100年に1度と言われる経済危機により、なかでも中小業者はその影響の直撃を受けており、深刻な事態となっています。どう市内業者への仕事づくりを市として取り組むのか、重要な課題としてわが党議員団の野口議員の代表質問で提起しています。
西宮市は、阪神間では他市に先駆けて、「小規模修繕工事希望者登録制度」といものを創設しており、すでにその仕掛けを持っています。
従来は、簡易な修繕でも、市は入札業者に発注し、実際の仕事は下請け業者が行う場合があるのに、入札資格のない市内業者は受注することができませんでした。
この入札資格のない市内業者の仕事づくりとして、西宮民主商工会や阪神土建労働組合などが運動し、わが党議員団も議会で取り上げる中で、2006年6月制度創設されました。この制度は、入札の「資格審査申請が困難な市内業者の受注機会の拡大をすることにより、市内経済の活性化を図ることを目的」として、「内容が軽易で、かつ、履行の確保が容易であると認められる契約で、一件の金額が31万5千円を超えないもの」について登録業者に発注するという制度です。例えば、学校のガラスが割れたとか、市営住宅の戸が破損したとか、といった時に、登録されている市内業者に直接仕事を発注されるのです。
修繕工事については、市長部局や教育委員会で、数億円の予算があると言われており、この制度に対する、市内業者の期待は大きかったと思います。
ところが、現実はどうだったでしょうか。契約は、2006年度は15件133万円。2007年度は34件390万円。2008年度は、12月末現在で19件266万円、と、制度が生きていないというのが実情です。市内業者の期待は、大きく裏切られることになりました。登録業者数も、2007度72社から、2008年度は42社へと、減少しています。
制度創設の一端を担った西宮民主商工会が、1月26日、大不況の下で制度の活用を求め、市に対して、1件の契約金額を31万5千円から50万円に引き上げること、登録は随時受け付ける、年度内に5000万円の仕事の確保を、と提起されました。参加者からは「先行きが見えない」「今年に入って仕事がない」「仕事がないため技術のある内装業者が、ガードマンの仕事をしている」などの切実な実態が口々に語られ、中小業者にとって死活にかかわる事態となっています。
我が党議員団も、この交渉に参加しましたが、市のトップの認識が大事だと考え、1月29日河野副市長と福島市民局長に出席していただき、深刻な不況から市民生活をまもる緊急申し入れを行い、改めて「小規模修繕工事希望者登録制度」の実態と改善の必要性を説明し、理解を求めました。
直後の、2月2日の政策調整会議で、福島市民局長は「景気後退による経営環境の悪化もあることから、市内中小工事業者への優先的な発注が可能となるような業務のあらいだし」を全庁的に要請しています。
年度末までに、新たに25件320万円の仕事の確保と同時に、新規登録の申請期間を設けるなどの対応が行われることになり、ようやく重い腰があがったとの感をもちました。新年度には、契約金額を1件31万5千円から50万円に引き上げるとのことですが、市内業者の仕事づくりの観点から、さらに本格的な取り組みが求められます。
<質問>
- 「小規模修繕工事希望者登録制度」は、深刻な経済危機の下で、市内業者への大きな支援となると思うが、市として、この制度について、創設の趣旨と効果など、どのようにとらえているのかお聞きします。また、制度創設から3年目を迎えたが、市当局の発注数が非常にすくなく、本来の趣旨と大幅に違う実態だと思う。なにが問題だったと考えるか。そのうえで、新年度から、どのように取り組んでいくのか、運用改善も含めてお聞きします。
- 私は、制度実施を成功させるためには、新年度はどの程度の件数、金額を目標に取り組みを強めようと思っているのか、具体的に聞いておきたいと思います。
- 市の仕事をするということは、市内業者にとっては、大いに自信と信用に強めることになると思います。西宮市のホームページは大変豊富な情報提供をしていますが、この制度に関連するサイトは残念ながら不十分です。市職員への徹底とともに、市民への業者の紹介にもなります。地域経済活性化ということでも、ホームページを充実させるとともに、当面サイトをトップから入れるように工夫できないでしょうか。