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野口あけみの一般質問
2007年12月10日

兵庫県「新行革プラン」について


兵庫県は震災からの復旧・復興のための県債(借金)が8500億円あることが財政を困難にしており、今後2008年度から2018年度までの11年間で、事業と職員を3割削減する新たな「行革」を行なうとして、11月5日新行革プランを発表しました。
今回の新行革は、くらしや福祉に関わる事業を大幅に削減しようとするもので、その多くが県と市の共同事業で進めているものであり、市政にも大きな影響を及ぼします。(総額約4億円との答弁も先日ありました。)
福祉医療助成制度では、高齢者も子どもも障害者も母子父子家庭も、すべて所得制限を厳しくし、一部負担金を引き上げるなどのサービス引き下げです。特に高齢者では助成対象を低所得者に重点化するとして、西宮で言えば1万1000人から1000人へと大幅にカットするとしています。4年前にも対象者を限定する見直しをしたばかりです。一方子ども医療費助成は少子化対策としても重要視され2002年、2007年と対象者を拡大したところなのに、また逆戻りでは時代の流れに逆行するではありませんか。

他にも障害者小規模作業所の補助金や民間社会福祉施設運営交付金、重症心身障害児指導費交付金の削減、重度心身障害者児手当を住民税非課税世帯に限定、さらに在宅老人介護手当の廃止など福祉施策の削減が目白押しです。

昨年度7月から補正予算を組んで実施したばかりの妊婦健診補助については、市は国から交付税措置されているはずと、県補助を実質100%カット。かけたはしごを無断ではずす、ひどいやり方です。(さすがに市民に説明がつかないと、仮に県が削減しても市単独で実施する意向が昨日示されました。)

このあまりの新行革プラン、しかも市町との協議もなく一方的に来年度から実施するというやり方に、県下の市や町がいっせいに反発。県下21市5町から意見が提出され、西宮も12日、阪神県民局長あてに総合企画局長名の見解を出しておられます。11月28日には5日に発表したプランの修正案がしめされ一部実施延期がいわれていますが、延期・凍結でことはすみません。
山田市長は7日の本会議で「大変な驚きと県の財政危機に唐突感を抱いた」と答弁されておられますが、正直な感想だと思います。
そもそも県が行革の理由としている震災復興事業の莫大な借金は、本当に震災復興によるものでしょうか。県が行なった震災復興事業16兆3000億円のうちの7割は震災からの暮らしの再建とは直接関係のない大型開発です。神戸空港建設2494億円、関西空港2期工事8326億円、本州四国連絡道、山陽自動車道等に1187億円、寄航する船はほとんどなく巨大な釣堀と化している淡路交流の翼港に76億円などなどです。被災者の手元に届いたのはたった2%。また、全国では公共事業の見直しがおこなわれ、ほとんどの県が大幅減額しているのに、兵庫県は逆に113%増額しているのです。
しかもこの先、さらに播磨臨海高速道路4000億円、第2名神高速道路3800億円、大阪湾海底トンネル鉄道構想に7000億円、東播磨南北道路などなど、数兆円規模の、ほとんどを起債に頼る大型開発をすすめるとしています。また尼崎に誘致した松下電器1社に総額175億円の大盤振る舞い。雇用・地域経済対策だといいますが、その労働者のほとんどが「派遣・請負」であり、真の対策にならないという日本共産党県議団の調査と追及はマスコミの注目を集めました。

この様な県行政を進めておきながら「財政危機」だというのは私も山田市長と同様に「唐突感」を抱きます。借金で苦しいと言うのならこのような大型事業推進、大企業優遇こそ反省し、見直すべきでないでしょうか。
行革での福祉削減はその根拠も道理もなく、まったく許されません。先送りなどという修正でなく、全面撤回を求めるべきです。

<質問>
  1. 新行革プランに対する市の見解をお聞かせください。

  2. 新行革プランの全面撤回を求め、各市と共同を進めるとともに、特に山田市長は県市長会の副会長としてイニシアティブを発揮すべきと考えるが、いかがでしょうか。