HOMEへ
2009年度予算要望書
2008年09月03日

都市局


  1. 「第4次総合計画」(素案)では、10年後の人口推計を509,000人としており、審議会では、一定の規制を行って抑制すべきという意見がある。その背景には、市が震災後マンション開発をしやすいよう規制を緩和し、人口が爆発的に急増したことにより、住環境が大きく損なわれる問題や、学校や保育所、高齢者施設などが不足し、市民生活に大きな不安を与えていることがある。また、大型店舗の増加も同様に、小売店や生活環境に大きな影響が出ている。こうした事態に至った無計画さを十分反省し、用途地域の変更も先手を打って行いながら、これ以上の人口増とならないよう、関係部局と十分調整をし、文教住宅都市にふさわしいまちづくりをおこなうこと。

    (回答)
    震災後、市内では、大規模な工場等や企業の福利・厚生施設の跡地などを利用した住宅開発や商業施設開発などが多く行われ、都市の環境は大きく変化しました。こうした中、マンション等の開発については、「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」により、公共施設等の整備やその他必要な事項を定め、良好な住環境の形成及び保全、並びに安全で快適な都市環境を備えた市街地の形成を図るよう事業者に要請してまいりました。また、教室数が不足し児童の受入れが困難な学校区において、一定期間、共同住宅等の住宅開発を抑制する「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」や、商店街などのにぎわいが失われつつある駅前などの商業系用途地域(高容積地区)において、商業環境の維持育成等を目的とした「高容積地区での土地利用適正化に関する指導要綱」などを制定し、指導しております。
    更に、平成18年度に行った用途地域等の変更では、「高度地区」や「特別用途地区」を活用して、全市的に建築物の高さ制限の強化を行うとともに、甲子園球場の周辺における風俗営業の制限や酒蔵地区における大規模小売店舗など地域環境を阻害する用途を制限することとし、健全な都市の形成に努めています。
    今後とも、「西宮市総合計画」や「西宮市の都市計画に関する基本的な方針」に基づき、西宮市が、文教住宅都市を基調とする個性的な都市となるよう努めてまいります。

  2. マンション等の開発については、「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」や2005年4月施行の「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」で一定の開発抑制策をとり、その後も開発抑制指定地域の拡大をはかっているが、1、で述べた通り学校の教室不足は一向に収まらない。特に、要綱で「受け入れ困難予測地区」と指定されても、実質的な規制効果策は打たれないため、人口増となっている。マンション開発規制を進めるために以下の取り組みを行うこと。
    1. 同要綱を条例にするとともに、緊急に地区指定の規制強化へ見直しを行うこと。
      また、思い切って、一定期間市全域を規制対象地区とすること。

      (回答)
      「教育環境保全のための住宅開発抑制に関する指導要綱」は、児童・生徒数の急増により教室数が不足している学校区において、事業者に対し住宅開発を抑制するよう協力を求めるものであり、全市域において住宅開発を抑制する必要があるとは考えておりません。また、地区指定の見直しは、年2回行っており児童の受入が困難と判断した時点で適切に地区指定の見直しを進めてまいります。なお、要綱の指導内容は、都市計画法で優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とされた市街化区域内での開発を制限するものであり、条例にすることは困難と考えます。
    2. 一定規模以上の開発については、他市で実施しているように公園や緑地の提供、教育施設などの公共施設整備のための協力金の拠出を求めること。

      (回答)
      区域面積が5ha以上又は計画戸数300戸以上の大規模開発事業については、周辺環境に与える影響が大きいことから、「開発事業等におけるまちづくりに関する条例(以下「開発条例」という)」により、適切に公共施設等の整備を図るとともに、その他周辺の都市環境の確保を図るため、「大規模開発に伴う協力要請に関する指針」に基づき、開発事業者に公共公益的な施設整備等について協力要請を行うようにしております。
      開発協力金については、昭和57年以降、国から開発指導要綱の行き過ぎ是正に関する通達や指針が何度も出されたことや、その受入及び使途の適正化並びに収支の明確化を指示され、是正を徹底するよう指導の通達を受け、廃止した経緯があります。
    3. 10戸以上のマンションを建設(第1種中高層住居専用地域)する場合には、1戸あたりの必要敷地面積を50?以上とし、戸数規制をすること。

