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2009年度予算要望書
2008年09月03日

総務局


  1. 1、福田内閣は、「構造改革」路線を基本的には踏襲し、「骨太の方針2008」でも社会保障費を2,200億円削減するなど、国民生活への攻撃を強めている。特に、消費税増税について、「消費税を含む税体系の抜本的な改革について、早期に実現を図る」としており、いよいよ重要な局面にきている。
    地方政治の分野では、広域化により地方自治の形骸化が一気にすすむおそれのある「道州制の導入」を推し進めようとしている。また、「財政健全化法」で、新たな「地方行革」と自治体間の競争が急速にすすめられようとしている。
    このようなもとで、市民生活をまもるために、以下、国に強く求めること。
    1. 地方交付税の一方的な削減と制度改悪はやめ、地方財源を充実させること。

    2. 地方交付税を使った国の政策誘導をやめ、制度本来の財源保障・調整機能の充実と、住民福祉を保障するため総額を確保すること。

    3. 福祉や教育など、国の補助負担金の削減はしないこと。

    4. 閣議決定された社会保障費2,200億円削減は、2002年度以降毎年行われており、すでに限界を超えている。直ちに撤回すること。

    5. 消費税増税はしないこと。

      (回答)
      平成20年12月に総務省より示された地方財政計画において、21年度の地方交付税総額は20年度に比し4,141億円、2.7%増の15兆8,202億円が確保される見込みとなりました。
      このうち、生活防衛のための緊急対策として、地域雇用創出推進費の創設や地方財源充実のため、別枠で1兆円が増額されておりますが、地方交付税の原資となる国税5税や地方税について大幅な減収が見込まれることから、国と地方が折半して財源不足を補てんするルールの適用により、臨時財政対策債の発行額を大幅に増額し、財源不足を補てんすることとしています。交付税と臨時財政対策債を含めた額が実質的な地方交付税であり、この総額は、20年度に比し2兆7,295億円、15.0%増の20兆9,688億円と見込まれています。
      また、国庫支出金についても、地方財政計画では平成20年度に比し2.2%程度の増見込みが示されています。社会保障費については、平成20年12月に、持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」が閣議決定され、この中で景気回復や税制抜本改革等とともに、取組みの指針などが示されています。しかしながら、人口が増加傾向にある本市にとって、福祉や教育等への財源の充実強化は大変重要であるものの、あくまでも市税収入が歳入の根幹であると考えており、地方税財源の充実等について、中核市市長会を通じて国へ働きかけているところです。
      また、消費税については、税率引き上げ方針を盛り込んだ「2009年度税制改正関連法案」が平成21年1月に閣議決定されていることから、今後の国の動向を、引き続き注視してまいります。


  2. 2、市の財政状況を正確に議会や市民に知らせることは大変重要である。
    ところが、西宮市は、震災後、毎年作成している「西宮市財政の現状」の中で、財政収支試算表を意図的に「収入は少なく、支出は多く見積もる」というしくみで、「財政危機」をつくりだし、市民いじめの「行革」のテコとしてきた。特に、「第3次行財政改善実施計画」において、2004年2月の試算表では「2008年度末321億円の財源不足になる」として、市は大宣伝し、「行革」を強行した。しかし、2007年度決算では約36億円の黒字を計上し、29年連続黒字、基金も約70億円程度の積立となり、「つくられた財政危機」だったことは明白となっている。
    加えて、2007年6月に成立した「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(以下財政健全化法)により、国の行政的統制の強化と新たな「自治体リストラ」が進められようとしている。財政健全化法は、全国一律に定めた基準(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)を超えた場合、地方自治体に対し、財政健全化計画や財政再生計画を策定するよう義務付けるものであり、地方分権とは逆行するものとなっている。
    市財政については、以下のことを求める。
    1. 財政情報については、普通会計の他、企業会計、公社、第3セクターなど含め、詳細でわかりやすいものを開示すること。

