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まつお正秀議員の一般質問
2007年12月11日

四月から始まる予定の後期高齢者医療制度について


今年秋に日本でも封切られた、アメリカのマイケル・ムーア監督による映画「シッコ」を見られた方もあるかもしれませんが、この映画では公的医療保険がなく、民間の医療保険にも入れない人が5000万人、お金がなければまともな医療を受けられない、アメリカの深刻な実態を告発していました。
指を二本切断した大工さんが、医者に治療費が薬指で140万円、人差し指は600万円かかるといわれて、薬指のみの手術を選択した例。製薬業界と政治家との癒着。民間保険に加入している人さえも保険会社が医者を雇い一体となって給付を渋る実態。治療費を払えない入院患者を病院がスラム街にタクシーで捨てる映像などは衝撃的でした。しかし、先日9月21日に大阪府堺市の新金岡豊川病院が、全盲の患者を公園に捨てるという事件がありました。このことは日本でも医療の切捨てが進行し、アメリカのようにお金がなければ医者にかかれない、日本の国民皆保険制度が破壊されつつあることを示しています。
このような中で、昨年6月に後期高齢者医療制度も含む医療改革関連法案が自民党と公明党によって強行採決をされました。その中身は、来年4月から70歳から74歳までの医療費窓口負担を1割から2割へ引き上げ、現役並みの所得の人はすでに窓口負担が昨年10月から2割から3割へと引き上げられています。
そして、来年4月から始まる予定の後期高齢者医療制度は、75歳以上の人1300万人を新たな保険制度に組み込み、保険料を年金月額15000円以上の人から天引きをする。現在社会保険の扶養家族になっている人も、既存の保険から独立させてこの制度に組み入れて、全国200万人が新たに保険料徴収をされるというひどい内容です。その中身が明らかになるにつれ国民の反発が高まり、参議院選挙で敗北した自民党・公明党は近々行われるであろう衆議院選挙でこの問題が争点になることを恐れ、批判をかわすために負担増の1年間の見直しを決めました。ところがその中身は、70歳から74歳の高齢者の窓口負担一割から二割にすることついては1年間見送る。新たに扶養家族だった人が後期高齢者医療制度に組み込まれはしますけれども、保険料は半年間ゼロで、後の半年は本来の保険料の一割の負担にするという措置で、制度自体は変えずに財政措置だけで済ますという小手先のごまかしにすぎず、まさに選挙目当てであって、『見直し』には値しないものです。
そして先日、11月26日に開催された後期高齢者医療兵庫県広域連合(これは山田市長が議員として参加された)議会におきまして保険料などが決定されました。兵庫県の平均保険料は法定減免などの措置をして81400円となっています。西宮市では県の平均額よりも2万円近く高くなり、101868円となることが明らかになりました。
またこの制度は、将来的には保険料だけにとどまらず、医者への診療報酬を75歳以上を別立てにして減らす、例えば糖尿病の人は治療費月額10万円などと初めから病気による上限を設ける包括払い制度や、かかりつけ医制制度で、かかりつけ医は診療報酬を高くして他の病院にいけば報酬を減らすなど複数の病院に行かせない。さらに看取り医療の重視するということで、病院で死亡されると医療費が高くつくから、病院から追い出して自宅で看取られて亡くなる人を現在の2割から4割に増やして、5000億円の医療費削減の金額目標まで決めて、医療切り捨てを今後ますます進めて行くものです。
政府はこの制度改革は「世代間の不公平感の解消を目的とし、将来的に持続可能な制度作り」と位置づけていますが、まさに保険料値上げをとるか医療の質を落とすかの選択を迫る、あるいは両方の痛みを押し付ける「現代のうば捨て山」とマスコミが言わざるをえないひどい制度です。わが党議員団は、はじめからこの制度の創設や広域連合議会設置に反対の態度表明をし、全国的にもわが党の立場として、この制度の中止・撤回を掲げているところです。
しかし、来年4月から実施での具体化が進む中で、いま述べました問題点を明らかにしつつ、西宮市の考え方と、今後どのように取り組むべきかについて、次のことをお尋ねいたします。

<質問>
  1. 国民健康保険制度で、現在国は75歳以上については保険料を滞納しても、被爆者や障害者と同じように、資格証の発行しないように指導しています。しかし、後期高齢者医療制度では、保険料の滞納をすれば資格証の発行を広域連合の権限で行なうことになります。西宮市ではこれまでの経緯で国民健康保険での資格証の発行はあるものの、命にかかわる点から現在は納付相談の案内をしても連絡のつかない人のみが資格証のままとなって新たな発行はされていません。そこで、国保のように資格証の発行は自治体の裁量で行なうように広域連合に強く求めるべきではないかと思います。そのことの見解を求めます

  2. 広域連合に参加をする山田市長の議員としての資格は、市民の選挙で選ばれたというわけではなく、議会の承認という形だけであります。だからこそなおさら市民の声をよく聞いてから広域連合議会に参加をする。また、事前に議会での議論を踏まえて会議に参加をすることが必要ではないか。また、広域連合に対して西宮市としての独自性が出せない仕組みは地方分権に逆行することになるのではないか。この点での当局の考え方を聞かせてください。

  3. 現在国民健康保険では国保運営協議会があり、市民や有識者、被用保険者代表や市会議員なども加わり意見を聞く場があります。後期高齢者医療制度では同じような位置づけで懇話会が設置されるそうですが、どのような形でどのような仕組みで意見が反映されるのでしょうか。お答えください

  4. 西宮の国民健康保険制度では、保険料を払えない人に一部分を支払う分納をすることができます。後期高齢者医療でも、西宮市として当然分納は可能とするべきだと思いますがいかがでしょうか。