      (回答)
      共同住宅の戸数規制といった開発密度の規制は、本来、都市計画法に基づく容積率制限等で対応するべきものであり、条例等による共同住宅の戸数規制は考えておりません。良好な住環境を確保することが必要な場合には、地区計画制度や建築協定制度など既存の法制度を活用することを推奨し、支援を行っております。
    4. 建築基準法で容積率の対象外となっているマンションの居住室以外の廊下・階段室・駐車場などについても学校・事務所と同等の容積率内に収めるよう市の独自基準を規定すること。

      (回答)
      建築基準法において、共同住宅の共用の廊下又は階段の用に供する部分の床面積や、駐車場・駐輪場などの用途に供する部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積には算入しない(ただし、駐車場などは延べ面積の5分の1を限度に緩和)とすると規定されており、市独自の条例での規制は困難と考えております。

  3. 阪急西宮スタジアム跡地開発については、今秋、阪急ガーデンズがオープンすることにより、広範囲にわたる交通処理等に十分対応すること。また、北口線と球場前線の交差点については、人と自転車の平面横断の安全確保から、歩車分離信号とし、4方向すべての安全対策を図ること。

    (回答)
    阪急西宮ガーデンズに起因する交通量増加等の交通処理対策に対処するため、兵庫県と西宮市では、公安委員会との協議も踏まえて効果的な対策を講じるよう開発事業者に対し要請してきた結果、事業者は、交通処理計画に基づいて、北口線の拡幅整備や山手幹線の中島町、高松町南、両度町南の各交差点において車線の追加等の交差点改良を実施し、公共交通利用促進策についても行うこととしています。
    また、開業後の想定外の交通量に対する対策についても兵庫県、公安委員会と連携をしながら開発事業者に対し、その対策について徹底するよう要請していきます。
    北口線と球場前線の高松町交差点については、阪急今津線高架化の完成時期である平成22年度末に向けて円滑な道路交通の確保を図るため、踏切での一旦停止を解除できる「踏切信号機」の設置と「スクランブル方式」等の歩車分離制御が実現できるように、兵庫県、公安委員会と協議を進めていきます。

  4. 阪神西宮駅北側駅前広場整備事業を「第4次総合計画」の前期に実施しようと」している。同地区は
    阪神電鉄によって一定の整備がすでになされており、これ以上市による整備の必要性はない。市民の要望
    もなく、阪神電鉄所有の分散した土地の集合のためとしか言えない同事業は、撤回すること。

    (回答)
    阪神西宮駅周辺地区は、本市の都市核に位置づけられており、阪神連続立体交差事業と共に、駅の北地区と南地区が一体となったまちづくりを進めていく必要があると考えています。
    駅の南地区については再開発ビルのオープンや、平成19年度に駅前広場が整備され、一定のまちづくりが出来たと考えております。
    しかし現在、駅の北地区のバスターミナルの状況は、阪神電鉄(株)の所有地ということで直近の寄り付きは阪神バスと阪神タクシーに限られ、一般車等については一定の利用の制限が生じております。また、周辺道路との状況から歩行者がバスターミナルを乱横断するケースや、エビスタ駐車場へ進入する一般車や阪神タクシーと駅へ向かう多くの歩行者、自転車が錯綜するケースが頻繁に生じているほか、リムジンバス等の乗降場がバスターミナルから離れていることも、利用しにくいものとなっています。
    一方では、最近になり関電不動産(株)がマンション建設をするなど、企業が駅前の未利用地を有効利用する動きがでてきております。そして平成18年の夏には、阪神電鉄(株)が自社敷地を含めて一般車や一般タクシーの乗り入れできない西宮市の玄関口としてふさわしくない小規模な駅前広場を含めた開発計画を提出してきました。市としては、バリアフリー化や公共交通結節点機能を強化することにより、歩行者や車両の利便性や安全性の向上と共に、南北駅前が一体となった街の活性化を図るという観点から平成20年度に実施したアンケート調査の結果を踏まえ、事業手法や事業区域について幅広く検討を進めているところです。

