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2008年3月議会 上田さち子議員の代表質問
2008年03月03日

今こそ、くらしに軸足をおいた行財政運営を


安倍首相から急遽政権を引き継いだ福田首相は、1月18日通常国会の施政方針演説で、「生活者・消費者が主役」と強調しました。しかし、福田内閣初の2008年度予算案は、それがまったくの偽りであることを示しました。
この間、小泉・安倍と続いた「構造改革」路線によって、家計は痛めつけられ、貧困と格差が社会に広がり、民間給与所得者で年収200万円以下の人が、1022万人に達しています。しかも、最近の原油・穀物市場の高騰を受けた生活必需品や原材料の値上がりが、家計に追い討ちをかけ、賃金はまったく増えないのに物価だけが上がり、くらしはますます厳しくなってきました。福田首相の言うとおり「生活者・消費者が主役」というのであれば、いまこそ経済政策の軸足を家計・国民へと転換すべきであるのに、反対に社会保障自然増分の2200億円を抑制するとともに、約60兆円に及ぶ、無駄な道路建設に費やすための道路特定財源を10年間温存、大企業優遇税制の温存など、「構造改革」路線に固執する予算案となっています。

 西宮市でも、国による庶民大増税や医療改悪が相次ぎ、それに加えて、市民サービスを切り捨てる第3次行革等で、市民のくらしはいっそう厳しさを増しています。さらに4月からは75歳以上の高齢者を対象にした「後期高齢者医療保険制度」が強行されようとしており、怒りと不安が広がってきています。市民のくらしが脅かされている状況をしっかりと受け止め、地方自治体の本旨である「福祉の増進」に全力で取り組むことが、山田市長にはとりわけ強く求められていることをはじめに強調しておきます。

 さて、西宮市の2008年度予算案は、一般会計1540億8900万円、前年度比3.7%増、特別会計は老人保健医療事業に変わり後期高齢者医療事業などが新たに増えて、前年度比25.6%減の737億8700万円、企業会計は、前年度比5.8%減で409億1700万円、総計では前年度比7.7%減の2687億9300万円の予算案となっています。

 その内容は、歳出では、消費的経費で団塊の世代の大量退職による退職手当など人件費の増、新たに後期高齢者医療保険制度関係の補助費、投資的経費では、人口急増対策で浜脇小学校などの増改築やプレハブ校舎の設置費の大幅増、震災復興を口実に取り組んだ西宮北口北東地区の再開発事業「アクタ」ビルの保留床・図書館や大学交流センター、地下駐車場など債務負担行為による買取費の本格償還が始まることによる増、新たに東部総合処理センター整備事業費、公債費は年々減少していますが、新年度は272億円などであります。そのほか不要不急の阪神西宮駅北地区駅前広場整備事業の調査費が500万円計上されていますが、この件については後ほど質問を行いたいと思います。

 歳入では人口増に伴い、個人市民税が住宅ローンの特別税額控除の減があるものの370億円、原油・原材料の高騰の影響を受けて低迷する法人市民税とあわせて、市民税は415億3000万円、マンション開発増等で固定資産税が昨年を上回り305億6800万円、連動して都市計画税も70億6300万円にのぼり、市税全体では828億3000万円となっています。中核市移行や人口増などで地方交付税は86億2800万円となり、これらをあわせた一般財源は基金繰り入れを含め、1104億5000万円となりました。全体として、市民による堅実な歳入に支えられているものの、野放しの開発による人口増と、震災関連開発のツケがずしりと重くのしかかる予算案ということが言えるのではないでしょうか。

 この間、議会の論議や市民の皆さんの運動もあって、とくに新年度は、国民健康保険料の軽減免のために一般財源2億5000万円の繰り入れが行われることは、一貫して日本共産党議員団がこの問題に取り組んできただけに評価できるものです。また、全小学校と特別支援学校の校門に警備員を配置し、児童生徒の安全対策が図られる予算が組まれたことや、学童保育所の障害児童5年生まで拡大や、35人学級の4年生までの拡大など実施されることは市民の期待にこたえるものです。さらに、今回新増築される浜脇小学校と高木小学校の普通教室にエアコンが設置されることになりましたが、永年にわたる市民や教員の要望がようやく実ったもので、これを機にすべての小中学校に早急に設置することを求めておきます。しかし一方で、保育所保育料を機械的に新年度も引き上げようとしていることは、子育て世代にまったく配慮がないことを指摘しておきます。

 さて、このほど「西宮市の財政を考える(?)」のなかで、平成25年度(2013年度)までの財政収支試算表が示されました。これによると最終年の2013年度末には、9億円の実質収支で黒字と見込む内容です。日本共産党議員団は、ことあるごとに財政問題を論議してきましたが、4年前に出された「西宮の財政を考える(??1)」では、平成20年度末(2008年度末)には財源不足額が321億円になってしまうと打ち上げ、市民サービスや職員の人件費などばっさりカットする絶好の口実にしたのも、記憶に新しいところです。私たちは、歳入を最小限に、歳出を最大限に見積もることで、ことさら赤字を大きく描くものだと、そのからくりを徹底して追及し、とうとう2007年3月議会では、321億円の赤字は解消したと当局は言わざるを得なくなりました。それどころか、逆に38億円の基金確保も明らかになったのです。そのような経過から、今回の試算表を見てみると、この10年ほどの実績から毎年20億円前後出る決算剰余金(予算の執行率が98?99%として、その不要額の合計など)、2007年度から2013年度までの7回分約140億円が見込まれていません。これを見込むと最終年度は9億円の黒字どころか、約150億円の基金が積み立てられます。
 今回の試算表は、第4次総合計画策定論議に欠かすことができないものです。だからこそ、決算剰余金のデータも正確に表したもので対応することを求めておきます。

以上のことを前提に質問します。

  1. 新年度予算案について日本共産党議員団は「野放しの開発による人口増と、震災関連開発のツケがずしりと重くのしかかる予算案」と特徴付けました。当局はどのような特徴があると見ていますか。
  2. 市長の行政方針などからも、財政の好転は誰の目にも明らかになっています。この間財政危機を口実に市民福祉金など市民サービスを切り捨ててきましたが、いまこそこの復活や、くらし向きが大変な市民生活を支援する福祉的施策等の拡充を行うべきです。たとえば千葉県浦安市では、後期高齢者医療保険の被保険者に対し、臨時給付金として一人1万円を助成すること。また芦屋市では、行革によって取りやめていた高齢者対象のバス賃半額助成を、新年度は復活させています。西宮市としての積極的な姿勢をお聞きします。
  3. 西宮市の財政を考える(?)の財政収支試算表に示された投資的経費は、新年度現年度事業としての17億4300万円と同額を2013年度まで毎年計上しています。この数字と、今後審議決定される「第4次総合計画」の投資的事業との関係について、当局の考え方を聞きます。