      (回答)
      財政情報の公表については、地方自治法第243条の3第1項に基づく本市の「財政事情の公表に関する条例」の定めるところにより、毎年5月末日及び11月末日に、告示による公表を行っています。一般・特別会計だけでなく、地方公営企業法第40条の2第1項の規定に基づき、市立中央病院、水道事業及び工業用水道事業、下水道事業の業務状況についても併せて掲載しているものですが、同時期に市政ニュースへの掲載も行い、より広く公表を行っています。
      また、当初予算及び決算については、財政事情の公表以外に市政ニュースへ掲載しております。
      さらにホームページでは、上記会計の他に、関係する一部事務組合や第三セクターの経営状況等を含めた「財政状況一覧表」も掲載しており、西宮市全体の財政状況について公表を行っています。
      今後も、さまざまな媒体を通じて市民に分かりやすい財政情報の公表に努めてまいります。

    2. 財政健全化法により、これまで以上に意図的に「財政危機」がつくりだされる可能性が生じる。財政危機をあおり、市民サービスを切り捨てることがないよう、正確な財政状況を示すこと。

      (回答)
      平成19年6月22日に公布された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律(財政健全化法)」は、その目的として「健全化判断比率の公表の制度を設け、当該比率に応じて早期健全化を図るための計画策定や、当該計画の実施の促進を図るための措置を講ずることにより、地方公共団体の財政の健全化に資すること」と示されています。
      「指標の公表に係る規定」が20年4月に施行されたことに伴い、19年度決算による健全化判断比率として、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率を算定し、公表いたしましたが、いずれも早期健全化基準を下回っており、近隣市や類似団体との比較においても、本市の特徴的なものはありません。
      しかし、公営企業ごとの事業規模に対する資金不足の程度を示す資金不足比率については、中央病院事業が経営健全化基準を上回っており、計画策定義務等に係る規定が施行される20年度決算までに早急な改善が必要となっています。一方では、従前からの主たる指標である経常収支比率においても依然として高い水準にあり、まだ良好な財政状況には至っておりません。
      中核市にふさわしい安定した財政基盤を確立するためには、早期にこれらの課題を解消していく必要があります。このため、引き続き、財政の健全化に取り組み、堅実な財政運営を行うとともに、より正確な財政状況について周知を図ってまいります。

    3. 全ての市職員に、正確な財政状況を徹底すること。

      (回答)
      本市では、毎年2月に、次年度当初予算と当年度3月補正後予算を基礎数値とした収支見通しを作成し、これを含めた財政情報資料を、ホームページ等で公表するとともに、市内部においても、各研修などで活用するほか、機会あるごとに資料提供を行い、広く周知を図っています。
      本市の財政収支は、均衡を保つための基金の取り崩しが避けられず、経常収支比率などの財政指標も依然として高水準のままです。また、県の行財政構造改革や税財政制度の見直しを巡る国の動向、米国の金融危機に伴う国内経済の景気後退など、本市の財政運営に大きな影響を及ぼしかねない要因が多くあることから、今後の財政状況を予測することは非常に困難となっています。
      このような状況ではありますが、これからも一層の情報収集に努め、できる限り精度の高い収支試算や、分かりやすい資料の作成に取り組み、より正確な財政情報を全職員が共有できるよう、工夫を重ねてまいります。


  3. 3、政府は、大企業や金持ちには減税をしながら、庶民増税を強行している。特に、定率減税の廃止、老年者控除の廃止、年金課税強化など、増税による生活苦が生じている。その対策として、以下のことを取り組むこと。

    1. (1)この間の住民税増税に対して、市独自の市民税減免措置を拡充すること。

      (回答)
      一定所得以下の人や失業、所得の激減した人などに対しては、個人住民税において減免措置を設けており、これら以外に本市独自の税の軽減措置を導入することは、税制改正の趣旨から困難と考えています。

    2. (2)税を軽減するため、障害者控除や寡婦控除など、確定申告を積極的に周知徹底すること。特に、年金から、介護保険料や後期高齢者医療保険料の天引き対象となっている高齢者で、税の軽減対象になる人には、確定申告を促すよう文書を送付すること。

      (回答)
      従来から市政ニュースや市のホームページのほか、税務署と共同で作成したチラシを各戸に配布するなど広報を行うとともに、申告書送付時に説明書を同封し、また市の申告時に所得税の軽減対象となる方には、積極的に確定申告をするよう説明し、周知を図っているところです。今後とも税制度の周知徹底を図るため、広報の充実に努めます。