  5. 開発指導について
    1. 「開発事業等におけるまちづくりに関する条例」(以下開発条例という)に基づく事業者による住民協議に対しては、市民の立場に立った指導を徹底し、同意を求めるまでには至らなくても、それに近い協議ができるよう先進例も研究し、市として新たなしくみを検討すること。

      (回答)
      専門知識のない市民の問いかけには分かりやすく説明し親身になって助言を行うよう心がけています。開発条例では「事業主は、住民等の協議に際しては、当該計画について紛争の生じることのないよう努めなければならない。」と規定しており、事業主に住民協議等の趣旨を理解していただくよう指導しています。
      望ましい住民協議のあり方については、今後とも先進事例を参考に研究してまいります。
    2. 近隣住民協議が終了したとする標識記載写真報告(いわゆる朱書き)は、状況に応じて部局長の意見も聞き判断するとしているが、依然として住民の理解を得る協議終了となっていないにもかかわらず、朱書きが強行される事例がある。手続きを進める際は、住民の意見もよく聞くなど改善すること。

      (回答)
      事業主から近隣協議終了の報告を受けた後、近隣協議の状況に応じては部長・局長の意見を聴いたうえで、総合的に判断し朱書きを認めることにしています。事業主に対して朱書きの指示を行う際には、近隣協議報告書の内容を精査し、説明対象者に漏れがないか、住民の意見・要望に対して十分な検討がなされ回答を行っているか、最終の計画を周知したかなどについて確認しております。
      なお、近隣協議の最終段階で、近隣住民等と事業主との当事者間の協議が平行線をたどるに至った場合には、近隣住民等に「開発事業等に係る紛争調整に関する条例」の外部調停委員による調停制度を紹介するなどの助言を行っております。
    3. 開発条例では「開発区域に接する道路は6m(中心点より3m後退)に拡幅すること」と規定しているが、開発区域への進入道路については「・・・市長が認めたとき・・・」には6m未満でも開発を認めている。その結果、工事用車両はもとより、消防車両(はしご車等)の通行も制限され、近隣住民に多大な被害がおよんでくる。これは良好なまちづくりという観点からも問題である。地域外の道路についても最低6mを確保するよう行政指導を強めるとともに、それができない場合は開発を認めないこと。

      (回答)
      開発区域への進入道路については、開発条例施行規則で、予定建築物の用途及び開発区域の規模の区分に応じて6mから12mの基準を定めております。ただし、開発区域の規模及び形状、開発区域の周辺土地の地形及び利用の形態並びに道路の状況により、この基準によることが著しく困難な場合で、環境の保全、災害の防止及び通行の安全に支障がないと市長が認めたときはこの限りではないとしております。
      本ただし書き規定の運用については、平成20年9月議会において、より明確なものに改めるよう指摘を受けており、具体の基準づくりに向けて検討を行っております。
    4. 地球温暖化対策の緊急な取り組みが求められている。建物の屋上や壁面の緑化を推進とともに、小規模マンションや戸建て住宅にも雨水貯留槽設置、太陽光パネル設置を促進するよう、市の助成制度も創設し、指導すること。

      (回答)
      建築物の屋上や壁面の緑化については、兵庫県の「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、市街化区域内で建築面積が1,000?以上の建築物を建築する際に届出が必要であり、緑化基準に基づいて屋上や壁面等の緑化を指導しております。
      開発事業を契機とした雨水の活用方策について、開発区域が5ha以上あるいは計画戸数が300戸以上の大規模な開発事業に関しては「大規模開発の伴う協力要請に関する指針」に基づき、必要に応じて雨水貯留槽等の整備を要請しています。
      小規模マンションや戸建住宅に関する雨水貯留の促進方策に関しては、他市の事例も参考に検討を進めてまいります。
      太陽パネル設置の促進方策については、兵庫県(兵庫環境創造協会)で助成制度があり、市の助成制度については考えておりません。
    5. 集中豪雨によるマンションの浸水対策が指摘されている。地下式駐車場・エントランス等への止水板設置や排水施設(ポンプ)の義務化など、必要な条例改正を行うこと。

