杉山たかのり議員の一般質問/* --項目挿入-- */?>
2008年09月08日
山田市政最大の「罪悪」-「行革」とつくられた財政危機西宮市議会開会の直前に、福田首相が辞任を表明しました。安倍前首相に引き続き、2代続いての政権の投げ出しとなりました。自民・公明政治の行き詰まりは明瞭ですが、内政における行き詰まりの最大の原因は「構造改革」路線の破たんです。この数年来、小泉内閣以降の「構造改革」路線により、雇用の改悪、給与所得、事業者所得、年金収入などが減少を続ける一方、庶民増税と医療、年金、介護などの社会保障の改悪、負担増が続いています。「ワーキングプア」という言葉に象徴されるように、貧困と格差はひろがり、市民生活の悪化は目を覆うばかりであり、国民は政治の中身そのものの変革を求めています。戦前の日本共産党員作家、小林多喜二の『蟹工船』の爆発的なブームを内外のマスコミが報道しているのもその表れのひとつと言えます。 さて、このような国の悪政の下で、市民生活を支援することが、自治体の最大の役割となっています。ところが、山田市長は、国の悪政から市民をまもるのではなく、国の進める「構造改革」路線を、忠実に実行し、さらに市民生活の悪化に追い打ちをかけてきました。これが「第3次行財政改善実施計画」と「行政経営改革」であります。 山田市長は、1期目には馬場前市長の第2次「行財政改善実施計画」を引き継ぎ、国民健康保険料の高騰を抑制するための一般財源からの繰り入れを廃止するなどを行い、2期目には、本格的に市民のくらしを直撃する「第3次行財政改善実施計画」を2005年度より強行しました。 第3次「行財政改善実施計画」は、1年目は市長、市職員等の給与削減をはじめとした内部管理経費の削減を行い、2年目から本格的に市民サービスの見直しを行ってきました。その中身は、障害者や遺児などを対象とした市民福祉金の廃止、原爆被爆者への援護金の廃止、難病患者への見舞金の減額、重度心身障害者介護手当の対象者減、生活保護世帯への水道・下水道基本料金減免の廃止、保育所保育料、幼稚園保育料、学童保育育成料の値上げと減免引き下げ、敬老事業の見直しなどで、障害者、高齢者、生活保護受給者、子育て世代を狙い撃ちにしたものです。 改めて2004年市長選挙中の新聞各紙の報道を見てみましたが、市長候補者への新聞社アンケートの回答で、山田市長は、「今後人件費など内部管理経費をさらに切り詰め、市民サービスの低下は極力避けながら財政危機の克服に取り組み、4年でめどをつける」と答えており、さきほど紹介しました第3次の「行革」の内容はおくびにもだしていませんでした。 震災後、西宮市は、第1次、第2次と「行革」を7年間連続して継続していましたが、2004年度、つまり前回市長選挙直前はいったん中止し、市長退職金は減額することなく全額受け取り、当選後、とんでもない内容の第3次「行革」を発表するという、市長選挙の対策を熟慮した、非常に狡猾ともいえるやり方でした。 この「行革」実施の根拠としたのが、「2008年度末に財源不足が321億円になり、赤字再建団体に転落する」という財政危機論でした。このことについては、日本共産党議員団は、財政危機の原因は、震災復興に名を借りた大型開発であることを前提に、 (1)ことさら収入は少なくし支出は多く見積もり、赤字額を大きくしている (2)毎年20億円程度生じる決算剰余金が反映していない (3)ムダな大型公共事業にメスを入れれば、市民サービスを切り捨てなくても財政改善はかのうである、 の3点をあげて、「市民サービス切り捨てのためのつくられた財政危機」だということを繰り返し指摘し、市民サービスの切り捨てを撤回するよう求めてきました。 さて、市の財政収支試算表による321億円の財源不足が正しかったのか、それともわが党議員団の指摘が正しかったのでしょうか。 2007年度決算では、29年間連続の黒字で、36億円の黒字額を計上しています。財政課に、今年2月に発表された財政収支試算表に2007年度決算を反映させたものを作成していただきましたが、2008年度末には93億円の基金積立、黒字となります。さらに、2008年度の決算を打てば、少なくとも20億円程度の剰余金が上乗せされます。市は第3次「行革」の効果額を約270億円と見積もっており、これだけでは321億円財源不足は解消されませんが、実際には100億円を超えようとする基金積立が予測されることからも、「321億円の財源不足」自体、非常に不正確なものだということを明確に示しています。勝敗の決着はついているのではないでしょうか。ことさら大きくみせかけた「つくられた財政危機」を理由に、「行革」を強行し、市民の切実な要求を抑え込み、市民生活を悪化させた市長の責任は重大です。 私は、選挙ではだんまりを決め込み、選挙が終わるとだまし打ちのように市民いじめの「行革」を強行、しかも、偽りの「財政危機」を根拠にして市民の声を抑え込んだことは、山田市政最大の「罪悪」だということを強く指摘をするものです。 「行政経営改革」のもとは「ニュー・パブリック・マネージメント」と言われるもので、さらにもとをたどれば、「新自由主義」というものに行き着きます。なんでも市場にゆだね、効率を優先するという考え方です。しかし、世界的にこの考え方は破たんしつつあることは周知のことです。 山田市長は破たんにむかっている「行政経営改革」に固執し、その中でも特に「民間でできることは民間に」と、民間委託、指定管理者制度の導入、民間移管、いわゆる「官から民へ」を推し進めてきました。この8年間で、人口当たりの正規職員数は、4分の3に減っています。これは、自治体としての公的責任を放棄することにつながり、住民の福祉の増進という本来の自治体の役割を変質させることにつながります。 具体的には、学童保育所の指定管理者について公募制を導入する際、津門学童では、「公募はやめてほしい」と連日深夜に及ぶ交渉で父兄らの涙を流しての必死の訴えも聞き入れられなかったことをおもいだします。現在も続いている、公立保育所の民営化で、「公立保育所を守ってほしい」と7万を超える署名が寄せられているのに、いまだ方針は撤回されていません。子供の保育の質を求める市民と、経済効率を優先させようという市長との矛盾の表れです。 また、2年前、埼玉県ふじみ野市の市営プール事故で委託業者が下請け丸投げだったことが大問題になって以後、「安かろう、悪かろうでいいのか」、「公的責任を民間任せでいいのか」という声が広がっていますが、西宮市でも、民間事業者への委託費等が年々削減され、いわゆる「官製ワーキングプア」を生み出しています。 いつまで「構造改革」路線を続けるのでしょうか。 <質問>
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