」と運動をしています。保育運動が1960年代の「ポストの数ほど保育所を」以来、第2の高揚期を迎えているといわれ、各地で民営化を跳ね返す力が強まり、広がってきています。また、昨年12月の165国会、今年7月の166国会で、全都道府県でとりくんでいる国会請願署名、公的保育制度堅持・保育予算増額・労働政策見直しが、衆参両院で全会一致で採択されました。保育請願はこれまでも、1986年度に衆議院、1991年度に参議院で採択されていますが、衆参両院での採択は史上初めてのことです。保育関係者の要求の正当性を認めるものであり、保育施策の拡充を求める国民の声は、無視できないものになっていることの現れであり、運動の成果です。

 2005年6月、西宮市の保育サービスのあり方について、社保審から答申がだされました。公立・民間保育所の役割分担と民間移管について、「公立保育所も地域の多様なニーズに対応し、一時保育、延長保育、産休明け保育などにも積極的に取り組むべきであり、現状の公立保育所の改革を進めなければなりません。」「公立保育所に多額の経費導入は困難であり、諮問に示されたとおり民間移管を実施することとし、具体的検討を進めるべきであると考えます」。との内容です。

 民間移管については、答申の中で、「子育てするなら西宮」を進める内容となるように (1)保育関係者の意見を充分に聞くこと、(2)子育て支援や虐待への対応など地域の調整役を担う拠点施設の役割を考え、適正配置や拠点施設の分布などを考慮して計画策定をすすめるよう申し添えます。となっています。また、前文の基本的な姿勢でも、答申後具体的な施策策定を行う場合には、関係者と協議の場を設け、市民の保育サービスの向上にむけて、具体的に協議することが大切であることを申し添えます。と書かれ、民間移管については、関係者と協議しなさいと言うことが、重ねがさね書かれています。

 この、協議の一つとして、市では、保育所長、副所長、保育士、調理員、パート保育士、臨時保育士、市職労、当局をメンバーに「公立保育所改革と民間移管にかかる協議」を2005年10月から2007年7月まで26回行い、全公立保育所で、2006年10月から3歳以上児の自園調理、2007年1月から産休明け保育、3月から7時までの延長保育を実施しました。公立保育所の民営化の理由を、財政難と保護者の多様なニーズに応えるために、としていますが、公立でも、多様な保育ニーズが実現できることを自ら示しました。公立保育所の改革については、協議が進み実行に移したものの、民間移管については、まったく協議がされていません。

 この間市は「公立保育所の民間移管」について保護者説明会を2月、5月に2日間行いました。この説明会では、保護者から「保育の質は下がらないのか」「財政のつけを子どもに回すのはおかしい」「なぜ、民営化しないといけないのか理由がわからない」など等、疑問がたくさん出されました。しかし、市は保護者が納得できる説明ができず、民営化先にあり気を押し付けようとするものでした。市は、保護者が納得していないのに、7月4日の厚生常任委員会で、「西宮市立保育所民間移管計画(案)」を所管事務報告しました。その中で、2009年4月には鳴尾北保育所、2010年4月には朝日愛児館、今津文協保育所の3保育所を民営化するとなっており、該当する保育所の保護者と今後話し合いを進めるとしています。

<質問>
  1. 社保審では公立保育所の民営化の理由の一つを、財政難のためとしていますが、この間財政は大きく好転し、もはや財政難とはいえず、民営化する根拠がなくなっています。市の見解をお聞きします。

  2. 市は、全保護者を対象に「公立保育所の民間移管について」説明をしたと言いますが、実際には1保育所につき参加人数に制限がありました。全保育所で保護者対象に説明すべきではないでしょうか。

  3. 社保審では、民間移管については関係者と協議しなさいとなっていますが、この間、説明会はしているがまったく協議をしていません、社保審の答申にも反しているのではないでしょうか。

  4. 「西宮立保育所民間移管計画(案)」を策定し、鳴北保育所、朝日愛児館、今津文協保育所、3園と協議をしていますが、協議はどうすすんでいるのでしょうか。お聞きします。

  5. 公立保育所の民営化は、子ども・保護者・保育士にとっては何のメリットもありません。関係者の理解が得られなかったら、公立保育所の民営化(案)は撤回するべきだと思いますが、市の見解はどうでしょうか。