      (回答)
      開発条例では、「開発事業を行う事業主は、地形、地質その他の地盤条件の調査を十分に行い、地震、火災、浸水その他災害に対する対策を講じるよう努めなければならない。」とし、施行規則において「ピット式や地下駐車場等を設置する場合は、浸水対策を考慮した計画とすること。」と定めております。
      小規模開発事業については「地下室その他これに類するものを設置する場合は、止水板の設置その他浸水対策を講じること。」と規定しております。

  6. 阪急西宮北口駅南地区土地区画整理事業地内のサティ跡地の利用については、現段階では駐車場への土地利用が進んでいる。今後は市として、芸文街区の一角として、整合性をもったものになるよう注意を払い指導すること。

    (回答)
    西宮サティ店は、平成17年10月に建物の解体工事が完了し、以降3年余り建物のない状態が続いております。市としては、今後も兵庫県と連係を図り、芸術文化センターの隣接地にふさわしい土地利用がされるよう、土地所有者に要請を行ってまいります。

  7. 今秋の阪急ガーデンオープンはフレンテの売り上げにも大きな影響を及ぼすことが目に見えている。
    JR西宮駅南再開発ビル(フレンテ)の管理会社・西宮都市管理株式会社に対し、市は2000年度から毎年約10億円の貸付を無利子で行なってきている。現在わずかの利子を取るようになったが、管理会社の経営については出資企業が責任を持つのが当然であり、支援が必要であれば出資企業にも応分の負担を求めるべきである。市の貴重な一般財源であり、貸付は直ちにやめること。また、管理会社所有の駐車場床を市がどんな名目を以ってしても購入しないこと。

    (回答)
    西宮都市管理株式会社は、市施行の市街地再開発事業で、整備されたショッピングセンター「フレンテ西宮」をはじめ、住宅など施設の運営管理を行なうため設立された会社で、設立当時の駐車場床を始めとする資産取得のための銀行からの借入金による利子負担が大きく、また、景気低迷に伴う売り上げ不振により累積赤字が拡大しておりました。
    こうした状況の下、市は筆頭株主であることから平成12年度より無利子貸付けによる支援を行っております。また、他の大口出資者である「コープこうべ」からは駐車場の運営についての支援、住友商事からは毎年のリ・リース床の賃借料の減額、又、三井住友銀行からは借入金を一括返済した時の保証金について減額してもらうということでそれぞれ協力していただいております。このことにより、平成12年度より単年度の経常的黒字計上となったことを受け、平成18年度から市の貸付けは、有利子貸付としました。しかしながら、最近の大型店舗の進出、また平成16年度から始まった建設協力金の返還、核テナントである「コープこうべ」の閉店(予定)と経営は厳しい状況にあるため、一定の整理がつくまで、市の貸付による支援が必要と考えています。
    なお、市が駐車場床を買い取ることについては現在考えておりませんが、今後、この点も含め関係部局とも協議し、判断していきたいと考えております。

  8. 生産緑地は、都市部での緑地の保全や災害時の避難場所等の役割を果たしている。ところが近年、土地所有者が相続税対策等で生産緑地を解除し、減少し続けている。営農家だけにまかせるのではなく、市としても都市政策の立場から、必要な手だてをとること。また、要望があれば追加指定をすること。

    (回答)
    生産緑地地区制度は、災害の防止、緑地、オープンスペースの確保といった観点から市街化区域内にある農地を保全し、良好な生活環境の形成を図ることを目的とする都市計画の制度です。
    平成16年5月には、市街化区域内の農地が減少している現状を鑑み、生産緑地地区の追加指定を行ったところです。今後は、市街化区域内における公園、緑地その他の公共空地の整備の状況等や全国的な都市部における農地の取り扱い状況を見守りながら対応してまいります。

