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まつお正秀議員の一般質問
2008年07月09日

後期高齢者医療制度について


4月1日から実施されております後期高齢者医療制度は、差別医療の典型として国民の批判が高まっているところです。保険料の有無を言わさぬ年金からの天引きのやり方、二年ごとの保険料見直しによって現在28歳の人が75歳になる時に保険料が現在の8倍以上になるという試算も出されています。75歳以上を対象にした医療制度であるにもかかわらず、保険料算定は同居世帯主の所得を合算するという矛盾したやり方も大きな問題とされています。さらには当初65歳から74歳までの一部障害者もこの制度に自動的に加入することになっていましたが、脱退も可能で今までの医療制度に残った場合との比較で負担がどうなるかなどの説明が不十分での混乱も起きました。政府自身も周知徹底がたりなかったこと認めています。また、それだけでなく、かかりつけ医(後期高齢者担当医となったみたいですがここではかかりつけ医と言います)制度と一体となった包括払いによる特定の病気への医療制限での診療報酬、終末期相談で延命治療制限での診療報酬、退院調整相談で早く退院をさせた病院にも診療報酬を上乗せするなどのいわゆる「ご褒美」で医療を切り捨てるやり方に、各地で国民の不安や怒りの声が出されているのです。5月30日には西宮でも六湛寺公園でこの制度の廃止を求める集会が開催され、170名を超える市民が参加して阪神西宮駅までデモ行進が行われました。

すでに全国35の都道府県の医師会からも廃止や見直しの声が出され、茨城県の医師会はこの制度に反対するようにポスターを作成して病院や診療所に働きかけておられます。兵庫県の医師会会長である西村亮一さんはしんぶん赤旗にも反対の立場で登場し、医師会のホームページでも次のように語っておられますので紹介をしておきます。「人間は生まれてから死ぬまで同じ生命であるはずです。75歳から質が変わるわけではありません。私自身、75歳で医療を差別するこの制度には根本的に基本的に反対です」そしてかかりつけ医制度の問題点を指摘した後に「ただ財政の問題だけで生命を75歳以上で区別するような制度は、早くとりやめていただきたい」と、述べておられます。
医療関係者の間でも、かかりつけ医制度で特定の病気は6000円までの治療と上限を決めた後期高齢者診療報酬をする医療機関としての届け出が三月末で約2割という現状とともに、その診療を行なう為のいわゆるかかりつけ医は3月までに4日間の研修をうけることになっていましたが、いまだに実施されていないのが実態です。ですから、届け出はしても実際にはこの制度で診療していない医療機関がほとんどです。先日の厚労省調査で、この4月が終わった時点で国立病院からの先ほど述べた後期高齢者終末期相談支援診療報酬の申請がゼロであったとの発表もありました。
こうして医者からも見離されたために、患者が希望しなければ「従来の出来高払いのままの医療も可能」とか「今までと変わりません」と厚労省は説明するなど、医療機関の反対や国民の怒りの前に当初の計画のままでは進められない事態になっています。

4月にはすでに自民党の国会議員らによる「後期高齢者医療制度を考える会」という、91名で議員連盟も発足し初会合が開かれ、この問題での適切な対応や制度見直しなどの再検討を確認しています。中曽根元首相はこの制度の出直しを求め、塩川元財務大臣は孫から「もう家族じゃなくなったんだね」といわれてショックを受けたことから批判の談話を週刊誌に寄せています。堀内光雄元総務会長は、文芸春秋6月号で姥捨て山で問題あると書いて「今となっては、しっかり内容を吟味していればよかったと悔やまれ、国民の皆さんに申し訳ないきもちになる」と述べています。いざ通知が届いたら国会で決めた本人たちからこれは廃止だ、出直しだと言わざるを得ないことに、この制度が医療費削減ありきで中身を十分知らせないまま、だましうちのような形に進められたことを示しています。

そしてこの制度のもうひとつの問題点は、国が運営するわけでもなく、地方自治体単位の国民健康保険とも違う都道府県ごとの広域連合によってすすめられる運営形態にあります。二年ごとの保険料率の改定(必要なら一年でも可)もここで決められ、自治体における国民健康保険運営協議会のような性格を持つ懇話会も設置されています。しかし、わずか17名の構成のうち、被保険者代表は5名で県老人クラブ連合会長や県連合自治会長、県連合婦人会副会長などの団体代表ばかりで公募での委員はおられず、形だけの意見を聞く場になっていること。さらに広域連合には議会が設置されていますが、国の施策の追認という形で、この間の議会の会議時間はわずか1時間程度で発言もほとんどなく終わっています。そして、国民健康保険のように自治体の判断で独自の減免や、支払能力に応じて分納措置をするなどの柔軟な運営、すなわち健康を優先した施策ができにくい仕組みになっており、まさしく保険料取立て機関になりかねないということです。

そこで質問です。
一点目は、2月の市政ニュースで、この制度についての小見出しに「みんなが生き生きと暮らせるために」と書いてありますが、今述べましたように様々な矛盾や問題が噴出しているなかで、現時点でもこの問題のある制度が「みんなが生き生き暮らせる」制度であるという認識は変わっておられないかどうか、お尋ねします。

二点目は、二月くらいから市民にこの制度をしらせるビラが配布されましたが、この間に市民からの問い合わせや相談が多数寄せられていると聞いております。今日までのその特徴をお聞かせ下さい。また、窓口での混乱はなかったかどうかも合わせてお聞かせ下さい。
三点目は、市としてこの制度でのメリットをどう捉えているか、デメリットについては人間ドック補助がなくなったことや、健康診断での市の負担が増大したことなどがあると聞いていますが、現時点での市の見解をお尋ねします。

四点目ですが、このたび山田市長は兵庫県広域連合長に選出される予定ということから広域連合議員を辞職され、議会冒頭で河野副市長が広域連合議員に選出されました。そこで、河野副市長には市民の代表として住民の声を届けていただくためにもどのような決意で臨もうとされるのか所見をうかがっておきたいと思います。