    3. (3)市税の年金天引きはしないこと。

      (回答)
      個人住民税における公的年金からの特別徴収については、納税の利便性と徴収事務の効率化を図る観点から地方税法が改正され、平成21年度から導入することとなったものであり、特別徴収を行わないことは困難であります。
      なお、この制度改正については、国や県とともに幅広く広報することが必要と考えており、本市としても納税者に対して市政ニュースや市のホームページのほか、早期、個別にチラシなどにより周知を図ってまいります。


  4. 4、1994年度から1999年度に借り入れた政府資金による既発債について、高利率地方債の借り換え(利下げ)および、地方債残高の償還期限の延長等、条件変更について可能となるよう法令の改正を国に要望すること。

    (回答)
    高金利地方債の借り換え等につきましては、これまで国に要望を重ねてきた結果、高金利の政府資金について「公債費負担適正化計画」に基づく利子補給など特別交付税による財政支援等をいただいています。
    また、公債費負担の平準化を図るため、平成13年4月に、兵庫県、芦屋市などと共同して、一定の被災自治体について、既に借り入れた政府資金の償還期間を最長の30年に延長していただくよう要望いたしました。平成13年5月16日以降の新規発行分については、償還期間の延長が認められましたが、平成6年度から平成11年度までに借り入れた政府資金による既発債については、関連法令の改正が必要とされるため、実現が難しい状況であり、償還期間延長の方針決定には至っておりません。
    その後、特定被災市の特例措置として、平成13年11月に全ての適債事業について、起債の充当率を100%に引き上げる措置が認められ、本市においても平成14年度許可分からこの措置を活用しているところです。また、平成17年度より国の臨時特例措置として公営企業債の高金利対策がとられ、本市では高金利の下水道事業債の一部借換えが認められたため、平成17,18年度において繰上償還と合わせ低利の借換債を発行することができました。
    さらに、平成19年度には、公債費負担の軽減対策として「公的資金補償金免除繰上償還等実施要綱」が策定されました。財政健全化計画又は公営企業経営健全化計画を作成し、一層の行政経営改革に取り組む団体において、平成19年度から3年間に限り、高金利の公的資金による既発債について、補償金免除のうえ、繰上償還が認められるものです。本市では普通会計の他、下水道事業、水道事業、工業用水道事業が該当し、平成19年度の実施により、総額で40億円の繰上償還を行いましたが、繰上償還の財源として発行した低利の借換債との金利差により6億円の効果額が生じたところです。平成20,21年度においても、総額で42億円の繰上償還を予定しており、5億円の効果額を見込んでいます。
    このような国の制度を最大限に活用することにより、できる限り早期に地方債現在高を縮小し、併せて公債費負担の軽減を図りたいと考えています。


  5. 5、固定資産税について、以下のことを実施すること。
    1. (1)固定資産税を引き下げること。

      (回答)
      本市の固定資産税の税率は、標準税率の1.4%としています。固定資産税収入は、市税収入の約40%を占める基幹税目であり、税率の引き下げは困難です。
      なお、小規模住宅用地については、その税負担に考慮し、課税標準額を固定資産税では価格の6分の1に、都市計画税では同様に3分の1に減額しております。

    2. (2)戸建住宅であれば、私道でも固定資産税減免の制度がある。一方、分譲マンション内の同様の通路には適用がなく不公平な扱いとなっている。公道につながる敷地内通路を公衆用道路あつかいとし、免除対象とするなど課税の見直しを行なうこと。

      (回答)
      敷地内通路については、マンションの構成要素であり、必要施設であると考えております。公道につながる敷地内通路を公衆用道路のような扱いにする場合は、「不特定多数の人の通行の用に供する土地」として独立性を有するか、使用実態等も勘案し、建築基準法上の道路に該当するかも参考にして判断しているところです。