  9. 阪神甲子園駅へのエレベーター設置、及びJR西宮名塩駅の改札口までに、下りエスカレーターを設置するよう、関係機関にはたらきかけること。
    (回答)
    阪神甲子園駅へのエレベーター設置については、現在、行なわれている連続立体交差事業の進捗に合わせて整備が行なわれるよう、阪神電鉄に対し要望していきたいと考えております。
    JR西宮名塩駅の下りエスカレーターについては、これまでにもJRに対し、設置の要望を行っているところですが、JRは、改札口の外側に設置する構外エレベーターなどの施設については、駅利用者のための施設であっても、地元自治体が整備すべきとの考え方を示しております。
    しかし、市としては、駅構内のエレベーター設置の際には、既に補助金を交付しており、新たに設置する構外エスカレーターなど、鉄道利用者が利用する施設の整備については、鉄道事業者の責務と考えており、ご要望の下りエスカレーターについては、引き続き、JRに対して要望してまいります。

  10. 市民の社会参加促進、また地球環境への負荷軽減からバス交通の充実は重要課題である。しかし、市としての市域全体に対する「やる気のある」交通政策がまったく感じられない。地域交通の柱となるバス交通について、以下の項目に本気でとりくむこと。
    1. 市内交通不便地域を公表するとともに、この解消に向けた調査など、市としての取り組み方針を明確にすること。

      (回答)
      市は、これまでにも市内の公共交通について、各種の調査、検討を行っきており、交通が不便と思われる地域についても一定の把握はしております。しかしながら、交通不便地域には明確な定義がなく、地形などによっても異なるため、固定的な基準で不便地域を設定することは難しい状況ですが、現在、地元自治会等の協力を得て実施している塩瀬地域での交通実態調査の結果や地元での検討状況なども踏まえながら、引き続き、市内の公共交通に関する調査等について、取り組んでまいりたいと考えております。
    2. 北部と南部を結ぶ南北バスの本格運行が決まった。今後は赤字を理由に撤退することなく、市が責任をもって運行すること。また、地元の財政力のありなしで、バス交通の実施を決めることがないようにすること。

      (回答)
      さくらやまなみバス事業は、山口地域と南部地域を連絡する幹線バス路線として位置づけており、山口地域の活性化や本市の南北市街地の均衡ある発展に寄与するものと考えております。市としても、このバス事業が持続可能な事業となるよう、地元やバス事業者とも継続的な連携を図りながら、利用促進策を実施し運行赤字額の縮小に努め、将来的には黒字への転換を目指していきたいと考えております。
    3. 北部の住宅開発地区では高低差があることと合わせ高齢化が進んでいる。現在、塩瀬地区で順次実態調査を実施しているが、コミュニティバスの要望が多く出されており、順次導入を図ること。

      (回答)
      現在、市では、今後のコミュニティバスのあり方等についての検討を行うため、市域の中でも交通条件の厳しい塩瀬地域のうち、運行要望の強い地区において、アンケートによる交通利用実態調査を実施しているところです。アンケート調査を実施した地区のうち、青葉台自治会においては、アンケート調査の結果を踏まえ、地元が活動主体となったコミュニティバスの検討組織が設置されております。
      市としては、地域に密着したコミュニティバスの導入に当っては、まず地元が検討組織を立ち上げ、取り組まれることが望ましいと考えており、現在、行っているアンケート調査が一つの契機となって地元機運が高まり、こうした組織が立ち上がり、新規バス路線の導入の検討が行われる場合には、市として協力、支援を行っていきたいと考えております。
    4. バス交通問題の検討には市民の要望をよく聞き、意見や提案を取り入れられるよう、広く検討委員会を立ち上げ市民代表も参加させること。

      (回答)
      さくらやまなみバス事業については、運行内容や利用促進施策の検討を行うとともに、国庫補助金を受け入れるため、市民代表、学識経験者、バス事業者、国・県・市の行政関係者等から構成する「地域公共交通活性化協議会」を設置する予定です。今後、地域における新たなバス路線の導入等が具体化し、補助事業として国の支援を受ける場合には、関係者等との協議調整が必要となるため、この協議会の場を通じて検討したいと考えております。

