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2008年3月議会 上田さち子議員の代表質問
2008年03月03日

市がつくりだすワーキングプアについて


 今、私たちの周りでも貧困と格差が広がり、働いても働いても生活保護水準以下の賃金しか得られないワーキングプアの問題が深刻です。自治体に関連する仕事についていながら、このような状況に追い込まれている実態について質問したいと思います。

一つは、施行されてから4年5ヶ月が経過した指定管理者制度です。西宮市では広田山荘と自転車駐車場の指定管理制度導入を皮切りに、現在271施設で、さらに新年度は新たに3施設を追加して行われています。全国的には、制度導入によって施設の公共性、継続性、安定性、専門性が損なわれたり、管理者が経営破たんして途中で逃げ出すなど、深刻な問題も発生しています。安上がりの施設維持管理を目的とする制度の中で、そこに働く労働者の条件はどう変わってきているのか、制度導入による不安定雇用・低賃金化、いわゆるワーキングプアの実体はないのかという観点です。

 たとえば駅前の自転車駐車場の管理については、市直営で都市整備公社に委託されていたものを、2005年4月に日駐管理(株)を管理団体に63箇所・1億8714万3000円(うち人件費は1億4008万円)で指定し、2007年にはミディ総合管理(株)に68箇所・2億3973万円(うち人件費は1億4383万4000円)で指定しました。人件費総額を単純に割り算した労働者一人1時間あたりの単価は日駐管理 818円、ミディ 796円とマイナス22円です。実際には人件費の中には、社会保険などの事業主負担分なども含まれており、時間給はもっと低いと思われます。新年度は多くの施設が2回目の選定に入ることになり、更なる低賃金化が心配されるところです。

二つ目は、西宮市指定の家庭保育所に働く保育士の実態です。先にも述べたとおり、認可保育所に入れない乳幼児を、現在8家庭保育所で52人保育しています。自宅を開放して主に産休明けの月齢の低い乳児を家族等で保育するということでスタートしましたが、今では、保育に必要な住宅等を借り、保育士がそこに勤務して認可保育所からあふれた2歳児3歳児の幼児まで保育するようになってきました。鳴尾に8名の子どもを保育している「たけのこ家庭保育所」があります。ここに勤務する22歳の正規保育士の月額は13万円、そこから社会保険料等を差し引くと10万円そこそこの手取り額です。「先の希望はぜんぜん見えない」と話していましたが、まさにワーキングプアそのものです。

  1. 指定管理者選定の前と選定後では、その施設に働く労働者の身分・賃金はどう変わったのか。

  2. 管理会社が変われば、労働者は基本的に解雇されることになります。行政が率先して、不安定雇用をつくりだすことはまちがっていると思いますが見解は。

  3. 西宮市指定家庭保育所の実態について、その一部を紹介しましたが、そこに働く保育士の働く条件は劣悪で、永年、保育者の献身的な熱意に甘んじ、運営助成費が低く抑えられてきた結果です。直接市が雇用主ともいえる家庭保育所運営費についての抜本的改善を求めます。