  6. 6、市民の税負担は重い。都市計画税の税率を0.3%から0.2%に引き下げること。

    (回答)
    都市計画税は、市民生活に直結する都市基盤整備のための目的税であり、下水道、公園、道路事業等の費用に充てられる貴重な財源となっています。今後もこうした都市の基盤整備を進めていくためには、現行税率を維持する必要があります。


  7. 7、市発注の公共事業は、市民生活の向上と地元中小零細企業の育成の観点からも生活密着型に切り替え、以下の施策にとりくむこと。
    1. (1)市発注の公共事業のうち、金額での発注率を市内中小企業むけに75%以上とすること。

      (回答)
      建設工事における平成19年度の市内中小企業への発注件数は2,732件、発注率は91.1%、金額ベースでは37億5千百万円で、率にして81.0%となっています。今後とも市内中小企業への発注に努めてまいります。

    2. (2)工事の指名競争入札参加資格が経営事項審査結果通知書の総合評点にもとづいて行なわれるようになったが、特に中小企業については市内に本店を有する市内業者を優先すること。

      (回答)
      建設工事の発注は、平成20年度より一般競争入札を拡大し、1千万円以上すべての工事で行っていますが、1億5千万円未満の工事につきましては、総合評点に基づく格付基準により市内業者ランク発注を行っているところです。市内業者で施工可能な工事につきましては、中小企業に配慮しつつ、引き続き市内業者優先で発注してまいります。

    3. (3)公共工事、物品購入、委託等については、分離分割発注し、市内中小業者を優先すること。

      (回答)
      公共工事、物品購入、委託等の発注にあたっては、引き続き市内業者を優先し、可能な限り分離分割発注を行うことにより、市内中小企業の受注機会の確保に努めてまいります。

    4. (4)特定業者との癒着につながりやすく、受注の独占化になりかねない一括単価契約はやめること。

      (回答)
      単価契約を行う場合、多数の市内業者の受注機会の確保を図るため、可能な限り年間契約から半期あるいは四半期に分割して発注するように努めてまいります。

    5. (5)工事の元請け業者が下請け業者をつかう場合には、「公共工事適正化法」及び付帯決議にもとづき、元請、下請けの契約書と支払い領収書の提出を引き続き元請けに求めること。

      (回答)
      公共工事入札・契約適正化法の規定や、国会における衆議院ならびに参議院の付帯決議の趣旨等に基づき、受注者に対して「市発注工事施工についての留意事項」の周知を促すなど、引き続き指導してまいります。

    6. (6)市発注の一定金額以下の工事等に、市の競争入札参加資格のない市内業者に直接発注する「小規模工事等契約希望者登録制度」がはじまった。しかし、市からの発注数そのものが少なく、制度を生かし切れていない。制度の活用を広く庁内に徹底し、市全体として、中小業者の仕事づくりを進めること。また、金額については、06年4月より所管課契約の金額を50万円未満に引き上げられており、現行31万5千円以下を当面50万円未満に引き上げること。

      (回答)
      西宮市小規模修繕契約希望者登録制度は、西宮市契約規則に基づく資格審査を受けていない市内中小業者の受注機会を拡大することにより、中小零細企業の育成を図り、市内経済の活性化を図る目的で平成18年7月より試行開始しました。
      当初、登録者数は67社でしたが、その後追加登録申請を受付け、計72社となりました。有効期間は2年間で、平成20年6月末にその有効期限が到来するため、同月に次の2年間有効の登録申請を受付けましたところ、42社の申請があったところです。
      登録名簿は工事発注担当課に送付するとともに、市のホームページでも公開しています。
      契約実績は、平成18年度が15件で金額にして133万4,592円、19年度が34件で390万740円です。19年度は18年度と比較して、件数が約2.5倍、金額が約2.9倍となっています。
      今後とも、工事発注担当課に当制度の活用を呼びかけていきます。
      また、今後の状況をみながら、金額の引き上げも検討してまいります。


  8. 8、公共事業において、「安かろう、悪かろう」や「ワーキング・プア」を作り出してはならない。公共工事・サービスの質の向上と従事労働者の適正賃金など処遇の改善が求められており、公契約ルールの確立をはからなければならない。以下のことに取り組むこと。
    1. (1)市からの工事、管理、委託などすべての受注業者に対して労働組合法など労働三法を契約書に明記し、遵守するよう周知徹底すること。