  11. 浜甲子園団地の建替え事業が行なわれているが、都市再生機構まかせで市のまちづくりに対する主体性がみられない。建て替えによる余剰地が民間に売却されることによって、これまで築いてきた地域コミュニティが分断されないよう、また安心して住み続けられるようさまざまな配慮を行うこと。

    (回答)
    浜甲子園団地建替え事業については、平成20年5月に第?期の戻り入居が完了し、現在、第?期2ブロックの建物解体を行うなど、第?期事業の準備を進めているところです。
    市としては、今後も、安全で快適な市街地の再生が図られ、居住者が安心して暮らし続けられるとともに、余剰地の活用についても、景観や周辺環境などに十分配慮したものとなるよう、都市再生機構や地元自治会等と協議しながら進めてまいります。

  12. 市営住宅について
    1. 市営住宅の管理については、北部は民間会社、南部を都市整備公社が指定管理者となっているが、個人情報の保護や福祉の観点から市民にとっては大きな不安が残る。また、北部の指定管理者(管理センター)に改善や苦情を伝えても、直営の時と比べ「時間がかかる」実態がある。今後の推移のなかで直営に戻すことも検討すること。

      (回答)
      北部地区の市営住宅の管理については、業務開始前に3ヶ月間の研修期間を設け指定管理者に管理ノウハウを伝達するとともに、業務開始後も定期的に情報交換の場を設けるなど、指定管理者が適切に管理業務を実施できるよう市が指導助言を続けています。
      また、個人情報管理については、8月には指定管理者の業務実態について住宅部で監査を行い、問題なく管理されていることを確認しています。
      なお、平成25年度以降の管理形態については、南北2地区の指定管理者の比較も含めて実績を検証し、個人情報の保護と福祉の観点に留意しつつ、より効果的かつ効率的な住宅管理の方法を選択してまいります。
    2. 「貧困と格差」が広がるもとで、年々市営住宅への入居希望者が増大している。市は今後の総管理戸数を、いまの1万戸から7,300戸程度に減少させることを表明しているが、市民の願いに逆行している。福祉的観点からも市営住宅を増設して市民の期待にこたえること。また、老朽団地の建て替え計画の一環として甲子園9番町住宅の建て替えが進められることになったが、戸数は従前居住者分のみとしている。利便性の良い団地として、戸数増を再検討し、一般公募とすること。

      (回答)
      市営住宅の管理戸数は、震災後の大量供給により約7,300戸から約1万戸に増加する一方で、老朽化した市営住宅の用途廃止を行うことができないまま、現在に至っています。甲子園九番町住宅等の建替え事業では、近隣の住宅も含めて老朽住宅の入居者に新しい住宅を提供し、老朽住宅の用途廃止を進めることで管理戸数を徐々に震災前の水準に戻すことを目指しています。
      なお、甲子園九番町団地の戸数増については高さ制限の問題もあり、現在の予定戸数を大幅に増加させることは困難です。
    3. 空き家募集の際、多回数落選者優先を復活させること。

      (回答)
      最近の空き家の応募状況を見ますと、平成20年5月は89戸を募集し総応募倍率9.66倍(最高88.5倍ルネシティ西宮津門、次位57倍ルゼフィール西宮丸橋、田近野など0倍)、平成20年10月は98戸を募集し総応募倍率7.85倍(最高58倍高須町1丁目シルバー住宅、次位57倍東町1丁目、一ヶ谷など0倍)など、新しい住宅や交通の便の良い所が好まれ、古くて交通の便が悪い所が敬遠されるという傾向が顕著であります。
      また、多回数落選者の優先枠の設定を行っている他市の状況として、大阪市が平成19年1月の事業分析において「11回落選者特別措置制度は、多回数応募者が倍率の高い住宅を申し込んでいる傾向があり、多回数落選だけを目的に応募していることも考えられ、落選回数が多いというだけで住宅困窮度を判断することが必ずしも適切とは言えない」として見直しを行っています。また、県や神戸市では、多回数落選者優先枠を設けていることから、高齢者・障害者の枠が少なくなり、結果として応募倍率が高くなったり、多回数の中でさらに多回数の人の優先枠を設定しなければならない状況になっているとのことです。
      このような状況から、他市の状況も参考にするなど、引き続き研究をしてまいります。
    4. 既存市営住宅のエレベーター未設置住宅には早急に設置すること。その際、エレベーターの電気代負担がネックになり、入居者全員の合意形成が整わない事例が多くある。個々のドアまでは公共空間という観点から、改良住宅ではエレベーターに係る電気代を徴収していない実態に合わせ、すべての団地でエレベーター設置による電気代徴収をやめること。

