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いそみ恵子議員の一般質問
2008年03月05日

「はり半」跡地のマンション建設について


この問題では、今、地域で大変大きな運動がとりくまれています。西宮の豊かな環境を残したい、ふるさとの緑を守りたい・・・そんな思いから運動にたちあがっていらっしゃる方々に心からの敬意を表したいと思います。
先日、私も地域の方々のご案内をいただいて1時間半かけてこのマンションの計画予定地周辺を歩いて調査をして参りました。寒い中でしたが渓流をたどりながらすがすがしい気分になりました。目に入る美しい景色、狭い山道を歩きながら「本当にこの豊かな自然を残したい」そんな思いにかられました。

西宮のシンボル的存在であった甲陽園東山町の老舗料亭「はり半」の跡地に地上5階、地下1階(一部地下2階)のマンション建設計画が現在、すすめられています。昨年1月22日に事業主が株式会社ゼファーから日本エスリード株式会社にかわり、地元自治会をはじめ、周辺住民の皆さんのねばり強い運動で、当初の計画戸数は、268戸から232戸へ減少し、一定、販売価格を上げることによって、児童急増で教室不足の甲陽園小学校に配慮をみせることとなりました。

また、旧「はり半」の景観保全に関しては、地元からも要望が出され、既存の建物などを全て解体する当初の計画案が見直され、かやぶきの正門、赤壁の蔵など旧「はり半」のアプローチ部分を事業計画の北側に整備が予定されている公園用地に移築し、市に寄贈する計画となっており、その管理方法、費用等々で現在、庁内に設けられた検討委員会で協議がすすめられているところです。
しかし、この地は、甲陽園断層が事業予定地をかすめ、県の土砂災害警戒区域も包含しています。甲山のふもと、急斜面の敷地約2万平米に生い茂る樹木を伐採し、山を削り、長年にわたって形成された谷を埋め立て、山頂から流れ込む渓流を人工水路に付け替える計画案は、なんら変わっていません。

地元住民の皆さんの最も大きな不安・懸念は、この敷地内を流れる自然の渓流を人工の水路に付け替えて「本当に大丈夫か」「水路の下流部が整備されていなくとも果たして大丈夫なのか」ということです。
この点について、都市局長は、昨年12月議会で「現地調査を行った結果、地肌部分は、岩盤であり、侵食のおそれはひくく、水路下流部の排水能力に関しても支障はない」「敷地内の樹木を伐採するため開発区域内に降った雨水が県土木事務所の指導によって設けられる洪水調整のための調整池に集められ、放水量を絞って水路に流されることになるので水路下流部の安全性は、現在より向上するもの」と断言されておられます。果たしてそうでしょうか。
この洪水調整のための調整池に関して2月5日付、兵庫県阪神南県民局長名で市長にあてた、料亭旅館「播半」跡地におけるマンション開発計画についての申し入れ書の中で、「開発地が急峻な斜面地であり、下流には、家屋が密集していることから調整池については、十分な安全性を確保するとともに、適切な維持管理が確実におこなわれることが必要である」としています。
現在の開発計画では、3棟の一番南の地下2階に調整池が配置され、マンションの管理組合が維持管理する計画になっていますが県としては、「調整池の配置および形態については、建物地下に併設するよりも、現在北側に予定されている提供公園を南側に変更し、この公園の地下等においてオープンにするほうが維持管理上望ましい」としています。また、調整池の点検保全、緊急対応については、「管理組合よりも提供公園の管理とあわせ、西宮市において公的管理することが望ましいこと」「仮に管理組合が調整池を管理する場合でも、開発許可権者として市の責任において指導すること」「また、調整池が予定されている場所には、戦時中の防空壕が存在すると推測されるため、事前にその位置、深さなどを特定し、調整池の設計に反映させる必要があること」をもとめています。
土地利用計画の見直しもふくめ、地域全体の安全安心を確保する観点から十分検討する必要があるとして文書で市に回答をもとめているのではないでしょうか。

 この間、住民の皆さんは、対策委員会をたちあげ、事業主と兵庫県、西宮市に計画の再考を求める要望書おくるとともに、
(1)「はり半」跡地は、兵庫県より土砂災害警戒区域に指定された風致地区であり、緑の保全、住民の生命・安全・財産を守るために、敷地内の渓流を人口の水路に付け替えず保全し、十分な防災対策を施すこと
(2)隣接するほぼ同じ敷地面積の藤和ライブタウン150戸に比べても「はり半」跡地のマンション232戸は、過密すぎること。甲陽園小学校は、入学困難予測地区に指定され、新年度からプレハブ教室の増設で対処するとしていますが子ども達の教育を受ける権利、交通量の増加、通学路の安全を図る上でもマンションの戸数を減らすこと
(3)住民との協議が整うまでは、強行着工は、しないこと。
以上3点の要望を掲げ、署名運動がとりくまれ、第一次分?第三次分あわせて1万2879筆の署名が市にも届けられているところです。
 しかしながら、開発業者は、昨年の7月と10月の2度にわたる説明会を開きましたが十分な説明責任を果たさぬまま、昨年の11月12日、市に開発事業計画書を提出し、今年、2月17日の第3回説明会で「開発事業計画書の変更はない。これで説明は、終わった。今後は、工事にむけて手続きを粛々と進める」と、住民の皆さんの願いに背を向け、あくまでも工事着工をすすめようとしています。
 
そこで質問します。
  1. 1万2879筆の住民の署名が届けられていますがこの署名の重みをどのように市長は、うけとめておられますか。また、署名の中で、住民との協議が整うまで強制着工は、しないで欲しいとの要望に対してどのように考えているのか。

  2. 2月5日付、西宮市長にあてた兵庫県阪神南県民局長名の料亭旅館「播半」跡地におけるマンション開発計画についての申し入れ書の中で、調整池の配置および形態、調整池の所有および管理、管理組合に対する指導責任、地下防空壕の事前調査の4点について文書で市の見解がもとめられていますがそれぞれについて現時点での市の見解を求めます。

  3. この県からの申し入れ書によれば、土地利用計画の見直し、現在、周辺住民に説明
    されている計画案の大幅な見直しがもとめられることとなりますが調整池の計画位置が変更することになった場合、開発条例の手続きは、どこまでさかのぼるのか。

  4. このことを受けて市は、開発事業者に対する指導をどのようにおこなうつもりなのかご答弁下さい。