      (回答)
      契約書類への明記については、新財務会計システムの稼動にあわせ、平成21年度以降、業者の誓約書において「従事者の労働条件、災害補償など労働福祉を確保するため、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法、労働者災害補償保険法、労働安全衛生法、雇用保険法など諸法令を遵守する」旨を明記し、周知を図っていきます。

    2. (2)入札について、今年度より簡易総合評価方式が導入されている。今後、労働者の賃金・労働条件を保障する「評価基準」を設けた総合評価型入札制度を導入すること。

      (回答)
      平成19年11月1日より「西宮市建設工事総合評価競争入札試行要綱」を定め、これまで簡易型8件、高度技術提案型1件を試行実施しています。評価基準の中に「労働者の賃金や労働条件の保障」に関する項目を採用することについては、発注工事の特性などを考慮し検討していきます。

    3. (3)高齢者や障害者を多く雇用している事業者との契約については、雇用確保の観点から、一定配慮すること。

      (回答)
      障害者雇用については「西宮市障害者雇用促進企業及び障害者支援施設等からの物品等の調達に関する取扱方針」を定め、平成19年12月1日から特例随意契約を行っています。また、高齢者雇用については、シルバー人材センターに対し、地方自治法施行令第167条の2第3号を適用し、随意契約を行っています。

    4. (4)公契約条例を制定すること。そのために、担当課もきめ、早急に調査研究をはじめること。

      (回答)
      入札参加業者の不当に低い金額で応札する、いわゆるダンピング受注に対しては、適正な履行を補償する最低制限価格の設定や、最低制限価格の引上げなどで対処していくよう検討を行っていきます。賃金などの労働条件は、雇用元と労働者間で決定するものですが、市としても最低賃金の確保や労働基準法などの労働関係諸法令の遵守について、今後とも指導を行っていきます。

    5. (5)東部総合処理センターの管理運営について、民間委託し長期契約を行った。その契約期間は20年間とあまりに長期すぎる。今後このような長期契約はしないこと。

      (回答)
      東部総合処理センターの建設は、市にとって数十年に一度とも言える大型の事業であるため、事業方法については時間をかけて検討を行い決定されたものであります。契約・検査課は、この決定された内容に基づき業者と契約金額を決定する契約事務を担当しているものです。20年間の管理運営業務については、5年ごとの契約を行い、更新していく予定です。


  9. 9、西宮市の正規職員は、この10年間で人口当たりの人数は、約4分の3にまで削減されている。4月1日の中核市への移行により、600以上の事務委任がされており、職員不足が懸念される。福祉・暮らしや教育などの市民サービスに支障をきたしてはならない。「全体の奉仕者」として住民サービスを担うという観点から、増員すること。また、嘱託調理員、嘱託介助員、嘱託看護士、老人ホーム嘱託職員、嘱託司書などの常勤的非常勤職員は、労働時間数に違いがあるだけで労務内容は正規職員となんら代わりがない。待遇は正規職員と均等にすること。特に、給与面では、兼業の必要がないよう、生活の成り立つ額に改善すること。

    (回答)
    本市は現在第3次行財政改善実施計画を実施しており、事務事業や事務執行体制の見直し、再任用制度の活用等により正規職員数の抑制に努めておりますが、平成20年4月1日の中核市移行に伴う県からの事務委譲による業務量の増加に対応するため、必要な人員については配置を行なっております。行政サービスの向上や組織を維持するために、正規職員を採用し適正な人員を確保していくことは、必要不可欠なことと考えており、今後とも年次的、継続的に必要な職員の採用を行ってまいります。
    本市の非常勤嘱託職員については、勤務日数などにおいても正規職員と異なるものであり、今後も制度の趣旨を踏まえて任用してまいります。
    嘱託職員の労働条件については法令の定めなどにより、一定の措置をしてきたところであり、平成16年度には私傷病療養休暇制度を導入し、また、平成17年度には既に導入済みの介護休業制度と育児休業制度について、法改正に伴う制度改正を行い、平成19年度には0.16%の報酬改定を行うなど勤務条件の見直しを適宜行っております。
    今後とも、他都市との均衡、財政状況などを勘案して勤務条件、報酬等の条件整備に努めてまいります。