      (回答)
      階段型市営住宅のエレベーター設置については、エレベーターの設置が完全なバリアフリーには至らないこと等の理由から、設置に当たって棟ごとに入居者の合意形成を必要としています。これまで、数度にわたり入居者説明を行ってまいりましたが、電気代負担とともに、家賃算定の際の経過年数係数が上昇すること、見通しが悪くなることに伴う防犯上の問題など、さまざまな理由により地元の合意形成には至っておりません。
      エレベーターの電気代については共用部分の維持管理費用であり、入居者に負担はしていただくべきものと考えております。また、改良住宅との相違につきましては、市営住宅と同様の取扱いをする方向で取り扱うべきものと考えておりますが、具体的な徴収方法等の課題について引き続き研究してまいります。
    5. ふすま等の改修は、住宅によって改修期間の相違がある。期間の短いほうに早急に基準をそろえること。

      (回答)
      既設市営住宅の住環境を維持保全するため、計画的に改修工事を進めておりますが、ふすまについては、改修方法の違いから改修期間が異なる住宅があります。今後、改修方法につきまして統一化を図るため、調査をしてまいります。
    6. 不正入居者、住宅明渡し義務者に該当する高額所得者については、市が主体性を持って期限を切って明け渡しを迫るなど断固とした態度で対処すること。公務員で該当する者については早期に退去させること。万一、市職員で該当者がいる場合は公表すること。

      (回答)
      不正入居者に対しては、居住実態の確認を行った上で退去や住宅明渡しの指導を行い、退去や明渡しに応じない者に対しては、期限を切って住宅の明渡し等を求める訴えを提起し、最終的には強制執行を行っております。また、高額所得者については、世帯の事情調査及び特定公共賃貸住宅等移転先住宅のあっせんを通知し、個別の事情を聴取するとともに、自主的な住宅の明渡しを求めております。なお、この調査で特別な理由もなく回答がない場合は、住宅の明渡し請求を行う旨を明記した住宅の明渡し請求予告を配達証明郵便で送付するなど、住宅明渡し訴訟を見据えて厳正に対処してまいります。
    7. 市営住宅家賃等の滞納対策に関連して、所得状況などから生活保護等につなげる努力がなされている。さらに適正な指導や援助を強化すること。

      (回答)
      家賃滞納者の中でも、支払い意思のある者に対しては、家賃納付についての支払い相談・指導時に、3年分割返済の徴収猶予制度を活用しつつ、納付解決を図っております。
      また、生活困窮が理由で滞納が生じている者で、生活保護の基準に当てはまりそうな場合には、生活保護受給の申請を検討するよう助言や担当課への案内など、健康福祉局とも連携しながら納付相談を行っております。
      今後、より一層の滞納解決がはかられるように、収入申告の指導や減免制度を活用するとともに、初期滞納の段階からきめ細かく納付指導を行ってまいります。
    8. 名義承継は配偶者に限るようにとの国の通知があるが、低所得者の追い出しにつながり新たな住宅困窮者を生み出すことになる。引き続き慎重に対応すること。