  10. 10、土地開発公社がかかえている土地は、2008年3月末時点で、2万835平米、取得金額46億9114万円(甲子園浜下水道用地5万5941平米、50億9070万円を除く)となっており、いわゆる“塩漬け土地”が今なお相当残っている。保育所や特養など、市民に役立つ施設の用地に活用するなど、早期に対策を取ること。

    (回答)
    土地開発公社の長期保有土地のうち、市が取得依頼した土地は、面積的にも一定の広がりがありますので、今後、市の事業、諸施策を推進していく上で、地域のまちづくりにも合致した活用が図れないか検討してまいります。


  11. 11、職員人事について
    1. (1)職員の能力や指導力に応じた適材、適所で公平、公正に行なうこと。また、労働組合活動を理由とした昇進、配置などの差別は絶対行わないこと。

      (回答)
      職員の人事異動に当たりましては、業務の固定化や士気の低下を防ぎ、業務の能率的遂行を図ることや人材の養成、活用などの観点から、適材適所を基本に職員配置に努めているところです。
      今後も引き続き、職務遂行能力、各職位が要求する能力、意欲、適性など客観的な把握に努め、公平、公正で適材適所の人事配置を行ってまいります。

    2. (2)2008年4月1日現在で、西宮市の事務職員における女性の比率は24.1%となっている。係長級以上の管理職での女性の占める割合は12.4%で、前年より1.0ポイント上昇しているが、極めて低くなっている。特に上級の管理職をふやせるよう環境作りや女性管理職の育成などに取り組み、積極的に登用すること。

      (回答)
      女性職員が政策形成や意思決定の場に参画し、その意見や能力を行政施策により一層反映させていくことは、男女共同参画社会を推進する行政の立場からも重要であると考えております。
      職員の管理職への登用については、年齢や性別にとらわれず、公平で客観的な登用を行うよう意を用いているところでありますが、家庭や育児と仕事との関係においての女性の負担を増大させないような環境作りも必要であると考えています。
      今後も引き続き、女性の働きやすい勤務環境の整備に留意するとともに、職務遂行能力や職務への適性、仕事に対する意欲等を総合的に判断して、女性職員の管理職への登用を図ってまいります。

    3. (3)障害のある人の雇用を広げすすめること。特に視力障害者の採用についてはまったく積極性にかけている。コンピューター化が進んでいるなかで民間職場ではコールセンターで活躍している視覚障害者もいる。早急に職域の開発を行うこと。

      (回答)
      障害のある人の職員採用については、昭和63年度実施の採用試験から「身体障害者を対象とした事務職」という採用区分を設け、毎年度継続して採用に取り組んでまいりました。今後も定期的な採用を続けるとともに、採用にあたっては重度の障害のある人にも意を用い、採用後も幅広い職場への配置に努めてまいります。
      また、視力に障害のある人の採用については、一部の職種で実施した経過がありますが、行政の中では非常に限られた職域であるため多くの課題もあります。新たな職域開拓ついて、今後も他市の状況等の把握に努め、研究をしていきたいと考えております。

    4. (4)すべての職員に、研修の機会を均等とすること。

      (回答)
      地方分権の進展の中、中核市となった本市に求められる行政需要は複雑化・高度化しており、職員一人ひとりに対し、常に職務遂行能力のレベルアップが求められています。このため、全職員を対象に、基本研修、派遣研修、職場研修、自主研修と体系的に様々な研修を実施し、職員に求められる様々な能力・知識・技術の向上に引き続き努めてまいります。

    5. (5)今後も団塊の世代が大量に定年退職をむかえる。なかでも管理職の相当数が退職することになるので、後進の人材育成などを早急に進め、市民サービスに影響が出ないようにすること。

      (回答)
      団塊の世代・管理職の大量退職が続く中、組織力・職務遂行力の低下を防ぐため、管理監督職に対し、昇任時をはじめとして部下育成やマネジメントなどの研修内容の充実を図ります。
      また、次代を担う中堅・若手職員等についても、基本研修や派遣研修等で様々な研修の機会を提供し、幅広い視野を持つとともに多様化・高度化する市民ニーズ・行政課題に的確に対応できるよう能力の向上を努めてまいります。