      (回答)
      市営住宅を長年にわたり同一親族が居住し続け、入居者と非入居者間の公平を著しく損なっているとして、国交省から、平成17年12月26日付け通知により、入居承継の承認を受けられる者は、「同居人である配偶者及び高齢者、障害者等で特に居住の安定を図る必要がある者」に限定されました。
      国は法改正、施行規則の改正を行っておらず、指針・ガイドラインとして示したものであり、入居承継できない者が住宅に困窮する低所得者の場合、法の趣旨に反するとの考えもあり、明渡し訴訟になった場合、市が勝訴できるとは限らないと考えております。
      従いまして、西宮市においては法令改正されない現状では、即適用することは困難でありますが、今後、神戸方式(新たに入居される方や名義承継・同居承認の際に誓約書の提出を条件としている方式)なども参考にしながら、慎重に検討していきたいと考えております。
    9. 広田町団地の通路は排水が悪く、また狭いために救急車や消防車など緊急車両が入れない。側溝や通路拡幅など改修を早急に実施すること。

      (回答)
      管理している市営住宅の中で、緊急車両等の大型化により現況通路幅員では円滑な車両の通行及び安全性に支障をきたす箇所があります。このような団地について、現在拡幅工事を計画的に進めており、広田町団地は計画予定箇所と考え、前向きに検討しております。
      なお、通路拡幅の際には、側溝を含めて改修するため、排水の性能は向上します。

  13. 都市整備公社が管理する特定優良賃貸住宅は、空き家が増加していたが、入居促進のため新規入居者の家賃を一定引き下げるキャンペーンを06年10月から実施して、空き家率が減ってきている。しかし、オーナーへの契約家賃保障という制度から、公社に対して一般財源を2007年度では3800万円補助金をつぎ込む深刻な事態となっている。引き続き入居率向上のためにもと建物所有者との家賃改定を進め、一層改善を図ること。また、20年の管理期間経過後は、建物所有者にすべて返還すること。

    (回答)
    都市整備公社が管理する特定優良賃貸住宅12団地・283戸は、平成18年10月から入居者対策として、個々の団地の空き家状況に応じた効果的な特別減額等を実施しており、入居率並びに収支も大幅に改善しております。
    しかし、建物所有者からの一括借上方式のため、空き家分の家賃等も公社が建物所有者に保障する必要があることから、赤字を減らす努力にも限界があり、市としては、一定の財政的支援は止むを得ないものと考えております。
    家賃の改定については、入居者負担を軽減するため建物所有者に協力を求め、平成20年10月現在、12団地中11団地の家賃改定を終えております。残り1団地についても、本年12月から改定することで合意を得ております。
    また、20年間の借上げ期間満了後の対応についてでありますが、建物所有者との「一括借上賃貸借契約書」に基づき、返還の手続きを進めてまいりたいと考えております。

  14. 青年や高齢者をはじめとする低所得者層での住宅困窮者に対しては、市営住宅や特定賃貸住宅の空き家で対応しようとしているが、倍率が高くさらに高額な家賃などから現実的対応とはいえない。市として、民間賃貸住宅家賃補助制度を創設し、支援すること。

    (回答)
    青年や高齢者をはじめとする低所得者等の住宅困窮者に対する住宅確保については、市営住宅の適切な供給を図るとともに、既存制度の活用により引き続き対応してまいります。
    また、民間賃貸住宅への円滑な入居を図るための情報提供や相談窓口などといった施策について、兵庫県とも連携しながら検討してまいります。

  15. 全国で地震災害が相次いでおり、住宅の耐震化が求められている。しかし個人住宅の耐震化は遅々として進んではいない。現在、県の耐震診断と耐震補強についての補助制度があるが、さらに個人住宅の耐震化を促進するためにも、市として「耐震推進住宅リフォーム制度」を創設し支援すること。

    (回答)
    安全・安心な住い・まちづくりを推進するため、平成17年度に昭和56年5月以前に建築された住宅を対象とした「簡易耐震診断促進事業」を創設するとともに、兵庫県が平成15年度から実施している「わが家の耐震改修促進事業」と連携しながら、住宅の耐震化を進めています。
    なお、「耐震推進住宅リフォーム制度」については、現行基準で求められる耐震性能を満たす本格的な耐震改修補助として、県の「わが家の耐震改修促進事業」に対する上乗せ補助と本格的な耐震改修を行えない場合を想定して、大地震時に少なくとも人命が確保されることを目的とした小規模型の耐震改修補助が可能かどうか検討しています。