    6. (6)職員の在職死亡や長期にわたる病気休業が見受けられる。特に、メンタルケアの必要なケースも多い。職場環境の点検を行うとともに、人的配置や人事管理を適正に行うこと。また、職場への復帰支援も十分におこなうこと。

      (回答)
      人員配置や人事管理を行なう上で、職場環境や職員の健康状態の把握は欠かせないものであり、所属長等とのヒアリングや該当職員との面談を十分に行うことによって、把握に努めているところであります。
      職員の健康保持については、労働安全衛生担当とも連携を取り、各職員に対し注意を喚起しているところですが、特にメンタルヘルスの取り組みについては、重点課題として位置づけて取り組んでいくとともに、今後とも適正な人事配置や人事管理に努めてまいります。また、休職者の復職支援については、今後より組織的・体系的な実施体制の構築に向けて検討してまいります。


  12. 12、市施設について
    1. (1)耐震診断を含め、全ての市の建物について、耐震化を早期にはかること。

      (回答)
      耐震診断につきましては平成9年度から、昭和56年6月施行の新耐震設計法以前の基準により建築された建物のうち、主として「建築物の耐震改修の促進に関する法律」の対象建物であります階数が3以上で、かつ床面積が1,000平米以上の建物について年次的に実施しております。これらの建物に加え、「西宮市耐震改修促進計画」に基づき、災害時などの避難所についても耐震診断を行っております。今後も、引き続き耐震診断を実施し、早期に完了するよう努めてまいります。
      また、診断の結果、耐震補強が必要とされた建物については、耐震診断の結果を踏まえて、施設の耐用年数、補強による有効性等を総合的に判断し、年次的に補強計画の策定を進め対応してまいります。

    2. (2)エレベーターの設置をはじめ、スロープや手すりの設置など、全ての施設のバリアフリー化を早急に取り組むこと。

      (回答)
      市民が利用する施設につきましては、出来る限りバリアフリー化することを基本とし整備してまいりたいと考えております。しかしながら、一部の施設は法規制や老朽化等により整備に相当な費用を要すこともあり、対費用効果も考慮し整備を検討してまいりたいと考えております。

    3. (3)市役所庁舎の北東の出入り口(国保、年金等の窓口の近く)は、一階では唯一自動ドア未設置となっている。直ちに改善すること。

      (回答)
      出入口を自動ドアとすることは、身障者等が庁舎を利用するにあたり利便性が大きく向上することと認識しております。しかしながら、自動ドアは手動に比べ開放時間が長く、冬季、夏季など庁内環境に与える影響が大きく、本庁舎全体の利用状況を踏まえ慎重に検討してまいりたいと考えております。

    4. (4)昨年、「庁舎管理規則」が制定されたが、市民を排除する厳しいものとなっている。市民
      に対して強権的とならないよう、柔軟に運用すること。

      (回答)
      庁舎管理規則は、庁舎における公務の円滑かつ適正な執行の確保を目的としています。庁舎の適正管理の基準を定めるもので、市民の適正な庁舎の利用を禁止したり制限することを目的としたものではありません。規則の運用にあたっては、このことに留意して適切な運用に努めます。

    5. (5)東館公共駐車場について、市役所利用者は現行30分無料だが、時間が短すぎる。1時間無料とすること。

      (回答)
      現在、市役所前公共駐車場の駐車料金は執務時間内当初30分間無料としておりますが、当該駐車場の年間売上に占める無料扱いによる収入減の割合は約20%と大きく、都市整備公社においては、当該駐車場建設時の借入金の返済がある中で、経営上の大きな負担となっております。これを1時間無料にいたしますと、更に年間売上の約10%にも当たる減収が見込まれ、景気の低迷等により経営環境が悪化している現状では実施は困難であり、市としましても、外郭団体につきましてはその独立性とともに経営基盤の安定化を課題としており、補助金等の交付による1時間無料化は困難であると考えます。